2013年11月08日

美希「しあわせ家族計画」

P「なぁ、美希」

美希「ん? なぁにハニー?」

P「暑いから少し離れてくれないか」


美希「やっ!」

P「嫌か〜そうか〜イチゴババロア買ってこようと思ったのに残念だな〜」

美希「そういう事は早く言うの! じゃあ一緒にお出かけしよう!」

P「うん、変装してね」

美希「暑苦しい中マスクは辛いの」

P「じゃあ俺一人で」

美希「やっ!」

P「嫌か〜」

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P「なぁ、美希」

美希「ん? なぁにハニー?」

P「足絡めるの止めてくれないかな?」

美希「やっ!」

P「嫌か〜そうか〜今俺は美希を抱き締めながら寝ようかと思ってたのに残念だな〜」

美希「そういう事は早く言うの! カモンなの!」

P「うん、ちょっと服脱がないでくれるとありがたいな」

美希「だってそれじゃなきゃエッチ出来ないの」

P「じゃあ俺はオナn」

美希「やっ!」

P「嫌か〜」
P「なぁ、美希」

美希「ん? なぁにハニー?」

P「洗剤の買い置きってこんなにあったっけ?」

美希「やっ!」

P「今はその流れじゃないね」

美希「それは親切なおじさんがくれたの」

P「ほ〜それはどんな人だい?」

美希「なんか帽子を被った変なおじさんで、洗剤の他に野球のチケットとかくれたよ」

P「ほ〜だから朝食卓に必ず新聞があるんだね〜」

美希「ミキはえらいの! だから褒めて褒めて!」

P「これが五回目じゃなかったら褒めてたのにな〜」グリグリ

美希「痛い! DVなの! 暴力亭主なの!」
P「なぁ、美希」

美希「ん? なぁにハニー?」

P「今日の晩飯何にする?」

美希「今日はミキが作るの!」

P「おぉ、期待してるからな」

美希「任せるの!」









P「―――…それでこれが晩飯か?」

美希「そうなの! 自信作なの!」

P「この机いっぱいに広がったおにぎりの海が?」

美希「こんな海ならいくらでも泳げそうなの!」

P「因みにおにぎりの中身は?」

美希「今回は奮発してお肉を詰めてみたの!」

P「マジか」

美希「高級牛肉なの!」

P「へ〜だから俺の財布がこんなに薄くなってるんだね〜」

美希「お、怒っちゃや…」

P「まぁ…いいか。 けど勝手に買い物に出た事は怒る」

美希「…ハニーが最近肉食べてないな〜って言ってたから…」

P「そこは素直にありがとう。 だけど誰かに見つかったら大問題だぞ?」

美希「き、気を付けるの…」

P「はぁ…まぁ、食べようか。 折角美希が俺のために作ってくれたおにぎりだもんな」

美希「う、うん! ハニー大好きなの!」

P「はいはい」ナデナデ

美希「えへへ♪」

P「美希、今日何回目だ?」

美希「ん? 何が?」

P「美希が俺にキスしてくるの」

美希「わかんないの」チュ

P「これで53回目」

美希「数えてるの? ハニーは真面目なの」

P「美希との同棲が始まってから毎日数えてるぞ。 因みにさっきので1042回目だ」

美希「ちょっと引くの」

P「俺は美希が大好きだからな」

美希「ちょっと戻ったの」

P「美希愛してる」

美希「ミキもなの!」チュ

P「これで今日54回目で合計1043回目」
P「美希、今日何回目だ?」

美希「ん? 何が?」

P「美希が俺にキスしてくるの」

美希「わかんないの」チュ

P「これで53回目」

美希「数えてるの? ハニーは真面目なの」

P「美希との同棲が始まってから毎日数えてるぞ。 因みにさっきので1042回目だ」

美希「ちょっと引くの」

P「俺は美希が大好きだからな」

美希「ちょっと戻ったの」

P「美希愛してる」

美希「ミキもなの!」チュ

P「これで今日54回目で1043回目」
P「なぁ、美希」

美希「ん? なぁにハニー」

P「もうアイドルに戻りたいと思わないか?」

美希「ん〜…ハニーと暮らしてる今が一番キラキラしてると思うから、ミキは戻りたいと思わないな〜」

P「そうか」

美希「ハニーはプロデューサーに戻りたいと思うの?」

P「いや、美希をプロデュース出来ないなら戻りたいと思わないな」

美希「あはっ☆ ミキと一緒だね♪」

P「だな」

美希「…皆今どうしてるのかな?」

P「わからん。 気にするな」

美希「分かったの…」
美希「ねぇハニー?」

P「ん? どうした美希?」

美希「もう一緒に生活を初めて結構経つけど…まだ?」

P「なにが?」

美希「ミキとのセックス」

P「…もうちょっと大きくなったらな」

