2013年11月08日

伊織「あ〜よかった」

さんくす

P「さー仕事しご…おぁ!!」

雪歩「おはよーございますぅ…」


P「はやっ!どうした雪歩!?」

雪歩「すいません…」

P「あ、鍵な鍵!まず寒いから入れ!」





雪歩「で、時計の電池が切れてて…」

P「そうか…」

雪歩「はい…」

P「…そうか」

雪歩「はい…」

P「…」

雪歩「…」

P「…ぷ」

雪歩「…!」

P「ぷぷ」

雪歩「…!!」

P「くっ…悪い悪い、ほらスコップしまえ」

雪歩「うぅ…シャベルですぅ…」

P「いやーしかしそんな漫画みたいなことあるんだなぁ」

雪歩「はぃ…自分でもびっくりですぅ…あああ、もう穴…」

P「は掘るなよ」

雪歩「う…」

P「まぁ早起きは三文の得って言うしな。ゆっくりしときな。寝ててもいいぞ」

雪歩「いえー…あ、お茶でも淹れてきますね」

P「ああ、ありがとう」

伊織「おはよう」ガチャ

P「おうおはよう…ってはや!どうしたんだ今日は!?」

伊織「朝からうっさいわね…別にいいでしょ?」

P「なんだなんだ…?この調子で全員来たりして」

伊織「何言ってんのまったく…」

伊織「…?」

伊織「誰かもう来てるの?」

P「ああ雪歩だ」

伊織「異常に早いわね…」

P「ああ、理由は本人からでも聞いてくれ。あ、掘らせないようにな」

伊織「なによ掘らせないって…」

P「伊織もなんでこんな早いんだ?」

伊織「理由がなきゃ来ちゃいけないわけ」

P「へーへー別に悪くないですよー」

雪歩「あ、伊織ちゃん。おはよう。早いねー」

伊織「おはよう、雪歩もね」

雪歩「どうぞプロデューサー」

P「ありがとう」

雪歩「伊織ちゃんもお茶いる?」

伊織「いただくわ、ありがと」

雪歩「うん、じゃちょっと待っててね」





伊織「はぁ、そんなお約束のこと今時春香でもやんないわよ」

雪歩「うう…だよね…」

雪歩「7時前には着いちゃって…すぐプロデューサーが来てくれなかったら凍えてました…」

伊織「…あいつ」

雪歩「え?」

伊織「雪歩、7時少し前に事務所着いたの?」

雪歩「?うん」

伊織「で、そのすぐあとにあいつが来たのよね?」

雪歩「うん」

伊織「そう…」

雪歩「なにか気になるの?」

伊織「なんでもないわ。ただあいつっていつもそんなに早く来てるのかなって」

雪歩「そうだねぇ…あ、プロデューサー!」

P「なんじゃー」

雪歩「プロデューサーっていつも7時くらいには来てるんですか?」

P「そうだなぁ、最近7時くらいだなぁ」

P「あ、でもまたあんまり早く来るなよ。おれが寝坊してアイドル路上で凍える!なんて勘弁だからなー、はは」

雪歩「ちゃ、ちゃんと今日電池買って帰りますよぉ!」

伊織「…」

伊織(…前はだいたい7時半に出てきてたわよね)

