2013年11月07日

凛「プロデューサーの心の声がだだ漏れ?」

凛「は? なに言ってるの、加蓮」

加蓮「いや、だから……。あ、こないだ、比奈さんが貸してくれた漫画あるでしょ? あれみたいな感じ」


渋谷凛(15)
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北条加蓮(16)
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凛「サトラレ? あれは漫画だよ」

加蓮「そんなのはわかってるよ。でも、それが実際に起きてるから困ってるんでしょ」

凛「わけわかんない。ともかく、事務所に入れてよ。そこに立ってたら入れないって」

加蓮「……うん」

凛「おはよう」

P「おう、おはよう、凛」

『お、凛も来たか。そういや、加蓮のやつはどこに行ったんだ? まあ、いいか。あの年頃の女の子なんて気まぐれなものだしな。それよりもちひろさんは……』

凛「……ちょっと化粧直してくるね。汗かいたから」

P「ん? ああ」

『トイレか……。いや、この湿気だと本当に崩れちゃってるのかも知れないな。そうでなくてもチェックとか。女の子は大変だよな……』

――

凛「な、なにあれ、なにあれ!」

加蓮「だから言ったでしょ?」

凛「なんか、プロデューサーの言葉に変な声がかぶって聞こえるんだけど!」

加蓮「うん。妙に渋い声がね」

凛「あれが、プロデューサーの心の声だっていうの!?」

加蓮「たぶん……」

凛「た、たしかにそれっぽいかなって思うけど……でも」

加蓮「ちなみに、こうしてトイレに来ると、聞こえないでしょ? プロデューサーの側……同じ部屋にいないと聞こえないっぽい」

凛「それにしたって……」

加蓮「ともかく、なんか聞こえるよね?」

凛「……聞こえる」

加蓮「なんだろうね、あれ」

凛「当人は気づいてるのかな?」


加蓮「そんなそぶりはないかな」

凛「いつからああなってたの?」

加蓮「わかんない。私が来た時には、もう……。他の人はいなかったし」

凛「そっか……。あ、ちひろさんは?」

加蓮「奥の個室」

凛「え?」

加蓮「ここだよ」コンコン

ちひろ「は、入ってますよ!」

凛「ほんとだ。そこにいたんだ」

加蓮「ちひろさん、いい加減出てこようよ」

ちひろ「いやです!」

凛「なにがあったの……?」

加蓮「それがさっぱり。私もわけわかんなくて探してたら、ここにいるの見つけただけなんだ」


凛「……もしかして、プロデューサーがああなったのって、ちひろさんが何かした?」

ちひろ「ち、違いますよ。なに言ってるんですか!」

凛「その慌てぶりが怪しい」

ちひろ「いや、ほんと勘弁してください。あんなの私もわかりませんよ!」

加蓮「とりあえず、個室から出てこない? ドア越しは話しにくいって」

ちひろ「わ、私には話すことなんて……」

凛「……加蓮。真奈美さんか留美さんを呼ぼう。これじゃ、話にならない」

ちひろ「わー! なんで私を追い詰めようとするんですかーっ!」バタン

加蓮「あ、出てきた」

ちひろ「私が来た時には、もうなんか変な声が聞こえてましたよ。なんでそうなったかはわかりません! これでいいですか!?」

凛「……本当みたいだね」


加蓮「でも、なんでトイレにこもってたの?」

ちひろ「だって、変なことばっかり言うんですよ、あれ。怖くなって……」

凛「うーん……それは……」

加蓮「まあ、一人きりだと怖いかも。とりあえず三人いるし、大丈夫じゃない?」

ちひろ「……そうですかねえ」

凛「とりあえず私たちだけじゃ……ね。ついてきてよ」

ちひろ「うー……わかりました」

――

P「お帰り……。なんだ、みんな揃って?」

