2013年11月08日

五十嵐響子「料理番組ですか!?」

モバマスSSになるよ


五十嵐響子(15)


家事が趣味 世話焼き

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響子「やります、私やります!!」

P「おう。響子ならそう言ってくれると思ってた」

響子「私、ずっと料理番組ってやってみたかったんですっ!」

響子「えっと、どんな内容ですか?」

P「若い人向けかな。新婚さん風料理教室」

響子「料理教室で、新婚さん風……?」

P「YES」

響子「ごめんなさい、いまいちイメージが……」
P「新婚ホヤホヤのお嫁さんが、旦那さんの好物作る!ってテーマだな」

P「単に料理するだけじゃなくて、服装とか仕草とかにそういう意匠を盛り込んで、ミニコーナーも挟んだりして」

P「旦那さんが帰ってきたところでお出迎えしておしまい、ってとこ」

響子「……うーん?」

P「響子の料理スキルと、ブライダルイベントのときの反響の良さを生かして……と思ってな」

P「あ、旦那さんはファンの心情も考慮して一人称視点の映像とテロップだけ」

響子「新婚さん……うーん……?」

P「あれ、イメージ沸かない?響子ならピンとくると思ったんだけど」
響子「えっと、なんとなーく画は浮かぶんです」

P「うん」

響子「私も両親が仲良しなので旦那さんを待ってご飯を用意、っていうのも見てきてますし」

P「うんうん」

響子「でも新婚さんってなると、なんか具体的にはわからないというか……」

P「よし、それじゃちょっと考えてみよう」

響子「?」

P「目閉じて。なんとなくでいいから言われたとおりに想像してみて」

響子「は、はいっ」 

P「響子は先月結婚しました」

響子「えっ!?」

P「恋愛して付き合って、ついこの間大好きな人と結ばれました」

響子「わわ、大好きな人……」

P「結婚式もハネムーンも終えて、ついに二人の結婚生活」

P「今、新居で旦那さんが仕事から帰るのを待っています」

響子「新居……えっと、ぴかぴかに掃除してあって……エプロンもちょっとかわいいので……」

P「そうそう、そんな感じ。いいぞいいぞ」
P「で、今日の夕ごはんは旦那さんの好物」

響子「……好物……大根の唐翌揚げ、ですよね?」

P「え、俺?そうだけど……うん?」

響子「えっと、じゃあそれと……若い男性なら、お肉……うーん、しいたけとピーマンの肉詰めとかかなぁ」

P「あ、美味そう」

響子「じゃあおかずはそれで!あとは冷奴と、かぼちゃの甘煮と……」

響子「あっ、お味噌汁の具はナスとカブだとどっちがいいですか?」

P「え、また俺?じゃあカブ」

響子「はいっ!それじゃあカブのお味噌汁と……えっとあとは酢の物くらいで足りるかなぁ」
P「ま、まぁそんな感じで。それで、旦那さんが帰ってきました!」

響子「旦那さんが、帰って……あ、あれ?えっと、旦那さん、旦那さんが……」

響子「……うーん?」

P「ありゃ?よくイメージできてそうだったけど」

響子「その、全然わからないわけじゃないんです。私にとっても結婚ってやっぱり憧れですし!」

響子「家事しながら旦那さんがいたらこんな感じかなー、って思い浮かべたりはしますし」

P「うん、うん」
響子「だから好きな人に何か作って食べてもらう、っていうのはわかるんです」

響子「でもその人と結ばれて新婚さんってなると、体験したことがないことばかりで想像が追いつかなくて……」

P「あー……」

響子「私、旦那さんが帰ってきたときって、きっと『嬉しい』ってだけじゃないと思うんです」

響子「でもその嬉しい以外がわからないから、イメージしても自分の中で納得がいかないというか……」

P「お出迎えのとこ以外だとどう?」

響子「……どういう会話とかするのかなんてさっぱりです」

響子「やっぱりそういう恋愛の経験とかないからなのかなーなんて、あははっ」

響子「……ごめんなさい。期待はずれ、ですか?」
