2013年11月15日
貴音「離婚します」
貴音「離婚、しましょうか」
響「は?」
響「は?」
貴音「お別れです、響」
響「……ちょっと待て、貴音」
響「それはできない」
貴音「何故です!」
響「んーとな、貴音」
響「離婚ってのは、結婚してないとできないんだぞ」
貴音「なんと」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358886963
響「というか、どうしたんだ貴音!? 急に、お別れだなんて」
響「もしかして自分、貴音に何か悪いことしちゃったか……?」
貴音「いえ、そうではないのです」
貴音「ただ、男もすなる離婚といふものを、一度してみたかっただけで」
響「そ、そっか……離婚って、基本的に男女揃ってするものだけどな」
響「それにしても、離婚ねぇ……ドラマの役作りとか?」
貴音「ええ、そんなところです」
響「ふうん、貴音も大変なんだなあ」
響「というか、貴音は相変わらず変わってるな」
貴音「はて」
響「いくら仕事のためとはいえ、進んで離婚をしようだなんて」
響「そもそも離婚なんてのは、しない方がいいものなんだぞ?」
貴音「しかし、私には他に手立てが……」
響「ま、そうだよなあ……」
響「実体験を聞いて回るにしても、離婚経験者なんてそうそういるもんじゃないし」
響「うちの事務所の女性陣に至っては、離婚どころか結婚すらしてな――
響「!?」ビクッ
貴音「響、どうしました?」
響「……いや、今しがた背後に殺気を感じたんだけど」チラッ
響「気のせいか……?」
貴音「?」
響「あー……こういう時は、律子に相談するのが一番なんだろうけど」
響「いないしな、今」
貴音「打つ手無し……ですか」
響「いや、心当たりならあるぞ」
貴音「なんと!」
響「この時間なら、まだ事務所にいるだろうし」
貴音「して、それは一体……!?」
響「蛇の道は蛇、だ」
響「演技のことは、演技のプロに聞けばいいんだよ」
貴音「!」
伊織「それで、私のところに来たってワケ?」
響「ああ、よろしく頼むぞ」
響「自分完璧だけど、演技のこととか正直よくわからないし」
伊織「随分と欠けた完璧だこと……それにしても」
伊織「あんたも馬鹿ね、役作りのために離婚だなんて聞いたこともないわよ」
貴音「真、その通りでございます……」
伊織「あんた、宇宙人の役にキャスティングされたら宇宙人になるの? 無理でしょう?」
貴音「返す言葉もありません……」
伊織「ちょっとはイメージしなさいよ、考えたらわかるでしょうが」
貴音「はい……」
響「おお、なんというセイロンティー」
伊織「演技はね、イメージすることが大切なのよ、わかる?」
伊織「イメージして初めて、役作りってものができるの」
伊織「そのための材料として、何冊か本を貸してあげるから」
伊織「きちんと読み込んで、ちゃんとイメージするのよ」
伊織「いいわね?」
貴音「はい!」
響「伊織って、中学生なんだよな……?」
貴音「水瀬伊織、本日は真にありがとうございました」
伊織「どういたしまして」
貴音「この御恩は、いつか必ず」
伊織「Dar y recibir」
貴音「?」
伊織「困ったときはお互い様、よ」
伊織「そうだ、その辺に転がってる双子達のゲーム機」
伊織「あんたが、なおしといてあげて」
貴音「ふふ、かしこまりました」スタッ
響「なあ」
伊織「ん、何よ」
響「貴音って、機械に詳しいのか?」
伊織「はあ、そんなわけないでしょ? あの娘、携帯ですら上手く扱えないのに」
響「だよな、そうだよな……?」
伊織「それより、響」
響「うん?」
伊織「あんたって、テレビ見る方?」
響「んー……いや、みんなが出てるのは見てるつもりだけど」
響「他はさっぱりだな」
伊織「そ、ならいいわ」
伊織「じゃ、私はそろそろ仕事だから」
響「今からか? ああ、ラジオのゲストだっけ」
伊織「ええ、聞き逃すんじゃないわよ」
響「おう、気をつけるよ」
響「伊織も気をつけろよ、道が滑りやすくなってるから」
伊織「そうね、用心するわ」
伊織「いってきます」
響「いってらっしゃい、今日はありがとなー」
貴音「響、お待たせしました」
響「お、早かったな」
貴音「? そうですか?」
響「それよりどうする?」
響「一旦、本置きに家に帰るか?」
貴音「ええ、そうしましょう」
響「ん、わかった。 持つよ、本」
貴音「ふふ、ありがとうございます」
貴音「今日は、とても寒いですね」
響「そうだな、足元凍ってるから気をつけるんだぞ」
貴音「その心配はありませんよ、響」
響「? 何でだ?」
貴音「私は、少し浮いていますから」
響「浮いてるの!? 宙に!?」
貴音「いえ、存在が」
響「ああ、浮いてるってそういう……いやいや、それもどうなんだ!?」