加蓮「私がちひろさんと話してるところに凛が来ただけだよ」

P「なるほど」

『女性同士の会話か……。俺がいないところだと、どんな感じなんだろうなあ……』

凛「たいしたことは話してないよ」

P「え?」

ちひろ「凛ちゃん!」

凛「あ、ごめん」

P「ん?」

凛「ううん。なんでもないよ」

P「そうか」

加蓮「気をつけてよ、凛」

凛「うん、ごめん」


『あ、そうだ。凛と加蓮に台本渡さなきゃ』

P「そうそう、凛、加蓮。局から今度のドラマの台本が届いたから……」

『あっちの机にあるんだよな』

加蓮「あ、これだね」

P「あ、そうそう。よく見つけたな。奈緒の分もあるから、後で渡しておいてくれないか?」

加蓮「うん。預かっておくね。はい、凛の分」

凛「ありがと。……加蓮も反応してるじゃん」

加蓮「いや、便利ではあるな、と。うん」

凛「まあ、それで済めばいいけど……」

『トライアドは仲が良くていいよな。聞いた話じゃ、プライベートで顔を合わせないよう事務所が気を遣うグループもあるらしい。それに比べたら、うちは天国だ』

凛「……」

P「とりあえず、今日はその台本を読み込んでおいてくれ。まずは台詞を覚えてもらわないと話にならないからな」

加蓮「そうだね」


凛「……ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

凛「……私たち、がんばるから。三人で、一緒に」

P「……そうか。うん、がんばろうな」

凛「うん」

加蓮「ちょっと。いきなりすぎない? 不審がられるよ」

凛「でもさ……」

加蓮「いや、わかるけどね」

『凛はさすがだな。いや……待てよ。もっと良い役を取ってくるよう俺にはっぱをかけにきたとも取れるな』

凛「え」

『たしかに一話限りで死ぬ役だもんな。三人の実力なら、もっと目立つ役を狙える。俺の力不足だな』

凛「ち、ちが……」

加蓮「あちゃー……」


『いや、待てよ』

加蓮「……ん?」

『俺の力不足は反省すべきだが、凛に押しつけるのはいけないな。あいつはきっと本気で言ってくれたんだ。気負わずに素直に喜ぼう』

加蓮「だって。ふふっ、よかったね」

凛「……もう」

加蓮「ふふーん、青くなったり赤くなったりする凛かわいー」

凛「うるさいよ。……それより、このままでいいと思う?」

加蓮「うーん、それは……」

P「あいつら、なにをひそひそ話してるのやら……。なにかあるんですかね、ちひろさん?」

ちひろ「へ? え? な、なにもないと思いますよ。ええ」

P「そうですか?」

『どうしたんだ? ちひろさんも挙動不審だぞ』

ちひろ「……むぐぐ」

『まあ、いい。それより……』


P「ちひろさん」

ちひろ「はい?」

P「スタドリ、1セットください」

ちひろ「あ、はい。ええと、おまけが3本ついて、13本ですね」

P「はい。じゃあ、これ代金です」

ちひろ「はい。確かに」

P「ありがとうございます」

『さて……。これで、今日のサンプル確保、か』

ちひろ「え?」

『本当に、成分いじられてるのかな?』

ちひろ「……」ビクッ

凛・加蓮「?」

『社長は、ちひろさんがドリンク類を水増しして、差額を懐に入れてるなんて言ってたけど……。そんなことしてたら横領だよな』

凛「え……」


加蓮「それ、やばいんじゃ……」

『水増しで余った分を横流しの疑いも、なんて言うけど……。ちひろさんがまさかなあ』

ちひろ「あわわわ……」

P「ちひろさん?」

『でも、ここ数回のサンプルの解析結果がもうすぐ……』

ちひろ「ひいっ!」

P「え? どうしたんですか? ちひろさん?」

ちひろ「ば、ばれてたなんて……。あ、ち、違う。私は、私はーーーっ!!」ダッ

凛「ちひろさん? え、なにを……」

