2016年12月07日

佐久間まゆ「贈りたい。叶えることのできる、ぜんぶ」

愛しています。



 プロデューサーさん。



 まゆは、プロデューサーさんのことを愛しています。





 誰よりも、ずっと。



 何よりも、もっと。



 他のどんなすべてよりも、ずっと、もっと。



 愛しています。



 貴方と居られると、まゆの身体は幸せに火照ります。



 貴方を思えば、まゆの心は幸せに染まります。



 貴方への愛を抱いて、貴方を愛するとき、まゆは幸せに満たせれるんです。



 貴方無しではいられない。



 生きます。貴方無しでも、貴方の為に。――でも、生きられないと言いたくなってしまうほど。



 死にません。貴方無しでも、貴方の為に。――でも、死んでしまうと言いたくなってしまうほど。



 それほど、愛しています。



 貴方はまゆの運命の人。



 貴方と出逢えなければ、まゆは、今のまゆにはなれなかった。



 貴方と時を重ねなければ、まゆは、これほどの夢を未来に見ることができなかった。



 貴方と寄り添い歩かなければ、まゆは、こんなにも温かで幸せな愛を抱くことなんて叶わなかった。



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 きっと、貴方とでなくても幸せには至れるんです。



 心地よくて、気持ちよくて、そんな幸せに。



 でも。



 でも、それでも、まゆには貴方。



 他にどんな幸せへの道があったとしても、そこへ進めば何の壁や障害もないのだとしても、苦もなく幸せへと至れるのだとしても。



 それでも、まゆには――今の、この、ここにいるこのまゆには、私にはプロデューサーさん、貴方なんです。



 貴方。貴方こそが、まゆの運命の人なんです。



 まゆが望む――まゆが自分の、相手の、そして二人の幸せを。それをまゆが望むのは他の誰でも何でもない貴方と。二人で紡ぐ幸せ、それを共に重ねていきたいと望むのは貴方なんです。



