2014年05月26日

モバP「麗奈が病んだ……」

ちひろ「え?どういうことですか?」



P「言ったとおりです。麗奈が病みました」



ちひろ「ええっと……それって……」





P「俺、先週から昨日まで休みましたよね?」



ちひろ「ええ。当日いきなりPさんが電話してきて『一週間ほど休みます』って。



    たまたま仕事が入ってない時だったから良かったですけど、ああいうのは事前に言ってくれないと困りますよ」





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1400584034



P「俺、そんな電話してません」



ちひろ「え?何言って……」



P「麗奈の奴、いつの間にか録音した俺の声を使って、音声合成ソフトを作っていたみたいで……」



ちひろ「え!?だって、あれはどう聞いてもPさんの声で、合成なんかにはとても……」



P「俺も最初聞いたときは驚くのを通り越して怖くなりましたね……俺の声に延々と『愛している』って呟かせてましたから……」



ちひろ「うわぁ……ていうかなんでそれを知ってるんですか?」



P「俺、先週の仕事帰りに麗奈に監禁されましてね」



ちひろ「はぁ!?」

P「まぁ、正確に言うと女子寮の麗奈の部屋に呼ばれた俺がその場でスタンガン食らって気がついたら拘束されてたんですよ。



 で、そのまま5日間監禁されてました」



ちひろ「なんでそんな軽い感じに言えるんですか!?」



P「ははは……まぁ、見ての通り俺は無事ですし……」



ちひろ「そ、それで監禁されてどうなったんですか!?」

P「最初は俺を椅子に縛り付けてひたすら麗奈が一方的に話していましたね。



 『アンタはアタシのことどう思っているの?』とか、『光よりもアタシのほうがいいわよね?』とかそんな感じのを」



ちひろ「麗奈ちゃんがその台詞を言うと本来なら微笑ましいはずなのに、最悪な方で状況とマッチしちゃってますね……」



P「ほんとですね。最初の一日はその問答でほとんど過ぎて、夜に麗奈の手作り料理を食べさせられましたね」



ちひろ「そ、そうですか……ほ、微笑ましいですね!」



P「無理しなくていいですよ……」



ちひろ「……はい」





P「そして二日目ですが、前日の問答で俺が好きと言わなかったためかひたすら麗奈に全身にキス……っていうかあれはもはや舐められていましたね」



ちひろ「うわぁ……」



P「べったべったになりましたよ……その後は、麗奈と一緒に風呂に入らされて、夜はまた麗奈の手料理でした。おいしかったです」



ちひろ「……よかったですね」



P「三日目は口にキスをされました。俺は拒んだんですけどなにぶん拘束されている身でしたからね。抵抗もむなしく……」



ちひろ「それも一日中ですか?」



P「はい。一日中です。唇腫れました」



ちひろ「ご愁傷様です……」

P「四日目は、手足を拘束されたままでベッドに寝かされ、その横に麗奈が添い寝して、俺を抱きしめながらいかに俺を愛しているか延々と語られ続けました」



ちひろ「えぇ……?」



P「そんな感じで5日間がすぎ、六日目にそれまでさすがに恥ずかしかったのか一線を越えようとしてこなかった麗奈がついに決意しちゃいましてね」



ちひろ「恥ずかしいってその前に気にすることがあるでしょ!?」



P「薬を盛られて意識が朦朧とした状態でベッドに拘束されましてね。ああ、もう駄目だと思ったところで」



ちひろ「ど、どうなったんですか……?」











P「来てくれたんですよ。ヒーローが」











バンッ!







光「P!ここにいたのか!!」



ちひろ「光ちゃん!?どうしたの急に!?」



P「光、一昨日はありがとうな」



光「もう!P、いったいどこに行ってたんだ!?Pの家にはいなかったしアタシずっとずっとずっと探してたんだぞ!?」



P「ああ、すまない。お前に助けられた後、麗奈に見つからないように今日までビジネスホテルを転々としててな」



光「な、なんだ……よかった、また麗奈に捕まったのかと思ったんだ。おかげで何回も麗奈の家に行っちゃったよ」



ちひろ「あ、あの……光ちゃんに助けられたっていうのは……?」



P「ああ、俺が麗奈にいよいよやられる!って時に光が来てくれましてね」



光「Pが5日間一度も家に帰っていないのはおかしいって思って、とりあえず麗奈が怪しい!って思って行ってみたらやっぱり麗奈に捕まっていたんだ!」



ちひろ「そ、そうだったんですか……」



P「いやぁ、あの時はホントに助かったよ」



光「Pは相棒なんだ!その相棒がピンチとあらば、ヒーローを目指す者として助けない訳にはいかない!」



P「ああ、ありがとうな」



光「それにしても、Pはすこし油断しすぎだぞ!麗奈は悪の手先なのに一人で会いに行くだなんて捕まりに行くようなものだぞ!」



P「さすがに麗奈が監禁してくるのまでは読めないだろ……」



バンッ!









