2014年09月03日

モバP「俺の事務所は」

小さな?事務所のぐだぐだな一日



本当に色々とぐだぐだ



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409214177







P(今日は少し早めに起床したので、ゆっくり朝の準備をしていた)



P(早起きは三文の得というが……久々に真面目に作った朝食は美味しくできたし、毎朝作業のように見ていたニュースものんびり見てれば案外面白かったように思う)



P(けど、あまりにゆっくりしすぎていたのだろう……いつの間にか時間は過ぎていて、結局慌てるように会社に向かうことになってしまった)



P(会社に行く際には近くに住んでいる馬鹿を叩き起こして連れて行くのが日課だが……今日は奴は休みだ、わざわざ起こしてやることはないだろう)



P(また、連れて行く必要がないなら車を使う必要もない、だから今日は電車を使うことにした)



P(そして、電車に乗ること約三十分、そこから徒歩で十分弱)



P(中心とは言わないけれど……都市のそれなりに近郊であるこの場所に、俺の職場がある)



P(ここでは俺が誇りに想うアイドル達が日夜頑張っていて……俺はいつもこの職場のドアを開く前に気合を入れ直している)



P(頑張るアイドル達に応えるため……さぁ、今日も彼女達と一緒に頑張ろう、と)



P(……そしてもちろん、今日もまた)



P「……」



P「……よし!」



P「おはよう、皆!」ガチャ

















ちひろ「あ、おはようございます、プロデューサーさん」



杏「んー、おはよー」



雪美「……P……おはよう……」



輝子「お……おはよ……」



P「……」



P(いつものメンバーが迎えてくれる朝、これ程気持ち良いものはない)



P(いつものメンバー……いつもの……)



P(……いつもの、うちの事務所で暇してる組)



P「……」



雪美「……どうしたの……?」



P「ごめん、ごめんな……俺がもうすこし頑張ったら仕事も増えるのにな……」



杏「何落ち込んでるんだか……仕事増やすなんて、杏聞き捨てならないぞ」



P「お前には言ってない」



杏「お、じゃあ仕事しなくていいんだ、やったぜー」



P「つかそもそもな……お前は何でここにいるんだ、休みだろ」



杏「いいじゃん別に、雪美だってプロデューサーの椅子にいるし、輝子やあの子も机の下にいるよ?」



P「あいつらは今日レッスンがあるし……ってあの子? あの子もいるの?」



杏「うん、多分、輝子がちひろさんの机の下にいるっぽいから」



P「……」



P「ちょっと雪美、どいてくれ」



雪美「……ん」



P「……」



乃々「……」



P「何してんだお前は」



乃々「……も、森久保はここにはいませんよぅ」



P「お前は! ぼののは! 今日! 朝からイベント会場の方へ向かえって言ったろ!」



乃々「ひ、ひいぃ……ぼののじゃないです……」



P「おら! トレさんと蘭子が待ってるぞ! さっさと行ってこい!」



乃々「お、横暴なんですけど……私はいつだって空気のように生きてたいのに……」



P「動かないつもりならこれ読むからな」



乃々「……ノート?」



P「えーと……『星は言いました、貴方の望む者は……』」



乃々「……! や、やめて……やめて欲しいんですけど……!」



P「じゃあほら、さっさと行け」



乃々「……あうう」



輝子「……ぴ、P?」



P「ん、どうした?」



輝子「今、私呼んだか……?」



P「え、呼んでないぞ?」



輝子「で、でも今……星って……」



P「ああ、あれか……あれはだな…」クイックイッ



P「……ん?」



乃々「あ、あの……行きます、行きますから……説明しないで下さい……」



P「……はいはい……じゃあこれ電車代、二人にちゃんと謝っとけよ」



ちひろ「乃々ちゃん……今日イベントだったんですね、ごめんなさい気づかなくて……」



P「いや、ちひろさんが謝ることでは……悪いのはあいつですよ」



P「……しかし、あいつの逃げる癖も治らないかなぁ、せっかくうちの数少ない人気アイドルなのに」



ちひろ「ふふ……そうは言いますが、乃々ちゃんは逃げても、なんだかんだイベントやレッスンに結局出なかったことはないじゃないですか」



P「……それもそうですね、いっつも最後はギリギリ間に合ったりしてるかも」



P「んー……やっぱあいつも一応本質は真面目なんでしょうか……逃げるけど」



ちひろ「逃げたとしても、プロデューサーさんが見つけさえすれば乃々ちゃんはきっと大丈夫ですよ」



P「……面倒くさいなぁ」



P「でも、正直あいつ程度なら可愛いもんです、うちにはまだまだ杏やこずえと言ったサボり魔がいますし」



杏「サボり魔とはなんだ」



P「……なんだサボり魔、不満でもあるのか」



杏「サボらせてくれないくせに……少しくらい杏をサボらせてからそういうこと言ってよ」



P「お前がちゃんと自分から仕事するようになったら考えてやるよ」



杏「本当? それなら杏、仕事頑張って……それでプロデューサーに仕事サボらせて貰って……」



杏「……ん?」



輝子(わ、私……仲間に入ってない……)



