2013年11月17日
真・千早「お菓子を作る」
真「……」
千早「……」
千早「……」
真「千早」
千早「なにかしら?」
真「お菓子を作るんだよね?」
千早「ええ」
真「何を作る予定なのか教えてほしいんだけど」
千早「まだ決まっていないわ」
真「いっぱい材料は買ってるみたいだけど、これは?」
千早「ええ。お菓子作りに必要そうなものを全部集めたわ」
真「でも何を作るのかは決まってないんだよね?」
千早「ええ、だから手当たりしだいに買ってみたの」
真「えー」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366374567
真「念のため訊くけど、千早はお菓子を作った事あるの?」
千早「無いわ。今日が初めてよ」
真「こういうのはボクじゃなくて春香と一緒に作ったらいいと思うんだけど」
千早「ええ。でも、春香へのプレゼントに春香の力を借りるというのは不自然でしょう?」
真「うん、それはそうだけど、じゃあなんでボクなの?」
千早「特に理由はないわ。近くにいたからよ」
真「ひどいなぁ」
千早「真は料理経験とかはどのくらいなの?」
真「あんまり……お菓子なんて作った事ないよ?」
千早「そう……」
真「そこまで落ち込まないでよ」
千早「やっぱり諦めた方が」
真「…千早」
千早「真?」
真「ここは諦めずにやろう。一緒にやったら何とかなるはずだよ!」
千早「そうね。まだ何も初めてないもの」
真「とりあえず、春香はどんなお菓子だと喜ぶかを考えてみよう」
千早「ケーキ?」
真「初めてでいきなりケーキはレベルが高すぎるような気がする」
千早「じゃあクッキーで」
真「クッキーなら簡単そうだから何とかなるかも?」
千早「ではクッキーにしましょう」
真「クッキーかぁ…春香もよく作ってくるよね」
千早「やっぱりケーキに……」
真「千早。春香のクッキーを相手に考えたらダメだよ」
千早「でも、自分のクッキーよりも美味しくないものを渡されて喜ぶかしら?」
真「味じゃないよ。こういうのはいかに心を込めたのかが大切なんだ!」
千早「じゃあ心を込めたクッキーにしましょう」
真「まずは…材料の選定から始めよう」
千早「待って、まだ大切なことがあるわ」
真「え、何?」
千早「エプロンをしないといけないわ」
真「うん、そうだね…」
真「とりあえずレシピだね」
千早「薄力粉、バター、牛乳、砂糖、塩、バニラエッセンスね」
真「一応レシピはあるんだ」
千早「前に春香が言ってたわ」
真「クッキーに塩って入れるんだ」
千早「その時春香が言ってたことをそのまま覚えているだけよ」
真「それって本当に大丈夫……?」
千早「春香の言葉を私が忘れるはずがないわ」
真「時折、千早が怖く感じるよ」
真「バニラエッセンスってボク見た事ないんだけど」
千早「残念ながら私も見た事はないわ」
真「バニラのエッセンス?」
千早「バニラエッのセンス?」
真「意味わかんないよ」
千早「バニラのエッセンスって何かしら…バニラアイスのことかしら?」
真「クッキーにアイスを入れて意味あるの?」
千早「そうかしら…もしかすると美味しくなるのかもしれないわ」
真「えー」
千早「もしかするとバなんて無いのかも知れないわ」
真「バがない?」
千早「もしかしたらニラのエッセンスの可能性があるわね」
真「ニラかぁ…たまに緑色のクッキーがあるのはニラだったんだ」
千早「はっ!」
真「ど、どうしたの?」
千早「もしかしたらバラかもしれないわ」
真「バラって……花だよ?」
千早「食べられる種類のものもあると、高槻さんが言ってた気がするわ」
真「やよい……でもバラかぁ…一応そこの花瓶にささってるけど」