貴音「足元どころか、空気をも凍らせてみせましょう」
響「最悪だー!!」
響「というか、貴音は別に浮いてないだろ」
貴音「そうでしょうか」
響「うん、むしろ浮いてるのは自分のほうさー」
響「この前のライブ、なぜか自分以外みんな中学生だったし」
響「ぼっちだとか、よく言われるしな」
貴音「いいえ、響は決して浮いてなどいませんよ」
貴音「私が保証します」
響「貴音……」
貴音「響には、浮いた話の一つもありませんもの」
響「やかましいよ!」
貴音「時に、少し寄りたい所があるのですが」
貴音「よろしいでしょうか」
響「うん? 別にいいけど、どこ行くんだ?」
貴音「それは、とっぷしぃくれっとでございます」
響「……シークレットもなにも、これから行くんだろ?」
貴音「ええ、着いてからのお楽しみということで」
響「お楽しみなら、いいんだけどな?」
貴音「不幸せはー歩いてこない、だーから歩いて行くんだねー」
響「不吉な歌を口ずさむな!」
貴音「さあ、到着しましたよ響!」
響「こ、ここは……!」
響「……区役所?」
貴音「さあさ、中に入りましょう」
響「ちょ、ちょっと待って」
響「何、なんで区役所?」
響「一体これのどこが楽しいんだ?」
貴音「はあ……みなまで言わないとわかりませんか、響は」
響「自分が悪いのか……?」
貴音「仕方がありませんね、みなまで言いましょう」
貴音「響」
貴音「私達は、今から――」
貴音「離婚します」
響「は?」
貴音「離婚、しましょうか」
響「…………いやいやいや、それはおかしいって」
響「ドラマのことなら、伊織に解決してもらっただろ?」
貴音「あれは嘘です」
響「なっ!?」
貴音「ドラマに出演する予定は、今の所ありません」
貴音「私はただ、男もすなる離婚といふものをしてみたいだけなのです」
響「うぐっ……ま、まあそれはいい」
響「でもな貴音、さっきも言ったと思うが」
響「離婚ってのは、結婚してないとできないんだぞ?」
貴音「ええ、承知しております」
貴音「なので、響」
貴音「結婚しましょう」
響「!?」
響「……なあ貴音、ちょっとイメージしてみようか」
響「常識的に考えてさ、無理だろ?」
貴音「ふふ、心配はご無用ですよ」
貴音「この度18になった私が、夫を務めますので」
響「そういう問題では無く!」
響「あー、それにな。 結婚するにも、色々と必要なものが――
貴音「響の分も含めて、全て用意してあります」
響「」
貴音「響の印鑑と、それから……」ゴソゴソ
響「そ、それ! 自分の戸籍謄本じゃないか!?」
貴音「ええ、必要とのことでしたので」
貴音「わざわざ沖縄から郵送してもらいました」
響「そんな、簡単に取れるもんじゃ……」
響「!」
響(ちょっと待てよ)
響(戸籍って確か、生まれた場所とかも書いてあるんだよな……)
響(貴音の、いわゆる『トップシークレット』の部分)
響(気になる)
響「なあ、貴音」
響「そっちの書類も、見せてくれよ」
貴音「!」
貴音「そ、それは……とっぷしぃくれっとです故に、お見せできません」
響「なんだよ、婚約者にも見せられないってのか?」
貴音「…………どうぞ」
響「ん、ありがと」
響「えーっと……」
響「!」
響「貴音、お前――
貴音「響」
貴音「それ以上は、いけません」
響「あ、ああ……」
貴音「さて、秘密を知ったからには」
貴音「私と、結婚してもらいますよ」
響「お、おう」
響(ま、どうせ通らないだろうしな)
響(だって自分たち、女同士だし)
響(……………………)
貴音「どうしました、浮かない顔をして」
響「いや、別に……貴音は、浮かれてるな」
貴音「ええ、もちろん」
貴音「だって、夢が叶うわけですから」
響「……そっか」
貴音「さあ、行きましょうか」
――――
――
P「二人とも、結婚おめでとう!」
「「「「おめでとー!!」」」」
貴音「ありがとうございます!」
響「な」
伊織「それにしても、急な話よねえ」
律子「まったく、結婚するなら相談してくれれば……」
小鳥「まあまあ、いいじゃないですか」
響「なな」
春香「いやー、先越されちゃいましたね〜あずささん!」
あずさ「春香ちゃ〜ん、ちょっとこっちに来てくれるかしら〜?」
春香「嫌ですー」
響「ななな」
雪歩「ふふ、響ちゃんと四条さんってお似合いだよね」
千早「ええ、本当にいいカップルだと思うわ、掛け値なしに」
美希「なの!」
響「なななな……」
響「なんでやねん!!!」
「!?」
真「ど、どうしたの響!? 突然、関西弁になって……」
真美「あいでんててー崩壊の危機だよ、ひびきん!」
響「な、なんでこんなに、すんなり結婚できたんだ!?」
亜美「と言いますと?」
響「だって自分たち、女同士なのに――!
