2013年11月06日

千早「水瀬さん、私ね、水瀬さんと仲良くなりたい」

千早「のよ」

伊織「いや、単刀直入すぎない? それに仲なら元々良いじゃない」


千早「いいえ、やっぱり何か大きな溝があるわ」

伊織「そうかしら?」

千早「そうなの」

伊織「ふぅむ……」

千早「それでね、私に出来る事は何か無いか、色々考えたの」

伊織「私のために?」

千早「うん」

伊織「ちょっと、やめてよ、そんな気を使わせるのは不本意だわ」

千早「水瀬さん、これは、私がやりたいからやってるの」

伊織「まぁ、そう言う事ならば千早の好意を拒む理由は無いわね」


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千早「まず、呼び方が悪いと思うの」

伊織「確かにね、私の事『水瀬さん』って呼ぶの千早くらいだものね」

千早「だからね、思い切って呼び方を変えようと思うの」

伊織「まぁ、何となくくすぐったいけど、そういうのは早めに変えた方が後々楽だしね」

千早「いおぽん」

伊織「ん?」

千早「いおぽん」

伊織「いやいや、なんか大きめのみかんみたいな名前付けられてるけど何? え? それが私につけたニックネームか何かなのかしら?」

千早「そうよ、いおぽん」

伊織「嫌ね、その呼び方はちょっと遠慮したいわ、他に候補は無いのかしら?」

千早「……いおちん」

伊織「ん〜〜 どうして……こう、こうも的確にイマイチってラインを突くのかしら?」


千早「いおぽん・いおちん、だ」

伊織「いや、ヤメて? そのコンビ名みたいな感じで言うの、もしよろしければ他の候補を聞かせてくれるかしら?」

千早「AEON」

伊織「企業よね、ジャスコでしょそれ? 確かにイオリと語感は似てるけど色々語弊があるでしょ?」

千早「水瀬さんは私の意見を棄却して楽しんでいるの?」

伊織「困ったわね、千早が一欠けらも自分に責任を感じていないこの状況に流石の伊織ちゃんも困惑の色を隠せないわ」

千早「あまり、私自身は良くないなって思ったんだけど、もう一つ候補があるの」

伊織「千早自身が良くないって思ったって言うのは逆に希望の光ね、聞かせてくれるかしら」

千早「いおっぺ」

伊織「うん、普通ココは「あら、それが良いじゃない!」みたいのが来る流れを見事に裏切ってくれた千早に拍手を送るわ」

千早「じゃあ、暫定でいおっぺって呼ぶ事にするわ」

伊織「放屁を思い起こすようなニックネームだけど、まぁ、暫定ならばね」


千早「でね、いおっぺ」

伊織「今までが何だったの? ってくらいスマートに使っているけど何かしら千早」

千早「いおっぺのために歌を作ってきたの」

伊織「歌?」

千早「歌!」

伊織「へぇ、なるほどね、765プロの歌姫に歌を作って頂けるとは嬉しいわね」

千早「コホン、とりあえずサビの部分だけちょっと歌うわね」

伊織「楽しみだわ」

千早「み〜〜な〜〜せさ〜〜ん♪みなせさ〜〜ん♪ほ〜〜ら〜〜そ〜〜こに〜〜♪」【低音】

伊織「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと良いかしら?」

千早「食いつきが良いのは嬉しいけど出来ればお静かにして欲しい所だわ」

伊織「聴いたことあるのよ、それ、私、馬に乗って何かから逃げてる曲じゃない?」

千早「何で知っているの!?」

伊織「シューベルトの魔王っぽいなって、って言うかソレだなって」


千早「解らないかと思ったわ」

伊織「メジャーよね、ド・メジャーよね? って言うか私は誰に問いかけられているの?」

千早「やっぱりいおっぺが抱いていると言ったらそのうさぎさんよ」

伊織「シャルルって事ね、結果、シャルル、死んじゃうでしょ、それ」

千早「残念ながらね」

伊織「もう、私のための【ため】って何よ? って話からかしら? それとも冒頭から私は千早におちょくられているのかしら?」

千早「うっそでーっす!!」

伊織「え?」

千早「今のはいおっぺを試したの、言わば試練ね」

伊織「5W1Hをそのまま投げかけたくなるけど、色々面倒くさそうだから突っ込むのは辞めとくわ」

千早「本当は曲をテープに入れてきているの、歌うわね」