千早「緊急事態よ。頂きましょう……あら、この白い花もバラかしら?」
真「それは多分鈴蘭じゃないかな」
千早「そう、じゃあ関係ないわね」
真「えっと……ニラは買いに行けばいいの?」
千早「私はニラが嫌いだから勘弁してあげましょう」
真「えー」
千早「材料が揃ったわ」
真「分量はどうしようか?」
千早「実は春香から魔法のスプーンをこっそり借りてきてるわ」
真「あとで返しておいてね」
千早「ふふ……」
真「それで、それのどこが魔法のスプーンなの?」
千早「大さじとか小さじとかに全部大きさが分かれているの。きっちりと分量が量れるわ」
真「それは凄い便利だなぁ。で、分量は?」
千早「……」
真「えっと…もしかして分量分からないの?」
千早「こんなものに頼ってはだめよ。歌だってそうでしょう?心よ」ポイッ
真「えー」
千早「まずはボウルに薄力粉を入れましょう」
真「開ける時には気を付けて。力を入れすぎると小麦粉がばふっと」
千早「」ばふっ
真「……」
千早「……」
真「白い千早も可愛いよ」
千早「ありがとう、真」
真「それで…次はどうしたらいいのかなぁ」
千早「とりあえず、材料を全部入れてみましょう」
真「砂糖とかの量がさっぱりなんだけど……」
千早「ええ、適当に入れてみましょう」砂糖ばさっ
真「じゃあ塩も適当に入れるね」塩どばー
千早「砂糖や塩なんて後で調整すればいいのよ」バターどーん
真「牛乳は生地が固まるくらいの量だから、慎重に入れるね」牛乳どばどばー
千早「あとはこのバラね」バラぐさっ
真「バラがバターに刺さって生け花に見えるんだけど」
千早「綺麗ね」
千早「じゃあ真、混ぜてもらえないかしら?」
真「うん、任せて。ちょっとバラが邪魔かも」
千早「そう……じゃあ残念だけどバラはミキサーにかけてくるわ」
真「うーん……バターが硬くてなかなか混ざらないなぁ」
真「砂糖とか塩のシャリシャリ感も無くならないし……でも牛乳は無くなっちゃったし」
千早「真」
真「なに?」
千早「思ったんだけど、バニラエッセンスは言うなればバラのエキスよね?」
真「そう……かな?」
千早「だったら、あの花瓶の水は凄いエキスが溶け出していると思うわ」
真「えっ」
千早「入れるわね」花瓶の水どばどばー
真「」
真「あ、水が入ったからシャリシャリ感が無くなった」
千早「ええ、今のところ順調ね。バラを入れるわ」バラどろどろ
真「あれ…なんか思ったよりカラフル……」
千早「綺麗ね、これなら春香も喜んでくれるわ」
真「うーん…今度は水分が多くなったせいか、ベチャベチャだ」
千早「固まらせるものね……」
真「千早、ボンドはやめよう」
千早「じゃあ液体のりに」
真「食べ物じゃないよね」
千早「くっ…そうだったわ。私は一体何をしようとしていたのかしら」
真「食べられないものは入れちゃダメだよ」
千早「ええ、だから食べても無害なスティックのりを入れるわ」ぼちゃーん
真「わーー」
真「取り出したけど……ちょっと欠けてる」
千早「まだ水分が多いわね」
真「小麦粉はもう無いんだよね?」
千早「ええ。片栗粉ならあるんだけど」
真「片栗粉なら大丈夫かな。じゃあそれ入れてみよう」片栗粉ばっさー
真「あ、固まってきた。なんか良い感じかも」
千早「さすが真ね」
千早「あとは……隠し味ね!」
真「隠し味……愛情とか?」
千早「ええ、だから……春香、大好きよ!」
真「そんなにボウルに向かって叫ばなくても……」
真「よし、これで完成かな、結構形になってるね」
千早「ちょっと多く作り過ぎたかしら……」
真「少ないよりはずっと良いと思うよ」
千早「ではここからは焼いていきましょう」
真「事務所にオーブンって無いよね」
千早「ここはフライパンにしましょう」
