2016年12月26日

堀裕子「曲がれ!スプーン」


※映画は関係ありません。あと少しだけ独自設定あります。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1481203862







司会「本当に瞬間移動なんてできるの?」



裕子「もちろん!見ていてくださいよ!むむむーん!」



裕子「うーん、今日はサイキックパワーが足りないようですね!」



司会「いつもそういってるじゃん」



<わははー

<裕子ちゃんかわいいー



裕子「むむっ!今日は失敗に終わりましたけれど次は絶対成功させますからね!」



裕子「このサイキックアイドル!エスパーユッコにお任せあれ!」



<ハイカットー

<お疲れさまでしたー





P「ユッコ、お疲れ様」



裕子「あっ!Pさんお疲れ様です!今日のサイキック見てくれましたか!?」



P「見てくれましたかって今日も失敗だったじゃないか」



裕子「むぷ〜!今日はたまたまですぅ!」



P「ははは!まあまあそれじゃあ事務所に帰ろうか」



裕子「はい!」





裕子(こんにちわ!私は史上初のサイキックアイドル、ユッコこと堀裕子!)



裕子(最初はトンデモ色物アイドルとして見られていたようですが最近はテレビにもバンバン出演!これも私のサイキックのたまものです!)



裕子(この調子でアイドル業界を駆け上がり!世界中に私のサイキックパワーをお届けしますよ!)



裕子(そしてスプーン曲げからテレパシー、テレポートにその他諸々)



裕子(あらゆるサイキックを操る最強のサイキッカーとなるのだー、アッハッハ!)



裕子(……)



裕子(……なんて、うそです)



裕子(確かに最近テレビにライブに引っ張りだこです)



裕子(でも皆さんが期待しているのはサイキックに失敗してえへへとごまかす堀裕子です)



裕子(そこに必要なのはサイキッカーのユッコじゃないのです)



裕子(まあ最近スプーン曲げも全然うまくいかないので仕方がないです)



裕子「……むむ〜ん」



スプーン(……)シーン





裕子「はあ……」



P「どうしたユッコ」



裕子「いえ!なんでもありません!」



P「そうか?最近元気ないぞ」



裕子「そんなことありません!私はいつでもサイキックパワーいっぱいです!」



P「そっか。あまり無理はするなよ」



裕子「はい!」



裕子「……」







ーー事務所



瑞樹「うーん。アクセサリ落としちゃったわ」



裕子「むむむ!お困りですか!?それならこの私のサイキックでーー」



芳乃「探し物はこちらでしてー?」



瑞樹「あら、ありがとう芳乃ちゃん!」



裕子「……」



・ ・ ・ 



文香「……事務所が少し寒いですね」



裕子「むむむ!それならばこの私のパ、パ、パイロ何とやらでーー」



茜「ボンバー!!!」



文香「ふふっ。茜さんが近くにいると暖かいですね」



裕子「……」



・ ・ ・ ・



裕子「……ふう、もう暗くなってきましたね」



P「あれ?ユッコまだ残っているのか」



裕子「あっ!Pさん!」



P「何か用事でもあったのか?」



裕子「いえ、なんとなく残っていただけです」



P「そっか」







裕子「……」



P「……何かあったのか」



裕子「……いえ、何も」



P「ユッコ、最近本当に様子がおかしいぞ」



裕子「いえ、大丈夫です」



P「仕事が多くて疲れているのか?だったら仕事を減らすぞ」



裕子「大丈夫です」



P「ユッコ……」



裕子「本当に大丈夫ですッ!」バン!



P「!?」



裕子「あっ……」



裕子「すっすいません大きな声出しちゃって」



P「いや、本当に悩んでいるなら相談に乗るぞ」



裕子「いえ、これは私が何とかしなきゃいけないんです」



P「……?」







裕子(そうです。これは私の問題なのです)



裕子(サイキックはうまくいきません。でもアイドル堀裕子にはたくさん仕事があります)



裕子(私は、サイキックを、エスパーユッコをあきらめなければいけないのでしょうか……?)







裕子「いえ、お構いなく」



P「とはいってもなあ、ちひろからこの時間に残っている子がいたら送ってくださいといわれてるんだよなあ」



P「もしユッコをひとりで帰したら明日ちひろに絞められちゃうな」



裕子「そっそれは怖いですね!仕方ありませんから送られます!」



P「ははっなんだそれ。やっぱりユッコはかわいいな」



裕子「むう!やっぱりPさんはサイキッカーよりかわいい子の方がいいんですかねっ」



P「いや、そんなことないぞ」



裕子「むむ?」



P「俺がオーディションで見つけたのはエスパーユッコだからな」



P「あの時のオーディションは驚いたぞ!突然スプーン曲げれますって宣言して」



裕子「……でもその時もスプーン曲がらなかったじゃないですか」



P「あぁ。でもあのオーディション会場にいた誰よりも自分を信じる目をしていた」



裕子「?」



P「ユッコよりもかわいい、キレイな女の子もいたかもしれない。でもみんなその目に自信がなかった」



P「でもユッコは、本当にまっすぐな目をしていた」



P「だから俺はエスパーユッコを信じることにしたんだ」



裕子「……」



P「だから別にスプーンが曲がらなかったり自分のキャラの方向性に悩まなくてもいいんだぞ」



裕子「気づいていたんですね。Pさん」



P「俺はユッコのプロデューサーだからな」



ーー



裕子(オーディションの時に言ったスプーンを曲げる)



裕子(あれは本当です)



裕子(こどものころは曲げられたんです)



裕子(テレビでハンドパワーとか、むむむーんってやっている人たちと同じことが出来たんです)



裕子(テレビに出ている人と同じことができる私はきっと、テレビに出て他のサイキッカーのようにスプーンを曲げるんだ)



裕子(そうずっと思っていました)



裕子(でもいつの間にか出来なくなっていました)



裕子(お父さんに聞いても、お母さんに聞いても、『そうだっけ?』としか返ってきません)



裕子(本当に私はサイキッカーなのでしょうか?)