美希「おっぱいが?」

P「いや、もう十分だろ」

美希「じゃあハニーのおちんちん?」

P「それはもう大きい」

美希「じゃあ始めるの!」

P「大きくなったらってのは美希が大人になってからって事だ」

美希「ミキは大人だよ?」

P「まだまだ子供だよ」

美希「失礼なハニーなの」

P「…」

美希「…」

P「…もうちょっとしたらな」

美希「あはっ☆ もうひと押しなの☆」
P「おい、美希」

美希「ん? なぁにハニー?」

P「テレビに春香が映ってる」

美希「わぁ! 本当だ!」

P「春香も立派になったな…」

美希「…あ、転んだ」

P「春香は変わらないな…」
美希「ねぇハニー!」

P「ん? なんだ美希?」

美希「千早さんがテレビで歌ってるの!」

P「千早も立派になったな…」

美希「え? バストサイズは変わってないみたいだけど?」

P「千早は変わらないな…」
P「おい、美希」

美希「ん? なぁにハニー?」

P「雪歩が声優にチャレンジだとよ」

美希「わぁ! 雪歩すごいの!」

P「雪歩も成長したな…」

美希「え〜と…『女の子が好きでも関係ないもん!』だって」

P「雪歩は変わらないな…」
美希「ねぇハニー!」

P「ん? なんだ美希?」

美希「貴音が映画主演だって!」

P「貴音も成長したな…」

美希「ラーメン珍道中ってタイトルだって! 観に行こうね!」

P「貴音は変わらないな…」
美希「ねぇハニー」

P「ん? なんだ美希?」

美希「ミキは変わったかな?」

P「おう、美希は変わったぞ」

美希「ほんと!? どこがどこが!?」

P「すっげぇ可愛くなった」

美希「からの〜?」

P「料理が上手くなった」

美希「からの〜?」

P「髪が短くなった」

美希「からの〜?」

P「…すっげぇウザったくなった」

美希「…」グスッ

P「う、うそうそ! 美希はダメな俺を支えてくれるすっげぇ素敵な女性になったよ!」

美希「へへ♪ 嬉しいの♪」

P「…嘘泣きかよ…」
P「なぁ、美希」

美希「ん? なぁにハニー?」

P「今日の晩飯もおにぎりか?」

美希「なの!」

P「なのじゃないが」

美希「おにぎり美味しいの!」

P「…今日はピザをとろう」

美希「ん〜…」

P「…イチゴババロアも買ってこよう」

美希「ピザって最高だねハニー♪」

P「ちょろい」
P「おい美希」

美希「なぁにハニー?」

P「もうちょっとでピザが来るからそんなにババロア食うな」

美希「やっ!」

P「まったく…」



ピンポーン



P「あ、来たぞピザ」

美希「今ミキはイチゴババロアで忙しいの」

P「…分かったよ、俺がとってくる」
.



ピンポンピンポーン



P「はいはい、今開けますよ〜」



ガチャ



?「…貴方はPさんですね?」

P「え? そうですけど…なにか?」

?「私…こういうものです」スッ

P「…」

美希「ねぇハニー? どうしたの?」

?「…これで確定だな。 おい! 被害者を保護しろ!」

美希「え? え?」
その声を合図にしたかのように部屋になだれ込んでくる屈強な男達

その男達に押さえ込まれる俺

その男達に囲まれる美希

美希はその状況を飲み込めないまま立ち尽くしている



?「Pさん。 貴方を星井美希さん誘拐の容疑で逮捕します。 貴方には黙秘権が…」



押さえ付けられた俺が見上げる男性は俺に変な書類を見せ、そのまま何か呪文のような言葉を吐き続けていた

それを黙って聞き続けている俺の視界に入らない場所から美希の声が聞こえてくる



美希「離して! 離すの! ハニーも離すの!! バカー!!!!」



今の俺にはその声さえ耳に入ってこなかった

美希の怒号と男性の呪文が合わさり、俺の耳の前で不協和音と化していた

その代わりに俺の中から溢れ出すもの

諦めという言葉

その言葉にならない言葉が俺の脳味噌を刺激してきた

そうして走馬灯のように走り抜ける俺の過去

忘れようとしていたわけではないが、思い出したくない過去

後悔しているわけではないが、胸の内に引っかかっていた過去

始まりであり終わりでもあった過去
.




一年前に俺は美希と駆け落ちをした

付き合うまではなんの支障もきたす事も無かった

当たり前だ

俺と美希との間だけで交わされた誓いだから

だがそこからの流れは酷いものだった

美希の親御さんから非難の嵐

社長から非難の嵐



「別れろ」

「お前は何を考えているんだ」

「このロリコンが」

「中学生に手を出すなんて」

「P君、この事務所を辞めてもらえるかね?」
.