伊織「…変わってることもあるのね」

雪歩「ほぇ?」

伊織「なんでもないわ」





律子「ただいま戻りましたー…」

亜美「亜美降臨!」

真美「真美降臨!」

P「おうおつかれさん」

亜美「兄ちゃん、亜美ちょ→疲れたよ→」

真美「兄ちゃん、真美も真美も→」

P「そうだな、おつかれさん。ただ一番律子がげっそりしてるけどな」

亜美「そうですな→、ぷりち→なポ→ズとって頑張ったのは亜美たちなんですけどな→」

真美「そうですな→、やっぱりヤングな真美たちといると年の差を感じるんですかな→」

律子「…」ゴゴゴ

亜美「第一種警戒配置!亜美隊員先に離脱します!」

真美「亜美!見捨てるのか分身を→!真美も退避!」

P「…ほんとうにおつかれ」

律子「あと10回ぐらい言って欲しいですよ…」

P「おつかれおつかれおつかれおつかれ…」

律子「…やっぱいいです」

P「あのパワーはどっから来るのかねぇ?…ほいお茶」

律子「あ、ありがとうございます」

P「あの二人は一緒にすると2倍じゃなく5倍くらいになるからなぁ」

P「ま、それが魅力でもあるんだが」

律子「そうですね…でもそろそろ1人でも立てるようになってもいい時期ですよね…」

P「ん?」

律子「いえ…」

律子「あ、それよりプロデューサー殿。伊織から何か相談受けてません?」

P「伊織?んー…特にはない…と思うが」

律子「そうですか。ならいいですけど」

P「なんだ、なんか気になることでもあるのか?」

律子「いえ特には」

P「なんか気になるな…」

律子「なんでもないですよ。ただ何かあるとしたらプロデューサーのところに行くだろうな、って思ったので」

P「今はほとんど1人でやれてるけどな」

律子「それでも伊織にとってはプロデューサーです」

P「おいおい、おれが付きっきりでプロデュースしてたのは半年以上前だぞ?今は一人前になって1人でできるようになってるさ」

律子「はぁ…プロデューサー殿は鋭いんだか鈍いんだか…」

P「なぬぅ!?」

律子「いいですか?伊織はああ見えてもまだ15歳です」

P「ワスレテター」

律子「そういうのいいですから。まだまだ迷いもしますし不安に思うことも多いはずです」

P「…」

律子「ただ、そうなったとき…隠すのが上手いのもあの子です」

律子「例えばですけどそういう悩み事とかを隠すのが上手そうなのは、事務所で言ったら誰ですか?」

P「あずささん、貴音、千早…伊織だな」

律子「はい同意見です。あずささん、貴音は年齢的にもまぁいいでしょう。自己解決できる問題と相談すべき問題をある程度考えることができるはずです」

律子「ただ千早と伊織は年相応ではない…精神的に早熟なんです」

律子「悩みや相談があってもそれを口にできない。周囲への気遣いか、遠慮かプライドか…わかるでしょう?」

P「…ああ」

律子「いいですか?悩みや不安は誰にでもあります」

律子「そんな時、素直な子なら周りが気づいてくれます。問題児なら周りが目を光らせます」

律子「ただ…優等生は気づかれにくいんです」

律子「大人の側が『あの子は一人でも大丈夫』『あいつには悩みなんてない』とフィルターをかけてその子を見ますからね」

律子「子供はそういう大人の気持ちを敏感に感じ取ります」

律子「そして自分は一人でやらなければ、自分ひとりでできるはずだと思い込むんです」

律子「…私の言いたいことわかりますか?」

P「ああ…」

律子「だから…あいつは大丈夫なんて、思わないでください」

P「…律子」

律子「はい」

P「ありがとう」

律子「わかればよろしい」

<リッチャーン!タスケテー!ゴキガーブリガー!

