2013年11月07日

モバP「とある女性達の昔話」

ジリリリ――と鳴り響く目覚ましの音で目が覚める。
 なんだろう。普段なら出勤前で憂鬱なはずなのに、良い夢を見ていたんだろうか。とても気分が良い。


身仕度を済ませ家を後にする。
 今年の夏も早々と退却するつもりはないのだろう。まだまだ気温が高い。
 汗ばむ肌。結った髪を揺らす風すらも無く。

 ――それでも心は軽やかに。
 事務所へと歩を進める。

 うん。やっぱり気分が良い。
 今日は良いことでも起きそうな予感。

 根拠も無い予感に、ふふっと笑いが零れてしまった。

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「おはよう」

「ん、おはようございます」

「おはようございまーす!」

 仲間達が元気に挨拶を返してくれる。
 うん、とっても気持ち良い。

「ね、今日はどうなの?」

「慌てないの。すぐに始めるから、ね?」

「もー! 焦らさないで早く早くぅ!」

「ふふっ。はいはい。じゃあみんな行きましょうか」

 この子達と私は利害が一致してる。
 私はこの子達を必要とし、この子達は私を必要としてる。
 だからこそ強い絆で結ばれ、『仲間』と呼び合える。
 私はそれがとても好き。
「じゃあみんな集まったかな?」

「うん。いつでもいいよ」

「おっけー!」

「は……はいっ」

「はよおっぱじめよや」

「よろしくてよ」

 仲間達は皆微笑み、開始の合図を待ちわびる。
 幸せになる、合図を。

 それを告げるのは私。
 この瞬間が、私の一番の至福の時かもしれない。

「じゃあいきますね」







ちひろ「昨日プロデューサーが使ってたハンカチ! 300mcから!」

智絵里「じゃ、じゃあ500で……」

未央「2000でどうよ!」

凛「1万」

未央「ちょ」

桃華「2万ですわ」

未央「」

バタン!

早苗「させるか! 一斉検挙!」



※いつもの掃除屋さんです
ちひろ「ちっ……嗅ぎ着かれてたか……」ススッ

凛「収穫も無いのに捕まる訳にはいかないからね。未央、いくよ」ガシャーン

未央「無理無理無理! ってぎゃー!」ガシッ

きらり「逃げちゃダメだゆー?」

あい「君たちを反省させるにはどうしたらいいのかな……」

桃華「」ブルブル
智絵里「」ブルブル

光「まったっ、きさまかーっ!」グググ…

巴「この前の借りは返させてもらうぞ……!」グググ…

真奈美「くっ……、また隠し扉か!」

早苗「相変わらず逃げに関しては天下一ね……」

 ………
  …


早苗「じゃあ捉えた4人はいつも通りレッスン場で。簀巻きにしてヘッドホン着けといて」

きらり「りょーかいだにぃ☆」

光「なあ、前から気になってたんだが、お仕置きって何をしてるんだ?」

あい「ん? ああ。日によって違うけど、今日はのあが読み上げた般若心経を延々と聴かせるだけさ」

光「地味にキツいな……」

真奈美「主催と犬はどうする?」

早苗「別働隊に任せるけど、どうせ今日も逃げ切るでしょうね。どうにか捕まえたいんだけど……」
早苗「まあいいわ。後は各々で清掃作業に移って。大掃除する時は呼ぶから」

