2017年01月19日

律子「眼鏡」


律子「ん〜、何かちょっと……。う〜ん、そろそろかしらね……」



あずさ「只今戻りました〜」





律子「あぁ、あずささん。おかえりなさい」



あずさ「あら律子さん、お疲れ様です〜」



律子「今日も現場お疲れ様です」



あずさ「律子さんは今日は事務所でお仕事ですか?」



律子「えぇ、事務仕事は放っておくとすぐ溜まっちゃうんで」





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あずさ「アイドルをやりながら事務員もこなして、大変じゃありません?」



律子「ん〜、私が望んでやってることですから、そんなに苦じゃないですよ。ただ……」



あずさ「ただ……?」



律子「ずっとパソコンとにらめっこしてると、流石に目が疲れますね。肩や腰にもきますし」



あずさ「あら〜……」



律子「それに、最近はちょっと眼鏡の度も合わなくなってきたのか、ちょっとぼやけるというか」



あずさ「まぁ大変!」



律子「結構前から見づらさは感じてたんです、でも忙しさもあって後回しにしてたんですよね。」



あずさ「まぁ、そうなんですか〜」





律子「なのでそろそろ替え時かな、と」



あずさ「その方がいいですよ、確か眼鏡って5千円くらいで買えますし」



律子「は?」



あずさ「え?」



律子「眼鏡が? 5千円で?」



あずさ「えぇっと、確かそのくらいから1万円ちょっとくらい……でしたよね?」



律子「ははは」



あずさ「あの……律子さん……?」





律子「あずささん、次のオフはいつですか?」



あずさ「え? えぇっと、一応明日はお休みを頂いていますけれど……?」



律子「良かった、丁度私も明日オフなので良かったら一緒に眼鏡作りに行きませんか?」



あずさ「え、えぇ……私は構いませんけれど……」



律子「じゃあ、明日は12時に駅で待ち合わせましょう」



あずさ「わかりました」



律子「楽しみにしてますね、それじゃ、お先に失礼します」



あずさ「あ、お、お疲れ様でした〜」



がちゃ、ばたん





あずさ「なんだったのかしら……?」



小鳥「何だかちょっと様子がおかしかったですよね」



あずさ「お、音無さん!? いたんですか!?」



小鳥「ピヨオ……」









〜〜〜〜〜翌日







律子「おはようございますあずささん」



あずさ「おはようございます律子さん」



律子「無事辿りつけたようで安心しました」



あずさ「家を出たタイミングで、ちょうどタクシーが来てくれたので、なんとか迷わないで着けました〜」



律子「ふむ、手配した甲斐がありましたね」



あずさ「え? じゃあ、あのタクシーは……」



律子「はい、あずささんが家を出そうな時間を見計らってタクシー会社に連絡しておいたんです」



あずさ「そ、そうだったんですか!?」





律子「今後も有効そうな手段の一つですね」



あずさ「確かにこれなら迷ってみんなに迷惑もかかりませんし」



律子「毎回は流石に無理ですけど、重要な現場の時はこれでいきますね」



あずさ「はい!」



律子「さて、立ち話もなんですから、行きましょうか」



あずさ「は〜い。確か、眼鏡を買いに行くんですよね?」



律子「えぇ。正確には作りに行きます」



あずさ「作りに……?」



律子「そうですよ。眼鏡は自分の眼に合った物を選んでいくものなので、買うというよりは作るという表現が正しいです」



あずさ「まぁ〜、そうなんですね〜」



律子「こっちに行きつけの眼鏡屋さんがありますから、行きましょう」



あずさ「は〜い」









………………





……









律子「ここです」



あずさ「事務所の近くにこんな眼鏡屋さんがあったんですね〜」



律子「ここは品揃えも多いですし、サービスもいいのでおすすめですよ」



あずさ「そうなんですか?」



律子「えぇ。他所の眼鏡でも調整してくれるんです」



あずさ「はぁ……」



律子「一本5000円前後で作る眼鏡屋なんかは、大体自社の製品すら調整できないんです。ありえないですよ」



