2016年12月13日

朋「幸運の壷をこすったら茄子さんが現れた」

朋「ね、芳乃ちゃん、聖ちゃん」



朋「あたし、この前コレ買ったのよ」



芳乃「……これはなんでしてー?」





聖「壷……?」



朋「そ、壷」



朋「フリマで『幸運の壷です、買ってください』って書いてあったの」



聖「えっ……」



芳乃「……そなたー」



朋「ちょっと、そんな目で見ないでよ」



芳乃「仕方ないかとー」



聖「いくら払ったんですか……?」



朋「50円」



聖「あ、想像してたより……というか、だいぶ安い……」



朋「や、あたしだって50万円でとか言われたら買わないわよ」



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朋「でもさ、50円なのよ? 幸運の壷が50円」



朋「……逆になんか信憑性高くない?」



芳乃「どうしたらそのような考えになるのでしてー」



聖「むしろ……早く手放したいから安くしたんじゃ……」



聖「本当に幸運の壷だったら、手放さないと思いますし……」



朋「うーん……でもほら、その人が幸運じゃなくなりたいって思ったからかもしれないじゃない」



聖「ど、どういう状況なんでしょうか……?」



朋「それはわからないけど……でも、まあそういうこともあるかもでしょ?」



聖「……」



芳乃「……まあ手に入れた経緯はよいでしょー」



芳乃「して、そなたはこちらをなぜここに持ち込んだのでしてー?」



朋「芳乃ちゃんに鑑定してもらおうと思って」



芳乃「……わたくしにー?」



朋「うん」



朋「本当に幸運の壷だったら、何かオーラまとってそうじゃない?」



朋「芳乃ちゃんならそれがわかるかなーって」



芳乃「そなたはわたくしを何だと思ってるのでしてー」



朋「スピリチュアルな可愛い子」



芳乃「可愛い……えへー」



芳乃「……こほん。ならばよいでしょー」



聖(いいんだ……)