加蓮「あ、ちひろさん、どこに……」

ちひろ「わぎゃーーーーーんっ!」

P「ちひろさん!」

凛「出て……行っちゃった、ね」

加蓮「うん……」


P「なんなんだ、一体」

凛「えっと……。追いかけたほうがいいかな?」

P「いや、あれは……」


prrrrr


P「って、電話かよ、こんな時に……。ん? 社長からか。ちょうどいい。お前たち、とりあえず、そこにいてくれ。落ち着いて、な」

加蓮「うん」

P「もしもし。はい。あの、社長、実はいま、緊急事態が……え? ちょうど事務所に戻るところで?」

『ちょうど行き当たった社長がちひろさんを追いかけてるのか。しかし、ちひろさんはどうしちゃったんだ?』

P「はい。ええ、今日は外回りについてはアポを取っているわけではないので……」

『ちひろさんを捕まえられても、今日は仕事に戻せそうにはないから、俺が事務所にいろ、か。まあ、しかたないところだな』

P「ええ、では、そちらはお任せして……ええ」

『そうだな、XX局の挨拶回りは明後日に回すか』

P「はい。では……」


凛「……どうだった?」

P「ああ、社長がちょうどこっちに戻るところで、ちひろさんが飛び出してくるのを見かけたんだそうだ。そのまま乗ってたタクシーで追いかけてるって」

加蓮「……そ、そう。なんか大変だね」

凛「まあ、任せておくしか……ないのかな?」

P「ああ。こっちの業務は……俺がなんとかするよ、うん」

『事務どうすんだよ、まったく……』

凛「じゃあ、えっと……。私たちはこっちにいるね」

加蓮「おとなしくしてるから」

P「ああ、うん。すまんな、騒がせて」

凛「ううん」

加蓮「気にしないで」

――

凛「横領……か」

加蓮「図星だったから逃げ出した……のかな?」

凛「たぶん、そうでしょ」

加蓮「……なんか、冷めてない?」

凛「だって……。もしプロデューサーが考えてたことをそのまましてたんなら……裏切りだよ」

加蓮「まあね。……たしかに自業自得、か」

凛「私たちは別にやましいことはないから、ちひろさんみたいなことにはならないよ」

加蓮「それはそうだけど……」

『あー、あの書類どこだ? ええっと、そうか。この予算が。ああ、ちくしょう、ステージ押さえても、スタッフがなあ』

加蓮「ああいう考えまで漏れちゃってるのはまずくない?」

凛「……よその人と仕事の話とかさせられないね」

加蓮「うん。どうしよう」

凛「誰か、大人の人に相談できれば……」


加蓮「ちひろさんいなくなっちゃったしね……。今日の予定見ると、東郷さんが……あ、来た」

東郷あい(23)
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あい「おはよう、諸君」

P「ああ、おはよう、あい」

『相変わらずスマートだな、彼女は』

あい「んん? 誰かいるのかな?」

P「え? いや、いまいるのは俺と凛と加蓮だけだぞ」

『あいはなにを言ってるんだ?』

あい「空耳……? いや、しかし、これほどはっきり……」

『あ、そうか! 謎かけみたいなものか? しかし、困ったな。センスがある奴ならうまく答えられるんだろうが、なにも思いつかないぞ』

凛「あ、あいさん、ちょっと」

加蓮「東郷さん、こっちこっち」

あい「え? いや、引っ張らなくていいから……」


『加蓮たちが連れて行ってくれたか。ここは口出ししないほうがいいかな? 別に予定が詰まってるわけでもないしな』

あい「また声がする……。あれは、いったい……」

凛「それ、説明するから」

あい「え?」

加蓮「大丈夫ですよ。私たちも聞こえてますから」

あい「そ、そうなのかい?」

凛「うん。ずっとね」



〜アイドル説明中〜



.