真「じゃあ油を入れて……生地を入れてと」
千早「表面にぶつぶつができてきたわ」
真「ひっくり返した方がいいね」
千早「じゃあ……あつっ」
真「手でひっくり返したら火傷するよ!」
千早「これくらいで挫けてはダメよ」
真「素直にフライ返しを使おうね」
くるっぱたん
千早「…………」
真「…………」
千早「真、少し思ったんだけど……」
真「なに?」
千早「これってホットケーキじゃないかしら」
真「あ」
真「クッキーなんだから、形を整えてから焼かないと」
千早「ここは春香から借りてきた型抜きを使いましょう」
真「結構借りてきたんだね……星型とかハート型とかいっぱいある」
千早「とりあえず一通り使ってみましょう」
真「えいっ……えいっ……」
千早「えいっ……えいっ……」
真「えいっ……えいっ……」
千早「えいっ……えいっ……」
千早「こんなものかしら」
真「さっきフライパンで失敗した分は無くなったけど、それでも結構作れたね」
千早「ええ、これなら春香も喜んでくれるわ」
真「じゃあフライパンに油をひいて」
千早「素直にレンジにしましょう」
真「えー」
千早「それで……電子レンジってどうやって使うのかしら?」
真「そこまで機械音痴だったっけ?」
千早「冗談よ。このつまみを回せば…あれ?」
真「コンセント入ってないよ?」
千早「くっ…」
チンッ
千早「完成ね」
真「うん、これなら春香も満足してくれるよ!」
千早「ええ。ありがとう、真」
真「あっ…千早、ちょっとこのクッキー、分けてもらっても良いかな?」
千早「ええ…いいけれど、食べるの?」
真「ボクも千早と同じく大切な人にあげるよ」
千早「真」
真「どうしたの?」
千早「もし良かったら、次も一緒に作ってくれないかしら?」
真「うん、次はケーキでも作ろう!」
千早「春香……あの、少しいいかしら?」
春香「どうしたの、千早ちゃん?」
千早「私、いつも春香にお世話になってると思って……その、お返しをしたくなったの」
春香「お返し?えへへ、私も千早ちゃんには一杯お世話になってるけど、嬉しいなっ」
千早「これ、クッキーを焼いたの。初めてだから上手にできなかったんだけど」
春香「おっきくて食べがいがありそうだね!」
千早「真と一緒に作ったんだけど、分量が分からなかったから……でも、美味しくできたと思うわ」
春香「ありがとう、千早ちゃん!」
春香「(……なんか凄く硬いクッキーだなぁ)」
春香「じゃあ遠慮なく頂くね!(どきどき)」ガリッ
春香「…………かたっ」
春香「(あまくてしょっぱい…千早ちゃん、なんでこんなに砂糖と塩入れたの……中で塊になってるよ)」
春香「(それになんだろう、この緑色の)」
春香「(あとこの……にちゃにちゃして……!?)」
春香「(な、な…なんで糊なんか入れてるの、千早ちゃん!!)」
千早「春香……ど、どうかしら?」
春香「(期待の眼差しが重い……ここは飲み込むしかない!!)」ごっくん
春香「千早ちゃん」
千早「どうかしら、春香……」
春香「ありがとう。千早ちゃんの気持ち、とっても良く伝わったよ」
千早「良かった……愛情も一杯いれたから、それが伝わったのね」
春香「う、うん……」
春香「それでね、レシピを見て作ったのかな?」
千早「ごめんなさい。分からなかったから適当に作ったわ」
春香「……今度のお休み、一緒にお菓子作ろっ!」
千早「いいの?私、邪魔にしかならないわ」
春香「ううん。千早ちゃんの腕が上がるなら、私、いつでも協力するよ」
千早「春香……嬉しいわ。じゃあ今度春香の家に行くわね」
春香「うん、材料とかは私が用意しておくね」
春香「(あまったクッキー、どうしよう……)」
