2013年11月08日

モバP「佐久間まゆとデートしちゃうぞ!!」

ちひろ「やっと、決めたんですね」

P「ちひろさん、なんの話ですか?」

ちひろ「まゆちゃんはPさんが絡むと、周りが見えなくなりがちですがいい子ですよ」


P「ちひろさんだから何の話ですか」

ちひろ「えっ?まゆちゃんと付き合い始めたんじゃないんですか?」

P「ハハ、そんなわけないでしょう」

P「まず、プロデューサーとアイドルが付き合うわけないじゃないですか」

ちひろ「でも、まゆちゃんとデートするんですよね」

P「そうですよ」

P「あっでも別にあれですよ恋愛感情とかはありませんから」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1353586973

ちひろ「はぁ、恋愛感情のないデートってなんですか」

P「仮にも、男と女が2人だけで出かけるんですからデートですよ」

ちひろ「じゃあまたなんでデートなんてするんですか?」

P「それがですね、最近まゆの仕事増えてきたでしょう?」

ちひろ「そうですね、いまではもううちの看板娘になっていますね」

P「でも、そのかわり休みがほとんどないんですよ」

P「まゆは16歳の現役女子高生、まだまだ勉強や友達関係それに恋人も欲しい年頃ですよ」

P「一緒にトップアイドルになるっていう夢の犠牲かもしれないですけれど」

P「それでも俺は彼女のプロデューサーとしてできる限りのことをしたいんです」


P「それで俺考えたんですよ、どうすればいいかって」

ちひろ「それで、デートですか」

P「そう、デートして少しでもまゆの労を労おうと思うんですよ」

ちひろ「わかりました、デート楽しんできてくださいね」

P「はい、あっそれとこれみんなには内緒にしてください」

ちひろ「なんでですか?」

P「どうせあいつら俺がまゆとデートに行ったらうるさいんで」

ちひろ「あら、ちゃんと他の子の好意に気付いているんですね」

P「ちひろさん何のことですか」

ちひろ「え?気付いてないんですか?」

P「アイドルがプロデューサーに恋するなんてありえないですよ」

P「あいつらやれ奢れだのあれ買えだのうるさいですし」

P「どうせ俺なんて、よくてもお父さんみたいにしか見られませんよ」

P「おっと、もうこんな時間だ早く行かないと」

ちひろ「後のことは任せてくださいね」

P「助かります、このお礼はいつか」

ちひろ「そんなお礼だなんて」ヨイショット

ちひろ「この量のスタドリがなんと今なら・・・

P「いってきま〜す」

ちひろ「お気をつけて〜」

ちひろ(本当に大丈夫かしらね、Pさん)
P(さて、待ち合わせの10時まであと15分位かな)

P(男なら先についてるのが常識だよな)