あい「あれが彼の心の声だって? しかも、それを聞いてちひろさんが逃走した?」

加蓮「うん」

凛「考えてることがそのまま聞こえてるかどうかはよくわからないところもあるけど、ちひろさんが横領の話を聞いて逃げ出したのは本当」

あい「横領なんて裏事情、アイドルの私たちは知りようがない……。その点を鑑みると、彼の意識から出ている声だという説は説得力があるね」

加蓮「いまも仕事の話してますしね」

『んー。このグラビアは断るか。13歳にこんなきわどい水着着せようとか、なに考えてるんだろうな。そりゃあ聖はあの年齢にしてはスタイルいいけど』

あい「我々が知るべきではないことも漏れているようだな」

凛「でも、当人は気づいてないっぽいんだよね」

加蓮「まあ、気づいてたら、パニックになると思うけどね。いくらあの人でも」

あい「そうだな……。さて、どうすべきか」

『しっかし、世の中ロリコンが多いのかね。中高生が蘭子や凛に熱を上げるのはともかく……』

あい「ん?」


『俺くらいの年齢のやつが、加蓮や凛たちを疑似恋愛の対象にしてたりするんだからなあ』

あい「……ふむ」

『スタッフが弾いたファンレター見たら、アイドルたち、卒倒するんじゃないか』

凛「え、なにが書いてあるの」

加蓮「こわっ」

『だいたい、14、5の小娘相手にさかるなよなあ。アイドルとして見るならともかく、女として見たら、子供もいいところだろ』

あい「……これはまずい」

凛「……」

『いや、まあ、16なら結婚できるけど……』

加蓮「……うん」

凛「……」ジロッ

あい「……まずい」

『でも、まあ、個人的には……』

あい「少し、いいかな!」

P「ん? なんだ?」


『二十歳未満はないよなあ。ない』

あい「……遅かったか」

凛「……」

加蓮「……」

P「あい?」

あい「ああ、うん……。ええと、今日の予定なんだがね」

P「ああ、そうだな。実は、ちひろさんがいないんで、俺が動けないんだ。だから、レッスンには後から来るはずの比奈と一緒に行って欲しい」

『そう、やっぱり二十歳以上だよ。比奈は二十歳にしては幼く見えるし、逆にあいは二十三にしては貫禄がある。それでも、確実に子供じゃないもんな』

あい「……」

P「あい?」

あい「あ、うん。わかった。比奈くん待ちだね」

P「そうなるな」


あい「あ、ああ、そうだ! コーヒーでも飲まないかい? 私が淹れてこよう」

P「お、嬉しいね」

加蓮「東郷さん、私ももらえますか?」

あい「ああ、もちろんだとも。砂糖やミルクは?」

加蓮「いりません」

あい「そ、そうか。ええと、凛くんは……」

凛「私も、ブラックで。悪魔のように黒く、地獄のように熱いのを」

あい「その言葉は『天使のように純粋で、愛のように甘い』と続くのだが……」

凛「……」

加蓮「……」

あい「うん、まあ、いいか」

『なんだろう。凛と加蓮の気迫がすごい。……それだけ、台本に集中してるのか。さすがだな』

凛「……くっ」

加蓮「……ふんっ」

――

あい「さて、淹れてきたよ」

P「おお、ありがとう」

凛「ありがとうございます」

加蓮「いただきますね」

あい「うん。まあ……あまり気にしない方がいいよ」

加蓮「別に気にしてません」

凛「……」

あい「あ、うん……」

P「いやあ、いい香りだ」

『香りか。香りは記憶を刺激するな。この間、あいがもたれかかってきた時のいい香りったら……』

凛「……っ!」

あい「ご、誤解してはいけないよ。あのときは飲んべどもに飲まされて酔ってしまったから……」


『あのままお持ち帰りしちゃえばよかったかなあ』

加蓮「ふうん……」

あい「だ、だから……」

『酔いがさめたあいにも、意気地がないねなんて言われたものな。あれは……そういうことだよなあ』

あい「ち、違うぞ。あれはからかっただけで……」

『からかわれただけかもしれないが……。いや、まるで好意のない人間に、こんなにだらしないのは君の前だけだよ、なんて言わないよな』

あい「あああ……」

凛「あいさん、うるさい」

あい「あ、はい……。ううぅ」

『ただなあ……』

凛「……なんだか、ため息みたいな声」

『あいって処女っぽいんだよな。男との距離わかってないし』

加蓮「……はぁ!?」

P「どうしたー?」

加蓮「あ、ううん。ちょっと漢字がわからなかっただけ」


P「ああ、難しいのあったか。どれどれ……」

加蓮「あ、いいよ。東郷さんに教えてもらうから」

P「おう、そうか」

凛「……あいさん完全に固まってるよ」

加蓮「そりゃ、あんなこと言われたら……ねえ」

『処女はないよな。二十歳すぎての処女はない。正直、面倒すぎる』

加蓮「……そうなんだ」

凛「いや、どうなの……」

『こう……告白してOKしてっていう流れをしっかり踏まえないとだめ、みたいな感覚がありそうだよな』

凛「……そういう流れじゃないほうがいいってこと?」

加蓮「雰囲気とかをお互い察知して、暗黙の内に……ってことじゃない?」

凛「そっちのほうが面倒そうなんだけど」

加蓮「大人だから……」


『あー、でも、比奈は処女。絶対、処女』

凛「……まあ、そうだろうけど……」

加蓮「ちょっとちょっと」

『比奈は、こう、あれだよ。本番をやる前に、どっろどろのいやらしい体になるようエロいこと仕込みたいタイプだよ』

あい「……よし、わかった。あれは、女の敵だ」

加蓮「いきなり怖いこと言い始めてる」

凛「いや、でもあれは……」

比奈「おはようございま……」

『先に後ろを開発するとかいいな。処女なのに尻穴で感じまくる比奈をねちっこく責め上げて泣きながら何度も絶頂させてやりたい』

比奈「……へ?」

荒木比奈(20)
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凛「あ」

