2016年12月12日

塩見周子「三段重ねの幸せ」


・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです









----レッスンルーム----



塩見周子「んーっ、今日も踊った、踊ったー」ノビー



橘ありす「はぁ、はぁ……そうですね、いい自主レッスンが出来ました」



周子「ありすちゃんも、おつかれー。水飲む? ほいっ」



ありす「あっ……ありがとう、ございます」



周子「しかしまぁ、ありすちゃんのダンスも、かなり完成度上がってきたんじゃない?」



周子「練習後に精魂尽き果てて床に倒れ込んでた頃と比べると、しっかり体力もついてるみたいだし」



ありす「……当然です。私だって、日々成長しているんですから。……ただ」



周子「ただ?」



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ありす「初めから涼しい顔でレッスンをこなしていた周子さんに言われても、なんだか心中複雑です」



周子「えー、そう? あたしだってこう見えて、それなりにバテバテだよ?」



ありす「だとしたら、ポーカーフェイスにも程がありますよ……」



周子「あはは。それは誉め言葉ってことで、いいのかなー?」



ありす「……はぁ。お好きにどうぞ」



周子「ふぅ、いっぱい動いたらお腹すいたーん。事務所に何かおやつ無いかな?」



ありす「おやつはともかく、そろそろ出ないといけませんね。レッスンの予定の隙間を縫って、こうして部屋を使わせて頂いてるわけですし」



周子「だね」



周子「ありすちゃん、休憩はもう大丈夫? まだしんどいんやったら、シューコちゃんがおぶってあげようか?」



ありす「け、結構です! 子ども扱いしないでくださいっ」



----事務所----



ガチャ

周子「おっつー」



ありす「お疲れ様です。……周子さん、またそんないい加減な挨拶をして……」



周子「そういうありすちゃんは相変わらずおカタいなぁ。あんまりおカタいと、石になるよー?」プニプニ



ありす「なりませんよ。……あぁもう、頬をつっつかないでください!」



周子「それはそうと……事務所、誰もいないっぽい?」



ライラ「ライラさんがいますですよー」ヒョコ



ありす「あ、ライラさん。おはようございます」



周子「どもどもー。今日は、お仕事?」



ライラ「いえ、今日はお休みでしたので、事務所の皆さんとおしゃべりしようと思って来ましたですよー」



ライラ「ですが、今しがたまでわたくし一人ぼっちだったので、窓の側でひなたぼっこしていたところでございますです」



ありす「そうでしたか」



ありす「……あ、本当だ。今日は私たち以外の皆さんは、ホワイトボードがお仕事のスケジュールで埋まっていますね。プロデューサーさんも……」



周子「みんな引っ張りだこってわけね」



ライラ「ヒッパリダコ……? ヒッパリダコとは、タコさんのお仲間でございますですか?」



ありす「はい? いえ、そういうわけではなくて……」

周子「おっ。クッキーみっけ♪ もーらいっ」ヒョイパク



ありす「ちょっと周子さん。そんな勝手に……」



ありす「えぇと、それでですねライラさん。『引っ張りだこ』というのは……」



ライラ「あー……ところで、実はわたくし、しょんぼりなことがあるのでございますですよー」



周子「へぇ。何かあったの?」



ありす「……あの、質問しておいて回答を遮るのは、やめてもらえませんか……?」



ライラ「アイスを食べようと思って冷蔵庫を開いたでございますが」



ライラ「この通り、箱の中身が空っぽになっていたのでございます」カラッ



周子「あちゃー、残念」



ありす「プロデューサーさんにお願いすれば、また買ってきてもらえるのでは? 普段から、買い溜めしているみたいですし」



ライラ「……では、プロデューサー殿が帰ってくるまで待たなければなりませんですねー……」ショボン



周子「ふむ、そんな健気なライラちゃんには、クッキーをプレゼントしちゃおう」



ありす「……それ、元々周子さんのものではありませんよね」



ライラ「そのクッキーは、昨日カナコさんが皆さんにと持ってきたものの残りでございますです」



ライラ「わたくしも、ひとつ頂きましたですよー」



ありす「そうなんですか……それならまぁ、構いませんが……」



周子「……んー、もうちょっとしっとり系のほうが、あたしの好みかなぁ」モグモグ



ありす「周子さんはもう少し遠慮しませんか」