律子「はーい!まったく…」

P「あ、律子」

律子「もう、なんですかー」

P「お前、やっぱりプロデューサー向いてるよ」

律子「…それはありがとうございます」

P「あと、さっきの優等生のくくりには律子も入ってるからな」

律子「はい…はい?」

P「なんかあったら言ってくれな。俺でよけりゃ聞くからさ、愚痴でもなんでも」

律子「…そうですね」

P「今日のお礼だよ。ほら、ゴキ○リ倒しに行ってこい」

律子「はい…って、ゴゴゴゴゴ、ゴキ○リ!?」




記者「いやぁいい記事書けそうだよ!お疲れさま!!」

伊織「ありがとうございました」

やよい「ありがとうございましたぁ!!」

伊織「ふぅ…お疲れさまやよい」

やよい「伊織ちゃんもお疲れさま!でもホント伊織ちゃんの言ったとおりにしたら、記者さん喜んでくれましたー!」

伊織「にひひっ♪」

やよい「ホント伊織ちゃんはなんでも知ってるね!さすがトップアイドルですー!」

伊織「…私だってはじめから知ってたわけじゃないわ」

やよい「う?」

伊織「あのアドバイスは…」

P「おーう、お疲れ」

やよい「あー、プロデューサー!」

伊織「!?」

P「時間が少し余裕あったからな、迎えに来てみた」

やよい「うっうー!ありがとうございますー!」ガルーン

伊織「アンタいつからいたの?」

P「ほんのさっき。取材見れたらいいなと思ってたけど、着いたと同時ぐらいに終わっちまった。どうだった?」

伊織「問題ないわ」

やよい「記者さん喜んでくれたと思いますー!」

P「それはよかった。パーフェクトコミュニケーション!だな」

伊織「アンタなんもしてないじゃない」

やよい「うっうー!パーフェクトですー!」




P「着いたぞ」

やよい「あ、今日は私が先なんですねー」

P「ああ、この前は伊織が先だったからな」

やよい「ありがとうございましたー!伊織ちゃんもまたね!」

P「おう、しっかり休んでくれー」

伊織「おやすみ、やよい」

バタン

P「んじゃ帰るかー」

伊織「…」

P「…」

伊織「な、何か話しなさいよ…」

P「あ?ああ」

P「…アドバイス、覚えててくれたんだな」

伊織「…まあね」

P「最近問題ないか?」

伊織「問題ないわ」

P「そうか」

伊織「ええ…」

P「…そうか」

伊織「…」

P「はは…」

伊織「なによ、気持ち悪いわね」

P「いや、伊織は『問題ないか』って聞くと絶対『問題ないわ』って返すなと思って」

伊織「…」

P「そうだな、この聞き方だと『大丈夫だな?』って言ってるみたいだもんな」

伊織「…」

P「んじゃ、何か話してくれ」

P「悩み事でも、最近あった面白いことでも、仕事場での愚痴でも」

P「最近気づいたプロデューサーの魅力でもいいぞ」

伊織「…相変わらず馬鹿だなって思うわ」

P「おっ、褒められてる」

伊織「耳だいじょうぶ?頭かしら?」

P「厳しい…」

伊織「にひひっ」

P「まぁ自惚れかもしれんが」

P「最近送りなさいって言ってきたり、事務所にやたら早く来たりしただろ?」

P「もしかしてなんか相談でもあるのかなぁと思ってさ」

伊織「自意識過剰ね」

P「褒めてる?」

伊織「…」

伊織「まぁいいわ。そんな馬鹿なアンタのために、無理やり相談事でも考えてあげる」

伊織「感謝しなさい」

P「へーへー」

伊織「ふー…」

伊織「あのね」

P「うん」

伊織「…律子に、ユニットを組んで活動しないかって言われてるの」

P「ユニット?」

伊織「そう、トリオね」

伊織「決定してからみんなには話すって言ってたから、まだみんな知らないわ」

P「そうだな、おれも知らなかった」

P「決定してからってことは、まだ正式じゃないのか?」

伊織「そうね。メンバーは亜美とあずさ…そして私」

P「なんかすごい組み合わせだな。あんまり想像できん」

伊織「まぁ初めて聞くと奇抜よね」

伊織「でも、律子もそれぞれのキャラとか営業での効果とか」

伊織「真剣に考えて決めたって」

伊織「律子の話しぶりからもそれはわかったわ」

P「そりゃ成功するビジョンがあるんだろう。いつ正式に発表するんだ?」

伊織「…まだ決定じゃないって言ったでしょ」

伊織「…律子は私をリーダーにしたいって言ってるわ」

P「そうか」

伊織「私をリーダーに…私がリーダーじゃなきゃ…」

伊織「この話はなしだって」

P「…!?」

P「そうか…律子なりに考えがあるんだろう」

P「まぁいま765で一番勢いがあるからなぁ。その伊織をリーダーに…」

P「亜美、あずささん…うん、よくよく考えるといい感じじゃないか」

