2013年11月08日

モバP「文香が事務所に来て2カ月が経った」

P「事務所のみんなとはもう打ち解けてるんだろうか」

P「コミュニケーションとるのあんまり得意じゃなさそうだからなあ」


P「かと言って本人に『事務所にはもう慣れたか』って訊くのもちょっと違うよな」

P「よし、周りのアイドルに聞き取りをしてみよう」




千川ちひろ(プロデューサーさん、一人で何ブツブツ言ってるんだろう……)




※話の繋がりは特にない前作
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370868902/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1370963523

【CASE 1 聞き取り対象者:荒木比奈】

あ、プロデューサー。アタシに聞きたいことって何スか?

え?文香ちゃん?

仲良くしてもらってるッスよ。

アタシも人付き合いとかそんなに得意な方じゃないんスけど、文香ちゃんはなぜか馬が合うッス。

一緒にいても疲れないんでスよね。

そうそう、この間二人で買い物に行ったんスよ。

聞いてない?言ってないスからね。

2週間くらい前のことっスかね……?




………

……………

…………………

――――女子寮 文香の部屋


比奈「文香ちゃん、借りてた画集返しに来たっスよ」

鷺沢文香「………お役に、立ちました……?」

比奈「もちろんッス。絵描きとして持っとくべきなんスけど、
   ああいう資料はいかんせん高くて……」

文香「………よかったら、ずっと持ってても……
   頻繁に、見るものでも……ないですし……」

比奈「いやいや、そこまで甘えるわけにはいかないっス。
   それじゃ、本当にありがとッス。お礼に今度お茶でもごちそうするっスよ」
文香「……あの、荒木さん……」

比奈「ん?どうかしたっスか?」

文香「いえ………、それなら、一つお願いが……」

比奈「お願い、ッスか?」

文香「………今度、買い物に……付き合ってほしいんです……
   東京の人ごみは……まだ慣れなくて……」

比奈「なるほど、確かにそれは不安ッスね。もちろんいいっスよ」

文香「……ありがとう、ございます……」
比奈「それで、何処に行きたいかは決めてるんスか?」

文香「………池袋に、本を探しに………」

比奈「っ!!」ブフッ

文香「………荒木さん………?」

比奈「い、いや、何でもないっス」

文香「………都合が、悪いのであれば……」

比奈「いやいやいや!ホントに大丈夫ッス!
   ………ちなみに、どうして池袋なんスか?」

文香「………上京したら、行こうって決めてたんです……
   ……池袋に、本店があって……」

比奈(殺せ!いっそ殺してほしいッス!)

文香「…………一度行ってみたかったんです………









   …………ジュンク堂本店……」

比奈「ジュンク堂ッスかー!なるほどそっちッスかー!!」ホッ

文香「…………荒木、さん………?」

比奈「何でもないッスよー!了解っス!バッチリ案内するっスよー!」

文香「………9階建ての本屋さん………楽しみです……」

比奈「分かるっスよー!きっとビックリするっス!」



………

……………

…………………


P「なるほど、比奈とは上手くやれてるみたいだな」

P「まーお互い本好きだし、話題も合うんだろうな。歳も近いし」

P「………年上や年下とはどうなんだろうな」



【CASE 2 聞き取り対象者:輿水幸子】

プロデューサーさん!このカワイイボクに何かご用ですか?

この忙しい僕を呼びだしたからには、それなりの用事なのでしょうね!

鷺沢さん?仲よくしてるか?

愚問ですね!完璧なボクは完璧な先輩でもあるので!

後輩とのコミュニケーションは大事ですから!

………ほ、本当ですよ!カワイイこのボクが話を盛ったりするワケがないじゃないですか!

先週の事務所であった話なんですが……



………

……………

…………………

―――――事務所

幸子「フッフフーン♪」カキカキ

ガチャッ

文香「……ます……」

幸子「フンフフーン♪」カキカキ

文香「………輿水さん………」ヌッ

幸子「うひゃああああ!!!」ガタガタッ

文香「………おはよう、ございます………」
幸子「さ、鷺沢さんですか!おどかさないでください!!」

文香「………すみません……あいさつは、したんですけど……
   ……昔から、声が小さくて……」

幸子「……ま、まあ別に驚いてなどいませんけど!ボクはカンペキなので!!
   それに挨拶をかかさないという姿勢は立派です!
   あ、ボクの方こそ挨拶がまだでしたね!おはようございます!!」

文香「…………」

幸子「ボクは自分の失敗を認めることができるんですよ!
   なぜならボクはカワイイので!!」ドヤァァァ

文香「…………はぁ………」
幸子「鷺沢さんはこの後レッスンですよね?
   大変だと思いますがボクのようなアイドルを目指して頑張ってください!
   ボクは午後からロケですけど!」

文香「………がんばり、ます……」

幸子「ええ、がんばってください!」カキカキ

文香「………何を……書いてるんですか……?」

幸子「これですか?学校のノートを清書してるんです!
   カワイイボクは学業もぬかりないので!」

文香「………真面目、なんですね。輿水さん………」

幸子「当然です!成績が下がってもお仕事を言い訳にしたくないですから!」

文香「……あ……」
幸子「おや?どうかしましたか?」

文香「……輿水さん……ここ、計算が……間違ってます…」

幸子「え゛!?」

文香「………ほら……ここは、sin30°じゃなくて……cos30°じゃないと……」

幸子「そそそそんなバカな………か、完璧なボクがこんな初歩の計算を……
   …………あ、本当だ」

文香「………気づいて……よかった、ですね……」
幸子「ふ、フフン!鷺沢さんこそ、ボクが清書するまで分からなかったミスにすぐ気付くなんて中々ですね!
   褒めてあげてもいいですよ!ボクは公明正大なので!」