P「いや、確かにもっともだな。言いたいことはわかった」

P「地元ではあんまり恋愛とかはしなかったのか?」

響子「……笑わないで下さいね?」

P「ん?」

響子「その、向こうから東京に来るときに、友達に『東京に行ったら彼氏の一人くらい作りなよ』って言われたんです」

P「お、おう?作っちゃったりしてない、よな?」

響子「ない、ないですっ!!もうっ」

P「あ、うん。えっと、ごめん?」
響子「ええっと……あ、それで私びっくりしちゃって。『え、どういうこと?』って聞き返したんです」

響子「それで話し合ったんですけど……」

響子「あの、私、それまで付き合ったら必ず結婚するものだって思ってて……」

P「ぶふっ」

響子「わ、笑わないでって言ったじゃないですかっ」

P「ははは、ごめんごめん。で、そうそう恋愛なんてしていいものじゃない、って思ってたとか?」

響子「そうなんです……」

P「そっか。ん、いいと思うぞ?好きになるなら大切にしてくれる人じゃないと」

響子「Pさんもそう思いますか!?ふふっ、ならいいんです♪」
P「でも、俺は響子には是非この仕事やってもらいたいと思うんだ」

P「響子は元気印でステージやってるときも輝いてるけど、エプロン下げて料理してるときもすごく魅力があるからな」

響子「そ、そうですか?えへ、えへへ……」

P「それにアイドル始めたばっかりの頃に料理番組やりたいって言ってたの、ようやく叶えられそうだし」

響子「あ……覚えてて……」

響子「あ、あの!!私も、絶対やりたいです!!!」

P「ん、そうでなきゃな。ということで、響子には宿題」

響子「宿題、ですか?」
P「響子の新婚さん像をしっかり作ること」

響子「新婚さん像、ですか?」

P「そう。想像が追い付かない部分は見聞なり何なりで埋めてみよう」

響子「でも私、新婚さんの知り合いなんて……あ、地元の先輩とかに連絡してみるとか……?」

P「そういうのでもいいし、別に映画とか漫画とかドラマでもいいぞ。とにかく引き出しを増やすとこから」

響子「なるほど。役作りですねっ!」

P「俺はちょっとトレーナーさん達とレッスンプランと対策練ってくる。頑張ろうな」

響子「はいっ!私も映画に詳しい人、探してきます!」

 ・ ・ ・

伊吹「うーん、新婚さんかぁ」

奏「何気ない難題ね」

響子「お二人のイメージだと新婚さんってどんな感じですか?」

伊吹「えー、そりゃあもうラブラブのイチャイチャじゃん?」

奏「そうね。それで所構わずベタベタしてる印象かしら」

伊吹「そうそう、それで人前でキスとか始めんの!もう二人の世界に入りきっちゃってるっていうかさ」

響子「二人の世界……なるほど……」

伊吹「で、映画だよね?何がいいかなー。コメディなんて観てもしょうがないし」

響子「新婚さんが題材の映画ってそういうのが多いんですか?」

奏「そうね。『結婚』ってシナリオ的には起か結に来ることが多いのよ」

伊吹「起だと新婚さんのドタバタとか、ドロドロ系の恋愛もんかなー」

奏「多分ドタバタ物が見たい訳じゃないのよね?ドロドロもちょっと違うと思うし」

伊吹「それだとふっつーの恋愛ものだね。結婚してゴールインって感じの、奏ちゃんの嫌いなやつ〜♪」

奏「……」

響子「あ、そういうので大丈夫ですっ!むしろそれが見たいです!」
[事務所 翌朝]

響子「……はぁ」

響子(映画も見たし、先輩とかお母さんにも話は聞いてみたけど)

響子「やっぱりわかんないや……」

響子「新婚さん、かぁ……」

響子(一緒に悲恋の運命を乗り越えてハッピーエンド!なんて恋愛、かけ離れ過ぎてるし)

響子(かといって悪友とじゃれてたら盛り上がって妊娠しちゃってそのまま結婚、なんて……)

響子(お母さんは同じ時間を過ごす幸せ、とかあーんして手つないで、みたいな話ばっかりだったし)

響子「……引き出しは増えた、のかなぁ?」

響子「うーん……とりあえずお掃除しよっと」

響子「〜♪」サッサッサッ

響子(おっそうじ、おっそうじ〜♪)

響子(ん、綺麗になった!)

