2013年11月07日

水本ゆかり「幸福なロミオとジュリエット」

モバマスの水本ゆかりさんステマSSです。


P「演劇の仕事が取れたぞ。しかもなんと主役だ!」


ゆかり「あの……非常に申し上げにくいのですが……」

P「どうした?」

ゆかり「私、演劇の経験が無いのですが………」

P「それなら問題ない。ちゃんと一流のトレーナーさんに教えてもらえることになっているからな」

ゆかり「それなら安心ですね。」


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ゆかり「そういえばプロデューさんも学生時代に演劇をされていたとか」

P「ああそうだ。アマチュアだが全国大会にも出題したこともあるぞ」

ゆかり「それならプロデューさんが直接指導していただけませんか?」

P「いや……それは、ほら俺、他に仕事があるし」

ゆかり「プロデューさん私専属でしたよね?」

P「ほ、ほらゆかりが練習している間に営業にいったりとか…

  ああ、わかった俺が指導してやるから涙目になるな」

ゆかり「そうですか。では明日からよろしくお願いしますね」ニッコリ

P「ああ……」
次の日 トレーニング場

P「それじゃあ練習始めるぞ」

ゆかり「はい!よろしくお願いします」

P「普通は舞台でバテないようにするために筋力トレーニングから始めるんだが、

 ゆかりの場合それは大丈夫だよな?」

ゆかり「そうですね。普段、LIVEのために自主的に筋トレをしているので大丈夫です」

P「それじゃあ次は腹式呼吸だな」

ゆかり「腹式呼吸ですか?」

P「ああ、これによって腹から声を響かせることによってより大きないい声を出せるようになるからな」

ゆかり「なるほど」

ゆかり「具体的にはどうやるんですか?」

P「そうだな……そこの椅子に手をかけてくれないか?」

ゆかり「はい。わかりました」

P「いい感じだ。その体勢で腰に息を入れるように意識してくれ。」

ゆかり「はい。わかりました。………こんな形でどうですか?」

P「いい感じだ。」


P「本当はもう一人が腰のあたりに手を当てて息が入っているか確認できるといいんだがな」

ゆかり「そ、それじゃあPさん……あの、確認、していただけませんか?」

P「い、いやそれは不味いだろう……」

ゆかり「こ、これも指導ですからね。何も問題ありませんよ」

P「そうは言ってもだなあ……その、色々あるだろう」

ゆかり「Pさんは担当アイドルにやましい気持ちは抱きませんよね?なら問題ありませんよ」

P「ああもうわかったよ…それじゃあ手当てるぞ」

ゆかり「どうぞ………ん」


P「こ、この状態で呼吸をしてみてくれ」

ゆかり「はい………どうですか?」

P「あ、ああちゃんと息が入ってる。それじゃあ手を離すぞ」

ゆかり「あ………あ、はい」

P「次はセリフの練習をしようと思う。今回の題目はあのロミオとジュリエットだ」

ゆかり「ロミオとジュリエットですか。悲劇の恋の物語として有名ですね」

P「そうだな。セリフを読む時はできるだけ感情を込めてくれ」

ゆかり「はい。わかりました」

P「後日スポンサーさんの所へ挨拶にいくからそれまでは台詞読みの練習だな」

ゆかり「はい!」

後日 スポンサー事務所

P「この度は多くの応募者の中から演劇の素人にも関わらず、

  弊社所属の水本ゆかりを主役に選んでいただき誠にありがとうございます」

ゆかり「ありがとうございます」ペコッ

スポンサー「いやいやこちらこそありがとねー。

      私ねえゆかりちゃんの大ファンでして。あ、後でサインくれない?」

ゆかり「はい、喜んで!」

スポンサー「ありがとねー」


P「申し遅れました。私シンデレラガールズプロダクション所属プロデューサーのPと申します」

スポンサー「P………どっかで昔、名前聞いたことあるなあ」

P「学生の頃、少々アマチュアで演劇をしておりまして」

スポンサー「え!あのP?全国高等学院演劇大会で優勝したこともある?」

P「ええ、まあ昔の話ですが」

スポンサー「そうかー。結局プロにならなかったんだー。」

P「ええ、この仕事をしたくなりまして。」


スポンサー「そうかー。…………ねえもう一回演劇やってみない?」

P「はい?どういった意味でしょうか?」

スポンサー「実はねえロミオ役のこれといった人が居なくてねえ。」

P「あの………まさかロミオ役を私にと?」

スポンサー「その通りだよ!どうかね?」

P「あの………それはいくらスポンサー様のご意見といえども………」

スポンサー「ん?聞けない?それじゃあジュリエット役の方も見直さなくちゃかもなあー。ああー残念だなー」


P「!…大変失礼しました。ロミオ役喜んで受けさせていただきます」

スポンサー「そうかーありがとねえー。」

P「いいえ、こちらこそ選んでいただきありがとうございます。

 それでは練習のほうがありますのでこのあたりで失礼させていただきます」