俺は職を失った

それと共に美希との接触を絶たれた

その後は部屋で一人酒を呷る毎日

美希からの連絡は一切無い

当たり前だ、俺の携帯は今頃川の流れに乗って海へと到着しているだろう

俺自身への小さな戒め

女々しい戒め

日に日に増える酒の量

俺の周りにはビールの空き缶と、空き瓶が山のように積み上げられていた



ピンポーン



荒んだ俺の部屋に響くインターフォンの音

俺はそんな音を気にせず酒を飲み続けた



ピンポーン



しつこいな

俺は今現実から逃げるのに忙しいんだ



ピンポンピンポンピンポンピンポン



連打されるインターフォン

それは酒の力によって弱くなっていた俺の鼓膜を刺激し続けた

もう…一言怒鳴ってやらなければ気が済まなくなっていた

乱暴に持っていたビールを壁に投げつける俺

それと同時に立ち上がり、玄関まで足音を激しく鳴らしながら向かっていった
.

ガチャ



P「うっせぇんだよ!」



扉を開けると同時に怒鳴り散らす俺

その声を聞き、ビクッと身を跳ねさせる金髪の少女



P「……美希…」

美希「き…来ちゃった…あはっ☆」



目元に涙を貯めた美希

足元にはキャリーバッグ



P「な…なんでここに…」

美希「ミキね……家出してきちゃった☆」



強がっているのが分かる

俺は家出という軽い言葉だけでは処理しきれない程の何かを感じ取った

だって…美希の肩は震えているのだから



P「…」

美希「パパもママも分かってないの! ミキがどれだけ真剣にハニーを大好きなのか分かってないの! 社長も皆皆皆…分かってないの!」

P「美希…」

美希「分かってないの…」

.

美希の大きな目から溢れ出す涙

それでも必死に笑顔を作ろうと上がる口角

そんな美希を黙って見詰める無精髭で顔を覆い、酒に逃げていた俺

必死に戦っていた美希

必死に逃げていた俺

追いかけてくれていた美希

それからも逃げ続けていた俺

そんなダメな俺

そんな俺に追い付いて笑顔を見せてくれた美希

……そんな美希を見て、俺がやれる事はもう決まっていた



P「美希…何処か遠くへ行こう…誰も居ないような所まで行こう…そこで俺と一緒に暮らそう」



美希から逃げるのは止めた

その代わり…美希の手を取って逃げてやる

法律によって固められた自由の効かないこんな世の中から逃げまくってやる



美希「う…うん! ハニー大好きなの!」



愛の逃避行

綺麗な言葉で始まった汚いストーリー

そんな俺と美希の現実逃避
―――――
―――







美希「いやああああああああああああああああ!!!!!!!! ハニーを何処に連れてくの!!!!!!!」

「落ち着いてください星井さん!」

美希「ハニー!!!!!!ハニイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!」



美希の声が遠くに聞こえる

俺は白と黒で塗装された車の中で目を瞑っていた

こうすると美希が瞼の裏で笑っていてくれるから

こうなる日が必ず来ると分かっていたからずっと美希を見てきた

ずっと美希とのキスを数え続けていた

ずっと美希を抱かなかった

だって…後悔をしたくなかったから

美希をこれ以上苦しめたくなかったから

一時の快楽は身を滅ぼす

これは俺と美希の関係に当てはまる言葉だと思っていた

セックスは愛を確かめ合う行為であり、欲求を満たし合う行為

しかしその対価は大きい

もしその後二人が離れ離れになってしまったら?

もしどちらかが居なくなってしまったら?

もう二度と会えないかもしれなかったら?

…そう思うと俺はこれ以上美希との愛を深める事が出来なかった

臆病者と笑えばいいさ

だけどこれが俺の選択であり、小さな良心

美希を思えばこその決断

…今更だけどね
.




…もう美希の声は聞こえない

パトカーのサイレンも聞こえない

夜中の住宅街だから気を使っているのだろうか

窓の外の街灯が線を引くように横切っていく

終わりが見えない線の先

俺の人生は終わっているのに視界に映る線はどこまでも続いている

皮肉なものだな
....


























「もう戻ってくるんじゃないぞ」



驚いたな…この台詞って本当に言われるんだな

久しぶりという言葉では片付けられない程長い時間だったが、俺を出迎えてくれた外の世界

中の世界では寂しいものだったな

面会に来てくれる人間は誰もいなくて、手紙さえ来ない毎日

誰かと交わす言葉と言えば看守さんとの事務的な会話のみ



P「あ〜…久しぶりに誰かと話してぇな…」

「呼んだ?」

P「え?」

「ねぇ、今呼んだよね?」

P「えっと…」

「ねぇ…呼んだよね…」

P「……なぁ、美希」

美希「ん? なぁにハニー?」

P「……おにぎり食べたい」

美希「あはっ☆ ミキに任せるの☆」













おわりおわり
これにて終了です

後でHTML化依頼出してきますね

17:36│星井美希 
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