あい「了解」

真奈美「了解」

早苗「やれやれ。こう何度も掃除しても片付かないと心にくるわ……」

光「なあ」

早苗「ん? どうしたの?」

光「そういえばいつから掃除屋なんて結成されたんだ? アタシも結構古株な方だけど、最近まで知らなかったぞ」

早苗「あ、光ちゃんはあの事件を知らないんだ」

光「じ、事件?」

早苗「別に大したことじゃないんだけど。んー、そうね。どうせやることもないし昔話でもしましょうか」

光「ああ! よろしく頼む!」
早苗「前からP君に好意を寄せてた子は大勢いたわ。凛ちゃん然り、まゆちゃん然り、幸子ちゃん然り。天然ジゴロだし」

光「ああ……確かに。でも今ほどじゃなかったよな?」

早苗「ええ。好き、だけど直接は伝えられない。アイドルとプロデューサーだからね。例外もいたけど」

光「じゃ、じゃあやっぱりその事件が原因で……?」

早苗「そう。告白してはいけないという不文律が成り立ち、皆がそれに従ってた。あの日までは――」
 
 ………
  …

某日事務所


ちひろ「お疲れ様でした。はい、お茶です」

P「ああ、ありがとうございます」

ちひろ「ふふっ。でも良かったですね、新天地でのお仕事が上手くいって」

P「自信はありましたからね。まあ将来有望なアイドルを引き抜けたのが何よりの収穫ですよ」

ちひろ「ただでさえ人数が多いのに自分から勧誘するなんて何を考えてるんだか……」

P「ぐっ……。で、でも素質はうちのアイドルたちにだって負けてませんよ。育てればいくらでも輝きそうですし」

ちひろ「ふふっ。そうですか」
凛「なに? 何の話?」

P「新しいアイドルだよ」

まゆ「またですかぁ……」

早苗「P君、いい加減にしないと過労で倒れるわよ?」

P「ドリンクさえあれば何とかなる」

ちひろ「じゃあスタドリセットを」
P「今はいいです」

ちひろ「ちっ」

友紀「さっき来てた子?」

亜里沙「あら、来てたのね」

きらり「そういえばいないゆー?」

P「今度正式にうちのアイドルとしてデビューするからな。その時の衣装合わせをしてもらってるとこだ」
>>10
早苗「掃除屋でーす」
凛「掃除屋だよ」
早苗「掃除屋に入りたい?」
洋子「掃除屋ですよ!」
早苗「P君が倒れた?」

今のとこ。
一応は上から順にだけど、世界観は同じでも作品自体は繋がってないからよかったらどれからでもどーぞ。
ちなみに今回は
早苗「掃除屋に入りたい?」
の続きみたいなもの。
あい「まだ私もデビューから1年と少しなのに懐かしいと感じてしまうな」

早苗「あたしはこの前デビューしたばかりだからあまり感慨深くは無いわねー」

幸子「ふふん。どうせボクを超えるアイドルなんかいないんですから、Pさんはボクだけをプロデュースしてればいいんですよ!」

P「あ。幸子は今度絶叫マシンの収録な」

幸子「な、なんでボクの仕事はそんなのばかりなんですか!」

P「いや、幸子にしか出来ないかなって」

幸子「……ああ、なるほど。なんでも完璧にこなしてしまうから罰が当たったんですね。いいですよ! 今度のも完璧にこなしてみせますから!」

P「おう、よろしく(チョロい)」
ちひろ「それにしても遅いですね」

P「美優さんが手伝ってくれてるからもう着替え終えてもおかしくないんですけどね」

加蓮「ねっ、今日の帰りハンバーガー食べに行かない? Pさんも誘ってさ」

奈緒「なんでアイツも」

凛「奈緒は嫌みたいだから私たちだけで行こっか」

奈緒「だっ、誰も嫌とは言ってないだろ……」

加蓮「ふふっ、素直じゃないなぁ」

まゆ「こうですか?」

響子「上手上手! 裁縫も問題なさそうだね」

まゆ「花嫁修行ってこういう感じなんですかねぇ」

響子「あはは……」





バターン!



晴「おいこら! ロリコンP!」

全員「!?」
晴「確かに好きにやれって言ったけど、これはオレのキャラじゃねーだろ!」

P「似合ってる似合ってる」

ちひろ「可愛いわねー」

晴「か、可愛いとかじゃなくて! オレはカッコイイのにしろとも言っただろ!」

P「いや、晴を初めて見た時からこういうのが似合うとティンときてな」

晴「だああっ! いいから違う衣装にしろよ! ロリコンじゃないなら!」

ちひろ「プロデューサーはロリコンよ?」

晴「え……」

アイドルズ「……え?」

P「おいこら待てそこの事務員」
ちひろ「Special Rank。通称SR。アイドルとして単独ライブを成功させた子たちに与えられる称号だけど、みんなは知ってるわね」