真「プロデューサー、これ食べてください!」
P「これって……クッキーか?」
真「はい、千早と一緒に作りました!」
P「そうか、今ちょっと小腹が空いたところだったんだ」
真「初めてだから美味しくないかもしれません。その時は言ってください」
P「真の初めてのお菓子が美味しくないなんていうはず無いよ。じゃあ頂きます」ガリッ
P「(真、ごめん。前言撤回だわ。これ全部食ったら塩分の採りすぎで死ぬ)」
P「(しかもすごく甘い。それにこのちくちくするのは棘か?何入れてるんだよ……)」
P「(恐ろしくしょっぱいが、カルメ焼きに近いか……棘が痛いなぁ)」
P「(なんか妙にべたべたしたのがあるな……正体が分からん)」
真「どうですか?」
P「(こんなに期待している真の前でリバースはできん。飲み込むか…)」ごっくん
P「真」
真「はい、なんですか、プロデューサー!」
P「すごく心が籠ってた。ありがとう」
真「やりぃ!」
P「ただ、少し分量を間違えたのかもしれんな。材料もちょっと変わったものが入ってたぞ」
真「すいません、ちょっとレシピが無くて、千早と適当に作っちゃいました」
P「(それが原因か……)」
P「そうだ、良かったら料理本でもプレゼントしようか」
真「本当ですか!」
P「ああ。真も少しくらいは料理ができた方がいいだろ?そっち方面でも売り出せるかもしれんぞ」
P「真のエプロン姿とかは可愛いと思うし」
真「か、か、可愛いですか!」
P「ああ。だから、レシピ本をプレゼントさせてくれ。それでもっと美味しくなってくれたら嬉しい」
真「頑張ります!」
P「(残りのこれ、どう処理したらいいんだか)」
春香「プロデューサーさん」
P「……どうした、春香」
春香「もしかしたら私、直近で死ぬかもしれません」
P「そうか……俺もだ」
春香「プロデューサーさんは真からですか?」
P「春香は千早からか……」
春香「どうでした?」
P「春香と同意見だよ」
春香「なんで千早ちゃん、糊なんて入れたんだろう」
P「の、糊が入っていたのか?そ、そうかあれか」
春香「はい、ほんの少しでしたけど……」
P「……俺の方は棘が痛かった。多分、今日小鳥さんが持ってきたバラだ」
春香「ああ、あの緑色のってバラだったんですね」
P「……」
春香「……」
P「そういや、小鳥さんバラと一緒に鈴蘭持って来たよな」
春香「そうなんですか?まだ見てませんでした……って」
P「まさかあいつら入れてないだろうな」
春香「しゃ、シャレになってませんよ〜」
P「……他には何も入ってないよな?」
春香「分かりません……」
P「とりあえず正露丸は飲んだ。これが効くかは分からん」
春香「私もください……ありがとうございます」
P「はぁ……なんか怖いな」
春香「これからですよ、これから」
P「俺は一人暮らしだからな……もし明日、俺が来なかったらまず救急車を呼んでほしい」
春香「それを言われると……私も帰り道で倒れそうですよ」
P「……」
春香「……」
春香「あの、プロデューサーさん?」
P「なんだ?」
春香「今日、よかったら私の家に来ませんか?」
P「い、いいのか?」
春香「はい。事情を知ってる者同士がそばに居るとまだマシかと思いまして」
P「すまん……今日は一人でいるのが本当に怖かったんだ」
春香「あの、もし私が倒れちゃったら……」
P「ああ、すぐに助けるさ。そして死ぬときは一緒だ、春香!」
春香「私も精一杯お世話しますね!」
春香「(千早ちゃん、クッキーありがとう!)」
おわり
以上になります。
SS書くのと並行してクッキーを初めて作りましたが、真っ黒になりました。
バニラエッセンスは本当にバラのエッセンスだとずっと勘違いしてました。
