2016年11月09日

モバP「コーヒー&シガレッツ」

『ココアシガレット』







喫茶店







幸子「タバコ吸っていいですか?」



凛「は?」



幸子「これですよ、これ」



凛「え…ああ、なんだ、ココアシガレット。駄菓子か」



幸子「当然です、ボクまだ14歳ですよ?」



ウェイトレス「ご注文はお決まりでしょうか?」



凛「幸子、決まった?」



幸子「コーヒーを」



凛「オレンジジュースとかもあるけど」



幸子「コーヒーで!アメリカンでお願いします!」



凛「ふふ……私も同じのを」



ウェイトレス「かしこまりました」



幸子「私も同じのを……それも大人っぽくていいですね」



凛「なに?大人っぽくなりたいんだ?」



幸子「そんなんじゃないですよ」



凛「それでそのタバコなわけか」



幸子「ああもう……そんなんじゃないですって。ボクらの中で流行ってるんです、ココアシガレット」



凛「ボクらって……輝子と小梅と……」



幸子「それと、卯月さんと響子さんと美穂さんですかね」



凛「ピンクチェックスクールも?」



幸子「お仕事中に美穂さんに聞かれたんですよ。なあにそれって。142sで流行ってるって教えてあげたら、ハマってしまったようで」



凛「それでピンチェに輸入されたわけ?」



幸子「そのようですね。卯月さんなんか、布教活動までしているみたいですよ?バックに2、3箱入れてるみたいです」



凛「へぇ、最近卯月と会ってなかったからなぁ…」



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ウェイトレス「お待たせいたしました。アメリカンコーヒーです」