響子(そろそろPさん、来る頃かな?)

響子(箒は片しちゃって、と)

響子(ポットのお湯も変えて、あとは……雨降ってるからタオルと……)

カン カン

響子(!)
響子(来たっ!!)

カンカンカンカン

響子(……うん、しっかり片付いてる!)

響子(あ、私は……髪、大丈夫、服も大丈夫!)

響子(お出迎え、お出迎えっ♪)

トテトテ


ガチャッ

P「おはようございまーす」

響子「おはようございますっ!」

P「あ、やっぱり響子か。今日も早いな」

響子「はいっ!朝はやっぱり掃除するのが一番です♪」

P「確かに、朝から綺麗になってると気分がいいからなぁ。ありがとうな、響子」

響子「いえ、好きでやってますからっ」

響子(それに一番に来ればPさんと二人っきりの時間が……♪)
響子「あれ、上着びしょびしょ……降られちゃったんですね」

P「ああ、うん。ザーッと」

響子「傘、鞄に入ってますよね?」

P「あー、あるんだけどな。鞄頭に乗せて走ってきた」

響子「あるならちゃんとささないとダメですっ。風邪引いちゃいますよ?」

響子「とりあえずタオルありますから、拭いちゃってくださいっ。はい、どうぞ」

P「う、悪い……ありがとうな」

響子「あと拭き終わったら上着も貸してください。乾かさないと」

P「いや、これくらいは大丈夫だよ。何もかも面倒見てもらっちゃ悪いし」

響子「む……なら次からはちゃんと傘さして下さい。ね?」

P「う」

響子「上着、預からせてもらってもいいですか?」ニコッ

P「……はい、お願いします」

響子「って、これ袖のボタンも取れかかってるじゃないですか!えっと、七つ道具は……」

P「ごめん、何から何まで」

響子「ふふ、これも好きでやってるからいいんですよっ♪」

響子「とりあえずお茶と新しいタオル持っていきますから、あっちで待ってて下さい。すぐ行きますから♪」

P「うおー、さむさむ……」

響子「はい、どうぞ」コトッ

P「お、ありがとう……ズズッ……あー……」

響子「それじゃパパッと直しちゃいますねっ」

P「お願いします……自分じゃさっぱりなもんで」

響子「任せてください!」

響子「……あの、お隣、いいですか?」

P「ん?ああ、いいぞいいぞ」

響子「……えへへ」トスッ

響子「……」チクチク

P「…………ズズー」

響子「あ、寒かったらそのタオル羽織って下さいね」

響子「あとお茶のおかわりも淹れますから、欲しくなったら言ってください」

P「ん、そうだな。お茶は……響子が終わったらお礼に俺が淹れてくるよ」

響子「わ、なら早く終わらせないと……ふふ」

チクチク

P「……響子はいいお嫁さんになりそうだなぁ。家庭的だし、気が利くし」

響子「っ、ほ、本当ですか!?」

P「おう。俺が保証しよう」

響子「え、えへへ……そっかぁ……」チクチクチクチク

P「ズズー」

響子「えへへ……」チクチクチクチク

P「そうそう、料理番組のアレさ」

響子「あ、はいっ。トレーナーさん、何か言っ…」


ガチャッ

響子「あ……」

ちひろ「おはようございます」

P「おはようございます」

響子「……おはようございます」

ちひろ「……あの、Pさん?なんか朝から空気が甘ったるいんですけど?」

ちひろ(あと響子ちゃん?今ものすごーく、邪魔者を見る目だったんですけど?)