伊織「そこまで気合入れてきてくれて本当に恐縮だわ」


千早「いくわよ」

伊織「楽しみだわ」


カチ


デデンテデンデン♪ デデンテデンデン♪ デンデンデンデンデンデンデン テテーンテン♪


千早「ミ・ナ・セ♪ お・でこ、赤・裸・々♪」


カチ


千早「あら」

伊織「まぁ、まず替え歌よね? って所からよね」

千早「気付いちゃったかしら?」

伊織「私の持ち歌だしね? もしかしたら存じ上げていらっしゃらなかったかもしれないけれども」

千早「とても良い曲よね、オデコ」

伊織「リゾラね? 共通しているのが三文字って所だけだからね」

千早「まだまだ先はあるのだけれど……」

伊織「気持ちは大変嬉しいのだけれど、またの機会にして頂きたいわ、そしてその機会は二度と訪れないで欲しいわね」


千早「まだまだサプライズは続くわよ」

伊織「サプライズと言うカテゴリーでは確かに今までのも十分サプライズね」

千早「先ほどからいおっぺの笑顔が嬉しいわ」

伊織「嬉しいかどうかは別としてと言う台詞の前にそれ言われたらもうお手上げよ」

千早「そういえばお腹空かない?」

伊織「そうね、もう日も落ちてしばらく経ったから」

千早「お弁当」

伊織「お弁当?」

千早「作ってきちゃった☆」

伊織「普通昼に渡すのが普通じゃない? とか、中の鮮度とか色々気になるけど私のために?」

千早「うん、いおっぺのために朝9時起きで作っちゃった☆」

伊織「普通所か若干の遅刻感すら感じる時間だけれどもありがとう、嬉しいわ」


千早「待っててね」ゴソゴソ

伊織「あぁ、やっぱりカバンの中なのね、冷蔵庫とかに入れて置いてくれと言う私の願いは届かなかったのね」

千早「じゃーーん」クパァ

伊織「空ける音に戸惑いが隠せないけど、あら? これは」

千早「作るに当たって色々参考にしたの」

伊織「ん〜〜当てて良いかしら?」

千早「解るの?」

伊織「となりのトトロかしら?」

千早「よ〜〜くこぎゅな〜〜みずがちべたくなるまで〜〜」【ダミ声】

伊織「似てる!! ビックリしたわ」

千早「正解!!」

伊織「山盛りのご飯に梅干、桜でんぶ、そしてうぐいす豆とメザシね」

千早「梅干はさくらんぼ、桜でんぶはそのままに、うぐいす豆はマスカット、メザシは煮干にしてみました」

伊織「いやー進まない、ご飯に対して全力で真っ向勝負を挑んでいるお弁当だわ、唯一の武器のメザシもサイズダウンしてるし、しかも常温保存」


千早「アレンジ魂が沸いたと言うのかしら」

伊織「フルーツ達もまさか自分がこんな結末を迎えるとは思っても居なかったんじゃないかしら?」

千早「た・べ・て?」

伊織「あ・と・で・ね」

千早「い・ま」

伊織「いや、ごめんなさい、実はさっき貴音とラーメン二十朗でマシマシチョモランマとかそう言うアレを食してきちゃったのよ」

千早「そう、残念だわ、先ほどはお腹空いたと言ってた気がするのだけれども」

伊織「後で必ず食べるわ、日本昔話の子供かってくらいかっこむわ」

千早「動画で送ってね、待ってるわ」

伊織「千早の携帯、動画見れないじゃない、本当に残念だわ」

千早「春香に送ってくれれば、必ず見るわ」

伊織「編集とかアレコレの時間があるから、二日間時間くれるかしら?」

千早「良く解らないけれども、待っているわ」


千早「で、どうかしら?」

伊織「ん?」

千早「どうかしら? いおっぺの中で私の評価が鰻上りかしら!?」

伊織「若干マイナス寄りに傾いた事は確定しているけれども、気持ちはとても嬉しいわ」

千早「本当!! 嬉しい!!」パァ

伊織「都合の良い所しか切り取ってないわね、きっと」

千早「そんないおっぺにお願いがあるの」

伊織「ここまでしてくれたんですもの、私に出来る事ならなんでもしてあげようと思うわ」

千早「私にも、ニックネームをつけて欲しいなって」

伊織「急ね、思いつきになっちゃうけれども、それでも良いならば」

千早「ううん、どんな酷いニックネームでも、それは受け入れるつもり」

伊織「うん、まさに、今私がその状態だからね」

千早「きて!! いおっぺ!! 私に可愛いニックネームをつけて!!」

伊織「……キャサリンとかどうかしら?」

千早「嫌ね」

