2014年08月28日
双葉杏「生還」
杏「…ん、んんん…」
P「おそよう」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402500801
杏「…なんじ?」
P「5時過ぎ。夕方のな」
杏「んん〜めっちゃねた…」
P「そろそろ起こそうと思ってたとこだよ」
杏「そーかー…プロデューサー」
P「ん?」
杏「おそよ〜」
P「…遅すぎだけどな」
杏「…だる」
P「昨日は珍しく頑張ってたからな。しっかり休めただろ」
杏「足りん」
P「どんだけ寝るつもりなんだお前は」
杏「あと1週間…1ヶ月…いや1年?」
P「それもう死んでるようなもんだろ…」
杏「…、一生?」
P「それは死んでる」
P「でも良かったな。丸一日寝たのなんて久々じゃないか?」
杏「まぁ…そだね」
P「…」
杏「?どったの?」
P「いや、あんま嬉しそうじゃないなって思って」
杏「…そう?めっちゃ嬉しいよ?」
P「いつもならもっとはしゃいでるだろ」
杏「そー?いや最高だったよ、素晴らしい一日でしたよ」
P「…そっか」
杏「そうだよ。最高最高…」
P「悔しかったか」
杏「…なにが?」
P「昨日のオーディション。落ちたの悔しかったんだろ」
杏「…別に。なにいきなり」
P「いや、随分と落ち込んでるからさ」
杏「…そう見えるの」
P「見える」
杏「…そんな分かりやすかった?」
P「ま、仮にもプロデューサーだからな。自分のアイドルの雰囲気くらいは分かるさ」
杏「プロデューサーってスゴイ。改めてそう思った」
P「心霊現象は小梅に頼んでくれ」
P「なんか無理してるっていうか…我慢してる様にみえる」
杏「我慢…ちょっと違うかな」
P「…?」
杏(――期待していた)
『お待たせいたしました、合格者の発表です!』
杏(根拠なんてなかったけど、なんとなく受かるんじゃないかって思ってた)
『本日のオーディション合格者は…』
『――さんです!』
杏『…ぁ』
(そりゃそうだ。頑張ったとはいえ他の人に比べたら何もしていないに等しい)
『呼ばれなかった方はお帰り頂いて結構です。お疲れ様でした』
杏『…しょうがない、か』
(幸い、諦めることには慣れていた)
杏「…はずだったんだけどなぁ」
P「?」
杏「ん、なんでもないよ」
杏「帰ろ、プロデューサー」
P「…おう」
テクテク
P「…」
杏「…」
P「まぁ」
杏「…?」
P「そんな簡単には上手くいかないさ」
杏「…ん」
P「次がないわけじゃないし。時間はたっぷりあるんだからゆっくりいこうぜ」
杏「まぁ…」
P「だから、杏のその気持ちは無駄じゃないよ」
杏「…え?」
P「杏はさ、諦め方が下手なんだよ」
「なんでもかんでも諦めてるんだけど。でも形だけっていうか、外面だけ諦めてる」
「中身…気持ちが追いついてないんだな。本心はそうじゃないのにどうすればいいか分かんないんだ」
杏「…」
P「でもその気持ちは無駄じゃない。いつかきっと生まれ変わって、報われる時がくるよ」
杏「そう、かな」
P「そうだとも」
杏「…そっか」
杏「プロデューサー」
ギュッ
P「…杏さん?」
杏「なに〜」
P「どしたの、いきなり手握って」
杏「なんとなく」
P「…さいですか」
杏「いいじゃん、やなの?」
P「嫌じゃないけどさ〜」
杏「…なんか落ち着くんだよ」
ギュウ
P「…マジでなんか変なもん食ったか?」
杏「うっさい」
P「この前もなんかおかしかったし…」
杏「いいからいいから」
杏「ねぇ、プロデューサー」
P「どした」
杏「杏は今さ、結構幸せだよ」
「全然休みないけど、アイドルなんてやってさ」
「事務所に行けばきらりや千秋がいて、飴くれたり」
「プロデューサーがいて、こうやって一緒に帰ってくれたり」
「だからさ、ぽーんとオーディション受かって一気に売れっ子になって印税ばんばん入ったりなんて」
「一度にそんな幸せが手に入るなんて、思ってないよ」
「そりゃそうなったら嬉しいけどさ。ゆっくり、休憩しながら…遠回りしていくよ」
杏「だから、プロデューサーも一緒に遠回りしていこう。ね?」
P「…杏、お前なんか成長したな」
杏「え、なにいきなり…きもい」
P「いやいや真面目に」
杏「…明日は大雪で休みかな」
P「オイコラ。あとさりげなく休み増やすな」
P「…まぁ」
P「ゆっくり行こうか」
おわり
20:30│双葉杏