2013年11月06日

ありす「プロデューサー争奪ババ抜き?」

ありす「……内容は聞かなくても分かりますけど、何でそんなことを?」

楓「プロデューサーさん、次の有給に特にやることも無いみたいで」

加蓮「だから勝った人が、その日Pさんを自由に出来るババ抜き」


周子「ありすちゃんも一緒にどう?」

ありす「結構です。じゃあ皆さん頑張ってください……じゃなくてこういう馬鹿なことは控えて下さいね」

真奈美「そうか。Pに興味が無いならそれで助かる。単純に勝ち目が増えるな」

ありす「……」ピクッ

真奈美「馬鹿な事……か。いや、君がそう思うのならそうなんだろうな。フフッ」

ありす「……む」

加蓮「それじゃやろっか。4人で」



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ありす「ちょ、ちょっと待ってください。私も参加します」

周子「あれ、やっぱPさんと休日を過ごしたい?」

ありす「そんなこと言ってません」

真奈美「ではどういう意図で?」

ありす「ぁ……えっと、そう。そんな事してないで練習です、練習」

ありす「誰かが勝ったらその人は一日腑抜けます。だから私が勝って何もしなければ……!」

加蓮「あーうん、オッケー分かった」

楓「それじゃ、5人でやりましょう」

ありす「ちょっと、聞いてますか?」

加蓮「カード配るよー」パラパラ
ありす「ところで何故ババ抜きを?」

周子「確か最初は大富豪だったよね?」

楓「だけどローカルルールが多過ぎて訳が分からなくなったの」

ありす「確かに。ルール周りがしっかり出来てさえいれば奥が深いゲームですよね」

加蓮「で、メンドクサイからババ抜き」

真奈美「あまり時間も掛けていられないからな」

ありす「でもどうやってババ抜きで一人の勝ちを決めるんですか?」

ありす「最初に上がるのなんて……あ、つまりジョーカーを最後まで持っていた人が……」

真奈美「御明察。冴えているな」

ありす「まぁ、それしかないでしょうし」

加蓮「配り終えたよ。好きなのどうぞ」

ありす「……」
ありす(今見ていた限り加蓮さんは目の前から配り始めた。つまり加蓮さんの前に置いてある手札は枚数が多い)

ありす(ババ抜きのトランプは全部で……えっと……53枚。つまり11枚組と10枚組がある)

ありす(確かババ抜きは偶数手札が有利だったはず。理由は忘れたけど)

ありす(偶数の方が枚数が少ないし、ここは奇数一択)


真奈美「どうした?」

ありす「え? あれ?」

周子「もう皆手札取っちゃったよ? はいこれ余りだけど」

ありす「あ……はい……」

楓「まぁまぁ。残り物には福が有るし、それにババ抜きは運のゲームだから」

ありす「……そうです、ただのババ抜きに手札なんて関係ありませんから」

ありす(……偶数手札……)
真奈美「誰からだ?」

加蓮「じゃんけんで決めましょうか」

ありす(……最近の研究結果によれば、初手に一番使われないのはチョキ)

ありす(理由は咄嗟に指を2本だけ立てるような器用な真似が出来ないから、だったはず)

楓「じゃーんけーん」



楓「ぱー」パー

ありす「……」パー

周子「ありゃ」グー

加蓮「あ」グー

真奈美「ふむ」グー
ありす(これは当然。確率が高いから勝ち易いだけの話。問題は次だ)

ありす(1対1。目の前の相手との戦いに集中して長考が可能な場合、どの手を出すかは完全に相手次第。さっきの統計は)

ありす(だけどこの場合は別の必勝法。大抵の人は、精神的余裕を持ちたいが為に自身がさっき出した手に対して弱い手を避けたがる)

ありす(さっき楓さんはパーを出した。だからチョキを出す可能性大)

ありす(だけどここで焦ってはいけない。出されにくいのはあくまでグーだけ)