伊織「そうね…」

P「…何が問題なんだ?」

伊織「…」

伊織「…もうすぐ着くわね」

P「ん?…ああ」

伊織「あのね…1つだけ正直に答えて欲しいことがあるの」

P「着いたぞ…なんだ?」

伊織「アンタは私をたった1年のプロデュースでトップアイドルにしてくれた」

伊織「アイドルランクもSランクになったし、アンタとの最後のライブもドームで大成功させることができたわ」

P「ああ…懐かしいな」

伊織「それで、アンタは私のプロデュースを…離れた」

P「…」

伊織「それで最期の時、私聞いたわよね?」

伊織「もう一度、私をプロデュースすることはあるの、って…」

P「…ああ」

伊織「…なんて言ったか、覚えてる?」

P「…そういうことも、あるかもな」

伊織「そうね…」

伊織「だから、今はっきりさせて」

伊織「アンタは…」

伊織「…」

伊織「プロデューサー…は」

伊織「私を…もう一度…プロデュースしてくれ…ますか…?」

P「…」

伊織「…すぐにじゃなくてもいい…んです。いつになっても…」

伊織「もう一度一緒に活動するっていう…約束が…ほしいの」

P「…それを聞いて、どうする?」

P「今回のユニットの件に、どう影響するんだ?」

伊織「もし、もしもう一度…一緒に活動できるのなら…」

伊織「ユニットの話は、やめるわ」

P「なんでだ…?」

伊織「…っ!考えてもみてよ!ユニットで活動するってなったら、その活動予定は年単位じゃきかないわ」

伊織「2年、3年…もっとかもしれない!」

伊織「そんなに…」

P「わかった。もしプロデュースはこの先ない、と言ったら?」

伊織「!?」

伊織「その時は…律子の話を受けるわ。ただ…」

伊織「正直、モチベーションを維持できるかどうか…わからない」

P「…」

P「なぁ伊織」

P「お前の目標はなんだ?」

伊織「…」

P「トップアイドルになること、そしてそのトップの座を走り続けることじゃないのか?」

伊織「それは…」

P「もしそうなら、ここの選択は迷うべきじゃないんじゃないのか?」

P「1人で活動もいいだろうが、ユニットの方がメリットは大きいとおれは思う」

P「まぁ大人の話をすれば話題にもなるし、営業や売上にもいい効果が期待できる」

P「それにおそらく律子がつきっきりでプロデュースになるだろうから、今みたいに一人で現場入り、一人で打ち合わせってこともない」

P「そりゃ責任も増えるだろうが、伊織なら大丈夫だよ」

伊織「…」

P「伊織の目標はトップアイドルだろ?それは変わってないだろ?」

伊織「…ぃの」

P「だったら…」

伊織「目標が変わったら悪いの!!??」

P「!?」

伊織「なんなの!?目標が変わってないって!誰がそんなこと言ったの!!」

伊織「世の中変わっていくことのほうが多いわよ!」

伊織「そりゃ変わらないこともあるわ!」

伊織「アンタが『行くか』って言ったときは事務所に戻って仕事するし!」

伊織「『帰るか』って行った時は直帰だし!」

伊織「くだらない冗談言ってくれるところとか…!」

伊織「私だけが知ってる…変わってないところ…見つけると…」

伊織「…嬉しかったの…!」

P「…」

伊織「でも!」

伊織「変わってくことも多かった!」

伊織「アンタの出勤の時間だっていつの間に変わってたし!」

伊織「コーヒーだっていつの間にか砂糖入れなくなってたし…!」

伊織「私の気持ちも…わかってくれなくなった…ぅ…!」

P「伊織…」

伊織「責任も増えるだろうが!?簡単に言わないで」

伊織「アンタどれだけ私がプレッシャーを感じてるか、理解しようとしてくれてる!?」

伊織「それに…!責任ばっかり増えたって…」

伊織「トップアイドルと呼ばれるようになってもお父様お兄様はまだ認めてくれない!」

伊織「アンタは…離れていっちゃう…!」

伊織「目標に近づいてるはずなのに…!上手くいかないことが増えていくの!」

伊織「どこに行っても『伊織は大丈夫』『1人でできる』『期待に応えろ』!」

伊織「私はそんなに完璧じゃない!」

伊織「前は…アンタがいた頃はそれでも大丈夫だった…」

伊織「それなのに…アンタにまで『伊織は大丈夫』なんて言われたら…」

伊織「私…わたし…は…!」

伊織「変わらないことを望んでも!周りはどうしても変わっていくの!」

伊織「だったら私の目標…夢だって変わっていいじゃない!」

伊織「トップアイドルよりも…トップであり続けるより…!」

伊織「…大切な人のそばにいたいって思ってもいいじゃない!!」




P「…落ち着いたか」

伊織「うっさい」

P「泣き止んだか」