なんかもういろいろとすいません。
ご清覧ありがとうございました。
千早「なにかしら?」
真「お菓子を作るんだよね?」
千早「ええ」
真「何を作る予定なのか教えてほしいんだけど」
千早「まだ決まっていないわ」
真「いっぱい材料は買ってるみたいだけど、これは?」
千早「ええ。お菓子作りに必要そうなものを全部集めたわ」
真「でも何を作るのかは決まってないんだよね?」
千早「ええ、だから手当たりしだいに買ってみたの」
真「えー」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366374567
真「念のため訊くけど、千早はお菓子を作った事あるの?」
千早「無いわ。今日が初めてよ」
真「こういうのはボクじゃなくて春香と一緒に作ったらいいと思うんだけど」
千早「ええ。でも、春香へのプレゼントに春香の力を借りるというのは不自然でしょう?」
真「うん、それはそうだけど、じゃあなんでボクなの?」
千早「特に理由はないわ。近くにいたからよ」
真「ひどいなぁ」
千早「真は料理経験とかはどのくらいなの?」
真「あんまり……お菓子なんて作った事ないよ?」
千早「そう……」
真「そこまで落ち込まないでよ」
千早「やっぱり諦めた方が」
真「…千早」
千早「真?」
真「ここは諦めずにやろう。一緒にやったら何とかなるはずだよ!」
千早「そうね。まだ何も初めてないもの」
真「とりあえず、春香はどんなお菓子だと喜ぶかを考えてみよう」
千早「ケーキ?」
真「初めてでいきなりケーキはレベルが高すぎるような気がする」
千早「じゃあクッキーで」
真「クッキーなら簡単そうだから何とかなるかも?」
千早「ではクッキーにしましょう」
真「クッキーかぁ…春香もよく作ってくるよね」
千早「やっぱりケーキに……」
真「千早。春香のクッキーを相手に考えたらダメだよ」
千早「でも、自分のクッキーよりも美味しくないものを渡されて喜ぶかしら?」
真「味じゃないよ。こういうのはいかに心を込めたのかが大切なんだ!」
千早「じゃあ心を込めたクッキーにしましょう」
真「まずは…材料の選定から始めよう」
千早「待って、まだ大切なことがあるわ」
真「え、何?」
千早「エプロンをしないといけないわ」
真「うん、そうだね…」
真「とりあえずレシピだね」
千早「薄力粉、バター、牛乳、砂糖、塩、バニラエッセンスね」
真「一応レシピはあるんだ」
千早「前に春香が言ってたわ」
真「クッキーに塩って入れるんだ」
千早「その時春香が言ってたことをそのまま覚えているだけよ」
真「それって本当に大丈夫……?」
千早「春香の言葉を私が忘れるはずがないわ」
真「時折、千早が怖く感じるよ」
真「バニラエッセンスってボク見た事ないんだけど」
千早「残念ながら私も見た事はないわ」
真「バニラのエッセンス?」
千早「バニラエッのセンス?」
真「意味わかんないよ」
千早「バニラのエッセンスって何かしら…バニラアイスのことかしら?」
真「クッキーにアイスを入れて意味あるの?」
千早「そうかしら…もしかすると美味しくなるのかもしれないわ」
真「えー」
千早「もしかするとバなんて無いのかも知れないわ」
真「バがない?」
千早「もしかしたらニラのエッセンスの可能性があるわね」
真「ニラかぁ…たまに緑色のクッキーがあるのはニラだったんだ」
千早「はっ!」
真「ど、どうしたの?」
千早「もしかしたらバラかもしれないわ」
真「バラって……花だよ?」
千早「食べられる種類のものもあると、高槻さんが言ってた気がするわ」
真「やよい……でもバラかぁ…一応そこの花瓶にささってるけど」
千早「緊急事態よ。頂きましょう……あら、この白い花もバラかしら?」