凛「どうも」



ウェイトレス「ごゆっくりどうぞ」



凛「……ん、熱い」



幸子「凛さんもいかがです?」



凛「うん?」



幸子「ココアシガレット」



凛「ああ、うん、貰おうかな」



幸子「……んぁ、うっすいですね、これ」



凛「そりゃあアメリカンだからね………甘いね、これ」



幸子「そりゃあココアシガレットですからね……ブレンドコーヒーにしておけばよかった」



凛「アメリカン、初めてだった?」



幸子「初めてでした」



凛「大人デビューは失敗?」



幸子「いえ、これはこれで美味しいです。お腹に優しい感じがしますね」



凛「そっか………ブフッ!!!」



幸子「えっ!?」



凛「エホッ!ゲホッ!ゲホッ!」



幸子「ど、どうしたんですか急に!?ああ…ハンカチを…」



凛「エホッ…ん……ごめん、ありがとう……」



幸子「大丈夫ですか…?」



凛「あー、いや……さっきのこと思い出しちゃってさ」



幸子「さっきの?」



凛「テレビ局の控え室で…」



幸子「あー!やめてくださいよ!」



凛「『まあ、ボクは世界一カワイイですからね!』って言ったその後ろから『それって私よりも?』って飛び切りの笑顔の水瀬伊織が………ふふッ!」



幸子「もー……思い出させないでくださいよぉ……」



凛「あの時の幸子の顔といったら……『えッ!?ああいやその…』ってしどろもどろしちゃって」



幸子「あの時は流石のボクも肝を冷やしましたよ……伊織さんもいじわるしなくたっていいのに……もう!」

凛「幸子はからかいたくなるからなぁ」



幸子「なんですか、それ…」



凛「なんだろうね、才能としか言いようがないかも」



幸子「ボクの才能はカワイイことですよ。それ以外にありません」



凛「ふふっ……そういうところかな?」



幸子「………今日は凛さんもいじわるなんですね」



凛「拗ねないでよ、カワイイカワイイ」



幸子「もっと心をこめてくださいよ。ほら、頭を撫でて。撫でながらカワイイって。恥ずかしいのでしたら、目をつぶっていてあげますから。さあ!」



???「カワイイカワイイ」ナデナデ



幸子「ああ、いい感じです。でも、凛さんの声ってそんな声でしたっけ?」



凛「あっはは!幸子、後ろ後ろ」



幸子「え?」



伊織「満足したかしら、カワイイカワイイ幸子ちゃん?」



幸子「ええッ!?ぇあ、なんで!?」



凛「あははははは!」



伊織「ここ、いいかしら?」



幸子「え、ああ……ど、どうぞ」



伊織「ありがとう。ウェイトレスさん、オレンジジュースを」



ウェイトレス「かしこまりました」



伊織「奇遇ね。たまたまここに入ったら、アンタたちが見えたものだから」



幸子「タイミングが悪いんですよぉ、もぉ……」



伊織「なに?私、悪いことした?」



凛「いや、ベストタイミング」



伊織「あらそう?ところで、タバコを吸ってもよろしくて?」



凛「え?」



幸子「あーそれ!ブルーベリーシガレット!」



伊織「あら、知ってるの?な〜んだ、ちょっと驚かしてあげようと思ったのに」



幸子「ボクも好きなんですよ。ココアシガレットの方ですが」



伊織「あれはダメね。オレンジジュースに合わないもの」



凛「ブルーベリーもどうかと思うけど…」



幸子「嬉しいですねぇ!シガレットファンがここにもいたなんて…」



伊織「そう?」



幸子「はい!ね?」



凛「え…うん」



幸子「ゴクッ……やっぱりコーヒーにはココアシガレットですねぇ」



『シガービスケット』











事務所





拓海「なぁ、文香」



文香「……………」ペラッ



拓海「……なぁって」



文香「……………」



拓海「本当に読書中になるとまわりの音聞こえねぇんだな…」



文香「……………」



拓海「文香〜」



文香「……………」ペラッ



拓海「おーい、文香さーん」



文香「……………」



拓海「しょうがねぇ、奥の手だ」ガアサガサ



文香「……………」



拓海「ほぉーれ、お前の好きなシガービスケットだ……んむっ、美味い」



文香「……………」ピクッ



拓海「………食べたいヤツは口を開けてー」



文香「…………んあ」



拓海「はーい、お上手、まずは一個だ」



文香「んぐんぐんぐ……」



拓海「ほれ、もう一個あるぞ〜」



文香「んぐ………んあ」



拓海「よぉーしよし、もう一個やろうな〜」



文香「んぐんぐ……」ペラッ



拓海「……聞こえてたな?」



文香「……っ」ビクッ



拓海「聞こえてて無視してたろォ?エェ?もう一個食うか?」



文香「………んあ」



拓海「……いい度胸じゃねェか!」ガサガサガサッ



文香「んッ!?んむむむ!ンむ!?」



拓海「美味いかァ〜?まだまだあるぜェ〜?」



文香「ふ、ふみまへん……もうひいれふ……」モゴモゴ



拓海「ったくよぉ…」



文香「んぐっ……すみません、ちょっとしたいじわるのつもりで…」