伊織「…泣いてないわよ!変態!!」

P「すまん」

P「あー…」

P「…悪かった」

伊織「…別に無理して何か話そうとしなくてもいいわよ」

伊織「なんか思ってたことぶちまけたらすっきりしたし」

P「あのな…」

伊織「…」

P「あーんと…」

伊織「なによ」

P「いやさっきの答えだが」

P「…おそらくこの先伊織を個人的にプロデュースすることは…ない」

伊織「…!」

伊織「そう…」

P「ああ…理由聞くか?」

伊織「…いちおう」

P「まぁ至極普通なんだが」

P「まだまだ765プロには才能に応じた評価をされてない子がいる」

P「その子達のプロデュースを優先したい」

伊織「…びっくりするくらい普通ね」

P「ああ、これはしょうがないな。時間も限られている」

伊織「わかったわよ」

P「すまん」

伊織「いいわ」

P「あー、ただな」

P「プロデューサーとしてじゃなくてもいちファンとして伊織のことは見ていたいというか」

P「つまり…」

伊織「なによ、男らしくないわね。はっきり言いなさいよ」

P「伊織のそばにいるよ」

伊織「…」

伊織「…え?」

P「いやだからこれからも伊織のそばにいるって」

伊織「ちょ…はっきり言いすぎよ!///」

P「お前がはっきり言えって言ったんだろ!」

P「もうプロデューサーとしてとかファンとしてとかめんどくさい!」

P「相談にも乗るし、遊びにも連れてってやる!仕事も必要な時はサポートする!」

P「…伊織の気持ちに気づいてやれなかったことはすまんかった」

伊織「…!気持ちって…!///」

P「ん?いろいろ溜め込んでただろ?」

伊織「…そっちね」

P「ほかに何かあったか?」

伊織「なんでもないわよ!」

P「…これはおれの自論なんだが」

伊織「え?」

P「うまく説明するのは難しいんだが…なんか、一人いればいいと思うんだ」

伊織「…?」

P「一生のうちに1人、何でも話せるし、絶対にこいつなら助けてくれる」

P「何があっても信じてくれる…そう思える人が1人でもいれば」

P「もうそれだけでいいんじゃないか、ってな」

P「あ、もちろんそういう人は多ければ多いほどいいけどな、はは」

伊織「…」

P「だから、おれが伊織のその1人になるよ」

P「何があっても、少なくともおれはそばにいる」

P「はは…なんか話がめちゃくちゃだが…」

伊織「…いいの?」

P「当たり前だろ。伊織はおれのはじめてのアイドルなんだから」

P「文句言いながらでも、信じてついてきてくれただろ」

P「成功するかもわからない新米のダメプロデューサーに…1年もな」

P「だからそれについてのけじめみたいなもんだ!」

伊織「けじめ…」

P「だからおれは伊織とどんな時も一緒にいる!決して裏切らない!」

P「以上!帰れ!!」

伊織「か、帰れって…」

P「だいぶ話しちゃっただろ。遅くなっちまった」

伊織「はぁ…アンタ時々強引になるわね。もうちょっと言い方ってものが…」

P「帰れ!」

伊織「…アンタ、照れてんの?」

P「帰ってください!」

伊織「…」

伊織「…にひ」

P「くっ…!」

伊織「帰るわ」

P「…おやすみ」

伊織「おやすみ、ありがとう」

P「ああ…」

伊織「…嬉しかったわ」

P「…!か、帰るからな!!」

ブロロロロロ…

伊織「ありがとう…」

伊織「…けじめ、ね…」

―数ヵ月後

律子「ふぅ…処理しても処理しても」

P「こっち終わったぞー…次ー…」

律子「すいません、じゃあこれで」

P「処理欄多っ!律子めんどくさいのこっちに渡してないか!?」

律子「ソンナコトナイデスヨー」

P「くっ…!」

律子「はぁ…なんでこんなにアホみたいに書類が…」

P「口悪いぞー。新プロジェクトだからしょうがないだろ」

小鳥「律子さん、次ください!!」

律子「は、はい。じゃあこれお願いします」

P「…新しい事務の音無さん、鬼気迫る勢いで仕事してますね」

律子「ええ、ありがたいですけど…」

P「なんか用事でもあるのかな…?」

律子「何か『月末の金曜日、月末の金曜日…』ってつぶやいてるんですよね…」

P「…?まぁいいか」

P「あ、これ…『竜宮小町』?」

律子「ええ。ユニットの名前、決めたんです」

P「へぇ…」

律子「みんな苗字に水に関係する漢字が入ってますから」

P「水瀬、三浦、双海…か。確かに」

P「秋月は関係ないんだな」

律子「いいんですよ!私はプロデューサーなんですから」

P「…海には月が映っていると、一層美しいんだぞ」

律子「きもっ!」

P「ひどっ!!」