 貴方の為なら何でもできます。



 たとえどんなに難しくても、どれほど遠くても、遥かな果てにあろうとも。



 貴方の為なら。貴方の、まゆの、貴方が願いまゆが夢見る二人の幸せの為なら、それを叶える為なら、何だって。

 ええ、何だって。



 貴方と結ばれる、それだけじゃない。



 輝くドレスで煌めく舞台を舞い踊って。アイドルの夢、貴方に贈られ貴方と目指すこの夢も、その何もかもを叶えて。



 貴方と叶えるのではない他の、大切な仲間と、友人と、関わる皆と叶える幸せを、そのすべても叶えて抱えて。



 そうして結ばれる。



 貴方と結ばれるその為に他の幸せを切り捨てるんじゃない。



 叶えて。他の幸せを叶えて抱えて、そうして貴方と結ばれる。



 きっと、それさえも。



 難しくて、遠回りで、そうして貴方は最後の果てにようやく。



 そんなそれさえ。そんな幸せさえ叶えてみせる。



 他の何をも切り捨てて、放って、無くして。そんなまゆより。



 他の何をも叶えて、抱き締めて、溢れさせて。そんなまゆを、貴方へ贈りたい。



 誰よりも大好きな、何よりも愛おしい貴方には――最高の貴方には、最高のまゆを贈りたいから。



 だから叶える。叶えてみせる。



 そう、言えるほど。そう本気で思って、そう本当に努力を重ねられるほど。



 そうしてまゆのすべてを懸けて、注いで、尽くせるほど。



 それほど、まゆは貴方を愛しているんです。

 愛して愛して愛して、愛している。



 愛しているんです。



 心の底から、嘘偽りなく、ただまっすぐ一途に貴方のことを。



 愛している。本当の意味で、愛しているんです。



 ええそう、本当の意味で。



 真実本当にまゆは貴方を愛しているんです。



 ただ好きなだけじゃない。



 もちろん貴方は好きで、大好きで、これ以上ないほど想っています。



 溢れて止まらない好意に、生まれて無くならない恋慕に、どうしようもなくどうにもならないほど大きく深い愛に自分のすべてを塗り染められてしまうほど。



 身体も心も、まゆの何もかも、世界さえ貴方の色に輝かされてしまうほど。



 それほど、貴方のことは大好きです。



 好きで好きで好きで。



 大好きで大好きで大好きで。



 恋しく、思い慕い、愛おしく想っています。

 でも。



 でもだけど。



 同時に。そうして大好きなのと同時に、まゆは、貴方のことが嫌いなんです。



 嫌い。嫌いで、大嫌いなんです。



 例えば、優しいところ。



 誰にでも何にでも優しい貴方の性格。それはまゆも大好きです。



 でも、貴方は少し優しすぎるから。相手の為、自分を省みなさすぎる。相手へ手を差し伸べる為、自分を犠牲にしすぎてしまう。



 そんなところがまゆは嫌い。大好きで、でも大嫌い。



 例えば、無頓着なところ。



 目指す夢や大切なアイドル達のこと。そのことについてなら貴方はどこまでも深く深く、熱意を持ってこれ以上なくしっかりと取り組める。



 でも、熱意の向かない他のことについて、貴方は少し無頓着すぎる。気付かず、取り組むことができないから。



 そんなところがまゆは嫌い。自分の周りを疎かにしてしまう貴方が、まゆは大嫌い。



 例えば、例えば、例えば。



 きっといくつも挙げられる。



 貴方の嫌いなところ。誰よりも大好きで何よりも愛おしい貴方の、大嫌いなところ。



 ええそう、まゆは貴方が嫌いです。



 嫌い。大嫌いなんです。

 だって。



 だって、まゆは、貴方のことを見ているから。



 正しく。曇らせず。誤魔化さず。



 ありのまま。そのままの、等身大の貴方を見ているから。



 だから嫌い。



 ちゃんと嫌いで、しっかりと大嫌い。



 貴方のことだから、と本当は嫌いなところを好きだと間違うのではなくて。



 貴方がするのだから、と本当は嫌いなところを恋しいんだと思い込むのではなくて。



 貴方が大好きで愛おしいから、と本当は嫌いなところを愛らしいのだと塗り替えるのではなくて。



 嫌い。



 嫌いは嫌い。



 貴方でも、貴方だからこそ。



 まゆは貴方のことを正しく好いて、ありのまま愛して、そうして誤魔化さずに嫌いなんです。



 愛しているから。



 眩しい好意に振り回され、熱い恋心に踊らされ、間違った愛に支配されるのではなく。



 愛しているから。



 愛ゆえに。



 まゆは貴方のことが嫌いなんです。

 そして。



 そして、だからこそ。



 そうして好きで、嫌いでいるからこそ言える。



 胸を張って、自分で自分を信じながら、貴方の目を見てまっすぐに。



 愛しています。



 まゆは、貴方のことを愛しています。



 そんなふうに想いを。



 嘘偽りのない、本当の、心からの想いを貴方へと贈れるんです。



 ええ、プロデューサーさん。



 愛しています。



 好きです。



 大好きです。



 まゆは、貴方のことを、愛しています。

 ――うふ。



 なんて、突然ごめんなさい。



 帰ってきて早々、こんなふうに捲し立てられて、びっくりしちゃいますよね。



 ごめんなさい。



 でも、知っておいてほしかった。――ううん、知っておいてもらわないといけなかったんです。



 貴方には、まゆのこの想いを。



 誰よりも大好きなこと。



 何よりも愛していること。



 そして、誤魔化すことなく嫌いでいること。



 しっかりと、貴方には。



 ……うふ、ありがとうございます。



 よく分かったよ。って、言ってもらえて嬉しいです。



 まゆを分かってもらえて、とっても。



 うふ。



 うふふ。そして、そうしたら、ねぇプロデューサーさん。



 分かってもらえたなら。まゆが貴方のことを正しく好きで、嫌いで、愛していることを分かってもらえたなら。



 これも、分かってもらえましたよねぇ?

 今の、この、これも。



 なんていったって、プロデューサーさんですから。



 まゆが貴方のことを知っているように、貴方もまゆのことを知ってくれている。



 誰よりも、もしかしたらまゆよりも。



 だから、そんなプロデューサーならきっと。



 分かってもらえましたよね?



 貴方を正しく嫌いでいられるまゆのこと。



 自分の身の回りに無頓着な貴方と、綺麗好きなまゆ。



 ――うふ。



 ええ。ええ、ありがとうございます。



 ちゃあんと分かってもらえたようで何よりです。



 まゆが今ここにいて、こうして貴方を貴方のお部屋で出迎えて、そしてこんなふうにしていること。



 重たいゴミ袋と紐で縛り付けた本。それを脇へ置いて、こうしてお話をしていること。



 その意味。それを、分かってもらえたようで。



 ありがとうございます。以心伝心、しっかりとまゆは貴方と繋がれていたようで、嬉しいです。



 そう。ええそう。



 まゆが今ここでこうしているのは、プロデューサーさんのお部屋を片付けていたから。



 整理をして、分別をして、掃除をして。



 そうしてこのお部屋を片付けていたからなんです。

 鍵は以前渡していただいたものが――ええ、プロデューサーさんの記憶にはないかもしれませんが、渡していただいたものがありましたから。



 以前プロデューサーさんのご実家へ訪ねさせていただいた折、プロデューサーさんのお母様から。



 ええ、ごめんなさい。以前撮影で近くへ行ったとき、プロデューサーさんには内緒で訪ねさせていただいたんです。そこでいろいろとお話をして、仲良くさせていただいて、そうしてプロデューサーさんのお部屋の合鍵を。



 うふ。そんなふうに言ったら駄目ですよぉ。良いお母様じゃありませんか。優しく朗らかで息子思いな、ええ、良い――お義母様、です。



 うふふっ。



 ……と。まゆが鍵を手に入れた経緯はさておき、プロデューサーさん。



 まゆが今ここにいるのはそういうこと。



 そしてまゆが今、こうしているのは……ええ、分かりますよねぇ?