P「おっあれは」

まゆ「おはようございます、Pさん」

P「ああ、おはよう」

P「どうした?待ち合わせより早いじゃないか」

まゆ「早くPさんに会いたくて」

P「ありがと、お世辞でもそんなこと言われるとうれしいな」

まゆ「お世辞だなんて、そんな」

まゆ「ただ、まゆはPさんが好きなだけなんですから」

P「服も俺好みに合わせてもらってるみたいだし」

まゆ「うふ、ありがとうございます」

P「あ〜、立ち話もなんだしそろそろいくか」

まゆ「そうですね」

P「よしじゃあ、ほら」テヲダス

P「短い距離だけど、俺の車まで手でも繋ぐか?寒いし」

まゆ「ふふ、こっちのほうが暖かいですよ」ギュッ

P「わわっ!なにも抱きつかなくてもいいだろ」

まゆ「Pさんの腕あったかいですね」

P「みんなが見てるだろ離してくれ」

まゆ「人の目なんて気にする仲ですか」

P「気にする仲だよ」
P「ほら、もう早く乗れ」

まゆ「後部座席にぬいぐるみが置いてありますね」

P「ああ、それ美由紀のだよこの前忘れていったんだ」

まゆ「へぇ、そうですか」

P「うんしょっと、ちゃんとシートベルト締めろよ」

まゆ「まゆはPさんにつかまっているから大丈夫です」

P「俺が危ないからやめてくれないか」

まゆ「わかりました、やめます」

まゆ「移動中まゆにずぅっと話しかけてくださいね」

P「はいはい」
まゆ「最初はどこに行くんですか?」ブロロロ

P「とりあえず、買い物かな」

P「最近仕事が忙しかったからな」リョウキンハヒャクエンデス

まゆ「まゆも最近新しい服がほしいです」

P「珍しいな、まゆが自分の欲しいものいうなんて」

まゆ「そうですか?まゆはずっと前から欲しいものを言ってきたつもりなんですが」

P「そうでもないさ、せいぜいジュースが飲みたいくらいだろ」

P「たまにはわがままを言ったほうがいい」

まゆ「・・・なら、さっそくわがままを言ってみますね」

P「お、なんだなんだ?」
まゆ「もう一回まゆの名前を呼んでください」

P「そんなことでいいのか?」

まゆ「はい」

P「・・・・」

P「あ〜なんだ、改めて言うとなると照れるな」

まゆ「まゆは照れた顔のPさんも好きですよ」

P「そんな茶化すなよ」

まゆ「さぁ、ほら早くまゆの名前を」

P「まゆ」

まゆ「んんぅン」ビクッ

P「どうしたまゆ?大丈夫か」

まゆ「はい、軽かったから大丈夫です」
P「ごめんな、そのデリカシー無いこと聞くけど」

P「今日その・・女の子の日なのか?」

まゆ「軽いの意味を少し履き違えてもらって嬉しい反面嬉しいです」

P「どっちなんだよ」

まゆ「まゆはPさんの言葉なら罵詈雑言だろうと嬉しいですよ」

P「よし、そろそろ着くかな」

まゆ「向こうに着いたらまずどこにいきます?」

P「まゆの好きなところでいいよ」

まゆ「まゆの好きなところはPさんの好きところです」

P「それじゃまず、まゆの服でも見ようか」
P「Dの15か」バタン

P「まゆも覚えておいてくれないか」

まゆ「うふ、わかりました」ギュッ

P「だから、あんまり密着するなよ」

まゆ「Pさんはお嫌ですか?」

P「まぁ、今日ぐらいいいだろ」

まゆ「やはりPさんは優しいですね」

P「だれでも、そんなにかわいい子に上目遣いされたら許しちまうよ」

まゆ「かわいい子だなんて、お世辞が上手ですね」

P「お世辞なんかじゃないよ」

P「俺は心の底からまゆかわいいし気遣いのできるいい子だよ」

まゆ「いい子ですか・・・」
P「ん、なんか言ったか?」

まゆ「いいえ、何も言ってませんよ」ニコッ

P「うっ」ドキッ

P「はっはやく行こうか、他にも回りたいところあるし」

まゆ「そうですね、早く行きましょうか」グイッ

P「おい、引っ張るなよ」

〜服屋〜

P「いろいろ、売ってるな」

まゆ「ここのブランドまゆがモデルをやっているとき贔屓にしてくれたお店なんです」

P「へぇ、そうなのか」

まゆ「ちなみに、この服もここの奴なんですよ」
P「う〜ん、それにしてもどの服を選んでいいのやら」

まゆ「Pさんのライブの衣装なんかセンスがあっていいと思いますよ」

P「こう、なんだろライブはライブで日常は日常みたいな」

P「俺私服のセンスとかゼロなんだよな」

まゆ「まゆはそうは思いませんよ」

まゆ「今日のPさんもかっいいです」

P「正直、まゆはいつもかっこいいって言ってくれるからわからん」

まゆ「それはいつもほんとにPさんがかっこいいからですよ」

P「そうか?なら今回は俺が見繕ってやる」

まゆ「ほんとですか?」
P「ああ男に二言はない、そのかわりダサくても文句言うなよ」

まゆ「Pさんが選んだ服がダサいわけありませんよ」

P「よしじゃあこれとこれ、あれで・・」

P「こんな感じでどうだ!!」バーン

まゆ「とっても素敵でいいですね」

まゆ(でも、やっぱり少し子供っぽいかな)

