2014年07月15日

橘ありす「結城さんとの軽井沢」

ソフト百合を志して書いております。苦手な方は、どうかご遠慮ください。書き貯め少ないので、遅くなるかもしれません。







ザァァァァァ……ザァァァァァ……





軽井沢:ちょっとした雨除け





タブレット「台風8号は、未だ勢力を……時速15kmで……」





タブレット「三河湾に……今後の台風……報を」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405090160



晴「今更聞いたって仕方ないだろ。Pはこっちにこれそうにねーし……さむっ」





ありす「誰のせいだと思っているんですか……サッカークラブの試合を見学したいとか言って、ここを離れたのは誰です」





晴「それにわざわざついてきたヤツは誰ですかー?オレは一人でちょっとだけ見て、さっさと戻る予定だったっての」





ありす「アイドルが一人で出歩くんですか?不用心ですね」





晴「衆人環視の中で誘拐出来るヤツがいるなら、見てみたいって。で、これからどうするよ」





ありす「タブレットの電池残量は心許なく、結城さんは……」





晴「わ、悪いかよ。スタジアムのコーチに呼ばれて勇んで走って転んで」





ありす「そして片足を挫いてしまう。長距離の移動は望めませんね……だいたい、離れるならPさんに一声かけるべきだったんです」





晴「連絡が一声遅れたんだ……すぐ見てすぐ戻るつもりだったって言っただろ」





ありす「本当にそれが出来てたら、良かったですね」





晴「ちっ……ま、サンキュな。ありす、お前が連絡してくれたんだろ」





ありす「なんで褒めるんですか……まぁ、間違ってはいませんけどね。私はPさんに監視役を任されてますので」





晴「監視役じゃないと、ここにいないっての?」





ありす「……何でもありません」





晴「何がだよ、変に間を開けてさ。ン……メール来てるぞ?」





ありす「えっと……助かりました。ちひろさんからですね」





晴「なになに。Pは懇談会を断って離れた以上、軽井沢には戻れない。で、ちひろさんが近辺のホテルを予約してくれた……か」





ありす「迎えは明日になるんですね。ホテルの距離は……近いです。歩けますか?」





晴「この程度ならなんとかなるだろ……およっ」グラッ





ありす「ダメじゃ無いですか……無理して歩いたりするからです。よっかかってください」





晴「悪りぃな……へくしっ」





ありす「傘を忘れたりなんかするからですよ。ティッシュどうぞ」





軽井沢:ホテルシンデレラ



ザァァァァ…… ザァァァァ……



ありす「こ、ここは……」





ありす(げっそりとして来ました。私だって子どもじゃありませんから、このカリオストロ城みたいな建物が何をするか……そっその、ナニをする建物なのかを理解しています)





ありす(破廉恥です。不条理です。理解不能です、意味がわかんないです。Pさんは東京に向かってるとして、ちひろさんの手配でしょうか……出来るだけ近くがいいと連絡したのは私ですけど、非常識にもほどがあります。小学生にこんな建物を紹介するなんて、何考えてるんでしょうか)





晴「へーっ、今時こんな……城?が、なあ」





ありす「それほどな物でもありませんよ。似せて建てているんですから……」





晴「でもまぁ、こういうのって泊まったことねぇし。ちょっと楽しそう、かもな?」





ありす「そりゃ、楽しむところですからね……」





ありす(だいたい、泊まった事があったら怖いですよ)





晴「レジャー施設みたいなもんか。ちひろさんも散財するな……サッカー関連のやつあったらやんないか?」





ありす「その足で?」





晴「げー……だよな。えっと、ここで部屋選ぶのか?」





ありす「部屋も含めて、ちひろさんが用意してくれてるみたいです。202番室の鍵、とってくれますか?」







晴「よいっ……しょっと。これだな?」





ありす「ありがとうございます」







ホテルシンデレラ:202番室





晴「うわ……なんか装飾過多だな。ぬいぐるみ多いし」





ありす「子供っぽさが、過ぎますね……ちひろさんったら……」





晴「ま、カリノヤドリってやつだし。コインランドリーで服が乾くから、室内用になんかいいのねーかな」





ありす「無いわけじゃ無いですけど、サイズが……」





晴「なんだよ、サービス悪いな……ふうっ疲れた」





ありす(そもそも私たちみたいなのが、来る前提じゃありませんからね……どんな交渉をして泊めさせてもらったのだか)