朋「で、どう?」



芳乃「ふむー……」



芳乃「……わたくしが見たところ、特にオーラをまとってるような感じはありませぬー」



朋「え、マジ?」



芳乃「本当でしてー」



聖「……やっぱり、騙されたんじゃ……?」



朋「騙されたのかなぁ……」



朋「……でも、騙すならもっと大きい金額で騙せばいいのに」



聖「フリーマーケットだから安くした……とか?」



朋「……だったら最初からフリーマーケットで騙そうとするんじゃないわよ」



聖「確かに……」



芳乃「ふむー……しかし朋殿ー」



芳乃「世のスピリチュアルなモノには、条件がついているものもありましてー」



朋「条件?」



芳乃「うむー。特定のコトをしたら効力が得られるものでしてー」



芳乃「たとえるならばー、魔法のランプのようなー」



朋「あー、こすれば魔人が出てくるやつね」



聖「本の中で見たことあります……」



芳乃「わたくしは実物を見たことがありますがー、あれもはじめは何の変哲もないものだったゆえー」



朋「へー、魔法のランプって実在してたのね」



聖「びっくり……物語の中だけかな……って思ってました……」



芳乃「着目していただきたいのはそちらではないのですがー」

芳乃「ともかく、こちらの壷も何かをすれば効力が出る可能性がありましてー」



芳乃「そなたにコレを売った者は何か言わなかったのでしてー?」



朋「何か……うーん……特に何も言ってなかったと思ううわ」



芳乃「……ふむー」



聖「……とりあえず、こすってみますか……?」



朋「……そうね、これも魔法の壷かもしれないし」



朋「じゃ――」ゴシゴシ



茄子「――おはようございまーす♪」ガチャ



朋「えっ」



芳乃「おや」



聖「あっ」

茄子「あら、みなさんこちらを見てどうしたんですかー?」



朋「……ね、今茄子さんコレこすったら現れたわよね!?」



聖「うん……ちょうど……」



茄子「あのー?」



朋「ね、コレってもしかしてもしかするのかな……!?」



聖「どうなんでしょう……?」



聖「でも……!」



朋「もしかするかもよね……!」



茄子「もしもーし?」



朋「芳乃ちゃん!」



芳乃「……」



芳乃「……」



芳乃「……あー、スピリチュアルなオーラが見えましてー。とても見えましてー」



朋「!」



聖「!」



朋「じゃ、じゃあコレ本物なんだ……!」



茄子「……えーっと、どういう状況なんでしょう、これ……?」

朋「茄子さん!」



茄子「あ、はいっ!」



朋「いや、幸運の魔人様っ!」



茄子「……はい?」



聖「幸運の魔人……」



朋「……ちょっとおかしいかな?」



聖「なんとなく……やっぱり幸運の女神様じゃ……?」



朋「でも、こすったら出てくるって言うと魔人のイメージが……?」



茄子「……」



茄子「……芳乃ちゃん。あの、説明してもらってもいいですか?」



芳乃「うむー」



芳乃「要約しますとー、朋殿が幸運の壷を買いましてー」



茄子「ふむふむ」



芳乃「それが本物かどうかを試すためー、とりあえずこすりましてー」



茄子「ふむふむー」



芳乃「すると、茄子殿が事務所に入ってきましてー」



茄子「なるほどー」



茄子「……」



茄子「……ふふ」



茄子「ふはははーっ!」



朋「!?」



聖「!?」



芳乃「!?」



茄子「私が、幸運の……えーと、魔人であーるー!」



聖「わぁ……!」



芳乃(面白いことになると思い適当に誘導しましたがー)



芳乃(ここまでノリノリになるとは予想外でしてー)