P「なんだ、そんなことか」
響「そんなことって!」
P「おいおい、これでも俺はプロデューサーだぞ?」
P「法一つ変えられないで、お前達のプロデュースができるかよ」
響「」
貴音「響」
響「た、貴音」
貴音「そう深く考えることはありません」
貴音「私と響は結婚することが出来た、それでいいではありませんか」
響「そうは言ってもな……どうせ、この後すぐに離婚するんだろ?」
貴音「いいえ、そんなことはしません」
響「!?」
貴音「だって、離婚というものは――」
貴音「しない方がいいもの、なのでしょう?」
響「……はは、貴音には敵わないな」
貴音「おや、今度は浮ついたような顔をしていますね」
響「そうか? まあ、そりゃそうだろうな」
響「だって――夢が叶ったんだから」
――――
――
小鳥「という話を、考えてみたんだけど」
小鳥「どうかしら?」
伊織「あんた、真面目に仕事しなさいよ……」
春香「千早ちゃん、離婚しよう!」
千早「は?」
-fin-
響「……ちょっと待て、貴音」
響「それはできない」
貴音「何故です!」
響「んーとな、貴音」
響「離婚ってのは、結婚してないとできないんだぞ」
貴音「なんと」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358886963
響「というか、どうしたんだ貴音!? 急に、お別れだなんて」
響「もしかして自分、貴音に何か悪いことしちゃったか……?」
貴音「いえ、そうではないのです」
貴音「ただ、男もすなる離婚といふものを、一度してみたかっただけで」
響「そ、そっか……離婚って、基本的に男女揃ってするものだけどな」
響「それにしても、離婚ねぇ……ドラマの役作りとか?」
貴音「ええ、そんなところです」
響「ふうん、貴音も大変なんだなあ」
響「というか、貴音は相変わらず変わってるな」
貴音「はて」
響「いくら仕事のためとはいえ、進んで離婚をしようだなんて」
響「そもそも離婚なんてのは、しない方がいいものなんだぞ?」
貴音「しかし、私には他に手立てが……」
響「ま、そうだよなあ……」
響「実体験を聞いて回るにしても、離婚経験者なんてそうそういるもんじゃないし」
響「うちの事務所の女性陣に至っては、離婚どころか結婚すらしてな――
響「!?」ビクッ
貴音「響、どうしました?」
響「……いや、今しがた背後に殺気を感じたんだけど」チラッ
響「気のせいか……?」
貴音「?」
響「あー……こういう時は、律子に相談するのが一番なんだろうけど」
響「いないしな、今」
貴音「打つ手無し……ですか」
響「いや、心当たりならあるぞ」
貴音「なんと!」
響「この時間なら、まだ事務所にいるだろうし」
貴音「して、それは一体……!?」
響「蛇の道は蛇、だ」
響「演技のことは、演技のプロに聞けばいいんだよ」
貴音「!」
伊織「それで、私のところに来たってワケ?」
響「ああ、よろしく頼むぞ」
響「自分完璧だけど、演技のこととか正直よくわからないし」
伊織「随分と欠けた完璧だこと……それにしても」
伊織「あんたも馬鹿ね、役作りのために離婚だなんて聞いたこともないわよ」
貴音「真、その通りでございます……」
伊織「あんた、宇宙人の役にキャスティングされたら宇宙人になるの? 無理でしょう?」
貴音「返す言葉もありません……」
伊織「ちょっとはイメージしなさいよ、考えたらわかるでしょうが」
貴音「はい……」
響「おお、なんというセイロンティー」
伊織「演技はね、イメージすることが大切なのよ、わかる?」
伊織「イメージして初めて、役作りってものができるの」
伊織「そのための材料として、何冊か本を貸してあげるから」
伊織「きちんと読み込んで、ちゃんとイメージするのよ」
伊織「いいわね?」
