2017年02月28日

北沢志保「チョコレートの猫さん。」

11作目です。



前後2週間はセーフと聞きました。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1488079275





今日は二月十四日。今日の仕事は、と。



出かける前に忘れ物がないかの確認。

コスメのポーチに、ハンカチ、スマホに、あとそれに。



紙袋の中にはチョコレート。事務所のみんなにはいつもお世話になってるから。



そして最後にバッグの中に2匹の猫さんを忍ばせる。

買ってきたホワイトチョコの白猫さんとちょっと不出来な手作りなビターチョコの黒猫さん。

二人ともご主人様が見当たらないからまだ寂しいかも。

けど今は、二人だからきっと寂しくないといいな。

〜〜〜〜



がちゃりこ



志保「おはようございます。」



可奈「あっ!志保ちゃん!!おはよー!」



志保「あら可奈、おはよう。そんなに嬉しそうにして…何かあったの?」



可奈「志保ちゃん!だって今日はバレンタインだよ!えへへ〜、いっぱいバレン食べたいん〜♪」



志保「浮かれるのはわかるけど、だからって食べすぎないでよ可奈。前みたいになっちゃうわよ。」



可奈「志保ちゃぁん…そのことは分かってるよぉ…。あっそういえば志保ちゃん!はいどーぞ!」



志保「ありがとう可奈。私も可奈にあげるわ。はい。」



可奈「えへへ〜!ありがとね志保ちゃん!」

奈緒「おっ、志保やん。おはようさん!なーなー志保〜、ウチも志保のチョコ欲しいなぁ。」



志保「どうぞ。日頃のお礼ですよ。ありがたく受け取ってください。」



奈緒「ほんまにくれるの!嬉しいわぁ。私からもえーと、ゴソゴソ…はいどーぞ!」



志保「えぇ、ありがたく頂戴しますね。」



奈緒「お返しは3倍で頼むで!」



志保「3倍のカロリーでお返ししましょうか?」



奈緒「堪忍したってや志保〜。」

〜〜



麗花「ちょこちょこちょこっとちょこれいと〜♪志保ちゃんチョコあげるー!」



志保「あ、ありがとうございます麗花さん。」



〜〜



恵美「志保じゃーん!ハッピーバレンタイン!」



エレナ「志保!チョコだヨ!」



琴葉「私からどうぞ。志保、ハッピーバレンタイン♪」



志保「はい、3人ともありがとうございます。私からどうぞ。」

〜〜〜〜



がちゃりこ



志保「お疲れ様です。」



ミリP「お疲れ志保。志保はこのあと…えーと…」



志保「ビジュアルレッスンです。それにしてもすごいですね机のそれ。」



ミリP「アイドルのみんながくれてな。本当にプロデューサー冥利につきるよ。そうだ、志保もくれるのかなー、なんて。」



志保「そんなにもらってるのにまだ欲しいんですか?」



ミリP「義理でも貰えるものは嬉しいんだよ。感謝されてるってだけでもやる気が出るもんさ。」



志保「ふーん。そういうものなんですか。」

バッグの中に視線を落とす。

白猫さんと黒猫さん、どっちの子を渡そうかな。



ミリP「ロコなんてロコアートです!って言ってすごいのをくれてな。その上、手作りきたもんだ。そりゃ嬉しかったよ。」



手を伸ばした黒猫さんから手を離す。

なんか、癪だな。



志保「義理ですよ。」



白猫さんの入った箱を掴む。

自分で作ったものの、不出来な黒猫さんを小突く。

可愛くしてあげられなくてごめんね。



ミリP「それでも嬉しいよ。ありがとうな志保。」



再びお家に帰ってきた黒猫さん。

いまはひとりっきりになっちゃったね。

この子はお母さんにプレゼントしようかな。

喜んでくれたら嬉しいな。

〜〜〜〜



志保「あの…春香さん…頼みがあるんですけどいいでしょうか?」



春香「えへへ〜!志保ちゃんに頼まれちゃった!なにかな?私にできる範囲なら協力するよっ。」



志保「あの…わたしにおかし作りを教えてもらえますか?」



春香「うん、いいよ。それにしても唐突だね。バレンタインも過ぎちゃったし…。あっ!誰かへのプレゼントだったりするのかな?」



志保「えぇ、まぁそんなところです。」



まさか、この後に及んでバレンタインなんて誰も思わないよね。

どうして私チョコなんかに固執してるのかな。

他の子より出来が悪くて悔しい…?

やっぱり負けず嫌いなのかな私。



より強く届いて欲しいのかな、この気持ち。本当は気づいて欲しいのかな。



〜〜〜〜



春香「じゃあ始めよっか。志保ちゃんはどんなものを作りたいの?」



志保「猫型のチョコレートです。」



春香「そっかぁ…」



志保「あの、難しいんでしょうか?」



春香「ううん。ただ志保ちゃんらしくて可愛いなって!」



志保「そうですか。ありがとうございます。」



春香「ふふっ♪じゃあ早速始めよっか。」



志保「よろしくお願いします。」

〜〜



春香「そういえばどんな感じの猫さんにしよっか?」



志保「そうですね…こんな感じでしょうか。」



かきかき



春香「猫の横姿だね!じゃあまず型を作ろうね♪」



〜〜



春香「あっ!志保ちゃんチョコを溶かす時はそのまま火にかけちゃダメ!」



志保「そうなんですか?だから前回は失敗したのかな。」



春香「50度くらいかな?それくらいのお湯にボウルを付けて溶かすと上手く行くんだよ〜。」



志保「そうなんですか、流石春香さんは物知りですね。」



春香「ふふっ♪志保ちゃんに褒められちゃった。それよりも温かくても冷たくしてもチョコが固まる時にザラザラしちゃうから気をつけてね。」



志保「はい。わかりました。」

〜〜



春香「よし。あとは冷ますだけだよ。その前に、ひとつ残してることがあるんだっ。」



志保「他になにがあるんですか?」



春香「思いをこめるんだよっ!おいしくなぁれ♪って!」



志保「本気で言ってるんですか?」



春香「うん。やっぱり私は思いをこめるって大事だと思うんだ。やっぱり人のために思いをこめるって特別なことじゃないかな?」要修正



志保「そういうものなんでしょうか…。」



春香「だから志保ちゃんも!」



志保「え、あの春香さん?!」



春香「はやく〜!」



志保「わかりましたから!!その、おいしくなぁれっ!」



春香「うんっ、いい出来だとおもうよ!志保ちゃんの気持ちが届くといいね♪」



志保「あの、ありがとうございます、春香さん。」

〜〜〜〜



バッグの中に視線を落とす。

いつもの持ち物に、今日は加えて黒猫さん。



先に出かけて行っちゃった白猫さん。

早く黒猫さんと一緒になれたらいいな。



今は事務所に一人っきり。

あの人が帰ってきたら渡せるかな。



ミリP「ただいま〜。」



志保「お帰りなさい。」



ミリP「ふぅ〜、外は寒いねぇ。コーヒー入れてくるけど、志保のぶんもなにか入れてこようか?」



志保「なら、ホットミルクをお願いできますか?」



ミリP「うん、わかったよ。ちょっと待っててね。」

〜〜



ミリP「はい。どうぞ志保。」



志保「ありがとうございます。その、これをどうぞ。」



白猫さんと黒猫さん、もう二人とも寂しくないよね。

わたしの思いも連れて行ってくれたら。



込めた思いが届くといいな。



おしまい。





08:30│北沢志保 
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