朋「本物の魔人様なの……!?」



茄子「本物の魔人ですよー?」



聖「すごい……!」



茄子「ふふっ。実は鷹富士茄子っていうのも偽名なんですよー♪」



朋「そうなの!?」



茄子「はいっ。誰かがそれをこするまでは普通の人のままでいるために……」



聖「じゃあ……本当の名前は……?」



茄子「本当の名前は……」



茄子「……えっとぉ」



茄子「……そう!」



茄子「扇煙草座頭です!」



聖「……おうぎ、たばこ、ざとう……?」



芳乃「ふむー……四扇五煙草六座頭からー」



茄子「そうですよー♪」



朋「……どう呼べばいいのかしら?」



茄子「茄子さんで大丈夫ですよー?」



芳乃「なんのために告げたのでしてー」

朋「それで、茄子さんは何をしてくれるの?」



茄子「ふふっ……皆さんは魔法のランプの魔人の話は知ってますか?」



朋「あ、うん」



聖「えっと……願いを何でもかなえてくれるっていう……?」



茄子「はい♪」



茄子「……ふふ。実は私の親戚なんですよ♪」



聖「親戚……!」



朋「すごい……!」



茄子「なので、私にも同じようなことができるんです!」



朋「同じようなこと……」



聖「願いをかなえてくれるんですか……?」



茄子「三つだけ……なので、一人ひとつですねー」



聖「わぁ……!」



茄子「ふふっ、なんでもどうぞ♪」



茄子「叶えられる範囲なら叶えてあげます♪」



朋「ど、どうしよう……なににしよっか、聖ちゃん!?」



聖「結構迷います……お願い……」



聖「……芳乃さんはどうしますか……?」



芳乃「……思案中でしてー」



朋「こうなって欲しいああなって欲しいなんかはたくさんあるんだけど、いざ叶えるって言われると決めづらいわよね」



聖「どうしよう……」

茄子「ちっ……ちっ……ちっ……」



朋「え、何、時間制限あるの!?」



茄子「あ、いえ、特にないですよー?」



朋「……」



茄子「ふふっ、気楽に……ゆーっくり考えてくださいねー♪」



茄子「ちっ……ちっ……ちっ……」



朋「ゆっくり考えさせたいならそれ止めてよ!」



聖「……」



聖「よし……決めました……!」



聖「えっと……茄子さん」



茄子「はい?」



聖「私……茄子さんの衣装着てみたい……」



茄子「私のですかー?」



聖「う、うん……」



朋「ヘソ出ししたいの?」



芳乃「そういうわけではないかとー」

聖「私……今まで和装の衣装って来たことなかったから……」



聖「ちょっと……着てみたいなって……」



茄子「なるほどー」



芳乃「……しかし、茄子殿の衣装ではぶかぶかなのではー?」



朋「そうね……身長もだいぶ違うし」



聖「あ……そっか……」



聖「……ちょっと憧れてたんですけど……」



芳乃「ふむー……」



芳乃「なればー、わたくしの衣装ではいかがでしょー」



茄子「芳乃ちゃんの?」



芳乃「うむー。茄子殿の衣装ではありませぬがー、和装ではありますゆえー」



芳乃「和装の衣装を着てみたいという願いは叶いますー」



聖「芳乃さんの……」



聖「……」



聖「……ちょっときつそう」



聖「胸……とか」



芳乃「……」



芳乃「……事実ではありますがー、これほどまでに悔しさでいっぱいになるとはー」



朋(……あたしにも流れ弾飛んできたわ)

茄子「んー……じゃあ、私の衣装を聖ちゃんサイズにしましょうか♪」



茄子「買い取ったけどもう着てない衣装もありますし」



聖「……いいんですか?」



茄子「ふふっ、今の私は何でも願いを叶える魔人ですからー♪」



聖「やった……ふふっ」



芳乃「……そなたは裁縫できたのでしてー?」



茄子「いえ……私はできませんけど……」



茄子「ちらっ」



朋「え、あたし……!?」



茄子「ふふっ、よろしくお願いしますねー♪」



朋「いや、無理無理無理!」



朋「あたしそこまで裁縫得意ってわけじゃないし! 



茄子「でも、この前ぬいぐるみ作ってましたよね?」



朋「十人中十人が何コレって言ってたでしょ!」



朋「ともかく! あたしは無理だから!」



芳乃「ともだけにー」



朋「……いや、洒落のつもりじゃないんだけど!」



聖「……ふ、ふふ」



朋「そんな無理して笑わなくていいわよ、聖ちゃん!」

茄子「うーん、朋ちゃんでも無理なら……衣装さんにできないか確認してみましょうか♪」



朋「最初からそうしなさいよ……」



茄子「ふふっ、ちょっと時間がかかっちゃうかもしれませんけど、待っててくださいねー」



聖「うん……!」



茄子(……あと、プロデューサーさんにも聖ちゃんが和装を着たがっていたって伝えておきましょう)



