2017年01月12日

ありす「フレデリカさんがポッキーをくわえて寝ています」

ありす「そのそばには『ご自由にお食べください』と書かれた紙がおいてありました」



ありす「……」



ありす「……」





ありす「……ば」



ありす「バカなんですか、この人は!」



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ありす「なっ……もう、本当に、なんっ、なんなんですかこの人は!」



ありす「なに考えてるんですかこの人は!!」



ありす「もう……もうっ!」



ありす「本当に、もうっ!」



フレデリカ「……すー」



ありす「……はぁ」



ありす「もう……なんか本当に一気に疲れました」



ありす「まだ何もしてないのに……」



ありす「……はぁ」



フレデリカ「……すー」



ありす「……っていうか、フレデリカさんに呼ばれたから来たっていうに何でこの人は寝てるんでしょう」



ありす「まったく……まったくもう……」



ありす「本当にフレデリカさんは……」



ありす「……」

ありす(……いや、待て橘ありす)



ありす(いつものフレデリカさんだったら、間違いなく起きているパターンです、これは)



ありす(……で、私の反応を見て楽しんでいるんでしょう)



ありす(きっと今日だってそうに違いありません)



ありす「……」



ありす「おーい、フレデリカさーん」



フレデリカ「すー……」



ありす「朝ですよー、フレデリカさーん」



フレデリカ「す−……」



ありす「……」



ありす「……フレちゃーん」



フレデリカ「すー……」



ありす「……」



ありす「……本当に寝てるみたいですね」



ありす(もし起きてたらこれで反応しますし)



ありす(……じゃあ、本当に私を呼んだのに、寝たんでしょうか)



ありす(……)



ありす(……少しだけムッと来ます)

ありす「はぁ……」



ありす「……」



ありす「……」チラッ



フレデリカ「すー……」



ありす「……」



ありす「……」チラッ



『ご自由にお食べください』



ありす「……」



ありす「……」



ありす「……ほ、本当に寝てますよね?」



フレデリカ「すー……」



ありす「……」

ありす「……」



ありす「……私何考えてるんでしょう」



ありす「……フレデリカさんのこと言えませんね。私も」



ありす「こんな……こんなこと思いつくなんて……」



ありす「私もバカみたいです」



ありす「……」



フレデリカ「すー……」



ありす「……ふ、フレデリカさーん?」



ありす「本当に……食べていいんですよね……?」



フレデリカ「……」



ありす「……無言は肯定って本で読みました」



ありす「ですから今からダメって言っても遅いですからね」



フレデリカ「すー……」



ありす「……」



ありす「……」



ありす「……」



ありす「……え」



ありす「えいっ……」パクッ

ありす(……くわえてしまいました)



ありす(フレデリカさんのくわえていたポッキーを、逆側から)



ありす(……)



ありす(……ここまで、じっと近くで顔を見たのってあまりありませんけど)



ありす(フレデリカさんってやっぱりきれいですよね)



ありす(髪もサラサラで……顔立ちも整ってて……)



ありす(羨ましいくらいです)



ありす(本当に……)



フレデリカ「すー……」



ありす「……」



ありす(……何やってるんでしょう、私は)



ありす(こんな……)



ありす(……)



ありす(……いえ、でもフレデリカさんがご自由にどうぞって言ってたんだし)



ありす(い、言ってたんですから)



ありす(……)



ありす(ですから……その)



ありす(こういうことをしても……仕方ない……ですよね)



ありす(今日ってほら、そんな日ですし……)



ありす(……)



ありす(……誰に言い訳してるんでしょう)

ありす「……」



フレデリカ「すー……」



ありす(……このまま)



ありす(このまま食べ進めていったら)



ありす(いずれ……)



ありす(……)



ありす「……」ポリッ



ありす(……フレデリカさんの顔がどんどんと近づきます)



ありす「……」ポリッ



ありす(視界にフレデリカさんしかうつらなくなります)



ありす「……」ポリッ



ありす(そして……もう、ちょっとで……)



ありす「……」



ありす「……」



ありす(も、もう……っ!)



ありす「む、無理ですっ……!」バッ



ありす「はぁ……はぁ……」

ありす「……ああ、もう、何やってるんでしょう、私は」



ありす「こんなこと……」



ありす(はぁ……)



ありす(……あっ)



ありす(食べかけのポッキーがフレデリカさんの口に残ってる……)



ありす(このままだと……バレて……)



フレデリカ「……んぅ」



ありす「!」



ありす(お、起きかけてる……!?)