律子「そういうのいいですから手動かしてくださいよ」

P「へーへー」

律子「あ、そうだプロデューサー殿?」

P「なんじゃー?」

律子「たしか次のオフ、来週の土曜でしたよね?」

P「ああ」

律子「空いてます?」

P「デートか!?」ガタッ

律子「違います」

P「」ショボーン

律子「その日、伊織のライブあるじゃないですか」

P「ああ、自分から言い出したやつな」

律子「ええ。私その日他にも仕事あるんで、リハから開幕までいてそのあと移動しようと思ってたんですけど…」

P「嫌な予感しかしないなぁ…」

律子「多分想像通りですよ」

律子「オホン!」

律子「『そんなのあのバカに私のライブ任せればいいじゃない』」

律子「『私が「来なさい!」って言ってたって言えば絶対来るから大丈夫よ、にひひっ♪』」

P「…律子、伊織の真似うまいな」

律子「こっからはプロデューサー殿へのメッセージです」

律子「『絶対最後までいなさいよ!途中で帰ったりしたらお仕置きなんだから!』」

律子「だそーです」

P「…」

律子「ということでお願いできますか?プロデューサー殿」

P「…了解」

律子「よかったー。ところでまた喧嘩でもしてるんですか?」

P「ん?いや…そんなことはない…と思うが」

律子「いや、こういうことって大体伊織本人が直接プロデューサー殿に言ってたじゃないですか」

P「そういやそうだな」

P「ま、そんなこともあるだろ」

律子「そうですか」

小鳥「律子さん次!まだありますか!!」

律子「まだたぁっぷりありますよー」

小鳥「…ぴよ…」

―伊織ライブ当日

P「お疲れ様でーす、お疲れさまです…」

律子「あ、プロデューサー殿」

P「あれ!?律子いるの!?」

律子「やっぱり気になったので…」

P「おれ来る必要あった!?」

律子「それはやっぱり最後まで付いていられる責任者はいたほうが…」

P「…まぁいいか。んじゃ伊織の様子でも…」

律子「あー、プロデューサー殿」

P「ん?」

律子「プロデューサー殿は控え室入室禁止です」

P「なんで!?」

律子「さぁ伊織が言ってましたから。あいつが来たら止めといて、って」

P「なんだそれ…知らん。行ってこよ」

律子「まぁ私は無理に止めませんけど」

律子「ただ扉の前に黒服の方が2名ほど」

P「」

律子「スタローンとシュワちゃんを足して2かけたみたいな体格してましたよ」

P「(微妙に世代が古い)」

P「…もしかして今回袖にも入れないの?」

律子「ええ。だから観客席に回ってください」

P「ソウデスカ…」

律子「まぁ新鮮でいいんじゃないですか」

P「…」

P「じゃあ、観客席行ってきます…」

律子「うほん!」

P「…ん?」

律子「『絶対最後までいなさいよ!絶対だからね!!』」

P「…伊織が?」

律子「はい」

P「はいはい…」

律子「ま、プロデューサー殿も楽しんでください」

律子「…伊織の単独ライブはしばらく見れないかもしれないですから」

P「…そうだな」

―控え室

律子「伊織―、そろそろ袖行くわよー」ガチャ

伊織「ええ」

伊織「…アイツは?」

律子「来たわよ。もう観客席に行ってるわ」

伊織「そう」

伊織「ねぇ…大丈夫よね。変じゃないわよね」

律子「今日何回目よ…だーいじょうぶ!」

律子「大人っぽさマシの、かわいさマシマシね!」

伊織「ありがと」

伊織「ねぇ律子…」

律子「なに?」

伊織「私、頑張るわ。竜宮小町」

律子「ええ…」

伊織「だから今日は、ソロとしてのけじめなの」

律子「…そうね」

伊織「時間よ…行きましょう」

律子「伊織」

伊織「ん?」

律子「…頑張ってね」

伊織「…当然よ!だって私は…」

伊織「スーパーアイドル伊織ちゃんなんだから!」

会場アナウンス『―只今より水瀬伊織単独ライブ「私はアイドル!スーパーアイドル!!」を開幕いたします』

「「「「「ワァァァァァ!!イオリーン!!」」」」」

P「…」

伊織『行くわよ!一曲目は“Here we go!!”』

「「「「「ワァァァァァァ…キャァァァァァァァ!?イオリーン!!!!?????」」」」」

P「…伊織!?」

P「髪型…」




伊織『ふぅ…みんな今日は来てくれてありがとう!』

「「「「「ワァァァァァァ!!イオリンカワイィィィィィィィ!!」」」」」

伊織『あ、髪型?そうよちょっと変えてみたの!イメチェンてやつね』

伊織『似合ってるかしら!』クルリン

「「「「「チョーーーーニアッテルゥゥゥゥ!!イオリンカワイイイイイイ!!マジデコ」」」」」

伊織『初披露の髪型をみんなに見てもらえて私も嬉しいわ!!』