伊織「せめて理由を聞く所からはじめない? 一分も歩み寄りが無かったから変な汗かいちゃったわ」


千早「どうしてキャサリンなんて思いついたの?」

伊織「如月でしょ? で、キサラギからキサリンって考えたの、そこからのキャサリンよ」

千早「いや……まぁ……うん」

伊織「あ、嫌ね、嫌だったわね、ゴメン、別なの考えるわ」

千早「いや、もう、大丈夫、十分だわいおっぺ、今まで通り千早って呼んでくれればそれで」

伊織「凄まじいスピードで見切りを付けられた衝撃にちょっと涙が出そうだわ、でも、千早のままで行くわね」

千早「余計な心配かもしれないけれども」

伊織「何かしら?」

千早「私達アイドルって企画物の商品名とか考える事とかもあるから、ネーミングセンスはもっと磨いた方が良いと思うわ」

伊織「そろそろ両目の間に鉄びしをぶち込みたい衝動にかられて来たけど、千早の善意に免じてそのアドバイスはありがたく受け取っておくわ」


千早「褒めようと思うの」

伊織「ん?」

千早「これから如月千早はいおっぺを、褒めちぎろうと思っております!!」

伊織「いや、結構よ、そんな恥ずかしいわ」

千早「よっ!! ピンク色!!」

伊織「色々褒めてもらってきたつもりだけれども今までに無い斬新な切り口ね」

千早「うさぎ!!」

伊織「名詞押しなのね千早の褒めは、褒められた気が全くしないけれども」

千早「え〜〜…………ピンク色!!」

伊織「もう一巡しちゃった、私ってそんなに魅力の数少ないかしら」

千早「うさぎ!!」

伊織「こっちに関してはもう持ち物だしね、ありがとう千早、もうそろそろ良いわ」

千早「ふぅ……どう? 嬉しい?」

伊織「あーー……うん、嬉しいわ、ありがとう」


千早「……ごめんなさい、いおっぺ」

伊織「急にどうしたの?」

千早「私って人付き合いが苦手で、どうすればいおっぺと仲良くなれるか全然解らなくて」

伊織「そんな、私のために色々頑張ってくれたじゃない」

千早「でも、多分、いおっぺのツボにはハマッて無いのは何となく解っちゃったし……」

伊織「私と言うカテゴリーに関わらず今回の千早のアプローチは多分誰にもハマらないとは思うけれども」

千早「何か、私、空回りしちゃってる」

伊織「いや? かなり巻き込んでいるし巻き込まれているわ、ソコは自身もって大丈夫」

千早「こんなんじゃ、アイドルなんて……」ウッ

伊織「嘘、まさかこの千早のフォローもしなければならないの? 何て日なのかしら」

千早「こんなんじゃ皆に嫌われちゃうよね……」ウッウッウッ……


伊織「千早」

千早「……」

伊織「今回、千早に仲良くなりたいって言われて、私、とても嬉しかった」

千早「……いおっぺ」

伊織「やり方は少し所では無いレベルで斬新だったけれども、それでも千早の気持ちはとても嬉しかったの」

千早「本当に?」

伊織「本当よ、今回の件で、私は千早の事をもっと好きになったわ」

千早「いおっぺ……」

伊織「元々、好きだったのが、更に、ね?」ニコッ

千早「いおっぺ!!」ギュッ

伊織「ちょ……も、もう、甘えん坊ね」ナデナデ

千早「いおっぺ!! いおっぺ好き!!」ギュウーー

伊織「ちょっと、くっつき過ぎよ……千早!! や、やめなさい!!」


春香「……どしたの伊織、その千早ちゃん」

伊織「懐かれた……」

千早「えへへ〜いおっぺ〜」

春香「え〜良いなぁ、私も千早ちゃんに懐かれたい」

伊織「アンタさえ良ければすぐに渡してあげるわよ」

千早「え〜〜、嫌っ!!」ギュッ

伊織「はいはい」

春香「いったいどうやったの?」

伊織「別に、話を聞いて上げただけ、かしらね」

千早「春香、私ね、いおっぺに好きって言われちゃったの」

春香「え!?」

伊織「アレは別にそう言う好きじゃなくて……」

千早「え? ……だったら……嫌い?」

伊織「……ふぅ、好きよ、大好き」

千早「本当!?」

伊織「本当」

千早「うふふ、いおっぺ大好き」ギュ

伊織「私もよ、キャサリン」ナデナデ

千早「あ、その呼び方はヤメて」

伊織「お前もう離れろ!!!!」




何だこれ。



あ、終わりです。

何か、スイマセンでした。

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