アイドルズ「」コクン

P「いや、それとこれとどういう関係が……」

ちひろ「10歳以下の子は全員単独ライブしてるのよねー」

アイドルズ「!」

ちひろ「さらにいえば中学生までの子はほとんど、でしたね。紗南ちゃんくらいかしら? でも予定はありますからねー」

P「……そうだっけ?」

ちひろ「伊達に事務処理やってませんよ」

P「」
ちひろ「とは言っても愛海ちゃんとか美玲ちゃんみたいに、入って間もない子はしてませんけどね」

P「ぐ、偶然ですよ! ほら、年齢的にも若い子が多いですし」

ちひろ「ありすちゃん」ボソッ

P「」ドキッ

ちひろ「確かにデビュー時から人気ありましたけど、早かったですよねー。なんでかなー?」

P「いや……あの」

未央「そっか……。私みたいな暗黒時代はロリ組には無いんだね……」

あい「それを私の前で言うかい?」

P「ち、違うんや……。あれは先方からの……」
ちひろ「以上を踏まえてプロデューサーさんはロリコンです。頑張ってね」

晴「お、おう……」

P「誤解だ! 確かに小学生組は不思議と大きなライブが取れたけど、それと俺の性癖との因果関係は皆無だ!」

未央「取り敢えず渚ちゃんに謝ろっか」

P「お前らが知らないだけで謝り続けてるわ!」

ちひろ「ふっふーん。最近スタドリ買ってくれない罰ですよー……あら?」

凛「ロリ……コン……?」

智絵里「え……? え?」

まゆ「あらあらぁ……」

加蓮「ふーん……」
凛「ねえプロデューサー、ロリコンなの?」

P「だ、だから違うってば」

凛「ロリコンだからあれだけアプローチしても効果無いの? ねえ、ねえ」

まゆ「落ち着いて下さいよ渋谷さん。Pさんがそんな訳あるはず……ありませんよねぇ……?」

加蓮「未成熟な方がいいの? ダメだよ。小学生じゃ子供作れないんだから」

智絵里「わ、わたしもライブ遅かったな……。えへへ……、わたしがダメだっただけですよね……?」

P「」



ちひろ「やりすぎた?」

早苗「みたいね……」
きらり「Pちゃんモテモテだにぃ」

美優「あはは……」

友紀「少なくともあんまいい状況じゃないね」

あい「やりすぎないように警戒しておくべきかな」

早苗「そうね」

響子「PさんPさん」

P「な、なんだ?」

響子「Pさんには家庭的な女の子が似合うと思うんです! 私とかどうですか? 炊事洗濯掃除、なんでもこなせますよ!」

P「う、うん?」

凛「プロデューサーに必要なのは従順なペットだよ。ね?」

P「うん!?」

智絵里「わ、わたしは2番目でも……」

P「何が!?」
まゆ「何を言ってるんですかぁ? Pさんと赤い糸で結ばれてるのはまゆですよ? でも、糸だけじゃ足りないみたいですねぇ……」ガシッ

P「ま、まゆ? なんで押し倒したのかな? なんで体を密着させるのかな!?」

まゆ「Pさんは何もしなくていいですよ。まゆが頑張りますから」

P「待て! ベルト外すな! や、やめ――」

早苗「そこまで! きらりちゃんはまゆちゃんを確保! 残りも取り押さえろ!」

友紀「らじゃー!」ガシガシッ

凛「くっ……!」
智絵里「きゃっ……」

あい「やれやれ」ガシガシッ

響子「わっ!?」
加蓮「や……」
きらり「にょわー☆」ガシッ

まゆ「う、うふふ……。離してくれません? これじゃPさんと交われないじゃないですかぁ……」グググ…

P「」ガクガク

奈緒「」
美優「」
晴「」

亜里沙(どっちに着くべきかなー? ね、ウサコちゃん)
ウサコ(任せるウサー)