 そう。ええ、そうです。



 まゆが今ここでこうしているのは……それは……。



 ……プロデューサーさん。



 なんで。……ええ、なんで、どうして。



 どうしてなんですか。



 どうして……

「どうして、こんなえっちな本をたくさん持ってるんですかぁ!?」



「あー……いや、そのな?」



「一冊や二冊じゃありません。こんな、紐で縛らないと持ち運べないくらいたくさん……」



「……ごめんな。アイドルのプロデューサーとして、こういう物を持っているのはあまり健全じゃないのかもしれない。男だから、なんて言い訳はできな」



「違いますっ」



「え」



「えっちな本を持っている。そのことはべつに――それは、好ましく思うわけではありませんけど……でも、構わないんです。――さっきも言った通り、まゆはまゆに叶えられるものすべてを叶えて貴方へ贈りたい。贈るつもりです。でも、叶えられないものだってある。体格や性格、在り方。だからそんなまゆには叶えられない他のものを、プロデューサーさんがこういう形で望んで、発散してくれるのは構わないんです」



「えっと、なら」



「まゆが怒っているのは」



「怒っているのは」



「……数です。種類です。溜め込んだ本の数と、プロデューサーさんが選んだ本の種類ですっ」



「数と、種類?」



「こういう本を集めるということは、プロデューサーさんは欲求不満だったってことですよねぇ?」



「えっと、あー……まあ、そう、なのかな」



「そうなんです。――そしてそのことについてまゆは何も怒るようなことはありません。それは自然で、当然のことなんですから」



「うん。……なら」



「ええ。だから、まゆが何に怒っているのかというと」



「いうと?」



「……なんで。どうして、そのえっちな想いをまゆへぶつけてくれなかったんですかぁ!?」



「……え?」



「確かにまゆが叶えてあげられないものについては仕方ありません。《モデル体型で神秘的なお酒好きのお姉さん》《派手カワ誘惑JKギャル》《天真爛漫純真無垢な元気っ子》そんないろいろは、仕方ないと思います」



「あ、えっと、あの」



「ええ、仕方ありません。むしろそういうまゆには叶えられないものは、そうして健全に求めてもらった方が嬉しいくらいです。……でも」



「でも」



「でも、なんで。……なんでっ、どうしてっ」



「……」



「どうして、こんなまゆにそっくりな子のものまで持ってるんですかぁ!?」

「……えーっと」



「言った通り、まゆが叶えてあげられないようなものを求めてこういう形で発散することはいいんです。いいんです、でも……でもっ、これは嫌。これは嫌なんですっ」



「自分に似てるのは?」



「そうですっ。……だってそれは、まゆにも叶えてあげられるものじゃないですか。貴方へ贈って、貴方へ注いで、貴方へ尽くして――まゆが、貴方へ、叶えてあげられるものじゃないですか」



「や、それは」



「まゆはまゆに叶えられることはぜんぶ叶えたい。わがままですけど、まゆは、まゆに叶えられるぜんぶを貴方にまゆへ望んでほしい。贈らせてほしい。注がせてほしい。尽くさせてほしいんです。だから嫌。だからこれは。だから……」



「……だから?」



「だから、まゆは決めました。……プロデューサーさん」



「……ん」



「……」



「…………んー」



「…………」



「んー…………んー!」



「えっと、どうしたのかな」



「ん、もうっ、決まってるじゃないですかぁ」



「いやごめん、あんな突然目を閉じた状態で唸られても」



「唸ってたんじゃありません。目を閉じて、唇を晒して、そうして待ちながら催促してたんですっ。ちゅーです。ちゅー。おかえりなさいのちゅーに決まってるじゃないですかぁ」



「やー……あんな、いきなりああされても」



「いきなりじゃありません。ちゃんと前置きをして、ちゃあんと説明までしましたよぉ」



「えっと、してくれてたっけ」



「しました。……言いましたよね。まゆはまゆに叶えられることはぜんぶ、ぜんぶぜんぶ叶えたい。プロデューサーさんへ尽くしたいんだ、って」

「それは、うん」



「だから、つまり、そういうことです。……望んでくれてるんですよね。何冊も何冊もあったみたいに。まゆと、新婚さんみたいないろいろを」



「……えっと」



「だから、まずはここから。仕事を終えた旦那様への、おかえりなさいのちゅーからです」



「ちゅーから、なんだね」



「もちろんですよぉ。まゆは、叶えられる貴方のぜんぶを叶えてあげたいんですから。だから、まずはちゅーから。――そして、それから、その先も」



「……」



「うふ、大丈夫。拒んでもらって構いませんよぉ。今はまだ応えるその時じゃない、ってプロデューサーさんがそう思っているのも分かってますから」



「分かってて、でもやめる気はないんだね。こんな、抱き締めてきて」



「はい。まゆはとってもわがままですから。いつかいつの日にかプロデューサーさんが受け入れてくれるその時まで、隠すようなことはしないでまっすぐそのまま想いのぜんぶを贈るんです。だからやめません。プロデューサーさんを求めること。プロデューサーさんと、本当に結ばれるその時までずっと」



「……まゆ」



「愛しています。いつかのその時までずっと。いつかのその先へ至ってもずうっと。愛しています。――大好きですよぉ、プロデューサーさん」



21:30│佐久間まゆ 
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