あずさ「へ、へぇ……」



律子「まぁ、それはいいとして。さっ、中に入りましょう」





店員1「いらっしゃいませ」



律子「こんにちは」



店員1「あぁ、秋月様お久しぶりです。今日はご調整で?」



律子「いえ、そろそろ一本作ろうかと」



店員1「かしこまりました。それではどうぞこちらへ」



律子「さ、あずささん行きましょう」



あずさ「あ、はい」



律子「私はこれから視力検査をしてもらうんで、あずささんは少し待っててもらっていいですか?」



あずさ「わかりました〜」





律子「くれぐれもお店から出ないようにしてくださいね」



あずさ「うふふ、大丈夫ですよ〜。こんなに沢山の眼鏡があるんですから、色々かけさせて貰いますね」



律子「えぇ、そうしてください。すみません、申し訳ないんですけど、彼女の事見ててもらってもいいですか?」



店員1「はい、かしこまりました。別の者に着かせますので」



律子「ありがとうございます」



あずさ「もう、律子さんったら……」



律子「それじゃあ」













〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜









あずさ「色んな眼鏡があるのね〜。最近は丸いメガネが流行っているし、私もかけてみようかしら〜」



店員2「それでしたらこちらなんていかがでしょうか?」



あずさ「え?」



店員2「シンプルなラウンド型のメガネです。少し大きめですが、お客様のようなおしゃれな方には大変良くお似合いになると思います」



あずさ「あら〜。お上手ですね」



店員2「元々お持ちのお優しい印象が、よりおおらかな感じになりますよ」



あずさ「丸いメガネって、柔らかいイメージがありますよね〜」



店員2「そうなんです、メリットもありますが、人によってはお顔が丸く見えてしまうデメリットもございます」



あずさ「まぁ〜、そうなんですか……」





店員2「ですが、お客様の場合はしっかりと着こなせると思いますので気にしなくても大丈夫ですよ」



あずさ「まぁ、うふふ」



店員2「ラウンドもいいですけれど、少し印象を変えてしっかりとふちのあるセルフレームのメガネなんかもよくお似合いになると思いますよ」



あずさ「黒ぶちメガネもずっと人気ですよね」



店員2「えぇ、黒ぶちのウェリントン型なんかも良くお似合いになると思いますよ」



あずさ「なるほど」



店員2「フレームの印象が強いので、変装にもいいかもしれませんね」



あずさ「あ、あら〜、バレちゃいました……?」



店員2「秋月様のお連れ様なので、気づいてしまいました」



あずさ「あらあら……」





店員2「ところで三浦様はこれまでに眼鏡をお作りになられたことは?」



あずさ「いえ、無いんです。眼は良い方だと思います」



店員2「そうでしたか。となると、度なし、もしくはフレームだけでも良いかもしれませんね」



あずさ「まぁ、そんな買い方も出来るんですか?」



店員2「えぇ、問題ありませんよ。ただ、もしかしたら気づいていないだけで視力が低下している場合もあります。一度お計りしてみるのもよろしいかと思います」



あずさ「なるほど〜。う〜ん、それじゃあ、お願いしてみようかしら」



店員2「かしこまりました。それではご案内いたします」



あずさ「よろしくお願いします」





店員2「まずは予備検査から行いますので、こちらの椅子にお掛けください」



あずさ「は〜い」



店員2「消毒いたしますが、アルコールでお肌がかぶれたり等ございますか?」



あずさ「いえ、大丈夫です」



店員2「かしこまりました。……はい、消毒が済みましたので正面にあるバーにおでこを軽く当て、アゴを台に乗せてください」



あずさ「はい」



店員2「こちらの機械は、眩しくない程度の光を当てておおよその視力を測る機械です」



あずさ「眼に空気がぷしゅってなるやつですか……?」





店員2「空気は出ませんのでご安心ください。それでは右眼から測定いたします、眼を大きく開けて、少しの間まばたきを我慢していてください。中に気球の絵が見えますので、遠くを見るような感じでぼんやりと眺めていてください」