ちひろ(これは……マニーの匂い!)キラン

早苗「ほらほら、ヒートアップしてないで落ち着きなさい。P君は誰のものでも無い。いいわね?」

凛「負けない……私は」ボソ
まゆ「うふふ……」
響子「……」
加蓮「……」
智絵里「……」

 ………
  …


後日


早苗「また?」

P「ああ、確かにデスクに置いたんだけど……。輝子は知らないか?」

輝子「ふ、フヒ……。と、トモダチの世話してたから……」

早苗「なんでさも当たり前のように机の下できのこ栽培してるのよ」

輝子「ぴ、Pは親友だから……。親友とトモダチがそばにいるのは当たり前……フヒ」

P「まあまあ。それよりもネクタイ探さないと」

早苗「おかしくない? ここ最近毎日何か無くなってるでしょ」

P「誰かが盗ったとか? ないない。俺のを欲しがる奴なんかいないだろ」

早苗「いやー……」
早苗「ねえ凛ちゃん」

凛「なに?」

早苗「今凛ちゃんが持ってるボールペン、どこかで見た覚えがあるんだけど」

凛「これ? 私のだよ。ちゃんとお金出して買ったから。ふふっ……」

早苗「……そう?」



早苗「その上着はどうしたの、響子ちゃん」

響子「これですか? 脱ぎ捨てられてたんで畳んでるんです」

早苗「椅子にかけてたら無くなったって言ってたけど」

響子「乱雑に置くからですよー。ちょっと汚れてるみたいだし、洗濯して明日持って来ますね」

早苗「そう?」
早苗「ありすちゃん、そのタオルどうしたの?」

ありす「レッスンで汗をかいたので借りてます」

早苗「……ちゃんと承諾得ないとダメよ? 無くなったって言ってたから」

ありす「そうですか。次回からは気をつけます」



早苗「加蓮ちゃん、調子どう?」

加蓮「ん……。随分楽になったよ」スンスン

早苗「……ある程度回復したなら家に帰って休んだ方がいいわよ? 仮眠室じゃ寝にくいだろうし」

加蓮「うん……。もう少し休んだら帰るよ……」スンスン

早苗「……」
早苗「妙だ」

きらり「にぃ」

友紀「というか怖い」

あい「タガが外れるとこうなるのか……」

真奈美「なかなかなカオスだな」

晶葉「助手もよくこれで気付かないものだな……」

早苗「このままじゃいつ犯罪を起こすか分からないわね」

あい「抑止する者がいないからな」

早苗「いないならなればいい。そうでしょ?」

晶葉「そうだな。このまま放って置くわけにもいかん」

きらり「きらりも手伝うにぃ☆」

友紀「あたしもー。ストッパーなら任せて!」

早苗「抑止だけじゃダメよ。前のようなみんなに戻れるよう、欲望というゴミを掃き出さなきゃ……うん」





早苗「掃除屋、ここに結成!」

掃除屋「おー!」
 
 ………
  …


早苗「で、成り行きであたしが隊長になって今に至るってわけ」

光「なるほど……。なんかその、お疲れ様でした」

早苗「他人事みたいに言っちゃダメよ? 光ちゃんだって掃除屋としてこれから頑張ってもらわなきゃならないんだから」

光「それはもちろんだ! 悪事を見過ごしてはヒーローの名が廃るからな!」

早苗「うんうん。その心意気や良し! まあ光ちゃんにはあたしの――」

晴「こんのっ、ロリコンP!」

光「ん?」

早苗「あら?」
晴「なんでこんな恰好しなきゃならないんだよ!」

P「似合う似合う」

晴「この……!」

裕美「晴ちゃんも一緒にやろ? ぴょん♪」

晴「む、無理無理無理!」

P「出来るさ晴なら。裕美だって付いてるんだし」

裕美「そうだよ。ね?」

晴「――! ああもう! ガムだけじゃなくてジュースも奢れよな!」

P「おう(チョロい)」



早苗「マズいわね」

光「何がだ?」

早苗「今の騒ぎで連中の目が変わったわ。光ちゃん、至急掃除屋各員に通達。全員で掃き取るわよ」

光「了解した! あ、そうだ」

早苗「なに? 手短に」

光「さっきなんて言おうとしたんだ?」

早苗「ああ……。なんでもないから早く呼んで来なさい!」

光「りょ、了解!」

早苗(あたしの後釜を担ってもらわなきゃ、か。――まだまだ気が早いわよね)





早苗「掃除屋よ! 煩悩に塗れた子からいらっしゃい! 拭き取ってあげるわ!」





?「いいんです。最後はボクのところに来るって知ってますから。今はこの上着で我慢しますよ」スンスン

光「早く早く!」

きらり「今行くにー! ――にょ?」

?「!?」

きらり「……掃除屋にょわ……☆」

?「」ガタガタ



おわり
最終決戦も書きたいけど時間との勝負になりそう…。
暇が出来たらまた投下します。

お付き合いありがとうございました!
>>35
見えない…(泣)
>>37
バニーとかなんて俺得。
なのにおんぼろもしもしでごめんよ…。
すまん、見えた。
ありがとうありがとう。
待ち受けにするわ。

08:11│モバマス 
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