ありす(簡単に予想しよう。チョキ5割、パー4割、グー1割)

ありす(つまりチョキを出せば、悪くてもあいこ)


楓「じーっ……」

ありす「……なんですかそのポーズ」

楓「やっぱり今時の子は知らないんだ……」ガックシ
真奈美「ああやって手を組んで隙間から相手を見ると、何を出せば勝てるかが分かる……」

真奈美「一時期流行ったポーズだ。当然迷信だが」

ありす「ほら、さっさとやりますよ」

楓「焦らない焦らない……ありすちゃん、チョキを出すでしょう?」

ありす「さぁ。どうでしょうか」

ありす(言い当てられた……!? いや、マグレに決まっている……!)

ありす(ただカマを掛けているだけ……そう、私の手は変わらない)


楓「ぽいっ」グー

ありす「……」チョキ
ありす(…………まぁ、こんなのは所詮確率。理論は合っていても外れる事はある)

ありす(負ける確率は単純計算で33.3%。こんなに高いんだから)

ありす(……あれ? なんで私勝とうとしてたんだろう? 順番が最後の方が有利なはずなのに)

楓「……ふふっ」

ありす(まさか楓さん、そこまで見越して私を煽っている……!?)

ありす(あんな変なポーズをしてまで……)


加蓮(あえてチョキを出すのか……)

真奈美(こういう所が不相応というか)

周子(可愛げがないというか……)



楓「それじゃあ、私から時計回りに引いていくから」
―――――


真奈美「ふぅ……上がってしまったか」パサッ

加蓮「よし」

周子「真奈美さんはまだ良いよ。こっちは開幕手札3枚だったんだし、ソッコーで上がっちゃった」


ありす(二人脱落。残るは楓さんと加蓮さん)

ありす「どうぞ」スッ

加蓮「んー……あーヤバい。一気に揃うようになってきたなー」パサッ

楓「……ふふっ。そろそろ仕掛けましょうか」スッ

ありす「……そう来ますか。楓さんギャンブル脳ですか?」

楓「さっき加蓮ちゃんからジョーカーを引いたの。ありすちゃん、このカードがジョーカー」スッ

ありす「……」
ありす(ジャンケンの時と同じ、不自由な選択……敢えてハズレを示して混乱を誘ってきた)

ありす(落ち着いて考えよう。幸い情報は揃っている)

ありす(……楓さんのカードの捨て方を見ていたけど……低い数字は右端、高い数字は左端に配置しているみたい)

ありす(ババ抜きにおいて法則で手札を並べ替えるのは完全に無駄、いやむしろマイナス)

ありす(だけどもし楓さんが拘る人……几帳面な性格なら『所詮遊び』と綺麗に並べ替える可能性だって十分ある)

ありす(そして規則的且つ綺麗なカードの並びを考えて、ジョーカーは真ん中辺りにはまず来ない)

ありす(つまり楓さんが加蓮さんから引いたカードをどこに置くかを見ていれば……どんどん候補は削っていける)
ありす(私は騙されない。加蓮さんから引いたカードは手札の端に行ったのを見ている)

ありす(そして今楓さんが目立つようにしているのは、元々の手持ちの真ん中のカード)

ありす(結論、ブラフ。少なくともあのカードはジョーカーじゃない)


周子「……真奈美さん、どう思う?」ボソッ

真奈美「こちらからは手札は見えないからな。ただ一つ言えることは……」ボソッ

周子「言えることは?」

真奈美「特に何も考えず、楽しんでいるだけだろう」

周子「だよね」
加蓮「……ありす。おーいありすー」

ありす「はっ……!」

周子「そんなに真面目に考えなくてもいいじゃん」

ありす「……別に、違います」

ありす「ただ楓さんのいきなりの行動に驚いただけです。運のゲームなのに意味の無い事でしたから」ピッ

周子(外してきた)

真奈美(まぁ、自称ジョーカーは真実だろうな)