ぴっぴっぴっぴっ



店員2「では続いて左眼を測定いたします。2、3度瞬きをしていただいて、もう一度同じ様に眼を大きく開けていてくださいね」



ぴっぴっぴっぴっ



店員2「お疲れ様でした。それでは続いて検査台の方へお掛けください」



あずさ「はい」



店員2「では引き続き私が検査を担当させていただきますよろしくお願いいたします」



あずさ「こちらこそよろしくお願いいたします〜」





店員2「では最初にお客様の眼と眼の距離。黒眼と黒眼の間の距離を測定いたします。こちらの機器の窓から緑の光が見えますのでそちらを見ていてください。



   ……ありがとうございます。それでは続いて裸眼での視力をお計りします。おしゃもじで左眼を隠してください」



あずさ「こうでしょうか?」



店員2「結構でございます。隠している方の眼は開けたまま、強く押し当てず、少しだけ浮かせてご覧になってください」



あずさ「はい」



店員2「縦にひらがなが三文字並んでいるのが見えますでしょうか?」



あずさ「はい、見えます」



店員2「では、上から下へ読んでいただいてよろしいでしょうか」



あずさ「えっと、と、て、く」





店員2「では画面変わってこちらはいかがでしょうか?」



あずさ「と、け、い」



店員2「こちらはいかがでしょうか」



あずさ「う〜ん、ちょっと読めないです〜」



店員2「かしこまりました。では、続いて横一列を左に向かって読んでいただいてよろしいでしょうか」



あずさ「はい。く、い、つ、と、け」



店員2「結構でございます。では続いて右目を隠してください」



あずさ「はい」





店員2「左眼だとこちらは縦にお読みになれますか」



あずさ「え〜っと、へ、と、け」



店員2「ではこちらは」



あずさ「見えません」



店員2「かしこまりました。それでは最後に読めた“け”の列を右に向かって読んでいただいてよろしいでしょうか」



あずさ「はい。け、と、つ、い、く、です」



店員2「結構でございます。それではおしゃもじを外して両眼でご覧ください。この列は問題なく五文字とも見えると思います」



あずさ「そうですね、五文字とも読めます」



店員2「では画面が変わってこちらの文字列はお読みになれますか」



あずさ「う〜ん、一文字目は、に? 二文字目は分からなくって、三文字目が、て? 次が、い、で、最後が、つ、でしょうか?」





店員2「はい、ありがとうございます。お客様の裸眼での視力は片眼ずつ0.8、両眼で見た時は1.0という視力になっております」



あずさ「あら〜、やっぱり眼はいい方なんですね」



店員2「えぇ、そうですね。これだけ見えていれば日常生活では全く不自由しないですよ」



あずさ「じゃあやっぱり度なしの眼鏡に?」



店員2「それでも問題は無いのですが、例えば本来なら1.5が見えるのに1.0に留めておくと、究極それは見えていないのと同じです」



あずさ「そ、そうなんですか……?」



店員2「えぇ、若い方であればしっかり遠くに合わせても弊害はありませんから」



あずさ「なるほど〜。じゃあ、私はまだ視力が上がるかもしれないって事なんですね?」



店員2「はい、恐らくもうちょっと視力は上がると思います。ですのでこのまま先の検査に進んでもよろしいでしょうか?」



あずさ「うふふ、なんだか楽しくなってきちゃいました。よろしくお願いします〜」





店員2「かしこまりました。それではこちらの機械、フォロプターといいますが、白いバーの部分に額を軽く当ててください」



あずさ「こうでしょうか」