晴「おっ、ベッドでけーな……うわっ、ふかふかしてる!」ポスポス





ありす「結城さん!お疲れでしょうし、先にシャワーを浴びませんか?」





ありす(なんで結城さんなんですか……先にシャワーを云々なんて、もっと別の人に言うべきっていうか、こんな会話をするんじゃまるで……)





晴「おう。じゃ、入ってくる……なんか変な間取りだな?風呂の中がガラス窓で見れるようになってるし」







ありす「外側からのコントロールで消せるみたいですね」





晴「へー……覗くなよ?」





ありす「だ、誰が!?」





晴「冗談だ。浴衣みてーの、あったら置いといてくれ」ガラッ





ありす「……ああっもう!」







晴「どうしたんだよ、るっせえな」ガラッ





ありす「ははははる結城さん!?シャワーじゃ!?」





晴「タオル忘れてさ。それよりどうしたんだよ、お前風邪ひいた?」





ありす「そんな事ありません……それより、しっ下着でほっつき歩かないでください!」







晴「なんだよ、母ちゃんみてーなこと言ってさ……つーか、暑いんだよ」





ありす「い・い・か・ら!お風呂へ入って、どうぞっ!はいタオル!」





晴「何カッカしてんだよ、ったく。でも、ありがとよ」ガラッ







ありす(確かに、私は今平静を保てていないかもしれません……晴さんって、以外と体格が豊かというか、背はあまり変わらないのに……)













ありす(晴さん?違います、結城さんです。だいたい、どうして結城さんの体型が関係あるんですか、非論理的です。黙れ、黙りなさい橘ありす、素数を数えるんです。2.4.6.8……ああぁぁぁ、もうっもうっ!)





ありす(……非生産的です。整理でもしながら、落ち着きましょう……)





ありす(ベッド……やっぱり大きい。あっ、天井に鏡なんて付いてるんだ。何に使うんだろう……あっやだ!)ゴロゴロ!





ありす(正しい用法を想像してしまって……うう、掛け布団をかぶってしまいました。意外と暖かいというか……)







ありす(ジュースでも飲みましょう。冷蔵庫の中身は……えっと)





冷蔵庫の中身「ボクノナマエハスタドリ!テイソウハネラワレテイル!」





ありす「成分表……素直になる、元気になる、過ち恐れずに青春を求め合うようになる。比喩が過ぎますね」





ありす「ベッドは……ボタンが付いてる?ポチッと、しない方がいいでしょうね。あれ、何の箱だろう」





ありす「や、やだ……こんなのって」





ゴチャゴチャ……



コケシ(小)「ノウアルタカハパンチヲカクス!」

コケシ(中)「オレハショウショウアラッポイゼ!」

コケシ(大)「ツギノスパロボコソデタイナァ……」

おぞましいビーズ「ゼンメツダ!」

粘性の強いオイル「センメツスル!」

ヴルヴルヴァイヴ「モウヤメヨウヨ」





ありす「ありえません、これはあってはならないことです。シチュエーションないホテル天国なんて消えるべきなんです。こんな、こんなの、人が人にしていい事じゃありません……だいたい、入るわけないんです、人体の構造を欠片も理解してない倒錯者のエンジニアーが自身の能力に自信を持たせる為に作ったもので…….そう、そう!これはコケシなんです!子供が家からいなくなった不幸な家庭が子供の変わりに置いている霊的でオーガニック的な何かを発露するためのシャマニスム的アイテムであって、決して