真「それは多分鈴蘭じゃないかな」
千早「そう、じゃあ関係ないわね」
真「えっと……ニラは買いに行けばいいの?」
千早「私はニラが嫌いだから勘弁してあげましょう」
真「えー」
千早「材料が揃ったわ」
真「分量はどうしようか?」
千早「実は春香から魔法のスプーンをこっそり借りてきてるわ」
真「あとで返しておいてね」
千早「ふふ……」
真「それで、それのどこが魔法のスプーンなの?」
千早「大さじとか小さじとかに全部大きさが分かれているの。きっちりと分量が量れるわ」
真「それは凄い便利だなぁ。で、分量は?」
千早「……」
真「えっと…もしかして分量分からないの?」
千早「こんなものに頼ってはだめよ。歌だってそうでしょう?心よ」ポイッ
真「えー」
千早「まずはボウルに薄力粉を入れましょう」
真「開ける時には気を付けて。力を入れすぎると小麦粉がばふっと」
千早「」ばふっ
真「……」
千早「……」
真「白い千早も可愛いよ」
千早「ありがとう、真」
真「それで…次はどうしたらいいのかなぁ」
千早「とりあえず、材料を全部入れてみましょう」
真「砂糖とかの量がさっぱりなんだけど……」
千早「ええ、適当に入れてみましょう」砂糖ばさっ
真「じゃあ塩も適当に入れるね」塩どばー
千早「砂糖や塩なんて後で調整すればいいのよ」バターどーん
真「牛乳は生地が固まるくらいの量だから、慎重に入れるね」牛乳どばどばー
千早「あとはこのバラね」バラぐさっ
真「バラがバターに刺さって生け花に見えるんだけど」
千早「綺麗ね」
千早「じゃあ真、混ぜてもらえないかしら?」
真「うん、任せて。ちょっとバラが邪魔かも」
千早「そう……じゃあ残念だけどバラはミキサーにかけてくるわ」
真「うーん……バターが硬くてなかなか混ざらないなぁ」
真「砂糖とか塩のシャリシャリ感も無くならないし……でも牛乳は無くなっちゃったし」
千早「真」
真「なに?」
千早「思ったんだけど、バニラエッセンスは言うなればバラのエキスよね?」
真「そう……かな?」
千早「だったら、あの花瓶の水は凄いエキスが溶け出していると思うわ」
真「えっ」
千早「入れるわね」花瓶の水どばどばー
真「」
真「あ、水が入ったからシャリシャリ感が無くなった」
千早「ええ、今のところ順調ね。バラを入れるわ」バラどろどろ
真「あれ…なんか思ったよりカラフル……」
千早「綺麗ね、これなら春香も喜んでくれるわ」
真「うーん…今度は水分が多くなったせいか、ベチャベチャだ」
千早「固まらせるものね……」
真「千早、ボンドはやめよう」
千早「じゃあ液体のりに」
真「食べ物じゃないよね」
千早「くっ…そうだったわ。私は一体何をしようとしていたのかしら」
真「食べられないものは入れちゃダメだよ」
千早「ええ、だから食べても無害なスティックのりを入れるわ」ぼちゃーん
真「わーー」
真「取り出したけど……ちょっと欠けてる」
千早「まだ水分が多いわね」
真「小麦粉はもう無いんだよね?」
千早「ええ。片栗粉ならあるんだけど」
真「片栗粉なら大丈夫かな。じゃあそれ入れてみよう」片栗粉ばっさー
真「あ、固まってきた。なんか良い感じかも」
千早「さすが真ね」
千早「あとは……隠し味ね!」
真「隠し味……愛情とか?」
千早「ええ、だから……春香、大好きよ!」
真「そんなにボウルに向かって叫ばなくても……」
真「よし、これで完成かな、結構形になってるね」
千早「ちょっと多く作り過ぎたかしら……」
真「少ないよりはずっと良いと思うよ」
千早「ではここからは焼いていきましょう」
真「事務所にオーブンって無いよね」
千早「ここはフライパンにしましょう」
真「じゃあ油を入れて……生地を入れてと」