麗奈「P!ここにいたのね!!」



P「う、うわああ!?れ、麗奈!?」



麗奈「家にもいないと思ったらこんなところにいたのね!さぁ、アタシの部屋に戻るわよ!」



P「い、嫌だ!もう監禁はいやだ!」

光「麗奈!またPを監禁するつもりか!そうはいかないぞ!」



麗奈「光……アンタよくもアタシの部屋の鍵を何度もぶっ壊してくれたわね!?修理にいくらかかったと思ってるのよ!!」



光「ふん!悪のアジトなんて爆破されなかっただけマシだと思うんだな!」



麗奈「アンタね―!!……ふん!まぁ、今はいいわ。それよりも!P、さっさと戻るわよ!」



P「だ、だから嫌だって……」

麗奈「アンタはアタシの相棒なんだから、アタシと一緒にいなさいよ!」



P「いきなりスタンガンで気絶させて監禁するような相棒がいるか!?」



麗奈「アンタ、アタシの世界征服を手伝うって約束を忘れたの!?」



P「お、覚えているさ。でも、それと俺の監禁になんの関係があるんだよ!?」



麗奈「そんなの決まってるでしょ!アンタがアタシのものになれば、アタシの世界征服は完了するのよ!」



P「だ、だからなんで……」



麗奈「……そんなの決まってるでしょ」ガシッ



P「ひっ!?な、なんだよ……」



麗奈「いい?アタシの世界にはね、アンタがいれば充分なの。アンタが、アタシの世界の全てなのよ」



P「お前……何言って……」



麗奈「ねぇ?アタシのものになってよ……お願いだから……」



P「……駄目だ」

麗奈「なんで……?アタシがイタズラばっかするから?なら、もうやめるから。アンタが嫌がること全部やめるから……だから……」



P「そうじゃない……そうじゃないんだ麗奈……」



麗奈「なら、アタシをアンタのものにしてよ……なんでもするから……アンタが望むこと、何でもしてあげるから……



   Pがアタシの側にいない世界なんて、意味が無いの……」



P「麗奈、お前にとって俺がすべてなのか?」



麗奈「……そうよ」



P「俺は、いつだってお前のそばにいるよ」



麗奈「ほんと!?なら、」



P「でもさ、お前はそれで満足なのか?」



麗奈「……どういう意味?」



P「そのままの意味さ。お前が事務所に所属したとき言ったことを覚えているか?」



麗奈「……世界征服」



P「それと、愚民どもをひれ伏させてやる。だ」



麗奈「……」





P「お前の決意を聞いたときさ、こいつはなんて馬鹿なことを言ってるんだって思ったよ」



麗奈「わかってるわよ……」



P「でもさ、同時に、なんていい笑顔をするんだ。って思った」



麗奈「え……?」



P「だからさ、決めたんだ。こいつのそばで、こいつがどんどん高みへ登っていけるように手伝ってやりたいって。



 その時、こいつはどんな笑顔をするんだろうって思ってな」



麗奈「アンタ……」

P「もう一度聞く。麗奈、お前はそれで満足なのか?お前の世界征服は俺みたいなちっぽけなやつ一人を手に入れられれば終わりなのか?」



麗奈「アタシは……アタシの夢は……」



P「答えてくれ、麗奈」



麗奈「アタシの夢は……ッ!!世界征服!!みんなを!!すべての愚民共をひれ伏させることよ!!」



P「そうか……それがお前の夢か?」

麗奈「夢だなんて曖昧なものじゃない!!これは、アタシの未来よ!!世界も、アンタも全部アタシが手に入れてみせる!!」



P「……やっといつもの麗奈に戻ったな。麗奈、俺はこれからもお前のそばでお前の手助けをするよ」



麗奈「ふん!癪だけど、最近のアタシがおかしかったのは認めるわ……元に戻れたのもアンタのおかげよ」



P「別にお礼なんていいよ。殊勝な麗奈なんて俺の調子まで狂っちゃうからな」



麗奈「……ねぇ」



P「なんだ?」



麗奈「あ、アンタはこれからも……ずっとずっとアタシのそばに……」ボソボソ



P「ごめんもうちょっと大きい声で言ってくれないか?よく聞こえない」



麗奈「ッ!?アンタは一生アタシの下僕だ!!って言ったのよ!!もういい!!、お腹減ったからどっか連れて行きなさい!!二人っきりでね!!」



P「はいはい。わかりましたよっと……麗奈」



麗奈「……なによ」



P「安心しろ。俺はちゃんとお前のそばにいるよ」



麗奈「な!?あ、アンタ聞こえて……」



P「まぁ、一応ね?」

麗奈「ば、馬鹿!!この馬鹿!!下僕のくせに生意気よ!!」ゲシゲシ



P「ははは、怒るな怒るな。ちょ、脛はやめてマジ痛いから。じゃ、じゃあちひろさん、ちょっと行ってきますね?」



ちひろ「はい、ごゆっくり♪」



光「ま、待ってP!!麗奈は悪の……」



P「光、すまないな。今度お前も何か一緒に食べに行こうな?」



麗奈「さっさといくわよ!!」



P「もう、いい加減機嫌直せよ」



麗奈「うるさい!!バカバカ!!」







バタン

ちひろ「ふふっ、色々ありましたけどまぁ、これで一件落着ってことですかね?



    プロデューサーさんと麗奈ちゃんも仲直りできましたし良かったですね光ちゃん?」クルッ





























光「なんでPが麗奈と……麗奈は悪なんだぞ?なんでアタシの相棒のPが悪の味方を……はっ!?まさか洗脳……そうだ、そうにちがいない。



  アタシの相棒で、正義の味方のPが悪の味方をするだなんてそうとしか考えられない。そう、きっとそうなんだ。



  くっ……麗奈の奴、Pを監禁しただけで無く洗脳までするだなんて……Pはアタシの相棒でこれまでも、これからも



  ずっとずっとずっと一緒にいるんだ……そんなPを悪の道に引きずり込もうだなんて、許さない……いつか正義の鉄槌を……



  いや……それよりもまずはPの洗脳を解かないと……でも、どうすれば……そうだ、洗脳されたヒーローは大切な仲間や愛する人の言葉で



  正義の心を取り戻すんだ……だったら、アタシしかPの洗脳を解くことはできないな……そうだ、それしかない。だったら、まずPをアタシの部屋に呼んで



  そのあと……」ブツブツ















ちひろ「……」クルッ













ちひろ「さて、プロデューサーさんの有給休暇申請の準備しておきますか……」















―終―



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