やましいものじゃなくて!」











ありす「……私は何を熱く、弁護をしているのでしょうか。テレビでも見て落ち着きましょう」







ブツンッ





ありす「微妙に古いのか、少しオゾン臭がしますね……うん?」





テレビ「トオノ、キモッティィトイッテ?アナタノコトガスキダッタノヨ!ア〜ヨイデスワァ〜カッココウコツカッコトジ」







ありす「……ふわぁっ!?ありえません、こんなの非生産的です!次世代に繋がらない行いなんて!」





ゲルググ「IPSにはやれない、STAPならヤれる」





ありす「そうです、こういう恣意的なカメラワークというのは、男性の性的ファンタジィを満たすためのそれであって、こっこんな……こんな事が現実の日本で!」





テレビ「マギレモナイジジツナノヨッ!」





ありす「しゃああべるなぁぁぁぁ!」





ありす(今の私は、やっぱりおかしいです。結城さんの言ったとおり、相当カッカしてます……何に?でも)





テレビ「____♪_____!」





ありす(ほ、本当に入るの?いえ、これはお芝居で嘘っぱちなんだから。でも、こんな表情までしてしまうの……?)





ありす(……こういう状況に至ったりすると、晴さんですらこんな顔になるんでしょうか)





シャワー室「_____♪」





ありす(晴さんって、お風呂に入ってるとき歌っちゃう人なんだ……ああっ!だから!晴さんは!何にも!関係!無いのに!)





ありす(今の私は……はぁ。自身の下衆な想像に、晴さん……じゃなくて、結城さんを巻き込んでしまってるんです。例えそれが妄想の産物であったとしても、友達に向けていいそれではない、向けてはならないものなんです)





ありす(……友達じゃ無ければ、何?)







ガラッ





晴「うーっす、上がったぞー……やっぱダボつくな、これ」





ありす「結城さん!?で、出るときは一声」





晴「かける必要あんのか?ン……テレビ、なんかやってるか?」





ありす「え!?いえいえ、何にもヤっておりませんです!」ブツッ





晴「ほー……?怪しいな。お前って慌てるとさ、文法が乱れたり話が長くなったりするよな?」





ありす「し・ま・せ・ん!お風呂、入れ替わりますよ!」





晴「どーぞ。なんかジュースとかねーか?すげー疲れた」





ありす「無いわけでは無いですけど……」





晴「サンキュ」







ホテルシンデレラ:バスルーム





チャポン……







ありす「……暑い」





ありす(このお風呂って、そう言えば晴さんの残り湯……何考えてるんでしょう、私は)





ありす「……ベッド、一つしか、無いんだ。結城さんがベッドで、私はソファ。こうしましょう、こうしましょう……」





ホテルシンデレラ:202号室





ありす「あがりました……結城さん?」





晴「……う、よお。お疲れさん」





ありす「大丈夫ですか。顔が、赤い……?」





晴「ああ。なんか落ち着いたら、ははっ……どっと、来ちまった」





ありす「空き瓶……ドリンク、飲んだんですか!?」





晴「駄目、だったか?オレの方が風邪だったか……はぁっ」







ありす(顔が真っ赤になっていて、肌が火照っていて……その肌が、体格に合わない浴衣から覗いてます)





ありす(背格好の割りに、純粋に栄養状態が良いのでしょう。意外と艶がある髪も、すり傷があるけどハリと輝きもある肌も……見えます)





ありす(晴さんが……ビデオの女優さんみたいな、濡れた目をしてる)







ありす「結城さん。歯を磨かないでいいから、寝ちゃいましょう」





晴「……そうする」







202号室:ベッド上





晴「暑いのに……寒い」





ありす「掛け布団を被ってください。ほとんどの病気は、汗を流せば治ると聞いたことがあります」





晴「うん。サンキュ……」







ありす「電気を消します。おやすみなさい」





晴「ン……」



パチンッ





ありす(……このまま、ソファで寝てしまえばいいのに)







ありす(晴さんが寒がっているって、理屈をつけなきゃいけない)





ありす(友達なら、しないのに。いつもなら、絶対にしないのに)





晴「あ、り、す……?」





ありす「晴さん。入りますね」









ありす「この掛け布団、少し薄いですから」





ありす(言われたら、どうしましょう。晴さんに変だって……いくら風邪だって、いくら友達だからって、一緒に寝たがることなんかありえないんだって。本当はこの掛け布団はとっても暖かいのに、って……言われたら。当たり前の否定を、されてしまったら……)





晴「ありす」





ありす「……はい」





晴「もう少し、寄ってくれ。足が出て冷える」





ありす「……!」





晴「来てくれ。暖かい方が楽なんだ」







晴(いつものありすなら「足なんて出るわけないでしょう」って言うのにな……でも、いいか)





ギュッ





晴(なんか甘い匂いがする。いつもと違うな……そうか、いつもとシャンプーが違うもんな)





晴(……って事は、オレも今同じ匂い、なのか?)