加蓮(『だからジョーカーだって言ったのに』って裏の裏をかくのが楓さんっぽいし)


ありす(……)

ありす(まぁあくまで確率の話。所詮運のゲームなんだから)パサッ
――


楓「あがり」パサッ

加蓮「よし、一対一だね」

ありす「そうですね」

ありす(私が2枚、加蓮さんが1枚。ここで私が取る方法は……)サッサッ

ありす「……どうぞ」スッ

真奈美「……なるほど。自分でもどちらがジョーカーか、分からなくするのか」

ありす「私も人間ですから。ポーカーフェイスは簡単な事ではありませんし」

加蓮「じゃあこっち。こうなったら迷うだけ無駄だね」ピッ

加蓮「んー……」サッサッ

加蓮「はい」
ありす(どれだけ理屈をこねようと、策を練ろうと、手持ちが2枚である以上確率は2分の1)

ありす(裏をかき続けても永遠に公平な2択)

ありす「……」ピッ

加蓮「ねぇありす」

ありす「なんですか」

加蓮「勝ったらPさんと何する?」

ありす「……何もしない、って言ってませんでした?」

加蓮「だってありすもオフでしょ?」

ありす「はい。ですからお互い家で休みを取るんじゃないですか?」スッ

加蓮「……そ」ピッ
ありす「加蓮さんこそどうするんですか。私だけ答えさせてずるいです」

加蓮「……ありすと同じだよ。少なくともPさんと会わない点では」

加蓮「久しぶりに休暇取ってるからね。ゆっくり休んで欲しいな……」


楓(私は一緒に温泉行くつもりだったなぁ)


加蓮「あ、でももちろん会えるならそれはそれで嬉しいよ? そこもありすと同じだと思うんだけど」

ありす「……そうですか」

加蓮「これ以降は、ありすに勝ってから決めるつもり。ほら、早く引きなよ」

ありす「加蓮さんは、本当にあの人の事が好きなんですね」ピッ
加蓮「ありすは、本当にPさんの事が好きなの?」

ありす「……なんですかその『本当に』って」スッ

加蓮「ごめんごめん、ちょっと言い間違えたよ」

加蓮「で、正直なところどうなの?」

ありす「だからそういう事は先に自分から言って下さいよ」

加蓮「好きだよ」ピッ

加蓮「運のゲームだけど……どうしても勝ちたかったなぁ。勝ってPさんと一緒に過ごしたかったよ」


加蓮「……あがり」パサッ
―――


真奈美「結局、どうなったんだろうな」

楓「さぁ。なんならプロデューサーさんの家に行ってみますか?」

真奈美「これからレッスンだろう」

楓「はーい」


周子「もうちょっとゲームが長引けば、色々面白い話が聞けたかもしれないのになー」

加蓮「だね、結局ありすは何も言ってくれないし」

周子「……好きだよ。勝って一緒に過ごしたい」キリッ

加蓮「……うるさい」

周子「いや、まさか子供相手にあそこまで言うとはさすがに」

加蓮「自分でもびっくりだよ。でもありすだって多分本気なんだろうしさー何かさー宣戦布告したくなったっていうか……」
―――


P「で、結局何か用事があったんじゃないのか?」

ありす「何もないです。今日は1日自由に過ごして下さい」

ありす「出来ましたよ」コト

P「……なんでしょうこれは」

ありす「橘流イタリアンです。前回の経験を活かして、よりワンランク上の出来になりました」

ありす「さぁ、食べて下さい」

P(何の罰ゲームだ……俺ありすに何かしたっけ……?)

ありす「量はあるので遠慮なくおかわりして貰って結構ですよ」

ありす「余った分は夜にでもどうぞ」

P「マジか……」


――で、正直なところどうなの?――


ありす(……絶対に、教えませんから)




おわり
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なおババ抜きのルール、ありすのうんちくはすべてフィクションです

18:48│橘ありす 
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