P「それじゃ、俺はレジで会計済ませてくるよ」

まゆ「あの、お金は」

P「こんな時くらいしか使うときがないんだし使わせてくれ」

まゆ「でも、でも」

P「なら、俺の服を選んでくれ」
まゆ「えっ、そんなことでいいんですか?」

P「そんなことって、もと読モのまゆに服をコーディネイトしてもらえるんだ」

P「むしろ、安いくらいだよ」

まゆ「ふふ、そうですかなら頑張らないとですね」

P「ああ」

〜フードコート〜

P「ふぅ、いろいろ買ったな」

まゆ「ほんとにいいんですか?」

P「なにが?」

まゆ「服ほとんどまゆのですし、それにアクセだって」

まゆ「Pさんはジャケットにインナーとネクタイくらいしか」

P「だから言ったろ、気にするな」

P「俺はまゆに選んで欲しくてまゆは選んだ」

P「その正当な報酬だよ」

まゆ「ふふ、そうですか」
まゆ「次はどこに行くんですか?」

P「そうだな、定番で水族館にでも行ってみるか」

まゆ「はい、そうですね」ニコ

P「やっぱり、反則だよ」ドキドキ

まゆ「なにがですか?」

P「さて、もう昼過ぎだし行くか」

まゆ「はぐらかさないでくださいよ」ギュッ

P「こらっまた」

まゆ「片方荷物持っていないのがさびしそうなので」

まゆ「それともほんとはまゆのために空けてくれたんですか?」

P「馬鹿なこと言ってないで戻るぞ」

まゆ「はい、Dの15ですよ」

P「俺もちゃんと覚えていたよ」
まゆ「ふふ、子供みたいかわいい」

P「大人を茶化すんじゃない」

P「ほら早く乗れ」ガチャ

まゆ「そうですね、ふふ」

P「ほらちゃんとシートベルト締めて」バタン

まゆ「はいはい」カチャ

P「そんじゃ、行くか」ブロロロ

まゆ「ねぇ、Pさん」

P「なんだ」

まゆ「今日はどこまで行くんですか?」

P「今のところ水族館までだな」

まゆ「あくまで予定は未定、ということですか」

P「?なんのことだ?」

まゆ「もうじきわかります」
〜水族館〜

P「着いた〜〜」

まゆ「運転お疲れ様です」

P「まぁそこまで運転してないがな」

まゆ「ふふ、そうですね」

P「そいじゃ、いくか」

まゆ「はい」

P「大人一枚と高校生一枚」

受付「はい、大人一枚と高校生一枚ね」

まゆ「ちょっと待ってください」

P「まゆどうした?」

まゆ「大人二枚でお願いします」

受付「大人二枚ですか?」

まゆ「はい」

受付「大人二枚で7000円になります」
まゆ「ほら、早くPさん」

P「・・・」パサ

受付「3000円にお返しになります」

P「なぁまゆなんで大人二枚にしたんだ?」チケットヲハイケン

まゆ「500円しか変わらないからいいじゃないですか」チケットパチッ

P「それでもなぁ」

まゆ「今日はまゆのわがままデーですよ」

P「まぁいっかそれより見ろよ、イルカだイルカ!」

P「ほら、早くまゆも見てみろよ」

まゆ「やっぱり、子供みたい」

P「うお、すげぇシャチもいる」

まゆ「かわいいですね」スリスリ

P「まゆ、腕をスリスリするのやめてくれないか」

まゆ「いやですよ〜」スリスリ
P「ほら、歩きにくいから」

まゆ「わかりました、腕を絡ませるだけにします」

P「せめて、手をつなぐくらいにしてくれ」

まゆ「いやですよ〜」ギュッ

P「はぁ」

P「逸れたりするなよ」

まゆ「は〜い」

P「次は何かな」

まゆ「イワシのトルネードが見れるみたいですよ」

P「すごいな」

まゆ「そうですね」

P「でもまわりにサメとかいるけど大丈夫なのか」

まゆ「イワシは食べないように餌は与えてるみたいですよ」
P「次はトンネルか」

まゆ「カラフルできれいなお魚さんが多いですね」

P「なぁまゆ、上見てみろ」

まゆ「なんですか・・ふふ」

P「変な顔だよな、エイって裏側こんななのか」

まゆ「でもちょっとかわいくてまゆは好きですよ」

P「たしかに少し愛嬌があるな」

P「ハハ、なんかかなこみたいだな」

P「なんかこう、ゆったりとこうなんだろ思いつかなななな」

まゆ「今日はまゆだけをみてください、Pさん」

P「それにしてもつねるのはいたたたた」

まゆ「わかりましたね」

P「はい」
P「おっなんかでっかい水槽だな」

まゆ「サンゴ礁を再現してるみたいです」

P「うおぉ、でっけぇ魚」

まゆ「ナポレオンフィッシュですね、めがねもちうおなんて呼び方もします」

P「まゆよく知ってるな」

まゆ「昔から少し興味があったんですよ、ふふ」

P「よしじゃあ、あの黄色いの何だ?」

まゆ「キイロハギですね」

P「じゃああれは?」

まゆ「シリキルリスズメダイですね」