ライラ「クッキーも素晴らしいお味だったですね。しかし、今はアイスが恋しいのでございますですよ……」



ありす「ライラさんは本当、アイスがお好きですよね」



ライラ「一日ひとつのアイスがあるから、アイドルのレッスンも頑張れるのでございます」ムフー



ありす「一日を頑張ったご褒美、というわけですか」



ライラ「そうでございますねー。普段は棒のアイスを……特にお仕事を頑張った日は、ちょっと大きなカップのアイスを頂きますです。特別なご褒美ですねー」



周子「……♪」ティン



周子「ねぇ、ライラちゃん。あたし、このあと暫くヒマでさー。丁度話し相手が欲しかったんだよねー」



ライラ「ほー……そうでございますか。ライラさんも、シューコさんとおしゃべりしたいのでございますですよー」



周子「ホント? 付き合ってくれる? いやー、ありがとね」



周子「よし、それじゃ行こっか!」



ライラ「……?」キョトン



周子「ほら、出掛ける支度して。ありすちゃんも」



ありす「えっ、私もですか?」



----街中----



ありす「まったく……周子さんの気まぐれは、いつものことですけど」



周子「あはは。事務所でのんびりもいいけど、今日は外を歩きながら話したい気分でさ」



ライラ「わたくしはおしゃべりも好きですが、お散歩も好きでございますですよ」



ありす「以前フレデリカさん達とカラオケに行ったのを思い出しますね。あの時は、いろいろと振り回されて大変でしたが……」



周子「そんなこと言うて、あの時の変装用眼鏡、今も大事にしてるやーん」



ありす「あっ、あれは折角春菜さんが選んでくださったものですし……実用性がありますから」



周子「変装といえば、ライラちゃんは髪まとめるだけで意外と印象変わるよねー」



ライラ「そうでございますかー?」



ありす「そうですね……というか、よくそのニット帽に髪が収まりましたね」



ライラ「収納上手でございますです。でも、ちょっと窮屈ですねー」

ライラ「変装するのもお仕事のうちだと、プロデューサー殿に教えられましたですよ。アイドルは大変でございますです」



ありす「ライラさんは私たち以上に大変でしょうね。やはり外国人だけあって、普通にしていても目立ちますし」



周子「心配しなくても、ありすちゃんも可愛いから目立つよ!」



ありす「どうして急に私の話になるんですか!」



ライラ「わたくしも、タチバナさんはとても可愛らしくて素敵だと思いますですよ」



ありす「ライラさんまで……!」



ありす「こほん、いいですよもう。それより周子さん。私たちは一体、どこに向かっているんですか?」



周子「そうだねー……風の向くまま、あての無い放浪の旅かな?」キリッ



ライラ「おお……浪漫あふれる響きでございますです」



ありす「そ、そうだったんですか!? 気まぐれにも限度がありますよ……!」



周子「あはは! ウソウソじょーだん」

周子「いやー、二人があんな話するから、あたしもアイスが食べたくなってさー」



ライラ「おー、アイスですか」



ありす「あぁ、なるほど……そういうことでしたか」



周子「丁度見えてきたね。ほら、あそこのピンクの看板」



ありす「有名なチェーン店ですね。ここにあるのは知っていましたが、来るのは初めてです」



ライラ「シューコさんは、よく来られるのでございますか?」



周子「たまーにね。この前は……そうそう、紗枝はんと一緒に来たっけ」



ライラ「サエさん……お着物がとてもお似合いで、素敵な人でございますですねー」



ありす「それはまた……少し、意外な取り合わせですね」



周子「そう? あたしと紗枝はん、結構仲良しだよー? 同郷だしね」



ありす「あ、すみません。そっちではなく……」

ありす「その、偏見なのですが……紗枝さんって、ある意味周子さんよりも、和菓子が好きそうな印象がありましたので」



ありす「あのようなお店でアイスを食べている姿がピンと来なくて……」



周子「あはは、なるほどねー。いやー、あの子ああ見えて、結構アイス好きだよ?」



ライラ「なんと、サエさんはわたくしのお仲間でございましたか」



周子「紗枝はん、寮に自分専用の黒蜜を置いててさ。バニラアイスにそれをかけて食べるのが、すっごい美味しいって力説してたよ」



ありす「確かに……それは美味しそうです」



ありす「黒蜜……なるほど盲点でした。練乳の代わりに、一度試してみましょうか……」ブツブツ



周子「……アイスの話だよね?」



----アイス屋店内----



