2017年01月28日

武内P「白坂さんが甘えてくる。」

・短い

・オチなどない

・武梅



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事務所で独りデスクワークをしているとノックが聞こえてくる。





コンコン



小梅「ぷ、プロデューサーさんいる?」



武内P「白坂さん、どうかしましたか?」







白坂さんはこちらの姿と周囲を確認すると、こちら近づいてきた。

そしておもむろにこちらの手を取るとガジガジと指を齧り始めた。





小梅「ゾンビの真似…」





そう言いながら少し上目遣いに見上げてくる。

もちろん指は齧ったまま、小さな口は指を一本加えればそれなりにいっぱいだが、それでも結構痛い。





武内P「どうかしたんですか?」





白坂さんを抱え上げ、膝の上に座らせる。驚くほどに軽い。

小梅「うん…」





白坂さんは時折こうやって甘えてくることがある。

最近は少なくなったが、アイドルになった当初は私以外に話し相手も少なかったようで、頻繁に事務所に来ていた。





武内P「食事はきちんと取られていますか?」



小梅P「うん、最近は涼さんにいわれて…、野菜もちゃんと食べ、てるよ?」





白坂さんの前髪を少しかき分け、ヘアピンでとめようとする。





武内P「普段はもう少し、髪を上げるようにしませんか?、髪が目にかかっていると視力にも影響が…」



小梅「うん…、く、くすぐったい…」





白坂さんはそういうと体をくねらせ手から逃れようとする。

そのままもぞもぞと正面を向くと今度は首筋を齧り始めた。

…ここまで甘えてくるのは流石に珍しいが、経験上アクティブな時は機嫌がいいことが多い。

嫌なことがあった時は遠巻きにじっと見つめてくるのだ。正直に言って怖い時もある。

武内P「白坂さん、痛いですよ?」



そう言いながら白坂さんを抱え上げ、立ち上がり、さらに両手で掲げるように持ち上げる。流石にこの姿勢だと重い。

下からじっと顔を覗き込むと、恥ずかしくなったのか手をパタパタと振り抗議の意を示してくる。

肩に抱き留め、そのままもう一度椅子に座り、問いかける。





武内P「何があったのか、話してもらえますか?」



小梅「う、うん…、輝子ちゃんと、幸子ちゃんがね…」





ようやく話してくれる気になったようだ。

少々時間がかかりそうだが、珍しく時間がある。

そういえば白坂さんが来るときはいつもそうだ。そして大抵最後まで邪魔が入らない…







…………

………

……





プロデューサーさんは私を何時も受け入れてくれる。



プロデューサーさんにこうやって甘えているのは私だけだと知っている。



私がプロデューサーさんにあった時はまだ本当に子供だったから、いつまでも子供と思っているのかもしれない。



でも例えば私よりも年下のみりあちゃんが同じように甘えたら、プロデューサーさんは困ってしまうだろう。



何が違うかと考えると少し複雑だけど、今は考えずにおこう。



そうこの人に触れ囁けるのは私だけ、この密室の中、私だけなのだから…

おわり







12:30│白坂小梅 
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