2016年11月30日

モバP「朋と過ごしたある一晩」


※一応閲覧注意



妄想が暴走してごめんなさい







SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480344808





事務所を出ると既に雪は降り始めていた。



「うわー結構降ってるわね」



後ろから出てきた朋がぼやく。



「予報によればまだまだ序の口だってさ」



「えっマジ?」



「マジマジ」



そういうわけでさっさか帰らなければならない。



「ほら、帰るぞ」



「はーい」



少し大きめの傘をさすと、朋は当然のように横に陣取った。



「こらっ動かないの」



ついでにマフラーも繋がれた。





住まいのマンションは事務所からほど近い。



遠距離通勤を見かねたちひろさんが借りてくれたもので、1人だと少し広いが2人だとちょうどいい。





「晩ごはんは?」



意外に健啖家な同居人が訪ねてくる。



「鍋の具材を買ってある」



すると奴はへぇ、なんて声をあげて目を丸くした。



「やけに準備が良いじゃない、珍しい」



「一言余計だ」



「褒めてるのに」



「それなら素直に褒めてくれ」



そう返すと、朋は少し考える素振りを見せたあと、マフラーを引っ張って耳打ちしてきた。







「なでなでとハグ、どっちがいい?」



「両方」





「たっだいまー!」



「はい、おかえり」



家に着くなり朋は廊下を突っ切って行った。恐らくストーブの前を陣取ったと見える。



手洗いうがいを済ませ、居間に向かう。





「んあああああ〜」



そこにはダラけにダラケきったアイドルが1匹。



「P〜おかえり〜」



「ただいま朋」



やっぱり、ただいまとおかえりが言える相手がいるのは良いことだ。



そんな風にほんわかしていると、朋がやけに神妙な顔をしていた。



「どうかしたのか?」



「こういう時って『おかえりなさい、ア・ナ・タ』とかの方が良いのかな」



それはまだ色々と早い。





一息ついたので、朋に風呂掃除を任せ、料理に取り掛ることにした。



料理といっても固形の鍋の素を砕いて鍋に溶かしてカット野菜と切った鶏肉を入れて煮込むだけのお手軽なものである。



このカット野菜、昨今の野菜の高騰も相まって、我が家では採用率が非常に高い。



頑張れカット野菜、不作に負けるなカット野菜。







居間に行くと風呂掃除が終わったのか、朋は窓の外を眺めていた。



「あ、もうご飯できた?」



こちらに顔を向ける。



「いや、もう少しかかるから、今のうちに風呂入って来ようと思って」



「んーでもまだ沸いてないわよ?」



「入ってれば沸くだろ」



「まあ、それは、そうなんだけど……」



やけに歯切れが悪い。



ひょっとしたら風邪かもしれない、心なしか顔も赤い気がする。



朋はしばらく、あーとか、うーとか言ってから







「た、たまには一緒に入りたいかなーって……」







爆弾を投下した。





「まあ爆弾と言ってもそんなに大それたことでもないか」



「誰に言ってんの?ほら器出して」



差し出した器を取って野菜をてんこ盛りにしてくれた。





一緒に入るにしても、風呂が沸いてないのは事実なので先にご飯を食べることになったのは自然な流れである。



決して朋との入浴の後に飯を食べる余裕がないと見越した訳ではない、決して。





「はい、どうぞ」



「あ、ああ、ありがとう」



上の空で器を受け取る。



「ふふっ変なP」



そう言って朋は自分の分に手をつける。



先ほどまでの恥じ入った表情などもはや皆無である。





あっちから誘って来たのにこれではこっちが恥ずかしいだけじゃないか。



是が非でも仕返ししなくては。



そう思い、おもむろに口を開く。



「なあ朋」



「ん?何?お肉欲しい?」



摘んだ鶏肉を差し出して来たのでありがたく頂戴する。



うん、適当なのに美味しい、やはり鍋の素は偉大だ。いやそうではない。





「珍しいじゃないか、一緒に入りたいなんて」



「あーまあ…」



箸を置いて頭を掻く朋。



「何かあった?」



「………雪が綺麗だったから?」



なんで疑問系なんだ。





「うーん何というか…」



言いながらこたつに潜ったと思ったらズリズリ進んでこっち側から出てきた。



背中を向けて寄っかかってくる。



上手く言えないんだけどね、と前置きして





「ぼんやり雪を見てたら、こんなに降ってても積もってもいずれは溶けて無くなっちゃうんだなって思うと何だか寂しくて、人恋しくなっちゃったというか……」



一呼吸ついて、言葉を紡ぐ。



「今のまんまでずっといられたら良いのになってそう思っちゃったの。事務所があって、アイドルの仲間達がいて、Pがいて、お仕事して、ライブをして、そういう日々が永遠に続けば良いなって……変かな?」