晴(そもそも、なんで匂いなんか考えるんだ、オレ……ありすも同じ事を考えてたから、カッカしてた、のか?)





晴(……やめるか。自分がそうなら相手もそう、なんて理屈がまかり通る訳がねー。風邪の日の、夢なんだ)





晴(……でも、こういう時にいてくれるのが、ありすなんだよな……どうしよ)





晴(暗くてわかんねぇ。今のオレって、今のありすって……どんな顔してんだろ?)





ありす(晴さんの心臓って……意外と落ち着いてるっていうか、テンポが正しい)





ありす(……乱れてきてる。これを知ってるのは、今は私だけ?)







ありす(……今日をただの夢にしなければ、いけないのかな。意味が無いって。駄目だって言って。ナーバスになった精神と薬理作用につけ込んだ一時の気の迷いなのかな)



ありす(私は……何に、素直になればいいんでしょう。晴さんと、何になりたいんでしょうか……わかりません、わかりっま、せん……)ポロポロポロポロ……





晴「ありす。お前は……温かいから。だから……」





ありす「っは……ふはっあうっ」







翌日:ホテルシンデレラ前





モバP「住所はここで合ってる……としても、ラブホ前?間違ってるんじゃないか?」





ありす「Pさん、おはようございます」





晴「お、いたいた。おはよー」





モバP(二人が連れ合いながら、歩いて来てる!?)







モバP「おはよう。二人ともお疲れさま」





ありす「散々ですよ。晴さんとこんな目にあうなんて……」





晴「散々、だったのか?」……ジトッ





ありす「えっ……?えぇ、えっと」





晴「なんでもねーよ」プイッ





モバP(何が、だ?というか、しれっと名前呼びしてるし……)





モバP「枕が違ったが、よく寝れたか?」





晴「まぁ、ぐっすりとはいかなかったけどな」





ありす「ねっ寝る!?」





モバP(ああ……追求すんのやめよ)





モバP「とりあえず車止めてるから、そいつで戻ろう。あと晴、今後は事前連絡をしてくれ」





晴「悪りぃ、次は無しにする……ところでオレ、腹減ってんだけど。昨日から何も食ってねーし」





モバP「減給処分食らったんだよ、勘弁してくれ……近所のご飯屋さんはまだ開いてないし、コンビニメシになるけどいいか?」







ありす「帰るのを優先しましょうよ。急いで戻ってから温かいものを食べた方が……」グーッ!





モバP「……俺さ、最近燃費良いの。ご飯余ったら食ってもらっていいか?」





ありす「し、仕方ありませんね。余ったら、私が食べてあげましょう」





モバP「恩に着る。晴の監視のお礼だ、イチゴアイス何個食いたい?」





ありす「モノで釣るつもりですか?」



モバP「前金だよ。いらないならまぁ……しょうがないけどな。腹冷えるといけないしな?」





ありす「ひ、冷えるような事はしてないので、大丈夫、です……」





晴「ふーん、しかしまぁ。食べてあげる、ね……」





ありす「何か?」





晴「なんでも?……本当はハラ減ってるくせに」





ありす「聞こえてますよ?減ってませんから」





晴「ぐーっ!元気だな?」





ありす「くっ……これは、そう、先日食べた牛が鳴いたんです」





モバP「いいからさっさと乗ってくれよー」





モバP(二人がちらちら表情を合わせ合ったかと思ったら、すぐに目を離しあってしまう。なんで俺がこんなの見てなきゃならないんだろうか。帰ったら、ちひろさんを問い詰めないとな……)





3人はコンビニに立ち寄って軽く食べて終了です。アイス交換会で小規模な喧嘩が起きたようですが、それは本筋ではありません。





おわり



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