伊織『じゃぁ次の曲は…!』




P「…」

P「立派になったな…伊織」

伊織『まだまだ行くわよー!私の歌を聞けぇ!』

「「「「「ワァァァァァァァァァァァァァ!!」」」」」




P「…」

伊織『ふぅ…みんなー!』

「「「「「ワァァァァァァァァァァ!!!」」」」」

伊織『残念だけど、あと2曲で最後になっちゃうわ!!』

「「「「「エェェェェェェェェ!!モットォォォォォォ!!」」」」」

伊織『みんな今日は本当にありがとう!』

伊織『ここでみんなに聞いて欲しいことがあるの!』

「「「「「ナァーーーーーニィーーーーー!!」」」」」

伊織『私、アイドルやめるわ!』

「「「「「」」」」」

P「」

「「「「「エェェェェェェェェェェェェェェェ!!!???」」」」」

P「伊織!?」

伊織『にひひ…ちょっとびっくりさせる言い方しちゃったわね!』

伊織『…ちょっと聞いて欲しいことがあるの』

「「「「「…」」」」」

伊織『私ね、アイドルになってからアイドル伊織ちゃんの歌を歌ってきたわ』

伊織『ファンのみんなのために一曲だって手を抜かず、これは私の誇りよ』

伊織『でも…今から歌う歌は、あるお世話になった、1人のためだけに歌いたいの』

伊織『ふふ…ステージでアイドルとして立ってるのに、一人のためだけに歌うなんて、アイドル失格ね』

伊織『…だから、この一曲を歌っている間だけは、アイドルをやめることにしたの』

伊織『…なんて、ちょっと都合が良すぎるかしら?』

「「「「「ソンナコトナイヨイオリーーーーーーーン!!!」」」」」

伊織『にひひっ、ありがとう!みんな大好きよ!!』

「「「「「ウォォォォォハゥッ!!バタバタッ!!」」」」」

伊織『…みんなにも大切な人がいると思うわ』

伊織『両親、兄弟、親友、恋人…』

伊織『その中に、絶対にあなたを信じてくれる、大切なひとはいる?』

伊織『…最近こんなことを言っていた人がいたの』

伊織『人生で、絶対に自分を信じてくれる、どんな時も一緒にいてくれる人が』

伊織『一人でもいれば…幸せだって』

伊織『私も…そう思うわ』

「「「「「…」」」」」

P「…」

伊織『…この歌は私の歌じゃないわ。カバー曲ってところね』

伊織『みんなも…大切なひとりを思い浮かべながら、聞いてください』

伊織『…ただのかわいい女の子、水瀬伊織ちゃんで…』

『あ〜よかった』

「あなたと初めて出逢ってから どれくらいの幸せをもらっただろうね」


伊織『アンタがプロデューサー?』

P『ああ!これからよろしくな!!』

伊織『ふーん…』

P『ど、どうした?』

伊織『別に』


P「最初は…まぁ警戒されまくってたな」

「大きいものや小さいもの 気付かずにいたものもあっただろうね」


伊織『まったく!なんでこんな小さい会場なのよ』

P『す、すまん。でも完璧だったじゃないか!』

伊織『当然でしょ!この伊織ちゃんなのよ』

P『そ、そうだな。あ、ほらオレンジジュース』


伊織(初ライブも、私まだ無名だったのに必死に頭下げて取ってきてくれたのよね)

「言葉や言葉じゃないもの 涙やケンカのあとの朝日の色」


伊織『いいでしょ!?上手くいったんだから!』

P『結果論だろ!失敗したらどうするつもりだったんだ!』

伊織『そ、それは…』

P『…』

伊織『…ぐす』

P『(アカン)』


P「…泣かれると罪悪感がハンパないんだよな」

「二人の道は決して 平らではなかったけれど」


P『だーかーらー!こうだよ、こう!』

伊織『こうじゃわかんないわよ!やってらんないわ!』

P『ぐぬぬ』

伊織『ふん!』


伊織(レッスンも付きっきりだったわね、ふふ…ねぇ、上手くなったでしょ?)

「あ〜よかったな あなたがいて あ〜よかったな あなたといて」


P『大成功だ伊織!素晴らしいライブだったぞ!』

伊織『あたり…前…よ…スーパーアイド…ル、なん…』グラッ

P『伊織!大丈夫か!伊織!くっ…すぐ控え室に』

伊織『成功…私…スーパーアイド…ル…』

P『ああ!だが今はしゃべるな!大丈夫だから!』

伊織『アンタの…おかげ…』


P「…伊織、覚えてんのかなぁ」

「あ〜よかったな 一緒にいて あ〜よかったな 2人でいて」


P『ふぅ…大事はなくてよかった』

伊織『…』

P『…お疲れさま、伊織』

P『伊織を選んで…一緒にいて、よかったよ』

伊織『…』

P『な、なんてな!聞かれてないとはいえ恥ずかしいな、うん!ははは!』

伊織『…』/////


伊織(私こそ…一緒にいて…選んでくれて、とても感謝してるわ。…言えないけどね)