「変なもんか」



手を回し、優しく抱きしめる。



朋は暖かくて、柔らかくて、確かにここにいた。





「しょっちゅう思ってるよ、今がずっと続いてくれれば良いのにって。他に何もいらないからって。でもそれじゃ前には進めないし、どんな未来も掴めない」



「……先には嫌なことがいっぱいあるかもしれないわよ?必ずハッピーエンドが待ってるとは限らないし」



「それでも、進んだ道は無駄にはならないさ。他の誰に何と言われようと、朋と歩んできた道は無くならないし、忘れない。たとえ朋がアイドルで無くなったとしても」



「……そっか、そうよね」



「そうだ」



何のことはない、当たり前のことだ。



担当との思い出を忘れるPがどこにいるものか。





「そうよね、うん、そうだわ!やっぱりPと一緒で良かった!」



朋は合点がいったらしい。



ハフハフと鍋の処理に戻った。



「解決したならどいてくれ、食えない」



「せっかくだからあたしが食べさせてあげる!ほら、あーん!」



泣いた烏がもう笑顔満面である、いや泣いてはいないか。



せっかくなのでご相伴に預かることにした、これも役得、役得。









朋と入れ替わりに湯船に身を沈める。



少しお湯が溢れた。



洗いたての湯船は気持ちがいい。



沸かしたてとなればなおさらである。





さて





パーフェクトコミュニケーションに成功したおかげでかなり脈ありなのは間違いない。



夜の帽子も薄々のを用意したしちひろさんにも明日は午後出かもしれないとの連絡を送り付けておいた。



出来るPは準備を怠らないのである。





「こーこーにーあるーきっとこの気持ちーがふふふーん」





朋の機嫌もすこぶる良い。



ああ、まさしく有頂天である、ついでに今は髪も有頂天盛りである。



泡に包まれた肢体は少ないながらも起伏があり上気した肌、露わになったうなじ、滴る雫、そのどれもが魅惑的でクラクラする。





「胸の真ん中ー光ってー……」





そう、まさに微かな胸の真ん中に光って





「……あんまりジロジロ見られるとさすがに恥ずかしいんだけど」





おや残念、両手で身体をかき抱いて向こうを向いてしまった。



くびれた腰も実にセクシー。



グラビアもイケる、打診してみよう。



出たら100冊買おう。



「人の身体見ながらボソボソ呟くの止めてくれない?」



「失礼しました」





「まあ、鼻の下伸ばしてくれるのは満更でもないけどね」



言いながら朋も入ってくる。



また少し、お湯が溢れた。





2人で入ると少し手狭な湯船。



自然と密着する形になる。



触れ合った部分が熱い。





「ちょっとくらい隠しなさいよ」



脇を突っついてくる朋。



「そっちこそ慎みを持て」



負けじと突っつき返す。



「風呂に入ってる時点で慎めないわよ」



器用に水鉄砲を打ってくる。



「それならお互い様じゃないか」



ぺしっと水を掛けてやった。



「………」



「………」



開幕のゴングは必要なかった。







「なんで風呂入って疲れてるのかしら」



「まったくだよ」



あの後、小競り合いを繰り返しても決着が着かず、最終的にお風呂のお湯が目減りしたのであえなく停戦協定となった。



あはんうふんな空気には全くならなかったのは笑っていいものかどうか。





そんな訳でお詫びも込めて朋の髪を乾かしている。



普段はポニテだったりツインテだったりする朋だが、おろした髪型も非常に可愛らしい。



自分だけの秘密にしておこうと思ったのだが、ちひろさんに写真を見つかったのが運の尽き、仕事でも使われてしまった。



まあ朋は楽しんでいたから良かったのだけど。





「うん、やっぱり良い髪だ」



「そりゃもう、お手入れしてるからね」



優しく手櫛を通すと朋は気持ちよさそうに目を細めた。



髪の間から甘やかな香りが溢れる。



同じシャンプーを使ってるはずなのに、こうも違うのか。



少なくとも自分の髪からこんな香りがしたことはない。



いや、良い香りならまだしも、ひょっとしたら普段は臭いのではないか。



葛藤をこらえ、恐る恐る尋ねる。



「んー?Pの匂いー?」



ふわふわ髪が揺れた。





「そうねー、臭くは無いしまあ特に良い匂いって訳でもないわ」