スポンサー「そう?じゃあ練習頑張ってね」

P「失礼します」

ゆかり「失礼しました」


事務所

P「くそ!俺をロミオ役にするなんてあいつ何考えているんだ!」

ゆかり「Pさん落ち着いてください」

P「ああ……すまない。でもこれは不味い」

ゆかり「何がですか?」

P「何がって…そりゃあ今回の舞台は悲劇とは言え恋の物語なんだから、

  ロミオ役がジュリエット役のアイドルの担当プロデューサーというのは

  ゆかりのアイドル的に相当不味いだろう」

ゆかり「大丈夫なんじゃないですか?所詮はお芝居なんだし」

P「そうか?……まあ絶対に落とせない仕事だから仕方ないだが……」

ゆかり「むしろ私的にはチャンスです」ボソッ


P「ん?何か言ったか?」

ゆかり「いいえ。まあ決まってしまったものは仕方ないのだから前向きに行きましょうよ」

P「そうだな……それじゃあセリフ合わせでもしてみるか」

ゆかり「え!今からですか?プロデューサーさん用の台本が無いですよ」

P「ああ、大丈夫だ。ロミオ役の台本は全て頭に入っているからな」

ゆかり「すごいですねえー」

P「ありがと。それじゃあ始めるぞ」

ゆかり「はい!」


トレーニング場

ゆかり「恥ずかしい、独り言を全部聞かれてしまった。どうしてこんな所に入り込んだの?殺されるかも知れないのに」

P「あなたへの思いが溢れて、気が付いたらここに来ていた」

ゆかり「月の女神が願いを聞いて下さったんだわ。でもどうしよう、見つかったら大変だわ」

P「あなたに会えたから、もう死んだって悔いはない」

ゆかり「そんなのは絶対に嫌よ」

P「大丈夫、生きる希望が沸いてきた」

ゆかり「ロミオ。橋の上の恋人と、運命の再会。なのにあなたはモンタギューの跡取り。

    ねえお願い、名前を捨てて。私はなんの肩書きもないロミオと、ずっと一緒に踊っていたい」

P「きっとそうしよう。美しい音楽に誘われて、優しく口づけを交した時から、ロミオはもうジュリエットのものだ」


ゆかり「………さすがに恥ずかしいんですが」

P「ま、まあな。まあこういうものは慣れだ慣れ」

ゆかり「そ、そうですか。じゃあ続けましょう」

P「そうだな」


公演当日控室

ゆかり「いよいよですね」

P「ああ、そうだな」

ゆかり「この舞台が終わったら聞いていただきたいお話があるのですが」

P「ん?まあいいぞ。どんなことだ?」

ゆかり「それは……そろそろPさんの出番では?」

P「そうみたいだな。じゃあ行ってくる」

ゆかり「はい。お気をつけて」

ゆかり(私も勇気を出さなければ)


P「ゆかりお疲れー」

ゆかり「Pさんもお疲れ様です!」

P「いやー大成功だったな!」

ゆかり「はい!拍手が鳴りやみませんでしたね!」

P「そうだなー。で、話ってなんだ?」

ゆかり「はい。あの、Pさん貴方のことがずっと前から好きでした。付き合ってください!」

P「……………すまない」

ゆかり「…………え」


P「今ゆかりが俺に好意を抱いているのはその、劇に感情を移入し過ぎた結果だ。

 そのうち冷静になればそんなことは無くなるさ」

ゆかり「……………そうですか」

P「本当にすまないな」

ゆかり「いいえ。私こそすみませんでした。」

P「それじゃあまた明日からアイドルの活動頑張ろうな」

ゆかり「…………はい」


次の日 事務所

P「あれ、ちひろさん、ゆかり今日は休みですか?」

ちひろ「そうみたいですね。先程、お家の方から連絡がありましたよ。

    それと後ほど社長にお話があるようで」

P「お話ですか、なんでしょうかね?」

ちひろ「さあ?………あ、娘が舞台で大成功したからPさんにお礼がしたいとかどうです?
   
    水本さんのお家はかなりのお金持ちらしいですからね。これは期待大ですよ!」

P「ハハハ、ちひろさんは平常運転ですね」

ちひろ「お金が嫌いな女の子なんていません!」

P「ほどほどでお願いしますよ」


スポンサー事務所

スポンサー「いやー本当に良い舞台だったよ!」

P「ありがとうございます。水本はどうでしたか?」

スポンサー「ゆかりちゃんね。もう次からはこちらからお願いすると思うよ」

P「そうですか。ありがとうございます」

スポンサー「それでさあ、君の役も良かったんだけどもう一度この道進んでみない?」

P「それはご遠慮させてもらいますよ」

スポンサー「そうかー。まあ仕方ないかー。あとこの前は君に圧力掛けるようなことしてごめんね。

      もうしないよ。というかゆかりちゃんが優秀過ぎてそんなこともう出来ないけどね」

P「いいえ、これからも水本ゆかりをよろしくお願いします」

スポンサー「こっちこそよろしくー」


スポンサー事務所外

P(ふう。スポンサーの評価も上々で良かった。ゆかりに早く教えてやらないとな。

  は?社長から着信33件!中年男性のヤンデレとか新し過ぎんだろ………。とにかくかけないと)