店員2「結構でございます。小窓から画面が見えるようになっております。今は右眼だけ見えている状態ですが、体勢は苦しくありませんか」



あずさ「はい、大丈夫です」



店員2「ありがとうございます。それでは台に肘をつくような感じでリラックスしてご覧ください。正面に赤と緑の画面が見えますでしょうか?」



あずさ「はい、見えます」



店員2「こちらは色の波長の違いを用いたテストです。一番上に二重丸が二つ並んでいるのがわかりますか?」



あずさ「はい」



店員2「この二重丸を見比べて頂くと、どちらの二重丸がより黒く鮮明に見えていますか?」



あずさ「う〜ん、赤でしょうか」





店員2「赤ですね。赤い方の二重丸がはっきりしている状態では、近視の度数が足りていない状態ですのでレンズを一枚入れ替えます。こちらだといかがでしょうか?」



あずさ「まだ、少しだけ赤のほうがはっきりとしている気がします」



店員2「ではもう一枚入れ替えますと、いかがでしょうか?」



あずさ「今度は少しだけ緑の方がはっきりしました」



店員2「かしこまりました。それでは続いて乱視のチェックを行います。乱視にはそれぞれ“にじむ”方向、乱視軸と呼ばれるものがございます



    まずその軸から測定いたします。画面に点の集まりが見えますか?」



あずさ「はい、見えます」





店員2「ありがとうございます。では今から1番と2番と言いながらレンズを入れ替えてお見せしますので、この点の集まりが歪んだりするのは無視していただいて



   黒く鮮明に見える方を教えてください。同じように歪んだり変化がない場合は、変わらないとお答えください」



あずさ「はい」



店員2「それでは。1番の見え方と、2番の見え方。どちらが鮮明に見えましたか?」



あずさ「2番です」



店員2「かしこまりました。続いて1番の見え方と、2番の見え方」



あずさ「あんまり変わりません」



店員2「ありがとうございます。ではこちらで軸が測定できましたので、続いて乱視の強さを測定いたします。



    同じように1番と2番でレンズを入れ替えますので、点がより黒く鮮明に見える方を教えて下さい」



あずさ「はい」





店員2「では、1番の見え方と、2番の見え方」



あずさ「2番でした」



店員2「続いて、1番の見え方と、2番の見え方」



あずさ「2番です」



店員2「1番と、2番」



あずさ「同じくらいです」



店員2「ありがとうございます。ではこちらで乱視の矯正が出来ましたので、近視の確認をいたします。また赤と緑の画面に戻りました



    大きな違いは無いと思いますが二重丸の見え方はいかがでしょうか?」





あずさ「少しだけ緑の方がくっきりしています」



店員2「先程は乱視のチェックのため、緑が濃い状態で進めましたが、本来緑が濃く見えるのは、近視の度数が強すぎるという状態ですので、少し弱めます。こちらでいかがでしょうか?」



あずさ「同じ濃さだと思います」



店員2「ありがとうございます。それではこれで乱視を矯正した上で近視の矯正も出来ましたので、この状態で視力を測定いたします」



あずさ「はい」



店員2「縦に並んだひらがなを読んでいただいてよろしいでしょうか」



あずさ「と、け、い」



店員2「画面変わってこちらはいかがでしょうか」



あずさ「に、け、その下は分かりません」





店員2「では最後に読めた“け”から左に向かって読んでいただいてよろしいでしょうか」



あずさ「はい。け、へ、り、て……こ?」



店員2「結構でございます。それでは“け”という一文字だけを表示いたします。今からレンズを一枚入れ替えますので、この文字が少しでも滲んで見づらくなったら教えて下さい」