でもね、と続ける。



「あたしにとっては安心する匂いなの、なんというか…ラッキーアイテム?みたいな。無くても困らないけど、あったら嬉しいというか……」



「……匂いフェチ?」



「違うわよ!」



「ホントに?」



「……ちょっと…違わない、かも」



これからは朋を思う存分嗅ごう、そしてその分たっぷり嗅がせよう。



臍の下に力を込めて、そう誓った。





我が家の消灯はそこそこ早い。



特に見たいテレビ番組も無ければさっさと床に着いてしまう。



まあそのまま寝るかと言われるとそうとも限らないのだが。







「電気消すぞ」



「はーい」



灯りを消して朋の横に滑り込んだ。













明かりを消して暗くなった中でも、朋ははっきり感じられた。



それは湯上りの火照った肌のせいでもあり、解いた髪の匂い立つような艶やかさのせいでもあり。



朋がこちらを見つめ返してくる。



その目の奥には、仄かに淫靡な光が見て取れて







今日は寝ない日になった。





どちらともなく身を寄せ合って、そのまま抱き寄せて唇を奪う。



華奢な身体は、しかし女性特有の丸みを帯びていて、残った余裕を奪うには十分過ぎて





雪が深々と降り積もる中、貪るように肌を重ねた。







この瞬間だけは



細く乱れ返った髪も



喜悦に彩られた締まりのない表情も



媚びるように巻き付けられる健康的な肢体も



仰け反った時にやけに白く映る喉元も



絶えず嬌艶を紡ぎ続ける声すらも



独り占めだった。





色香で充満した空間に、理性の箍はとっくに吹っ飛んでいる。



絶え間なく、隙間なく朋を愛して、朋はそれに応えてくれる。



身に余る多幸感と、快楽の奔流に追いやられて互いに何度も登り詰めた。









最後の時になっても、繋がりを離すことはしなくて



朋の弛緩した呼吸がどこか遠くで聞こえたような気がした。









行為が終わって、気怠い身体のまま横になる。



布団は明日干せばいい、どうせ汚すつもりだったのだから。





「ねぇ」



朋が口を開く。



「雪、積もるかな?」



「……そうだなぁ」



積もったら雪かきをしよう。



ついでに雪だるまなんかも作ったりしてもいい。



積もらなかったら、まあその時はその時だ。



雑煮でも作って正月気分といこう。





とりとめもない言葉を吐きながら、睡夢の渦に沈んでいく。



落ちる寸前、瞼に落とされた微かな温もりが、やけに心地良かった。





不意に強い香りがした。



鼻腔をくすぐるというより覚醒を促すような感覚。



寝ぼけ眼を渋々開けると朋がマグカップ片手に覗き込んでいた。



「あ、起きた起きた」



「……何を」



「いや、コーヒーってホントにお目覚め効果あるのねー」



ケラケラ笑っていらっしゃる。



布団の中に引き込んでまたヒイヒイ言わせてやろうか。



一瞬よぎった思考はマグカップへの懸念によって奇しくも防がれた。









「見て見て!蟹座2位よ!」



「げ、10位だ」



もはや日課である朝の占い番組。



今日は珍しく朋の方が運勢が良い。



「2位って何か良いわよね、幸運温存してる感じがあって」



「1位より良いのか?」



「1位は1位で嬉しいわよ、こういうのは美味しいどこ取りするのが良いの」



得意げにティースプーンを振ってみせた。



それが妙に子供っぽくて笑いを誘った。









「ハンカチティッシュは?」



「持った」



「家の鍵は?」



「持った」



「行ってきますのチューは?」



「ん」



「ん、じゃあ行きましょ!」



玄関を開け、白銀の世界へ踏み出した。



無論戸締りも怠らない。







明日のことは分からないし、占ってみても正しい答えが出るとは限らない。



ただ、朋はここにいて、アイドルとして立っている。



ならばこそ、ずっと寄り添って支えられる存在でありたい。





「ほら、ボーっとしてると置いてくわよ!」



少し先で朋が呼んでいる。



雪に足を取られないよう、せこせこと急いだ。









おわり





17:30│藤居朋 
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