貴音「はい!」
響「伊織って、中学生なんだよな……?」
貴音「水瀬伊織、本日は真にありがとうございました」
伊織「どういたしまして」
貴音「この御恩は、いつか必ず」
伊織「Dar y recibir」
貴音「?」
伊織「困ったときはお互い様、よ」
伊織「そうだ、その辺に転がってる双子達のゲーム機」
伊織「あんたが、なおしといてあげて」
貴音「ふふ、かしこまりました」スタッ
響「なあ」
伊織「ん、何よ」
響「貴音って、機械に詳しいのか?」
伊織「はあ、そんなわけないでしょ? あの娘、携帯ですら上手く扱えないのに」
響「だよな、そうだよな……?」
伊織「それより、響」
響「うん?」
伊織「あんたって、テレビ見る方?」
響「んー……いや、みんなが出てるのは見てるつもりだけど」
響「他はさっぱりだな」
伊織「そ、ならいいわ」
伊織「じゃ、私はそろそろ仕事だから」
響「今からか? ああ、ラジオのゲストだっけ」
伊織「ええ、聞き逃すんじゃないわよ」
響「おう、気をつけるよ」
響「伊織も気をつけろよ、道が滑りやすくなってるから」
伊織「そうね、用心するわ」
伊織「いってきます」
響「いってらっしゃい、今日はありがとなー」
貴音「響、お待たせしました」
響「お、早かったな」
貴音「? そうですか?」
響「それよりどうする?」
響「一旦、本置きに家に帰るか?」
貴音「ええ、そうしましょう」
響「ん、わかった。 持つよ、本」
貴音「ふふ、ありがとうございます」
貴音「今日は、とても寒いですね」
響「そうだな、足元凍ってるから気をつけるんだぞ」
貴音「その心配はありませんよ、響」
響「? 何でだ?」
貴音「私は、少し浮いていますから」
響「浮いてるの!? 宙に!?」
貴音「いえ、存在が」
響「ああ、浮いてるってそういう……いやいや、それもどうなんだ!?」
貴音「足元どころか、空気をも凍らせてみせましょう」
響「最悪だー!!」
響「というか、貴音は別に浮いてないだろ」
貴音「そうでしょうか」
響「うん、むしろ浮いてるのは自分のほうさー」
響「この前のライブ、なぜか自分以外みんな中学生だったし」
響「ぼっちだとか、よく言われるしな」
貴音「いいえ、響は決して浮いてなどいませんよ」
貴音「私が保証します」
響「貴音……」
貴音「響には、浮いた話の一つもありませんもの」
響「やかましいよ!」
貴音「時に、少し寄りたい所があるのですが」
貴音「よろしいでしょうか」
響「うん? 別にいいけど、どこ行くんだ?」
貴音「それは、とっぷしぃくれっとでございます」
響「……シークレットもなにも、これから行くんだろ?」
貴音「ええ、着いてからのお楽しみということで」
響「お楽しみなら、いいんだけどな?」
貴音「不幸せはー歩いてこない、だーから歩いて行くんだねー」
響「不吉な歌を口ずさむな!」
貴音「さあ、到着しましたよ響!」
響「こ、ここは……!」
響「……区役所?」
貴音「さあさ、中に入りましょう」
響「ちょ、ちょっと待って」
響「何、なんで区役所?」
響「一体これのどこが楽しいんだ?」
貴音「はあ……みなまで言わないとわかりませんか、響は」
響「自分が悪いのか……?」
貴音「仕方がありませんね、みなまで言いましょう」
貴音「響」
貴音「私達は、今から――」
貴音「離婚します」
響「は?」
貴音「離婚、しましょうか」
響「…………いやいやいや、それはおかしいって」
響「ドラマのことなら、伊織に解決してもらっただろ?」
貴音「あれは嘘です」
響「なっ!?」
貴音「ドラマに出演する予定は、今の所ありません」
貴音「私はただ、男もすなる離婚といふものをしてみたいだけなのです」
響「うぐっ……ま、まあそれはいい」
響「でもな貴音、さっきも言ったと思うが」