千早「表面にぶつぶつができてきたわ」
真「ひっくり返した方がいいね」
千早「じゃあ……あつっ」
真「手でひっくり返したら火傷するよ!」
千早「これくらいで挫けてはダメよ」
真「素直にフライ返しを使おうね」
くるっぱたん
千早「…………」
真「…………」
千早「真、少し思ったんだけど……」
真「なに?」
千早「これってホットケーキじゃないかしら」
真「あ」
真「クッキーなんだから、形を整えてから焼かないと」
千早「ここは春香から借りてきた型抜きを使いましょう」
真「結構借りてきたんだね……星型とかハート型とかいっぱいある」
千早「とりあえず一通り使ってみましょう」
真「えいっ……えいっ……」
千早「えいっ……えいっ……」
真「えいっ……えいっ……」
千早「えいっ……えいっ……」
千早「こんなものかしら」
真「さっきフライパンで失敗した分は無くなったけど、それでも結構作れたね」
千早「ええ、これなら春香も喜んでくれるわ」
真「じゃあフライパンに油をひいて」
千早「素直にレンジにしましょう」
真「えー」
千早「それで……電子レンジってどうやって使うのかしら?」
真「そこまで機械音痴だったっけ?」
千早「冗談よ。このつまみを回せば…あれ?」
真「コンセント入ってないよ?」
千早「くっ…」
チンッ
千早「完成ね」
真「うん、これなら春香も満足してくれるよ!」
千早「ええ。ありがとう、真」
真「あっ…千早、ちょっとこのクッキー、分けてもらっても良いかな?」
千早「ええ…いいけれど、食べるの?」
真「ボクも千早と同じく大切な人にあげるよ」
千早「真」
真「どうしたの?」
千早「もし良かったら、次も一緒に作ってくれないかしら?」
真「うん、次はケーキでも作ろう!」
千早「春香……あの、少しいいかしら?」
春香「どうしたの、千早ちゃん?」
千早「私、いつも春香にお世話になってると思って……その、お返しをしたくなったの」
春香「お返し?えへへ、私も千早ちゃんには一杯お世話になってるけど、嬉しいなっ」
千早「これ、クッキーを焼いたの。初めてだから上手にできなかったんだけど」
春香「おっきくて食べがいがありそうだね!」
千早「真と一緒に作ったんだけど、分量が分からなかったから……でも、美味しくできたと思うわ」
春香「ありがとう、千早ちゃん!」
春香「(……なんか凄く硬いクッキーだなぁ)」
春香「じゃあ遠慮なく頂くね!(どきどき)」ガリッ
春香「…………かたっ」
春香「(あまくてしょっぱい…千早ちゃん、なんでこんなに砂糖と塩入れたの……中で塊になってるよ)」
春香「(それになんだろう、この緑色の)」
春香「(あとこの……にちゃにちゃして……!?)」
春香「(な、な…なんで糊なんか入れてるの、千早ちゃん!!)」
千早「春香……ど、どうかしら?」
春香「(期待の眼差しが重い……ここは飲み込むしかない!!)」ごっくん
春香「千早ちゃん」
千早「どうかしら、春香……」
春香「ありがとう。千早ちゃんの気持ち、とっても良く伝わったよ」
千早「良かった……愛情も一杯いれたから、それが伝わったのね」
春香「う、うん……」
春香「それでね、レシピを見て作ったのかな?」
千早「ごめんなさい。分からなかったから適当に作ったわ」
春香「……今度のお休み、一緒にお菓子作ろっ!」
千早「いいの?私、邪魔にしかならないわ」
春香「ううん。千早ちゃんの腕が上がるなら、私、いつでも協力するよ」
千早「春香……嬉しいわ。じゃあ今度春香の家に行くわね」
春香「うん、材料とかは私が用意しておくね」
春香「(あまったクッキー、どうしよう……)」
真「プロデューサー、これ食べてください!」
P「これって……クッキーか?」