拓海「アタシにいじわるとはいい度胸だ……なッ!」



文香「あっ…あはははは!!!やめ、くすぐらないでくださ……あはははは!!!」



拓海「文香は脇が弱いんだったよなァ〜?」



文香「ま、参りました……参りました、私が悪かったですから……あはは!も、もう…やめ……」



拓海「へへっ!分かりゃいいんだ、分かりゃ。コーヒー飲むか?」



文香「はぁ……はぁ……はい、頂きます」



拓海「文香は砂糖2個にミルクたっぷりだったよな」



文香「ええ……拓海さんはお砂糖1つにミルクなし……でしたよね?」



拓海「おう。甘いのは好きなんだけどよ、甘すぎんのはダメなんだ」



文香「ふふ……知ってます。私は……苦いものは好きなのですが……」



拓海「苦すぎんのはダメなんだろ?知ってるよ。ほれ、コーヒー」



文香「ありがとうございます………ん、美味しい」



拓海「だろ?」



文香「……それで、なんのお話しでしょうか?」



拓海「ん?」



文香「……先ほどの」



拓海「ああ……なんだっけか………ああ、そうそう。今度プロデューサーの誕生日だろ?それの相談」



文香「……なるほど」



拓海「プレゼントについてみんな色々考えてるみたいでよ。夏樹と李衣菜はネクタイ、和久井の姉御は名刺ケース、両方とも洒落たヤツだった」



文香「……お仕事用にと選んだのでしょうね」



拓海「で、美嘉は香水で、まゆはタイピンとかいうヤツ。幸子たちは駄菓子セットをあげるとかなんとか言ってたっけな」



文香「……みなさん、思い思いのプレゼントを考えているのですね」



拓海「そうなんだよ、それが悩みのタネでな。ウチの事務所は人が多いだろ?なにかしら選ぶと、どっかしら被るんだよ……」



文香「そういうことでしたか……」



拓海「なあ、なんかいい案ねぇかな」



文香「そうですね………拓海さんのコーヒーを少し頂いてもよろしいですか?苦いコーヒーで頭を冴えさせたいので」



拓海「アタシもそっち貰っていいか?頭使うと、甘いのが欲しくなる」



文香「では……交換で」



拓海「おう……交換な」



文香「ん………にが……」



拓海「ん………あま……」



文香「お返しします……」



拓海「アタシも……やっぱそれ甘すぎ」



文香「……口直しに」



拓海「シガービスケット?」



文香「はい……ちょうど良い味です」



拓海「んむ……確かに」



文香「んむんむ」



拓海「なにがいいかなァ〜…」



文香「……本など贈られてはどうでしょうか。以前、お話しした作家の新書が…」



拓海「それは文香が欲しいモンだろ?」



文香「あう……」



拓海「スカジャンとかどうかな。この前、イカしたやつが売っててよォ!」



文香「……拓海さん」



拓海「わーってるよ、アタシが欲しいヤツだ、それは」



文香「ですよね……」



拓海「なにがいいかなァ〜……」



文香「拓海さん……あーん」



拓海「あー……ん……んむ……うめぇなあ、シガービスケット」



『シガーケース』









喫茶店



マスター「あい、お待ちどうさん。ウインナーコーヒーは?」



ヘレン「私よ」



マスター「カフェラテは…お嬢ちゃんだね」



奈緒「ありがとうございます」



マスター「はい、お姉さんはエスプレッソ」



時子「どうも」



マスター「これ、お茶請けのビスケット。サービスだから。じゃあ、ごゆっくり」



ヘレン「Sだけにエスプレッソ?」



時子「……帰っていいかしら」



ヘレン「ふふっ、冗談よ。そんなに怒らないで?……ンー、ここのコーヒーは素晴らしいわね。世界レベルだわ」



時子「チッ……」ゴクッ



奈緒「あ…あの」



ヘレン「ああ、ごめんなさい。それで、珍しい組み合わせだけど、今日はどんな用件?」



奈緒「うん……実はこれなんだけど」コトッ



ヘレン「ンーフン?」



時子「…………」



奈緒「家の押入れから見つけたんだ。すごい素敵なデザインでしょ?」



ヘレン「ンーフン?」



奈緒「プロデューサーの誕生日にハンカチを贈ろうと思ってたんだけど、ハンカチだけじゃあれだからこれもセットにしようと思ったんだ。親も好きにしなさいって言うし」



時子「良かったじゃない。あの豚にはもったいないくらい素敵なプレゼントになるわよ」



奈緒「いやあ、そうなんだけど…」



ヘレン「なにか問題でも?」



奈緒「これ、なにに使うものなのかなーって」

ヘレン「……なにに使う?」



時子「そんなこと、貴女の親に聞けばいいことじゃない。こんなことでわざわざ私の時間を無駄にさせるつもり?」



奈緒「聞いたよ。でも、プロデューサーさんに聞いてごらんって。なんか嬉しそうな顔しながらさ」



時子「チッ……だったら解らないまま贈ってやりなさい。あの豚にはそれで十分よ」



奈緒「ん……いや、なんか、変な品だったら嫌だろ?もしかしたら、エ、エッチなものとかだったりして……ウチの親、しょっちゅうそういうことでからかってくるんだ」