文香「………一応、私も大学生ですし……中学の数学ぐらいなら……
   ……専門は、文学ですけど………」

幸子「そ、そうですか!まあ何でもいいですけど!
   ………えっと、その……」

文香「…………?」

幸子「こ、今度は国語のノートの清書に付き合ってくれてもいいですよ!
   光栄に思ってくださいね!!」

文香「………もちろんいいですよ、輿水さん……」ナデナデ
幸子「さん付けはともかく、名字で呼ぶのはやめてください!幸子でいいです!」

文香「………わかりました、幸子さん……」

幸子「………っ」パァァ

文香「…………」

幸子「ハッ!わ、悪くないですね!これからはそう呼んでくれて結構ですよ!」

文香「……はい……それじゃあ、私はレッスンに……」

幸子「そうですか、まあがんばってください!」

文香「………ええ……行ってきます、幸子さん……」


バタムッ


幸子「………えへへっ」
幸子「あ、頭をなでるのはやめてください!それと!」

文香「………何でしょう……?」

幸子「さん付けはともかく、名字で呼ぶのはやめてください!幸子でいいです!」

文香「………わかりました、幸子さん……」

幸子「………っ」パァァ

文香「…………」

幸子「ハッ!わ、悪くないですね!これからはそう呼んでくれて結構ですよ!」

文香「……はい……それじゃあ、私はレッスンに……」

幸子「そうですか、まあがんばってください!」

文香「………ええ……行ってきます、幸子さん……」


バタムッ


幸子「………えへへっ」
………

……………

…………………


P「幸子も色々考えてるんだなあ」

P「先輩としての自覚が出てきたのはいいことだ」

P「文香とのコミュニケーションも問題なさそうだな」

P「というか完全に家庭教師と生徒だなコレ」
文香「……プロデューサー……」

P「ん?おー文香。おはよう」

文香「………おはよう、ございます……
   ……そろそろ、予定の時間かと……」

P「あれ、もうそんな時間か。悪い悪い、じゃあ出ようか。
 もう準備はできてるか?」

文香「……はい……今日も、レッスンですか……?」

P「いや、今日はレコーディングの見学と、音楽プロデューサーへの挨拶だ。
 楓さんがアルバムの音録りしてるから、それを見させてもらおう」

文香「………挨拶、ですか………上手くできるかどうか、わかりませんが……」

P「自分の名前さえ言えれば問題ないさ。後は俺の売り込み次第だからな」フフフ

文香「……あの……」

P「どうした?」

文香「…私、人とお話するのも、苦手で…
   …そんな私が、アイドルを目指すことになって……」

文香「……自分でも少しずつ変わってきているのが、わかります……」

文香「……だけど、変われるなら、どこでも良かったわけではなくて………」

文香「…すみません。話をまとめるのが下手で……」

P「ゆっくりでいいよ」
文香「……私をここまで連れ出してくれたプロデューサーがいて……
   ……こんな私にもよくしてくれる他のアイドルの皆さんがいて……」




文香「……ここにいるから、私は変われるんだ、って……」



文香「………この事務所が好きなんだ、って……
   …そう、思うんです……」

P「………そっか」

文香「…へ、変なこと言って、すみません……」カァァ

P「ヘンじゃないさ。文香にそれだけ期待されてるなら、俺も気合い入れてプロデュースしないとな」

文香「…あの、あまり、大ごとにしない方が……」

P「ははっ。さぁ行こうか。楓さんも待ってるだろうし」

文香「………はい………」



P「幸子のレコーディングでもよかったんだけど、文香には楓さんの歌の方が参考になると思ってな」

文香「……楓さんの歌……まねできる気がしません…」
P「まあ歌唱力に関しては業界でも頭一つ抜けてると言っても過言じゃないからなー。
 ……アレ?文香って楓さんのこと名前で呼んでたっけ?」

文香「……楓さんは、来たばかりのころからお世話になってて……
   ……何かと、気にかけてくれてます…」

P「あー………なるほどな。何となくわかった」

文香「……プロデューサー……?」

P「いや、気にしないでくれ。多分ほっとけないというか、文香がかわいくてしょうがないんだよ」

文香「………?」

P「まぁ楓さんだけじゃなく、
 みんなにとってかわいい後輩なんだよ、文香は」

文香「…はい……」




文香「……ありがとう、ございます。プロデューサー…」





おしまい
これでおしまいです。
読んでくださってありがとうございます。
鷺沢さんかわいい。
こうやって皆でかわいがってればいいと思います。

>>19
これでいいでしょうか?

>>18 >>23
ありがとうございます!そんな感想をもらったのは初めてです


では楓さんのバースデーに向けて書き溜めてきます。

>>30
えーと……はい。VIPでSS書いてたときに使ってた酉です。
氷菓SSを中心に何本か書きました。
SS速報では1年以上使ってなかったんですけどね

16:30│鷺沢文香 
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