聖「……ふふっ、楽しみです……」



朋「よかったわね、聖ちゃん!」



茄子「うふふっ、実際に叶うまでは時間がかかりそうですけど……これで一つ目の願いはおしまいです♪」



茄子「さて、次はどちらのお願いにしますか?」



朋「あたし!」



茄子「朋ちゃんですね。なんでしょう?」



朋「幸運になりたい!」



芳乃「単純でしてー」



朋「いいじゃない。色々考えたけどやっぱコレが一番なのよ」



茄子「わかりましたー♪」



茄子「それじゃあ、どのくらい幸運になりたいですか?」



朋「すっごく!」



茄子「なるほどー」



茄子「では、朋ちゃん。ハグしましょう♪」



朋「……ハグ?」



朋「ハグって……こう……ぎゅって?」



茄子「ぎゅって♪」



朋「……」



茄子「ほんの少し幸運になりたいなら手をつなぐくらいでいいんですけど……」



茄子「でも、朋ちゃんはいっぱい幸せになりたいみたいだから」



茄子「だから、ハグ♪」



朋「……」

朋「……やっぱ、ナシで」



茄子「ダメでーす♪」



茄子「みなさんの願いを叶えるのが私ですからー」



朋「いや……ちょ……」



茄子「ふふっ、ほら、朋ちゃんぎゅーっ!」ギュッ



朋「きゃっ!」



朋「ちょっ、離して……恥ずかしい……!」



茄子「ダメでーす♪」



朋「ほら……み、みんな見てるし!」



芳乃「ひゅーひゅー」



聖「ひゅ、ひゅーひゅー……ふふっ」



朋「茶化さないでよ!」



茄子「むー……なんでそんなに嫌がるんですかー?」



茄子「この前のライブ終わった後にもハグしたじゃないですかー?」



朋「あん時はそういう雰囲気だったからでしょ!」



朋「さすがに高揚感も何もない状況でこれは恥ずかしいわ……」



茄子「ふふっ、ぎゅーっ!」ギュッ



朋「なんで強めるのよ!」



茄子「もっと幸せになるためですよー♪」



朋「うぅ……もーっ!」



茄子「ふふっ♪」

茄子「おしまいでーす♪」



朋「はぁ……なんかどっと疲れたわ」



茄子「ふふっ、でもコレで朋ちゃんの運勢はいーっぱいあがりましたよー?}



茄子「おみくじだとしばらく大吉しか引かないくらいには♪」



朋「……」



朋「……今度試してみよ」



茄子「ふふっ」



茄子「……さて、芳乃ちゃんは何を叶えたいですかー?」



芳乃「ふむー……」



茄子「……あら、まだ決まってない?」



芳乃「いえー、心に浮かんだことこそありますがー」



芳乃「少々面映くー」



茄子「と、いいますとー?」



芳乃「……」



朋「わくわく」



聖「どきどき……」



芳乃「……」



芳乃「……わたくしの願いはー」



芳乃「みなとステージに立つことでしてー」



朋「!」



聖「!」



茄子「!」



芳乃「……ひゃー」



芳乃「言葉にすると、さらに顔が紅潮しましてー」

芳乃「しかしこちらの願いはそなたに叶えてもらわずとも――」



朋「芳乃ちゃん!」ダキッ



芳乃「――おやー?」



朋「あたしも! あたしもそうよ!」ギュッ



芳乃「……朋殿ー」



茄子「あら、今は抱きついてもいいんですかー?」



朋「いいじゃない! そんな気分なんだもん!」



茄子「……ふふっ♪」



茄子「私も同じ気持ちですよー♪」ダキッ



聖「私も……!」ダキッ



芳乃「わぷっ」



芳乃「……茄子殿、聖殿ー」



芳乃「みなも同じ気持ちだったのですねー」



聖「うん……!」



茄子「ふふっ、もちろんですっ♪」



朋「当たり前じゃない!」



芳乃「そうでしてー……ふふー」



聖「……プロデューサーさんに相談したら、そんなお仕事作ってくれるかな……?」



芳乃「かの者ならばー、心配せずともー、わたくしたちの願いを叶えてくれるでしょー」



茄子「ふふ、私よりももっとたくさん願いを叶えてくれますからねー♪」



芳乃「うむー」



朋「そうね!」



聖「うん……!」

朋「……ふふ、楽しみね」



朋「いつ一緒のステージに立てるかしら?」



聖「そのときは……和装の衣装がいいかも……なんて」



茄子「いいですねー♪」



茄子「……っと。じゃあ3つ目のお願いもこれで叶った……ってことでいいんでしょうか?」



朋「いつか叶うんならいいんじゃない? 聖ちゃんのもそうだったし」



茄子「では、幸運の魔人としての役目も終わりですねー」



朋「あ、おしまいなんだ」



茄子「これからは普通の鷹富士茄子に戻りまーす♪」



聖「……もういっかい壷をこすったらまた来るかな……?」



茄子「どうでしょうか? 幸運の魔人は気まぐれなのでー」



聖「あ、そうなんだ……」



朋「……でもよかった!」



朋「あれは本当に幸運の壷だったのね!」



茄子「ふふっ、私の力があればどんなものでも幸運のものになりますよー♪」



聖「すごい……!」



芳乃「……そなたらー」



朋「ん?」ギュッ



茄子「はい?」ギュッ



聖「なんでしょうか……?」ギュッ



芳乃「話に花を咲かせるのはかまわないのですがー、そろそろ離れていただきたくー」



茄子「……」



茄子「……ぎゅっ♪」ギュッ



芳乃「なぜ力を強めるのでしてー」















おしまい



20:30│藤居朋 
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