裕子(それでも、サイキッカーなら、テレビに出てサイキックを披露するのです)



裕子(だからオーディションに出ました)



裕子(だからPさんはその時の瞳を『まっすぐ』といったのでしょう)



裕子(……)



裕子「Pさん」



P「ん?」



裕子「私、サイキッカーを辞めます」





ーー



テレビスタジオ

司会「今日もよろしくお願いしますよ、裕子さん」



裕子「まかせてください!」



<じゃあ本番いきまーす



司会「さあ始まりました、恒例のユッコのサイキックチャレンジのコーナー!」



裕子「どうも!ご無沙汰です!」



司会「って先週も出たでしょ!」



裕子「そうでしたっけ?」



<あははは!



司会「じゃあ今日はおなじみ!スプーン曲げ行ってみよう!」



裕子「お任せください!」







裕子(……)



裕子(プロデューサーさんと、番組のスタッフの人に無理を言って今回の収録でサイキックがらみの仕事はお断りすることになりました)



裕子(今日は最後ということでスプーン曲げ)



司会「ところでいつもいつもサイキック失敗してるけど今日こそうまくいくの?」



裕子「もちろんです!もしこのスプーンが曲がらなかったらっ!」



裕子「エスパーユッコは引退します!!」



<えー!?







裕子(そうです。スプーンは曲がらない。これからはサイキッカーじゃなくて普通のアイドル堀裕子に戻ります!っという筋書きです)



裕子(これからは普通の、藍子ちゃんみたいな正統派アイドルとして売り出しです)



裕子(きっと今までよりかわいい服を着て、カフェとかで取材とか、歌も歌ってお芝居の仕事とかもするのかな)



裕子(そう、そんな普通のアイドルとして……)



<ユッコちゃん頑張ってー

<やめないでー



裕子「応援ありがとう!じゃあみんなのサイキックパワーを分けてくださいー!」



裕子(あぁ、みんないい人たちだなあ。でもごめんね、筋書き通りユッコは堀裕子になるんだ)



<もっとユッコちゃんのサイキックみたい!



裕子「!」



<そうだー!みんな楽しみにしているんだぞー



裕子「……どうして」



裕子(一度もサイキックなんて成功していないんですよ?)



<がんばれユッコー!

<ユッコ!ユッコ!ユッコ!







裕子「−−ッ!!」ポロッ





裕子(ダメです。エスパーユッコはここで終わりなんです。泣いちゃダメなんです)





裕子(でも、もしーー)





裕子(ほんのすこしわがままが許されるならーー)





裕子(今、応援してくれているみんなのために)





裕子(一度だけ、たった一度だけでいいんです)





裕子「曲がれ!スプーン!!」









司会「ーーっ!」



観客「ーーっ!」



裕子「……」ギュ・・・



司会「ユ、ユッコちゃん」



裕子「……やっぱりだm『曲がってるよ!』」



裕子「へ?」



司会「スプーン曲がってるよ!」



裕子「はえ?え?あ!本当だ!」



<やったー!

<よくやったユッコ!

<ユッコ!ユッコ!ユッコ!



裕子「どうして…」



司会「どうしてって!やっぱりユッコにはサイキックの才能があったんだよ!」



裕子「そんな…」



司会「ほらほら!サイキッカーがそんな顔しちゃだめだよ!いつもみたいに笑って!」



裕子「あっ!ーーふっふっふ!今日のサイキックチャレンジは大成功です!これからもエスパーユッコにお任せあれ!」



<はーいOKでーす







P「ユッコ!」



裕子「Pさん!私…わたし!」ポロポロ



P「そんな顔で泣くなよ!エスパーユッコだろ!」



裕子「でも、こんなことーー」



P「こまかいことはあとあと!まずは番組のスタッフに頭下げに行って、サイキック大成功打ち上げだ!事務所のみんなも来るって!」



裕子「はい!!」



裕子(……あれ?これ収録なのになんでもう事務所のみんなが知っているのでしょうか?)



裕子(まあいいっか!)





晶葉「……」



晶葉「本当にこれでよかったのか?」



P「あんな自信を無くしたユッコのままじゃサイキックアイドルから方向転換してもうまくいかないさ」



P「大体サイキックアイドル名義でレギュラー山ほど抱えているんだから看板おろしてもらっちゃ困るだろ?」



晶葉「……」ジトー



P「……やっぱりユッコはまっすぐな瞳で笑ってほしいなっていうわがままだよ」



P「まあどっちにしろサイキック以外の仕事も増えてくるだろうしそこから先はユッコしだいだ」



P「じゃあ打ち上げいくぞ、昌葉」



晶葉「ああ。あのスプーンを回収したらすぐ行く」



晶葉「全く、裕子の脳派に反応して曲がるスプーンなど、とんだ無駄な発明だ」



晶葉「……おや?」



晶葉「確かスプーンの背の方に曲がるように設計したはずなのに」



晶葉「……まあいいか」





おわり!!

ああああああああああああもうだめだぁぁぁぁ



藍子ちゃんとふて寝してきます



17:30│堀裕子 
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