ライラ「おぉぉー…………」キラキラ



ありす「ライラさんがお店に入った瞬間、固まってしまったのですが」



周子「ふふっ。おーい、ライラさんやーい」ツンツン



ライラ「……ほー、失礼致しましたです」



ライラ「あまりにも素晴らしい光景に、見惚れてしまったのでございますですよー」



ありす「は、はぁ……」



ライラ「大きなアイスが、こんなにたくさん……」



ライラ「わたくしの知っているコンビニのアイス屋さんや、スーパーのアイス屋さんとは全然違いますですねー」



ありす「あれはアイス屋さんではなく、単に売り場の一角ですよ……」



周子「やっぱり、専門店は初めてだったかー」



ライラ「あー……眺めているだけで幸せでございますです」

周子「さて、二人はどれにする?」



ライラ「しかし、このように贅沢なお買い物をすると、お家賃が払えなくなりますねー……」



周子「んー? そんなん気にせんでええよ。今日はおねーさんのおごり」



ライラ「おー、よろしいのでございますか?」



周子「だって、あたしが食べたかっただけだし。それに、言ったでしょ? おしゃべりに付き合ってって。そのお礼ってことでさ」



ライラ「なるほど……それでは、頑張っておしゃべりしなければなりませんですねー」フンス



ありす「よかったですね、ライラさん」



周子「さあさ、選んだ選んだ! この際だからダブルでもトリプルでも、どーんといっちゃえー!」



ライラ「どーん、でございますですか。……むむむ……」ジー



ありす「さすがに、これだけあると迷いますね」



ありす「……そういえば、看板の数字と違って、32種類あるんですね」



周子「あー、ほんまやね。プラス1種類でお得ですよー、みたいなことなんかな?」



ありす「ケースの機構上、奇数だと余分なスペースが出るからでは?」



周子「わお、合理的」

周子「んー、あずきのやつはこの間食べたから……今日はこっちのコーヒーのやつにしようかなー?」



ありす「あ、見てくださいライラさん。こんなのもありますよ」



ライラ「おー……ネコさんにウサギさん、パンダさんもいますねー。可愛らしいでございますです」



ありす「チョコレートでデコレーションしているんですね」



周子「へぇ。ありすちゃん、意外とこういう可愛い感じのがお好み?」



ありす「なっ、違いますよ! 私はただ珍しいなと思って見ていただけです」



ライラ「ニナさんが喜びそうでございますです」



周子「あぁ、それはわかるわ。凄い目キラキラさせそう」



ライラ「ライラさんはせっかくなので、夢の三段重ねにどーんと挑戦したいのでございますよー」



周子「おお、やるねぇ」



ライラ「タチバナさんは、何段重ねでございますですかー?」



ありす「私ですか? そもそも、ふたつ以上食べきれるでしょうか……」



周子「大丈夫じゃない? ほら、こっちの小さいのふたつにしなよ」



ありす「なるほど、それなら……ではひとつはこの、ストロベリーチーズケーキにして……」



〜数分後〜



店員「135番でお待ちのお客様、お待たせ致しましたー」



周子「はいはーい。ライラちゃん、ひとつ持ってくれるー?」



ライラ「わかりましたですー」



周子「よいしょっと。はい、ありすちゃんどうぞ」



ありす「ありがとうございます。えぇと、450円ですよね」ジャラジャラ



周子「いやいや、おごりだって言ったじゃん」



ありす「そんな、自分の分は自分でお支払いしますよ。そこまでお世話になるわけには」



周子「えい♪」プニ



ありす「あぅ。な、なんでふか」



周子「そんなに気を使わなくてもいーの」



周子「……それに、ありすちゃんに払わせちゃったら、年上のライラちゃんの立つ瀬が無いでしょ?」ヒソヒソ



ありす「それは……っ」ヒソヒソ

ライラ「……? 秘密のお話でございますか?」



ありす「うっ……ではすみません、今回はご厚意に甘えさせて頂きます……」



周子「こういうときは、『すみません』じゃなくて?」



ありす「……ありがとうございました」



周子「よろしい」



ライラ「早く頂かないと、アイスは溶けてしまうのでございますですよー?」



周子「だね。ではでは皆さんご一緒に」



周子「いただきまーす」

ありす「頂きます」

ライラ「美味しいでございます」パクパク



ありす「早い……」



ライラ「こんなに美味しいアイスは、生まれて初めて食べましたですねー」



周子「あはは。それは何より」



ありす「冷た……あ、おいしい」