時子「チッ!」



ヘレン「なるほどね、それで私たちにこれがなにかを訊ねようってわけね」



奈緒「そう。せっかく素敵なデザインだからさ……分かる?」



ヘレン「当然よ、世界レベルに知らないことなんてないわ」



奈緒「良かった〜!で、一体これはなんなんだ?」



ヘレン「そうね……時子、教えてやりなさい」



時子「………アァン?貴女が教えればいいじゃない」



ヘレン「世界レベルの回答をそう簡単に出すわけにはいかないのよ。もしかして、これがなんだか分からないのかしら?」



時子「……バカ言わないで頂戴。この私が分からないとでも?」



奈緒「じゃ、じゃあ教え……」



時子「気に入らないわね」



奈緒「えっ」



時子「貴女、教えてもらう立場で、その態度はなんなのかしら?教えを請うのならば、それなりの態度ってものがあるでしょう?」



奈緒「え〜……お、教えてくださいお願いします」ペコッ



時子「ハァ……本当は土下座じゃないと教えないつもりだったのだけれど、まあいいわ。教えてあげる」



奈緒「うん」



時子「これは……あれよ、箱……箱よ」



奈緒「箱?」



時子「箱よ」



ヘレン「そう、箱よ」



奈緒「な、なんの箱?」



時子「なんのって……貸しなさい」



奈緒「うん……・」



時子「あー……これはあれの箱よ…あの…」



ヘレン「あれよね。言いたいことはわかるわ。貸して……あー、見事にあれの箱ね」



奈緒「その横のボタンみたいのってなんなの?」



ヘレン「ボタン?」ポチッ





パカッ



ヘレン&時子「開いた!?」



奈緒「ぇあ!?」



時子「………そう、開くのよ。当然でしょう?」



ヘレン「箱だもの、開いたりもするわ。この中の窪みにね……あれが合うのよ」



奈緒「あ、あれってなんなの?なにかを入れるケースってこと?」



ヘレン「あー……そう。ケースよ。ね?」



時子「そう、ケースよ。分かったでしょう?上等な品だわ。さっさとあの豚にくれてやればいいわ」



奈緒「えぇ……」



マスター「コーヒーのおかわりはいかが?」



奈緒「え、ああ、お願いします」



マスター「おお、それ、シガーケースかい。私と使ってるものと同じだ。これはタバコが良い状態で保たれる、素晴らしい品だよ。良いモン持っとるね」



時子「……そう、シガーケースよ」



ヘレン「シガーケース。ええ、そうよ、シガーケース。タバコを入れるのよ」



奈緒「…………」



マスター「で、おかわりはどうするね」



時子「頂けるかしら?」



ヘレン「うんと熱くね」





『タバコロード』











事務所





奏「……………」ゴクッ



P「ただいま〜っと」



奏「あら、おかえりなさい」



P「なんか肌寒くなってきたなぁ」



奏「コーヒーでも?」



P「ああ、悪いな。いつもので頼む」



奏「はいはい、レモンね」



P「そうそう。コーヒーに蜂蜜漬けのレモン」



奏「よくこんなの作ろうと思ったわね」



P「我が家に伝わる由緒ある飲み物だ。婆さんが創始者」



奏「はい、熱いから気をつけて……って、タバコ臭い」



P「そう言うな。営業先での喫煙所談話ほど、手軽な手段はないんだ」



奏「今は煙も臭いもほとんど出ないタバコがあるんでしょ?アイコス?」



P「あれはもうちょっと様子見てからだな。ああいうのはオッサンの方が目ざとい」



奏「というと?」



P「わー、それアイコスってヤツっすか!使った感じどうです?……ってな感じで切り出せば、オッサンたちは嬉しそうに語りだす。これを一通りやってから、自分も○○さんにつられて買っちゃいましたよ〜、ってのでまたやる。流行はいい話題のタネだよ。まあ、今アイコスの在庫がなくて手に入れ辛いってのもあるが」



奏「ふぅん」



P「サラリーマンは大変なんだよ、色々と。奈緒からシガーケース貰ったばっかりだしな……うーん、美味い」



奏「でしょう?隠し味が入ってるもの」



P「隠し味?」



奏「キスを少々」



P「最高だね……それは?」



奏「ん……映画よ」



P「白黒なんか観てるのか……なんてやつ?」



奏「タバコロード」



P「ふぅん……面白いの?」



奏「全然。でも好きなのよ。この時代の映画は、お話が単純で良いわ。単純で、純粋で、なんにもない。そういう映画が好きなの」



P「そっか。奏がそれで幸せならなにも言うことはないよ」



奏「ええ………ところで、それってどんな味なの?」



P「え?」



奏「レモンコーヒー」



P「あー、初恋の味、レモンだし」



奏「ひとくち頂戴」



P「あいよ、熱いから気をつけてな」



奏「知ってる」



P「………なあ、やっぱりこの映画つまんねぇよ。変えていい?」



奏「だーめ」







終劇



08:30│モバマス 
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