あずさ「わかりました」



店員2「今の見え方が……こうなります」



あずさ「あ、見づらくなりました」



店員2「では戻します。戻した方がスッキリとご覧いただけますね」



あずさ「そうですね、こっちの方が綺麗に見えます」



店員2「ありがとうございます。それでは続いて左眼の検査に移ります。赤と緑の画面の二重丸はどちらが鮮明に見えますか?」



あずさ「大体同じくらいです」





店員2「ありがとうございます。では続いて1番2番とレンズを入れ替えますので、点が鮮明に見える方を教えて下さい」



あずさ「は〜い」



店員2「1番と、2番」



あずさ「2番です」



店員2「1番と、2番」



あずさ「変わりません」



店員2「ありがとうございます。続いて強さをお測りします。1番と、2番」



あずさ「2番です」



店員2「1番と、2番」



あずさ「同じ感じがします」





店員2「かしこまりました。それでは赤と緑の画面に戻しました、二重丸はどちらが鮮明に見えますか」



あずさ「少し緑の方がはっきりとします」



店員2「緑ですね、では少し度を弱めて、こちらはいかがでしょうか」



あずさ「これで同じくらいになりました」



店員2「ありがとうございます。それでは視力をお測りします。上から下へ読んでいただいてよろしいでしょうか」



あずさ「へ、と、け」



店員2「それではこちらはいかがでしょうか」



あずさ「つ、こ……その下は分かりません」



店員2「ありがとうございます。それでは最後に読めた“こ”から右に向かってお読みください」





あずさ「こ、て、り、へ、け」



店員2「結構でございます。それではまた“こ”一文字だけを表示して一枚レンズを入れ替えますので、少しでも滲んで見づらくなったら教えて下さい」



あずさ「わかりました」



店員2「では今の見え方がレンズを入れ替えると、こうなります」



あずさ「少し滲んだ感じがあります」



店員2「では戻します。こちらの方がスッキリとご覧いただけますね」



あずさ「はい、この方が見やすいです」



店員2「ありがとうございます。それでは片方づつの矯正が終わりましたので、続いて両眼での視力をお測りします。こちらの列は問題なくお読みいただけると思います」



あずさ「はい、五文字とも読めます」



店員2「ではこちらの列はいかがでしょうか」



あずさ「う〜ん、ちょっと難しいですね……」





店員2「かしこまりました。それでは続きまして、両眼で物を見る機能をテストいたします」



あずさ「?」



店員2「今度は文字ではなくて図形を見せているのですが、図形は全部で何個見えていますか? 色は気にせず個数を教えて下さい」



あずさ「えっと、1,2,3,4個見えます」



店員2「4個ですね。それでは左眼を隠しますと、赤い画面になって、上下に丸が1つずつ見えますね」



あずさ「あ、はい。見えます」



店員2「右眼を隠しますと、緑の画面になって、左右に菱型、下に丸が一つ見えますね」



あずさ「はい、見えます」



店員2「両眼で見た時に四個見えている状態が正解で、正常な状態です。左右の眼の力が均等に使えている状態になります」



あずさ「へ〜、そうなんですか〜」





店員2「さらに、右眼で見た映像と、左眼で見た映像を、脳が一つに重ね合わせられています。素晴らしい眼をお持ちですね」



あずさ「あら〜。うふふ」



店員2「続いて、上下に棒が一つづつ、白い点が一つだけある画像を見せています」



あずさ「はい」



店員2「棒と点を見比べていただくと、どちらかが浮き上がるような、手前に寄ってくるような感じで見えていませんか」



あずさ「えっと、棒が近づいていて、点が奥にいます」



店員2「結構でございます。そうしますと、物を立体的に捉える機能が正常に働いています」



あずさ「まぁ、そうなんですね」



店員2「えぇ、やはり非常に素晴らしい眼をお持ちですよ」



あずさ「あらあら〜、うふふふ」





店員2「それでは次が最後のテストです」



あずさ「まぁ、終わってしまうんですね〜」



店員2「正面に、真ん中が開いた縦線と横線を出しています。穴同士が交わって十字になっていますか?」



あずさ「う〜ん、十字にはなっていません」



店員2「少しずれていますよね、人間は二つの目で見たものを脳内で一つに結んでいるのですが、このテストでは、その視線のズレを測定します」