P「はいPです」

社長「キミ!なんてことしてくれたんだい!!」

P「あの、何のことでしょう」

社長「水本君のことだよ!!」

P「ゆかりがどうかしましたか?」


社長「水本くんの親御さんがもう娘にアイドル活動はさせないと言ってきたんだよ!」

P「え!なんでそんなことを!!」

社長「ええと確か『舞台の日に帰ってきた娘がひどい顔をして帰ってきたから、

   何があったのか尋ねたら疲れて眠ってしまうまで泣き続けた。
   
   何があったのか知らないが娘にこんな辛い思いをさせるのなら、

   アイドル活動はもう認めない』ということらしい」

P(!………そうか俺のせいか。まだ時間があると思っていたから

  こんなことになったのか……とにかくゆかりと会って話をしないと)


P「………社長、私の有給まだ残ってますよねえ?」

社長「あ、ああ我が社はホワイトだからねえ、まだ20日残ってるよ」

P「それ今日から連続で全部使わせてください!」

社長「ちょっとキミ何を言ってるんだい!まだ舞台の関係者に挨拶回りが」ピッ

P(まずはゆかりの自宅か…)


ゆかり宅前

警備員「お引き取りください」

P「そこをなんとか!」

警備員「依頼主からはどのような事情がありましても通すなと言われておりますので」

P(あれから大急ぎでゆかりの自宅に駆けつけた。

  が、既に配置されていた警備員により話すら聞いてもらえない状況だった)


数日経過

P(ゆかりの親御さんが社長に電話してから数日経った。

  その間、俺はなんとかしてゆかりと話せるようにするため努力していた。

  が、すべて無駄に終わった。

  まずゆかりは家と学校を往復するだけの日々を送っていたがその行き帰りは車で接触は不可。

  さらに家は24時間体制で警備員が自宅の巡回しており侵入するのは不可能。

  学校のほうもかなりのお嬢様学校なのか校門に

  警備員配置は当たり前で設備の点検などの名目でも男性は入校不可だ。)

P「さて、どうしたものかねえ。まあ、あれしかないか」

学校下駄箱前

ゆかり「あら、手紙?……!この筆跡は、まさか」

友A「どうしたの?」

ゆかり「ちょっと体調悪いから今日の授業休むね」

友A「あ、うん、わかった先生に伝えとくね」

友B「お大事にー」

学校空き教室

ゆかり「こんにちは」

P「久しぶりだな」

ゆかり「……Pさんですか?」

P「ああ、そうだ」

ゆかり「どこからどう見ても女性の方にしか見えません」

P「ちょっと昔のツテがあってな。それでなんとかして学校に入れた」

ゆかり「さすがですね」

ゆかり「……そろそろ本題に入りましょう。なぜここに?」

P「ゆかりと話すためだ」

ゆかり「今更何を話に来られたのですか?もうアイドルでもないのに」

P「親御さんにゆかりのアイドル活動を再開させてもらえるように説得してもらいたいんだ」

ゆかり「………正直最初は反対でしたが今はもうアイドルはいいかなと思っています」

P「そう、なのか?」

ゆかり「ええ」

P「…………そうか」

ゆかり「そんなに落ち込まないでくださいPさん。アイドルなんていくらでもいるじゃないですか?」

P「違うんだよ!俺はお前じゃないといけないんだよ!」

ゆかり「!……Pさんそれって……まさか」

P「そうだよお前のことが好きで好きで仕方ないんだよ!こんな女装してリスクを負って呼び戻そうとするほどな!

ゆかり「じゃあ……なんで……あの時断ったりしたんですか!」

P「それはお前のアイドルとしての将来を考えてだよ!俺だって嬉しくてしかたなかったよ!」

ゆかり「………よかった………本当によかった。……わかりました。私、頑張って両親を説得してみます。

    そして………アイドルを引退したら………結婚、してくれませんか?」

P「ああ。喜んで」

ゆかり「ありがとうございます。でも言葉だけでは足りません。何か証が欲しいです。例えばキスとか」

P「今キスすると女装した俺とのキスになるけどいいのか?」

ゆかり「ふふ、それも面白いでしょう。さあ、来てください…」


数年後

ゆかり「そろそろアイドルも潮時かと」

P「そうだな。女優の仕事も増えてきたしな」

ゆかり「はい……それで約束、覚えてますか?」

P「結婚だろ忘れるわけない」

ゆかり「よかった。あ、でも結婚しても女優としての仕事をしてゆきたいので、

    これからもよろしくお願いしますねPさん」

P「ああ!」

fin


これにて完結です。

お付き合いいただき、誠にありがとうございました。

21:11│水本ゆかり 
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