ありす(まずいですっ!)



ありす(えっと……えっと……!)



ありす(とっ、とりあえずフレデリカさんの口からだせばなんとでも……!)



ありす「……えいっ!」グイッ



フレデリカ「わっ!?」



フレデリカ「な、何、何!?」



ありす「お、おはようございます。フレデリカさん」



フレデリカ「あ、うん……ありすちゃん?」



ありす「はい、橘です」



フレデリカ「……うん、本物のありすちゃんだ!」



ありす「偽者のありすってなんですか……」



フレデリカ「んー……フレちゃん?」



ありす「いつからフレデリカさんはありすになったんですか」



フレデリカ「この前のお芝居のときになったよー?」



ありす「……なってましたね」

フレデリカ「あっ!」



ありす「!?」



ありす「な、なんですか……?」



フレデリカ「ありすちゃんの持ってるポッキーってもしかして……」



ありす「あ……はい」



ありす「フレデリカさんのくわえてたポッキーです」



フレデリカ「わお! 本当に食べちゃったんだ!」



ありす「……ご、ご自由にどうぞって書いてましたし」



フレデリカ「そういえばそうだったねー」



フレデリカ「でもまさかほんとに食べるとは!」



ありす「……いいじゃないですか」



ありす「今日は……なんか、そんな気分だったんです」



フレデリカ「へー……ポッキーの日だからかなー?」



ありす「……確かに、そうかもしれません」

フレデリカ「……?」



ありす「……ど、どうしました?」



フレデリカ「ううん……なんか今日のありすちゃん……」



フレデリカ「んー……なんかうまくいえないけどー――」



ありす「――とっ、ところで!」



フレデリカ「わっ、何ー?」



ありす「結局私を呼んだ理由はなんだったんですか?」



フレデリカ「ありすちゃんと一緒にポッキー食べようかなって!」



ありす「……それはいいんですけど」



ありす「……ポッキーをくわえていたのはなんでですか?」



ありす「こんな紙まで置いて」



フレデリカ「もちろん、ありすちゃんの反応を楽しむためだよー?」



フレデリカ「待ってる間に寝ちゃったから見れなかったんだけどねー」



ありす「……そうですか」



フレデリカ「あれ、反応薄い?」



ありす「なんとなく予想はできてましたし」



フレデリカ「んー……ついにフレちゃんマンネリ化しちゃった?」



フレデリカ「じゃあ、もっと新しい何かを……」



ありす「しなくていいです」

フレデリカ「さて、ありすちゃん。ポッキー食べるー?」



ありす「今食べてますよ。フレデリカさんからもらったポッキー」



フレデリカ「一本じゃ物足りないでしょ?」



フレデリカ「こんなこともあろうと箱買いしてきたのだ!」



ありす「そんなに買ったんですか!?」



フレデリカ「ううん。一箱」



ありす「それを箱買いとはいいません」



フレデリカ「そっかー」



フレデリカ「ありすちゃんのおかげでまたひとつ賢くなった!」



ありす「……」



フレデリカ「で、食べるー?」



ありす「……」



ありす「……いただきます」



フレデリカ「ふふっ♪」



フレデリカ「それじゃ、袋を開けてー」



フレデリカ「一本取り出してー」



フレデリカ「くわえてー」



フレデリカ「んー♪」



ありす「……なんですか」



フレデリカ「んー!」



ありす「……」



ありす「……それを食べて、ってことですか」



フレデリカ「ん!」コクッ



ありす「……」



フレデリカ「んー♪」



ありす「……」



ありす「……じゃ、いただきます」ヒョイッ



フレデリカ「あっ!」



ありす「あむ……ふふっ、おいしい」



フレデリカ「むー……ありすちゃんとポッキーゲームしたかったなー」



ありす「……もうさっきのだけで十分です」



フレデリカ「えっ?」



ありす「あっ!」



フレデリカ「さっきの……?」



ありす「あっ、いや、あの、え、えっと……いや、そ、その……そのですね……えっと……」



ありす「……わっ、私、私これからレッスンなのでちょっとコンビニ行ってきます!」



ありす「それでは!」ダッ



フレデリカ「あっ、ありすちゃん!」



フレデリカ「……」



フレデリカ「……寝ちゃってたの、もしかしてすっごくもったいなかった?」











おしまい



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