あずさ「視線の、ズレ……?」



店員2「先程図形の時は、脳が補正をかけて一つに重なっていた状態なのです。一度左眼を隠します。そうすると縦線だけが見えますよね」



あずさ「はい、真ん中が開いた縦線が見えます」



店員2「次に右眼を隠しますと、横線だけが見えますよね」



あずさ「はい、これも真ん中が開いてます」



店員2「ありがとうございます。それでは今から右眼を開放しますので、開けた瞬間に縦線が右にいるのか左にいるのかを教えてください。はい、どうでしょうか」



あずさ「えっと、縦線は、左にいます」





店員2「左側ですね、ではレンズを入れ替えると、いかがでしょうか」



あずさ「あ、真ん中に来ました」



店員2「結構でございます。ではこれで検査は以上となります。お疲れ様でした」



あずさ「お疲れ様でした〜」



店員2「三浦様の場合、裸眼でも視力は出ております。レンズを通して一番視力が上がる所で1.5となっていました」



あずさ「まぁ、知らない間に眼が悪くなっていたのかしら……?」



店員2「視力の変化はその日の体調などで変化したりしますし、三浦様の場合見えていない訳ではありません。ですので、無理に眼鏡を作る必要はないかもしれません」



あずさ「そうなんですね〜」



店員2「とはいえ折角来ていただいたので、仮に作るとしたらこのくらいの見え方になります」



あずさ「まぁ! この眼鏡をかけると何だかいつもよりスッキリとした見え方になりますね〜」





店員2「あくまで仮の枠で見ていただいていますが、実際の眼鏡ではもうちょっと視界はすっきりすると思います」



あずさ「そうなんですか?」



店員2「えぇ、初めての眼鏡なので、少し弱めになっていますがそれでも何もないよりは見やすくなりますよ」



あずさ「まぁ〜……」



店員2「なので提案なのですが、もしも作るとしたら度付きのサングラスにしておけば変装にもなりますし、眼鏡の見え方にも慣れると思います」



あずさ「サングラスにも度が入るんですか!?」



店員2「もちろん入ります。レンズを濃く染色すればサングラスとしてご使用いただけます」



あずさ「それだったら作っても良いかもしれません!」



店員2「ありがとうございます。それでは仮の枠をかけたまま歩いてみたり、足元のフワつく感じ等なければこの度数でいきましょう」



あずさ「分かりました……はい、大丈夫です」



店員2「かしこまりました。それではフレームを選んでからレンズのお話をさせていただきますね」











〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜













店員2「それではフレームも選び終わりましたので、続いてレンズの話をさせていただきます」



律子「あずささんはどんなフレームにしたんですか?」



あずさ「律子さん!」



律子「ふむ、シンプルなウェリントン型ですね」



あずさ「えぇ、初めての眼鏡なので、まずはシンプルな物からにしようかと」



律子「うん、良いと思いますよ」



店員2「それでは秋月様もご一緒にレンズの説明をさせていただきますね」



律子「よろしくお願いします」



あずさ「よろしくお願いします〜」





店員2「一口にレンズと言っても種類は様々にございます。球面、非球面、両面非球面と3種類の設計があり、球面より非球面、非球面より両面非球面の方が歪みが少なく、視野が広く取れます」



あずさ「レンズにも色々あるんですね〜」



店員2「更に、1.60、1.67、1.74と屈折率が大きくなる程レンズは薄く軽くなります。ですが三浦様は度数がかなりゆるめなので、1.60で問題ないでしょう」



律子「私はあずささんよりも目が悪いですから、薄くしたいですね」



店員2「そうですね、秋月様の場合1.74クラスで厚みを抑えるのがいいと思います」



律子「ふむ、じゃあそうしましょう」



店員2「ウチで今おすすめしているレンズは全て両面非球面なので、どのレンズを選んでも見え方はかなり良くなります」



あずさ「……あの〜、律子さん。これ、レンズだけで2万円も3万円もするんですけど……」



律子「そうですよ?」



あずさ「枠の値段も入れたら、5万円以上しちゃいます……」



店員2「三浦様の仰る通り、フレームとレンズを別価格でやらせていただいていますが、格安店では絶対に買うことが出来ない高機能レンズばかりですので、値段以上に見え方に納得していただけると思います」