ちひろ「何朝から寄り添いながらソファーでお茶啜ってるんですか」

P「いや、スーツのボタンが取れかかってたもんで、響子が直してくれるって……」

ちひろ「はぁ」

響子「Pさん、Pさんっ!はいっ、できましたよ」

P「うお、ホントにパパッとだったな。ありがとう」

響子「いいんですよ。どうぞっ!」

P「……?」

響子「ほら、後ろ向いて下さいっ」

P「ああ……よっ、と」

響子「はいっ……うん、格好よくなりましたよ♪」

P「ははは、そんな大げさな」

響子「本当ですっ。やっぱりスーツをビシッと着てるPさんってすごくかっこいいんです!」

P「お、そうか?そう言われると悪い気はしないけど」

響子「はい!ふふふっ」

P「ははは」

ちひろ「はーい、私もいるんですから事務所で新婚さんごっこしないで下さいねー」

響子「え、あ、し、新婚さん……あはは」

P「はは、すいません……」

ちひろ「え、否定しないんですか」

響子「あの……ちひろさん」

ちひろ「はい?」

響子「その、今の本当に新婚さんみたいでしたか?」

ちひろ「あれを新婚さん以外になんと呼べと……」

P「お、ちひろさんのお墨付きだぞ。実際にやってみたら出来るもんなんじゃないか?」

響子「なのかなぁ……?」

ちひろ「あ、例の料理番組の練習だったんですか?」

ちひろ「まぁどちらにしろ事務所で新婚さんごっこはもうやめてください、見てると心が辛いので」

響子「練習に……新婚さんごっこ……」

ちひろ「……?」

P「どうした?」



ピコーン!!

響子「そう、それです!新婚さんごっこ!!」

・ ・ ・

響子「……」

P(…………)

響子「…………」チラッ

P(微妙に気まずいというか、すごく気恥ずかしくなってしまった)

チラッ

P(響子、あれから耳赤くしてチラチラこっち見るばっかりだけど)

P(俺も大して変わらないことになってるし)

P(恥ずかしすぎだろ、新婚さんごっこ……)

響子「……はいっ、できました」

P「ん、ありがとう」

響子「他にもうアイロンしちゃうもの、ないですか?」

P「ない、かな。やっぱり流石、手際いいなぁ」

響子「えへ、慣れてますから……じゃあ、私も洗濯物畳みますっ」

響子「えっと……お、お隣失礼しますねっ」

トスン

P「……近くない?」

響子「ち、近い、ですね」

P(近いどころかぴったり横にひっついてるけど)