まゆ「ちなみにあれがトゲチョウチョウオで」

まゆ「あの、大きいエイみたいのがオニイトマキエイです」

P「まゆ・・・お前何者だ」

まゆ「ふふ、まゆはまゆですよ」
P「次は深海魚か」

まゆ「どうしたんですか?」

P「俺、深海魚苦手なんだよ」

P「ぷにぷにしてそうで気持ち悪いし、やけに顔は怖いし」

まゆ「そうですね、でも深海魚たちも頑張ってるんですよ」

P「そうだよな、深海魚に生まれたくて生まれたわけじゃないかも知れんしな」

まゆ「ふふ、そうですね」

P「でもやっぱり、苦手なものは苦手だ」

まゆ「早く通り過ぎましょうね、ふふ」
P「最後はペンギンとウミガメか」

まゆ「うふ、どっちもかわいいですね」

まゆ「ぺんぎんのよちよち歩きがまた・・・ふふ」

P「ペンギンおよぐの速いな」

P「それに比べてウミガメはのろのろかめさんか」

P「別々の水槽で爬虫類と哺乳類の争いか・・・ティンときた」

まゆ「Pさん」ニッコリ

P「まゆを見てティンときんだただたた」

まゆ「仕事の話は帰ってからですよ」

P「さて、帰るか」

P「まゆ、今日は楽しかったか?」

まゆ「Pさん今日は夜もご一緒しませんか?」

P「でも、親御さんに連絡も」

まゆ「大丈夫です、さっき親には連絡を入れました」

P「それでも若い娘さんを夜連れ出すのは」

まゆ「母は父と今晩出かけるそうです」

まゆ「若い娘さんを一人家に置くんですか?」ニッコリ

P「でも、そんなどこも予約してないし」

まゆ「知り合いのツテでさっきレストランを予約しました」

P「いや、それでも」

まゆ「Pさん」

P「わかった、行こう」

まゆ「はいっ!」
〜レストラン〜

P「やけに洒落た店だな」

まゆ「読モの時に知り合った人が教えてくれたんです」

まゆ「個室形式で区切られているのでマナーがうるさくなくて済むとか」

P「そりゃ助かった、いまだにテーブルマナーには自信がない」

まゆ「まゆもちょっとナイフとフォークは慣れませんね」

P「その割にはすいすい使ってるな」

まゆ「うふ、Pさんの前だから頑張ってるんですよ」

P「それでもやっぱり、すごいよ」

まゆ「Pさんのほうが何倍もすごいですよ」

P「そうか?」
まゆ「まゆは仙台で生まれました」

P「知ってる」

まゆ「最初はこんな田舎すぐに出て東京で頑張ろうと思ったんです」

まゆ「父の転勤が決まってすぐ、まゆは喜びました」

まゆ「なんてったって東京ですよ、人口もビルもなにもかも桁外れにすごい」

P「そりゃ夢の大都市、東京だもんな」

まゆ「ええ、まゆは頑張ってモデルになりました」

まゆ「でも、待っていたのはとても辛いことでした」

まゆ「全然こない仕事、やっと上にいったと思ったら次は雑誌が変わるからやり直し」

まゆ「まゆは嫌になりました、東京はキラキラした夢だけじゃないドロドロした悪夢もあるんだって」

まゆ「そんな時、手を差し伸べてくれたのがPさんでした」

まゆ「Pさんはまゆにもう一度キラキラした夢を見せてくれる」

まゆ「あなたとなら、どこえでもいける」

まゆ「そう、思ったんです」
P「まゆ、すまないが俺はそんなにすごい人間じゃない」

まゆ「知ってますよ、それくらい」

まゆ「まゆはこの世界の誰よりもPさん、あなたのことを見ていますから」

P「そうか」

まゆ「ねぇPさん、まゆはPさんのこと好きですよ」

P「そうか」

まゆ「付き合ってください」

P「・・・・・」

P「ごめん、無理だ」

まゆ「ふふ、わかっていました」

P「ごめん」

まゆ「謝らないでください、まゆもちゃんとわかっています」

まゆ「だから、告白したんです」
P「俺は・・お前が好きだ」

まゆ「知っています」

P「でも、俺はまゆのプロデューサーだ」

まゆ「知っています」

口の中にすでに切り分けたステーキを入れた。
この、甘酸っぱいソースが俺は苦手だ。
口の中がもどかしくなる。
でも、今は口に何か入れて、顎を動かさないとやっていられなかった。
まゆを見やる。かわいい。抱きしめたい。
一途に俺を見てくれる子。
毎日頑張って仕事やレッスンをこなして、なおかつ勉強も頑張っている。
正直、尊敬してしまう。10近くも俺のほうが長く生きているのに、敵わない。
まゆがそっと手を伸ばす。
俺の手をとり、丁寧にナイフを音を立てずに、皿に掛ける。
やわらかいな。小さい、小さい手。
今まで頑張ってきた手。そして、これからトップをつかむ手。
そんな手に握られていた赤い糸が俺の左手の小指に結ばれる。
俺はその過程を、ただじっと眺めていた。
その糸のもう片方の端はまゆの左手の小指にしっかりと結ばれている。