律子「眼鏡は本来、そのくらいするものなんです」



あずさ「でも……」





店員2「例えば上のハイクラスのレンズでなくて、両面非球面のスタンダードな物であっても見え方は従来の物に比べたらかなり良くなりますし、普段の裸眼の見え方との差もそんなに感じません」



あずさ「そう、なんですか……?」



店員2「はい」



あずさ「じゃあ、そうします」



店員2「ありがとうございます。両面非球面レンズはそもそも扱っている店が少ないですし、同じものを他所で買おうと思ったら3万円くらいしちゃいますから、そう考えるとかなりお得なんですよ」



あずさ「まぁ〜、そう言われると、そんな気になってきますね」



律子「そうですよあずささん。安い所とは全然質が違いますから」



あずさ「律子さんがそこまで言うなんて……。うん、それじゃあ私、これで作ります!」



店員2「ありがとうございます。それでは総額を出させていただきます」



あずさ「はい」



店員2「フレームが2万円、レンズが1万6千円、そこに技術料が1000円だけ入って消費税込みで39960円になります」



あずさ「じゃあ、カード一括で」



店員2「かしこまりました」





あずさ「なんだかドキドキしてきました」



律子「ちゃんと作るとかなりの値段になりますからね。私の眼鏡はあずささんの倍はかかってますし」



あずさ「え……!?」



律子「値段が高ければいいってもんでも無いですけれど、少なくとも5000円やそこらで買えるような眼鏡に比べたら確実に価値のある買い物だと思いますよ」



あずさ「確かに、あんなに細かく眼の検査をするなんて思ってもいませんでした」



律子「ここはしっかりと今の眼にあった物を作るために、かなり検査に力を入れていますから」



あずさ「なるほど〜」



店員2「お待たせいたしました。こちらにサインをお願いいたします」



あずさ「は〜い」



店員2「ありがとうございます」



律子「出来上がりは1週間後ですか?」



店員1「えぇ、少しお時間頂戴いたしますが、しっかりときれいに仕上げてお待ちしております」



律子「わかりました」





あずさ「出来上がるのが楽しみになってきました」



律子「待つ時間があるからこそ、出来上がった時の感動はひとしおですよ」



あずさ「そうですよね、うふふ」



律子「それじゃあ行きますか」



あずさ「はい。あ、そうだ。この前実家に電話したらお父さんが老眼が出てきたって言っていたんですけれど、それって病気なんですか?」



店員1「いえいえ、老眼というものは病気ではなく、加齢によって目の周りの筋肉の低下や水晶体が固くなってしまう事から起こる老化現象の一つです」



あずさ「それじゃあ病気では無いんですか?」



店員1「えぇ、病気でありません。ですので誰にでも平等に訪れるものなんです」



あずさ「まぁ〜、それじゃあいつか私もなるんですね……」



店員1「一般的には40歳を越えた辺りからがスタートと言われていますから、お二人はまだまだ遠い未来の話です」



あずさ「まぁ、うふふ」





店員1「ですが最近ではスマホなどで眼を酷使する方が多く、長時間スマホを見た後、手元にピントを合わせにくくなる、スマホ老眼もありますので、若い方であっても油断はできないんです」



律子「……気をつけなくちゃ」



店員1「薬局等で販売しているホットアイマスクを使うと、結構目の疲れは取れますのでおすすめです」



律子「へぇ。じゃあ今度買ってみようかしら」



あずさ「律子さんは働きすぎですから、もうちょっとのんびりしてもいいって思いますよ」



律子「ま、まぁまぁ良いじゃないですか! それよりもう行きましょう! ほら、置いてっちゃいますよ!」



あずさ「あ、律子さん! 待って〜!」



律子「ふふっ、冗談です。迷子になられたら困りますからね」



あずさ「もう、律子さんったら……」



律子「さて、眼鏡も作ったことだし、ご飯でも食べに行きましょうか!」



あずさ「うふふ、は〜い」













終わり



20:30│秋月律子 
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