響子「でもほらっ、新婚さんですから」

P「いや、そうかもしれないけど」

響子「……実家でもよくお母さんとお父さんがこうやって一緒に洗濯物たたんでたから、一度やってみたかったんです」

響子「ダメ、ですか?」

P「ダメじゃないけど恥ずかしい」
 
響子「わ、私も恥ずかしいんですっ!でもこれくらいはしないと、って思って」

P「耳どころか首のあたりまで真っ赤だもんな」

響子「むぅ……そんなこと言ったらPさんも耳赤いし、目が泳いでますっ」

P「……ぷふっ」

響子「……あはっ……ふふ、畳んじゃいましょうか」

P「ん。そうするか」

P「おー、流石の早さ」

響子「よくお母さんの手伝いもしてましたから。……お父さんと畳んでる時は、入らせてもらえませんでしたけど」

P「俺なんかはさっぱりだからなぁ。やっぱり響子はいいお嫁さんに……あ」

響子「?」

P「あ、いや、なんでもない」ポリポリ

響子「むーっ……そういうの、モヤモヤしますっ」

P「いや、ちょっとあってさ」

響子「……何がですか?」

P「えっと……まあ大丈夫かな。こないだちょっとちひろさんに怒られてさ」

響子「ちひろさんに?」

P「『あんまりいいお嫁さんになる、いいお嫁さんになるって言うな』ってさ」

P「『じゃあ貰ってくれなんて言われたらどうするんだ』って」

響子「っ、あ……」

P「確かに複雑な年頃の子も多いし、その辺は俺も気使うべきだったかなって……」

響子「……っ」

P「……響子?」

響子「……」

P「あー、響子、そのだな……」

P「……えーっと、ほら、響子は本当に手際とかもいいしさ、掃除も料理も上手いし」

P「だから本当にいいお嫁さんになるなーとは思ってるんだぞ?」

響子「……」

P「だから、えっと……」

響子「……今日のことなんですけど」

P「……ん?」

響子「新婚さんって、やっぱり難しいなって。いろいろしようと思ってたのに、あたふたでほとんどできませんでした」

P「そうなのか?」

響子「はいっ。今日のことを決めた日からずっーと、ああしようこうしようって考えてたんです」

P「一緒にご飯食べて、こうやって一緒に家事する以外にも?」

響子「もちろんですっ!」

響子「お出迎えしたら玄関からこっちの部屋まで手繋いで歩こうとか、一緒にお野菜をハート型に切り抜こうとか」

P(これでも十分恥ずかしいのに更に上があったのか……)
響子「でも、いざPさんがドアを開けて帰ってきたらもういっぱいいっぱいで。わーってなっちゃって」

響子「顔を見た瞬間、嬉しいし、楽しいし、恥ずかしいしで……頭、真っ白になっちゃいました」

響子「無茶言って、Pさんが時間とってくれて練習できる折角の機会だったのにちょっと勿体無かったかなぁ、なんて……あはは」

P「俺もびっくりするほど恥ずかしかったな、今日は」

響子「Pさんも、嬉しかったですか?」

P「へ?」

響子「……なーんて、ふふっ!『いいなぁ』なんて言ってましたもん、ね?」

P「……はい、嬉しかったです」


P「でも俺もこっ恥ずかしさが先行しちゃって、あんまりいい練習相手になれなかった気がするけど」

響子「そんなの、おあいこさまですっ!」

響子「それに私ちょっと思ったんです。新婚さんなんだから、それでいいのかなぁって」

P「?恥ずかしくて、ってこと?」

響子「はいっ。だってお互い初めて結婚生活なんてするんだから、恥ずかしくて上手くいかないのは仕方ないじゃないですか」

P「……確かに」

響子「だからいっぱい考えて、でもぜーんぜんダメで、でも次こそはちゃんとやってもっと幸せになりたいな、って」

響子「そう思えるから新婚さんって幸せなのかな、って思うんです」
P「……よく考えてるんだな。今回は上手くいかなかったことを含めて、よしってことか」


響子「だからその、次は私もPさんも、もっと上手く新婚さん、できるかなって……」


P「……へ?」

P(え?それって、またこの新婚さんごっこやるってこと?)
P「響子。こういうことは、あんまりするもんじゃ……」

響子「そ、それは、その……」

響子「うぅ……わ、私は、何度でも……」

P「ほら、プロデューサーとアイドルの間柄だし、な?」

響子「で、でも……っ」
響子「……Pさん、さっきの話に戻っちゃうんです、けど」

P「……?」

響子「っ、そ、その……」



響子「『貰って欲しいです』って言ったら……本当にダメ、ですか?」