伊織『but I’ll be right beside you from now on. So on … 』

「「「「「…」」」」」

P「…」

伊織『…』

「「「「「…ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」」」」

伊織『…ありがとう。この気持ちが、伝わってますように…』

「「「「「イオリーーーーーーーーーーーン!!ナカナイデーーーーーーーーーーー!!」」」」」

伊織『え…あれ!?』

伊織『なんで…』

伊織『な、泣いてないわよ!!涙が出ただけよ!!』

伊織『くっ…なんで!?』

伊織『ふぅ…まぁいいわ!これで一夜限りのアイドルじゃない伊織ちゃんは終わり!』

伊織『…新鮮だったでしょ!にひひっ♪』

「「「「「ワァァァァァァァァァァァ!!」」」」」

伊織『じゃあスーパーアイドル伊織ちゃんで、最後の曲行くわよ!!』

伊織『「私はアイドル!!」』

「「「「「ワァァァァァァァァァァァァァ…」」」」」

―ライブ後

P「…」

伊織「あら出迎えご苦労さま、ドライバーさん」

P「はいはい…ほら早く乗れ」

伊織「はぁーい」

P「行くぞ」

伊織「ええ」

P「ったく…ライブ前どころかライブ後も控え室には入れてくれない、家まで送れ…伊織全開だな」

伊織「失礼ね。光栄に思いなさいよね」

P「へーへー」

伊織「…今日のライブ、どうだった?」

P「すごくよかったよ。ドームでのライブと甲乙付けがたいな」

伊織「にひひっ!当然ね!」

伊織「…今日のライブはけじめなの」

P「けじめ?」

伊織「ええ、ソロ活動と…弱い伊織ちゃんとのお別れ」

P「…そうか」

P「しかしあのサプライズは…律子は知ってるのか?」

伊織「知るわけないじゃない」

P「やっぱりか…ひやっとしたよ」

伊織「あら、スタッフには話を通してたし問題ないわ」

P「ぬぅ…」

伊織「…ふふ」

伊織「『いいでしょ!?上手くいったんだから!』」

P「…!」

P「…」

P「『結果論だろ!失敗したらどうするつもりだったんだ!!』」

伊織「…失敗しても」

伊織「アンタがなんとかしてくれるんでしょ?」

P「まったく…」

伊織「にひひっ!…覚えてるのね」

P「当たり前だ。あの時スタッフ全員にすごい目で見られたんだからな」

伊織「女の子を泣かせるのはそのくらい罪が重いのよ」

P「…なぁ伊織」

伊織「なによ」

P「竜宮小町、いけそうか?」

伊織「いけないと思うの?」

P「…余計な心配だったか」

伊織「…信じてくれるんでしょ」

P「そうだな…」

P「…ひとつだけこの前言ったこと訂正する」

伊織「なに?」

P「この先伊織のプロデュースはないって言ったよな」

伊織「…ええ」

P「この先どうなるかわからんし、竜宮だって何年続くかわからないけど…」

伊織「…」

P「竜宮が解散してからでも、伊織が引退した時でも」

P「まぁ生涯現役だったとしても」

P「もう一度、伊織のライブが見たい」

伊織「…!」

P「…もしかしたらその頃にはおれじゃ小さな会場しか押さえれないかもしれないけどな、はは」

P「小さなハコでも、何年後でも…」

P「いつか…また伊織のライブをプロデュースしたい」

伊織「…!」グス

P「…どうだ?」

伊織「…」

P「…」

伊織「…っ…ぅ………ふぅ………はぁ〜あ」

伊織「しょうがないわね」

伊織「じゃあアンタはプロデューサーとしてではなくても一生私についてこなきゃいけないわね」

P「あ?ああ…そうなるか」

伊織「そうなるか、じゃないわよ」

P「はは…ありがとうな」

P「じゃあその時も『あ〜一緒にいてよかった』って言ってもらえるようにがんばるか!!」

伊織「あ、あんたね!ばか!変態!」

P「ははは」

伊織「…まったく」

伊織「…それはそうとして」

P「うん?」

伊織「他に言うことあるんじゃないの?」

P「ああ」

P「髪型、似合ってるよ」

伊織「当然ね!にひひっ♪」



おわり!

読んでくれた人ありがとー!
とりあえず曲との絡みと髪型変更のエピソードを書きたかっただけだったり…

感想書いてくれると次回作の構想膨らむんでよろよろ→ 
伊織かわいす

13:16│水瀬伊織 
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