響「離婚ってのは、結婚してないとできないんだぞ?」
貴音「ええ、承知しております」
貴音「なので、響」
貴音「結婚しましょう」
響「!?」
響「……なあ貴音、ちょっとイメージしてみようか」
響「常識的に考えてさ、無理だろ?」
貴音「ふふ、心配はご無用ですよ」
貴音「この度18になった私が、夫を務めますので」
響「そういう問題では無く!」
響「あー、それにな。 結婚するにも、色々と必要なものが――
貴音「響の分も含めて、全て用意してあります」
響「」
貴音「響の印鑑と、それから……」ゴソゴソ
響「そ、それ! 自分の戸籍謄本じゃないか!?」
貴音「ええ、必要とのことでしたので」
貴音「わざわざ沖縄から郵送してもらいました」
響「そんな、簡単に取れるもんじゃ……」
響「!」
響(ちょっと待てよ)
響(戸籍って確か、生まれた場所とかも書いてあるんだよな……)
響(貴音の、いわゆる『トップシークレット』の部分)
響(気になる)
響「なあ、貴音」
響「そっちの書類も、見せてくれよ」
貴音「!」
貴音「そ、それは……とっぷしぃくれっとです故に、お見せできません」
響「なんだよ、婚約者にも見せられないってのか?」
貴音「…………どうぞ」
響「ん、ありがと」
響「えーっと……」
響「!」
響「貴音、お前――
貴音「響」
貴音「それ以上は、いけません」
響「あ、ああ……」
貴音「さて、秘密を知ったからには」
貴音「私と、結婚してもらいますよ」
響「お、おう」
響(ま、どうせ通らないだろうしな)
響(だって自分たち、女同士だし)
響(……………………)
貴音「どうしました、浮かない顔をして」
響「いや、別に……貴音は、浮かれてるな」
貴音「ええ、もちろん」
貴音「だって、夢が叶うわけですから」
響「……そっか」
貴音「さあ、行きましょうか」
――――
――
P「二人とも、結婚おめでとう!」
「「「「おめでとー!!」」」」
貴音「ありがとうございます!」
響「な」
伊織「それにしても、急な話よねえ」
律子「まったく、結婚するなら相談してくれれば……」
小鳥「まあまあ、いいじゃないですか」
響「なな」
春香「いやー、先越されちゃいましたね〜あずささん!」
あずさ「春香ちゃ〜ん、ちょっとこっちに来てくれるかしら〜?」
春香「嫌ですー」
響「ななな」
雪歩「ふふ、響ちゃんと四条さんってお似合いだよね」
千早「ええ、本当にいいカップルだと思うわ、掛け値なしに」
美希「なの!」
響「なななな……」
響「なんでやねん!!!」
「!?」
真「ど、どうしたの響!? 突然、関西弁になって……」
真美「あいでんててー崩壊の危機だよ、ひびきん!」
響「な、なんでこんなに、すんなり結婚できたんだ!?」
亜美「と言いますと?」
響「だって自分たち、女同士なのに――!
P「なんだ、そんなことか」
響「そんなことって!」
P「おいおい、これでも俺はプロデューサーだぞ?」
P「法一つ変えられないで、お前達のプロデュースができるかよ」
響「」
貴音「響」
響「た、貴音」
貴音「そう深く考えることはありません」
貴音「私と響は結婚することが出来た、それでいいではありませんか」
響「そうは言ってもな……どうせ、この後すぐに離婚するんだろ?」
貴音「いいえ、そんなことはしません」
響「!?」
貴音「だって、離婚というものは――」
貴音「しない方がいいもの、なのでしょう?」
響「……はは、貴音には敵わないな」
貴音「おや、今度は浮ついたような顔をしていますね」
響「そうか? まあ、そりゃそうだろうな」
響「だって――夢が叶ったんだから」
――――
――
小鳥「という話を、考えてみたんだけど」
小鳥「どうかしら?」
伊織「あんた、真面目に仕事しなさいよ……」
春香「千早ちゃん、離婚しよう!」
千早「は?」
-fin-