P「……え」


P「え、え?」

響子「わ、私、いいお嫁さんになると思うんです!」

響子「自分で言うのもなんですけど、料理も洗濯も掃除も、家事なら割となんでも出来ますし!」

響子「おせっかいかもしれませんけど、身の回りのことなら任せてくれて大丈夫ですから!」

響子「それと、あと、ええっと…」

P「お、落ち着け落ち着け、深呼吸」

響子「で、でもっ!!」

P「……響子って、小さい頃からお嫁さんになるのが夢だったりした?」

響子「……はい」 

P「まだ15歳なんだし、結婚とかはもっと長い目で考えてみた方がいいぞ?」

P「今回はこういう練習相手が俺だったから、気分が浮いてるだけかもしれな…」

響子「〜〜っ!!!わ、私!!」


P「ほら、もういい時間だし解散に……」

響子「Pさん、ずるいです……」

P「……」

響子「その……今日は無理言って、こんなことさせてもらっちゃいましたけど」

響子「私、役作りがしたかっただけじゃないんです」

響子「……Pさんもそれは気付いてます、よね?」

P「……」

響子「もっと、見て欲しかったんです。私のこと」

響子「事務所ではPさんはプロデューサーで、私はアイドルで」

響子「でも……こうしてPさんの隣に座ってるときは、私、ただの女の子なんですから」

P「……、あ」

響子「だから、もっとそばに、って思って……」

響子「その、悪く言えば今回もちょっと下心があって」

響子「でも……だから、お嫁さんに憧れてるとか、いいお嫁さんになれる気がするからなりたいとか」

響子「そういうのがないわけじゃないけど、そうじゃないんです」

響子「本当は、もっと単純で」



響子「……私が、Pさんのことが、すごくすごく、すっっっごく大好きだから」


響子「だから、その……ずっと一緒に、隣にいたいって」


響子「ただそれだけ、なんです」
P「……響子もずるいな」

響子「…………あはは」

P「今までいろいろしてくれて、あれだけ言って、その上でこう来るんだから」

響子「でも全部、本物ですからっ。愛情込めてます」

P「そういうのも」

響子「ふふっ。そうかもしれないです」

響子「でも……そうしないと、伝わらないかなって思って」
響子「……一つずることしちゃったついでに、もう一つ」

P「?」

響子「本当は今日、Pさんが帰ってきたら真っ先にしようと思ってたことがあったんです」

響子「いざ、ってなったら恥ずかしくて全然勇気が出て来なかったんですけど……」

P「……え」

響子「みんなに聞いたら、新婚さんはやっぱりコレ、って言うから」

響子「お出迎えするときは、これと笑顔で1セットだって」

P「……それって、もしかしなくても」

響子「嫌だったら、避けてくれちゃってもいいです、けど」

響子「でも」

グイッ

P「……っ」

響子「……」


ちゅっ

P「……んっ」

響子「ん……」
響子「あ」


響子「あ、あれ、本当に……?」


P「…………ええっと、ただいま……?」

響子「っ、あ、お、おかえりなさいっ!!ってそうじゃなくて!」

響子「今、今の本当ですよね!?夢とかじゃないですよねっ!!」
響子「わ、わわっ……私、ダメーって言われたり頭突っつかれたりして誤魔化されるかと」

響子「あの、もう一回、もう一回!!」

P「ん、んん!?」

響子「んーっ♥……っ、あはっ」

響子「Pさん、いいんですよね?Pさんも私と同じ気持ちってことですよね!?」

P「……えっと、な?」

響子「はいっ」

P「あれだけいろいろ尽くされると、な……惚れない方が難しい」


響子「……えへ、えへへ……そ、それじゃあ来年には、」

P「いや、18になったらな」

響子「え?そんな、16でもいけますよっ!」

P「親御さんの許可がい」

響子「絶対OKって言います!ダメなら無理矢理にでも説得しますから!」

P「……焦らなくてもそんな、逃げたりしないから。しっかり準備しないと後々困るかもしれないし」

響子「で、でも……」

P「まあそういうのはいずれゆっくり話しあおう。な?」

響子「……はいっ!二人の時間はいーっぱいあるんですから、ね♪」

響子「あ、とりあえずもう一回…」

P「……響子、そろそろ寮の門限が」

響子「ギリギリまで粘りますっ!今はとにかく、何度しても足りませんからっ♪」

響子「ほら、Pさん、んー♥」
・ ・ ・