加蓮「わ」


あい「比奈くん!」

P「おお、比奈。来たか、今日は……。って、あい?」

あい「比奈くん、いますぐここを出るんだ。私と一緒に!」

比奈「え? ど、どうしたんスか、あいさん? え? さっきのはなんスか? え? え?」

あい「ともかく逃げよう! ここにはケダモノがいる! 獣欲に取り憑かれた男が!」

P「なに言ってるんだ? どうした、あい」

『ああ、あいと比奈を絡ませるのもいいな。普段積極的なあいを組み敷いて、比奈に責めさせるなんてのが……』

あい「君という男はっ! どこまで下劣になれるんだ!」

P「ちょっ。いきなりなにを……」


比奈「あ、あの、さっきのはなんスか? 誰が……」

加蓮「とりあえずみんなで場所を変えた方が……」

あい「いいや、それどころの話じゃない。こんな事務所に所属するのはもう……」

凛「あいさん、それはだめ!」

あい「しかし、私は……」

P「おいおい、いったいどうしたんだ? なにが起きてる?」


    ギャーギャー

       ワーワー

白坂小梅(13)
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小梅「あ、あの……」

凛「あ、小梅。来てたんだ」

小梅「うん。ひ、比奈さんとそこで会って、一緒に……」

加蓮「小梅ちゃん。いま、ちょっと大変だから、私と一緒に避難しようか」

小梅「う、うん。大変……プロデューサーさんが」

加蓮「うん。だから、とりあえず、他の部屋に……」

小梅「ううん……。だめ」

凛「小梅?」

あい「ん? 小梅くん? どうした?」

比奈「小梅ちゃん? あれ、どうしたんスか、そっちの髪の毛、普段上げないのに……」

小梅「プロデューサーさん……」


P「お? 小梅。助けてくれ、なんだか、みんな殺気だって……」

小梅「うん、やっぱり……。そうだね、あれするしか、ないね」

P「小梅? 誰と話してるんだ?」

小梅「いき……ます」


      バシュン!



加蓮「きゃあっ! なに、この青い光」

凛「まぶしかった……。なんだったの……え?」

比奈「プロデューサーの横に……なにか、影が……」

あい「小梅くんの後ろにもいるぞ!……いや、こちらはずいぶんかわいらしいな」

小梅「も、もう……一回。瑠璃光……」


      バシュン!


      ぐわああああああっ!!



.

――

P「……俺が、取り憑かれてた?」

小梅「う、うん。かなりたちの悪いのに……。だから……浄化した」

比奈「そんなこと出来るんスね」

小梅「こ、こっち側の目が……。うん」

P「すごいな。ありがとう、小梅」

小梅「えへへ……」

凛「私たちがプロデューサーの心の声だと思ってたのは、その悪霊の声だったの?」

小梅「……さっきいた霊は、もう、自我が……すり切れて無くなってた。だから、プロデューサーさんの記憶と知識を利用して……た」

あい「ふむ、彼の記憶を……」

小梅「たぶん、最初は、プロデューサーさんの……考えをまねして……。それから、それをどんどんゆがめていった……んだと思う」

加蓮「なんでそんなことするの?」

小梅「えっと……。生きてた頃の記憶とか感情がなくなって……欲望だけになった霊は、生者に取り憑いて、その人間の意識をゆがめて、力を得ようとする……」


比奈「理屈はよくわかりませんけど、とにかくはた迷惑なのはわかるっス」

小梅「混乱や恐怖が……力になるから……」

P「なるほどな……。いやあ、しかし、その悪霊とやらの言ってたことは、強烈だったんだろうな。みんなの様子を見てると」

加蓮「まあ……ね」

凛「ねえ、小梅。内容はともかく、記憶についてはプロデューサーのもので間違いないんだよね?」

小梅「うん。あれくらいの霊だと……自分の記憶は保持できないから……」

凛「なるほど……ね」

P「凛?」


凛「ねえ、プロデューサー。あいさんが酔っ払ってもたれかかってきたんだって?」

P「なっ」

あい「凛くん!」

加蓮「とってもいい香りだったんだって、ねえ?」

比奈「へえ、そんなこと言ってたんスか」

P「いや、落ち着け、それは悪霊がだな。なあ、小梅?」

小梅「プロデューサーさんの……えっち」

P「濡れ衣だああああ!」

 こうして、『プロデューサーサトラレ化事件』こと『色情霊憑依事件』は終わりを告げました。
 結局、取り憑いた幽霊の仕業って事で、一件落着したみたいです。
 いろいろとみんな思うところはあったようですが……。

 まあ、私はあれがプロデューサーさんの心の声なんかじゃないって最初から気づいてましたけど。
 え?
 もりくぼはいなかったろうって?

 いえ、ずっといましたよ。プロデューサーさんの机の下に。
 そのことにプロデューサーさんも気づいていて、たまにちょっかいかけてきたりしてました。
 だから、それを意識しないのはおかしいって、私にはわかってたんです。

 あ、ちひろさんはもう戻ってこないらしいですよ。
 社長には泣き落としも通用しなかったんだとか。
 社会って怖いですね。

 もりくぼ

森久保乃々(14)
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                          おしまい
以上です。鯖落ちしてびびった。
たしかに、ちひろさんには悪いことをしてしまった。うん。
続編というわけでもないけれど、ちひろさんが芸能界の闇を仕切ってる話を書きためてるので、
ちひろさんにはそちらで活躍してもらって許してもらうってことで、はい。

22:58│渋谷凛 
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