周子「しかし、ありすちゃんの苺好きはブレないねぇ」



ライラ「ふたつともイチゴでございますですね」

ありす「……別に、いいじゃありませんか。好物なんですから」



ライラ「『好き』という気持ちは大切なのでございます」



ライラ「ライラさんは事務所の皆さんのことも、ファンの皆さんのことも好きでございますから、お仕事でライラさんの好きな人たちを喜ばせたいのでございますです」



ライラ「そうして、皆さんがわたくしのことをもっと好きになってくれらば、ライラさんももっと頑張れますですねー」



周子「はー……、ライラちゃんは偉いね。うん、いいこと言った!」



ありす「はい……素敵な心構えだと思います」



周子「喋ってる間も、アイスを食べる手は止まらなかったけどね」



ライラ「キョーシュクでございますです」



ありす「わっ、ライラさんこっち、アイスが倒れそうですよ」



ライラ「おー……助かりましたです、タチバナさん」



周子「そういえばライラちゃんには、ありすって呼ばせてあげへんの?」



ありす「えっ? そ、それは」

ライラ「タチバナさんの、アリスさん、というお名前は……」



ありす「っ! ……な、なんですか?」



ライラ「アイス、と似ているでございますですねー」



ありす「」



周子「あははは! ほんまや、一文字違い!」



周子「……『橘アイス』か……ぷぷ。柑橘系かな?」



ライラ「クール・タチバナでございますですね」



ありす「もう! 馬鹿なこと言ってないで、さっさと食べてください!」



周子「はいはい。んもぅ、いけずなんやから」



ライラ「イケズ、とはどういう意味でございますか?」



ありす「意地悪、という意味ですよ。周子さんみたいな人のことです」



周子「えー? ひどいわぁ、ありすちゃん」



ライラ「シューコさんは、優しい方でございますですよ?」



ありす「えっ……ま、まぁ、そういう時もありますけどっ」



ありす「ここに来たのだって、恐らくライラさんのためだったのでしょうし……」ブツブツ



周子「〜〜♪」ニヤニヤ



ライラ「……?」キョトン



ありす「そ、そんな目で見ないでください!」

ありす「うぅ……周子さんはともかく、ライラさんには悪気が無いんでしょうね……」



周子「ふふふっ……! あー、楽しい。やっぱり美味しいものは、誰かと一緒に食べるに限るねー」



ライラ「そうでございますねー」



ライラ「わたくしと、シューコさんと、タチバナ……アリスさん。三人で食べれば、幸せも三倍でございますです」



ライラ「ちょうど、この三段重ねのアイスと同じですねー」



周子「うんうん」



ありす「……まぁ、それに関しては同意せざるを得ません」



ありす「……あと、その……フルネームで呼ぶくらいなら、『ありす』でいいですから」



周子「おっ? よかったねライラちゃん。親愛度が溜まったみたいよー?」



ライラ「それは素晴らしいですねー」



ライラ「これからも、仲良くしてくださると嬉しいでございますです、タチバナさん」



ありす「ありすですっ!」



〜数日後〜



----事務所----



ライラ「……むー……」ペロペロ



モバP(以下、P表記)「……どうした? ライラ。アイス食べながら難しい顔して」



ライラ「ライラさんは、少し切ない気持ちなのでございますですよー」



P「せ、切ない?」



ライラ「アイスは大変美味しいものでございます」



P「お、おう……そうだろう?」



P「いつも同じアイスばかり買うから、そろそろコンビニの店員に顔を覚えられそうだけどな」ハハハ



ライラ「しかし、何故だか最近のわたくしは、物足りなさを感じてしまうのでございますです……」



P「物足りないって……ちゃんと一日ひとつにしておけよ? お腹壊したら大変だからな」



ライラ「はい、節約は大事でございます。……けれども、うーん……」







周子「……」



ありす「……」



ありす「これは、まさか……飼い猫に一度高級な食事を与えると、次から普通のエサに手を付けなくなる、みたいな……?」



周子「プロデューサーさんには、悪いことしちゃったかなー?」



周子「……今度は、四人で行こっか? プロデューサーさんのオゴリでさ」



ありす「ふふっ。いいですね」







ライラ「あー……三段重ねが恋しいでございますねー……」







おわり



23:30│塩見周子 
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