『というわけで、今日の献立はこれで全部ですっ!お好みで甘くしたり辛くしたり、いろいろ試してみてくださいねっ♪』

『……私が作ると一品でこれくらいの時間がかかるのだけれど』

『大丈夫ですよ!時間かけて、いーっぱい愛情込めればいいんです』

『愛情……ね』

『最初の頃は上手くいかなくても仕方ないんですから。それもきっといい思い出になるんです♪』

『……流石ね。私も見習わないと』

『私もまだまだですから!また一緒にお料理して、一緒に上手くなりましょう♪』

『そうね。次はもうちょっと手際よくできるようになって来るわ』

『ということで、今日も私、五十嵐響子と、ゲストの和久井留美さんでお送り致しました!』

『また見てください、ね♪ほら、留美さんも!』

『ま、また見て、ね?』グキッ

ちひろ「おー……響子ちゃん、流石の仕上がりねぇ」

P「事務所の他のアイドルをゲストに呼ぶの、定番化してもいいかもな。絡みも自然だし」

響子「はいっ!緊張が解れるので、今回は留美さんには大分助けられちゃいました」

P「現場も俺抜きでも上手く回ってるみたいだし何よりだな」

ちひろ「まあ私がついてますから。でも響子ちゃんが『Pさんがいない方が上手くいく』なんて言い出したときは……ぷぷっ」

P「あー……ははは、その分打ち合わせとかで頑張ってますから……」

響子「あはは……」

ちひろ「一時期は二人の距離が近すぎるってちょっと心配してたんですけどね。杞憂に終わって何よりです」
ちひろ「さて、私はちょっと送迎行ってきますね」

P「あ、はい。お疲れ様です」

ガチャッ バタン

P「……」

響子「……Pさんがいると浮かれちゃう私が悪いんです」

P「いや、まぁ……ちひろさんの警戒も解けたしいいんじゃないか?」

響子「……」ススッ

ピタッ

P「……響子、近い近い」

響子「いいんですっ。最近、二人の時間が足りないと思うんです」

P「まぁ、ボロが出て問題になってもアレだし。今はまだ辛抱、な?」

響子「むぅ……わかってますっ。でも……」

P「……最近、貯金頑張ってるんだ」

響子「あ……ふふ、私もですっ」

響子「ドレス、お母さんに聞いたらまだとってあるって言ってました。だから今度地元に戻るときに、直してみようかなって」

P「お、そっかそっか。まあまだ成長期だし、本格的に触るのはもっとタイミングが近づいてからのほうがいいと思うけど」

響子「あ……あはは、それもそうですね。ちょっとだけにします」

P「あ、それとサンプル品でこんなののバックナンバーも貰ってきたぞ。ほら」

響子「?あ、これって……♪」
・ ・ ・

P「お、この写真のとこいいなぁ…でもヨーロッパ……頑張ればどうにかなるか?」

響子「素敵ですけど、無茶してもしょうがないですよっ!結婚式は一度きりですけど、その先もあるんですから」

P「うん、だよなぁ。そうするとこういうところとか……」

響子「……あ、いいですね。ふふっ」



瑞樹「…………つらいわ」

菜々「わ、わかりません!菜々は17歳ですから!」

瑞樹「そうね……わかるわ……」
菜々「や、やめてください!菜々は大丈夫です!」

瑞樹「瑞樹は大丈夫じゃないのよ」



響子「わ、こんなトラブルが式中に?」

P「怖いなぁ。ちょっと現実味ないけど」

響子「あはは、そうですよね」

瑞樹「……ねぇ、プロデューサーくん?」

P「あ、はい。なんでしょう」




瑞樹「……事務所でゼクスィだけは勘弁してもらえないかしら?」


    ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
           -=ニニニニ=-


                          /⌒ヽ   _,,-''"
                        _ ,(^ω^ ) ,-''";  ;,
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                   _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'  ┼ヽ  -|r‐、. レ |
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07:58│五十嵐響子 
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