真「はい、千早と一緒に作りました!」
P「そうか、今ちょっと小腹が空いたところだったんだ」
真「初めてだから美味しくないかもしれません。その時は言ってください」
P「真の初めてのお菓子が美味しくないなんていうはず無いよ。じゃあ頂きます」ガリッ
P「(真、ごめん。前言撤回だわ。これ全部食ったら塩分の採りすぎで死ぬ)」
P「(しかもすごく甘い。それにこのちくちくするのは棘か?何入れてるんだよ……)」
P「(恐ろしくしょっぱいが、カルメ焼きに近いか……棘が痛いなぁ)」
P「(なんか妙にべたべたしたのがあるな……正体が分からん)」
真「どうですか?」
P「(こんなに期待している真の前でリバースはできん。飲み込むか…)」ごっくん
P「真」
真「はい、なんですか、プロデューサー!」
P「すごく心が籠ってた。ありがとう」
真「やりぃ!」
P「ただ、少し分量を間違えたのかもしれんな。材料もちょっと変わったものが入ってたぞ」
真「すいません、ちょっとレシピが無くて、千早と適当に作っちゃいました」
P「(それが原因か……)」
P「そうだ、良かったら料理本でもプレゼントしようか」
真「本当ですか!」
P「ああ。真も少しくらいは料理ができた方がいいだろ?そっち方面でも売り出せるかもしれんぞ」
P「真のエプロン姿とかは可愛いと思うし」
真「か、か、可愛いですか!」
P「ああ。だから、レシピ本をプレゼントさせてくれ。それでもっと美味しくなってくれたら嬉しい」
真「頑張ります!」
P「(残りのこれ、どう処理したらいいんだか)」
春香「プロデューサーさん」
P「……どうした、春香」
春香「もしかしたら私、直近で死ぬかもしれません」
P「そうか……俺もだ」
春香「プロデューサーさんは真からですか?」
P「春香は千早からか……」
春香「どうでした?」
P「春香と同意見だよ」
春香「なんで千早ちゃん、糊なんて入れたんだろう」
P「の、糊が入っていたのか?そ、そうかあれか」
春香「はい、ほんの少しでしたけど……」
P「……俺の方は棘が痛かった。多分、今日小鳥さんが持ってきたバラだ」
春香「ああ、あの緑色のってバラだったんですね」
P「……」
春香「……」
P「そういや、小鳥さんバラと一緒に鈴蘭持って来たよな」
春香「そうなんですか?まだ見てませんでした……って」
P「まさかあいつら入れてないだろうな」
春香「しゃ、シャレになってませんよ〜」
P「……他には何も入ってないよな?」
春香「分かりません……」
P「とりあえず正露丸は飲んだ。これが効くかは分からん」
春香「私もください……ありがとうございます」
P「はぁ……なんか怖いな」
春香「これからですよ、これから」
P「俺は一人暮らしだからな……もし明日、俺が来なかったらまず救急車を呼んでほしい」
春香「それを言われると……私も帰り道で倒れそうですよ」
P「……」
春香「……」
春香「あの、プロデューサーさん?」
P「なんだ?」
春香「今日、よかったら私の家に来ませんか?」
P「い、いいのか?」
春香「はい。事情を知ってる者同士がそばに居るとまだマシかと思いまして」
P「すまん……今日は一人でいるのが本当に怖かったんだ」
春香「あの、もし私が倒れちゃったら……」
P「ああ、すぐに助けるさ。そして死ぬときは一緒だ、春香!」
春香「私も精一杯お世話しますね!」
春香「(千早ちゃん、クッキーありがとう!)」
おわり
以上になります。
SS書くのと並行してクッキーを初めて作りましたが、真っ黒になりました。
バニラエッセンスは本当にバラのエッセンスだとずっと勘違いしてました。
なんかもういろいろとすいません。
ご清覧ありがとうございました。