輝子(……ぼっちのこ……)



ちひろ「というか、杏ちゃんは分かりますけど……こずえちゃんもサボり魔なんですか?」



杏(……否定はできないけど、ナチュラルに酷いなぁ、ちひろさん)



P「こずえはその……連絡つかないこと多いんですよね」



P「どこどこで待ってろって説明してても、ふらふらーっとどこか行ってるみたいなんで……」



ちひろ「……なるほど、自由な子ですからねぇ」



P「以前、もうこずえに家で待ってろと言ったことがあるんですが……」



P「あいつ……俺の家に来ました……」



ちひろ「……」



P「俺、あいつに家教えてない……」



ちひろ「……不思議な子ですからねぇ」



こずえ「こずえ……よんだー……?」



P「おわっ!」



ちひろ「きゃあっ!」



杏「お、こずえじゃん、おはよー」



こずえ「んー……おはよー……」



P「お、お前、いつの間に……」



ちひろ(……びっくりした)



こずえ「……さっききたのー」



P「というか……お前も今日仕事ないだろう、なんで来たんだ?」



こずえ「……」



こずえ「なんでだろー……?」



P「え、ええぇ……」



こずえ「ふわぁ……ねむい……」



こずえ「あんずさん……いいー?」



杏「ん? あ、いいよ……ほら、このスペース使いなよ」



こずえ「ふかふかー……」



こずえ「……ぐぅ」



P「……」



P「はぁ……」



杏「何しに来たんだろーねこずえ、寝に来たのかな」



P「お前こそ何しに来てるんだよ……」



杏「杏がちゃんと職場に来たっていうのになんだその言い草」



P「仕事ないってのにお前が事務所に来るし、それに俺より先に出勤してるし……なんだ、飴でも降るのか?」



杏「雨ぐらいならいつだって降るんじゃない?」



P「飴だって言ってんだろ」



杏「……んん?」



P「……なんでもない」



P「さ、アホな事言ってないで俺はそろそろ仕事しないと……って」



雪美「……」



P「……雪美」



雪美「なに……?」



P「何でまた乗ってんだ、椅子からどいてくれ」



雪美「……」



雪美「P……朝から他の皆と遊んだから……私も……」



P「……」



雪美「……P……構って……」



P「……」ワシャワシャ



雪美「あっ……乱暴……や、優しく……」



P「おら、抱っこもしてやるぞ!」



雪美「……高い……たか……」



P「あ、どっこいしょ」ストン



雪美「あ……」



P「じゃ、仕事仕事……よいしょ」



雪美「……」



雪美「……」モゾモゾ



P「……膝に乗ろうとするな」



雪美「P……冷たい……追い出された……」



杏「まぁまぁ、プロデューサーなんて基本冷血漢なんだから期待しない方がいいよ」



雪美「でも……抱っこは……」



雪美「杏、いつも……羨ましい……」



杏「杏は抱っこというか担がれてるというか……」



雪美「……杏は……嬉しくない?」



杏「嬉しい嬉しくないというか、楽だってだけだからな〜」



雪美「……そう」



雪美「……」



杏「……しょうがないなぁ、今度杏がプロデューサーに雪美をことあるごとに抱っこしてあげるよう言っとくよ」



雪美「……杏」



杏「ん?」



雪美「飴……どうぞ……」



杏「おー、くるしゅーない」



こずえ「……zzZ」



P「……あいつら、なんて会話してるんだ」



ちひろ「あはは、愛されてていいじゃないですか」



P「愛されてる……都合良く使われてる感もありますけど」



ちひろ「でも、抱っこですよ? 年頃の女の子に抱っこせがまれるって……」



P「……んー、雪美は年頃と言うよりはまだまだお子様ですし」



P「構って欲しいんでしょう……はは、そういう意味じゃ確かに悪い気はしませんね」



ちひろ「……はぁ」



ちひろ(……)



ちひろ(でも実際どうなんだろ……?)



ちひろ(雪美ちゃんは確かにまだまだ子供だけど……その、なんというか、あの重さは……)



P「……あれ? そういえばこのイベントの詳細書類ってどこにありますか?」



ちひろ「……まぁ、どちらにせよ頑張ってくださいね」



P「……?」



ちひろ「なんでもないです、ええと……どの書類が必要なんですか?」



P「これです」



ちひろ「ああ、それなら留美さんの机に」



P「留美さんの……失礼していいですかね」



ちひろ「大丈夫だと思いますよ?」



P「それでは……ええと……」ゴソゴソ



ちひろ「……ありました?」



P「……」



ちひろ「……プロデューサーさん?」



P「えっ、いや……ありました! 俺は何も見てません!」



ちひろ「……はい?」



P「あっ、違……何も見てません!」



ちひろ「プ、プロデューサーさん、落ち着いて……」



P「……す、すみません……取り乱しました」



ちひろ「何を見たんですか?」



P「それはちょっと……」



P「でも……なんだろう、留美さんもストレス溜まってるんでしょうか……」



ちひろ「……何見たか凄く気になるんですが」



P「留美さんはアイドル兼ねてうちの事務仕事も手伝って貰ってるじゃないですか」



P「だからやっぱり忙しくて辛いのかと……申し訳ないです」



ちひろ(……一体なんなんだろ)