まゆ「これ、今日買ったんですよ」

まゆ「これで、二人は離れられないですね」
まゆ「もう一度いいます、私はあなたのことが好きです」

俺は、もう決まっていたのかもしれない。
部署が移動して一から始めなきゃいけない苦しみの中。
そんな中で、まゆの瞳は燃えていた。
実際はこの上なくきれいに透き通っていたのだが、その中のなにかを。
そう、なにかを感じた。俺はしっかりとその瞳の中の火を。感じた。
社長のようにいうのならティンときた。
ティンときたのだ。
そこからは早かった。スカウトしてデビューして、人気が出てきて。
あっという間に看板娘、いや看板アイドルになっていた。
ほんとはあっ何ていう暇もなく成長した。ここまで登ってきた。
でも、いつからだろう、ステージ上のまゆを、ファンのみんなに笑顔を振りまくまゆを。
独占しようと思ったのは。
最初からまゆの俺を見る特別な視線には気づいていた。
それが、少し過激すぎるのも。
いつからだろう、まゆを籠の中に、縛り付けようとしたのは。
その籠のまゆは優しくこっちを見つめるだけだった。
才能があって、努力家で自分よりも高い、高い存在。
絶対に縛り付けれない存在。
俺は、そっと首を横に向ける。
さすが、洒落た店だけあってガラス張りで夜の街がよく見える。
夜の宝石のような光のなかに強い光、空にポツンと。
俺は月を見た。

P「月が綺麗だな。」

咄嗟に出た言葉。
でも、これ以上ない。ポツンと光る、強い光に頼るしか。

P「何年かかるか分からない、でもいつか」

情けない、手を伸ばさせば届くはずだ。
そうして抱きしめれば良い。
愛を、思いを、言葉を、ただ吐き出せばいい。
それが、出来ないでいる。

まゆ「うふ、わかりました」

まゆはそうして赤い糸を握りしめる。
少し手が、白くなっているのがわかる。
やっぱり、まゆは強いな。
いや、女はみんなこうなのか、でもまゆはまだ16歳で。
頭がぐるぐるする。そんな俺を見てまゆはずっと不敵に笑う。
かわいいな、畜生。
時計を見るともうじき深夜だ。
この時間だと、終電も怪しい。まゆは俺が送って行くから関係ないが。
まゆもそれに気づいたらしく、足早に席を立ち準備を始める。
そこからよく、覚えていない。
気付いたら、まゆの家の前だった。
P「今日は楽しかったか?」

俺は本日二度目のセリフを吐いた。
赤い糸は自然と切れていた。
ちょうど真ん中で二人を分かつように。

まゆ「ええ、とっても楽しかったですよ」

まゆはそういうと、散歩前へ出る。
顎を上げ、唇がとがる。
ぷっくりとした形のいい唇だ。身を屈めそこに、優しく触れる。
時間にして2秒もないでも、長く思えた。
少しだけ、ほんの少しだけまゆの唾液は僕の口の中に入った。
正直、美味しかった。今日食べた、いやいままで食べた中で一番だ。
自分で思っていて恥ずかしくなる。
でも嬉しい。少し濡れたまゆの唇が目に入る。
またしてぇな、畜生。
そんな俺をしり目にまゆは玄関の戸の前まで駆けよる。
まゆは去り際にこんな言葉を残した。

まゆ「次は、最後まで」
〜後日〜

P「ということでして」

ちひろ「はぁ、えっなんですかこれ」

ちひろ「なんで私こんな惚気話聞かされてるんですか?」

P「まぁ、近況報告というやつです」

ちひろ「はぁ、金だけ置いて早く寿退社してくださいよ」

P「それ、男に言うセリフじゃないでしょ」

ちひろ「でもまさかまゆちゃんとそこまでやるとは」

P「ハハ、自分でも驚きですよ」

ちひろ「そうですね〜」

P「さて、行くか」

ちひろ「どこに行くんですか?」

P「今日まゆと待ち合わせしてるんですよ」

ちひろ「・・・じゃあこれ」ドサッ

そう言って渡されたのは、ドリンクセットだった。


             完
ふぅ、終わった
少しままゆが病んで無いような気が・・・・
自分のままゆはもっと誠実でPに一途ないい子なんです。
ああ、かわいいよままゆ

17:31│佐久間まゆ 
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