P「というかそもそもですね、うちの人員がおかしいんですよ!」



P「十数人のアイドルに対してプロデューサーが一人、事務員一人ですよ? どうなってんですか」



ちひろ「まぁ……暗黙の了解というか、深い闇というか……」



P「だいたい俺、面接以来社長の顔もまともに見たことないです……」



ちひろ「うちはまだマシですって、世の中には二百人近いアイドル達を一人でプロデュースする人もいるそうですよ」



P「なにそれこわい」



ちひろ「だからそんなことは気にしないで私達は私達で頑張りましょう……ほら、今日のドリンクです!」



P(……ちひろさんの出す妙に元気の出るドリンクも深い闇だよなぁ)



ちひろ「今日のドリンクは凄いですよ、なんたって……」



ちひろ「……?」



P「どうしました?」



ちひろ「いえ、輝子ちゃんが足を引っ張ってきて……どうしたの?」



輝子「あ、あれだ……となりの、い、いない……?」



P「ん? 乃々のことか?」



輝子「うん……の、乃々……」



P「あいつはさっき仕事行っただろ……?」



輝子「そ、そうだよね……だ、だからな……だから……」



P「……」



ちひろ「……」



輝子「……」



輝子「……ぼっちのこー」



P「なんなんだよ!」



ちひろ「ま、まぁまぁプロデューサーさん……ほら、輝子ちゃん、早めに済ませてね」



輝子「う、うん……」



ちひろ「プロデューサーさんもちょっと立っててあげてください」



P「は、はぁ……」



輝子「きのこーきのこー……ぼっちのこー……」



P「……」



輝子「きのこー……んしょ……きのこー……んん……」



P「……なんでわざわざ俺の机に移動してくるんだ」



輝子「こ、こっちのがいい……こっちのがよく育つ……」



P「変わらん気がするが……」



輝子「そんなことないぞ……や、やっぱりPの机は……いい……」



P「まぁ、俺もキノコの生育環境どうこうは分からんけど……そろそろいいか?」



輝子「うん……大丈夫……」



P「それじゃ座るぞ」



輝子「……」



輝子「……P?」



P「ん?」



輝子「ちょっと足……臭う……」



P「……」



P「……」グイッ



輝子「や、やめ……!」



P「ええい、何で机の下を奪われた上に文句まで言われんといけないんだ」



輝子「も、文句じゃ……ちょっと臭っただけ……」



P「うるさい、これ以上は傷付くからやめろ」



P「それよりあれだ、仕事が進まないからもう俺はお前らに構ってられん、静かにしてろよ」



輝子「……」



P「……」



P「返事はっ!」



輝子「フヒッ……!? ぴ、Pが静かにしてろって……」



杏「もー、輝子いじめるのそれくらいにしときなよ」



雪美「……いじめは……だめ……」



P「いじめてなんかない、可愛がってるだけだ」



雪美「……それはそれで……なんだか……」



雪美「……ちょっとだけ……だめ……」



P「それより、お前らも静かにするように、音量小さくしてればゲームやテレビくらいはいいから……あ、でも雪美と輝子はちゃんと午後のレッスンの予習もしとけよ」



輝子「う、うん……」



雪美「……わかった」





…………







P「……」カタカタ



杏「……」ピコピコ



こずえ「……ぐぅ」



雪美「……これ……こう……? こう……」



輝子「……」



杏「……あー」



雪美「……? どうしたの……?」



杏「いや、ゲームするの飽きてきて……よいしょ」



杏「ごめんプロデューサー、ちょっとどいてよ」



P「ん」



輝子「フヒ……ど、どうした?」



杏「いや、輝子に用事じゃなくて……ええと、確かここらへんに……」



杏「お、あった」



杏「えーと、何巻まで……4くらいだっけ」



P「……おい」



杏「ん?」



P「なんで俺の机の下から漫画が出てくるんだ」



杏「え、いや……知らなかったの?」



杏「ここ、乃々がこっそり漫画置いてるよ」



P「……」



輝子「ら、ライトとかもあるぞ……私は毛布置いてる……ここ、狭いけど、いいとこ……」



P「……」



















輝子「……ま、待って! か、片付けないで!」



P「そりゃ片付けるだろ……」



輝子「P……Pぃ……」



P「……っておい! 何泣きそうになってんだ!」



杏「いいじゃんちょっとくらい、輝子も乃々も机の下にいるだけで静かにしてるんだから」



P「でもな……」



輝子「こ、ここは……だめ、だめだ……」



P「……分かった、分かったよ」



P「はぁ……なんつーか、ここは仕事場なのか遊び場なのか分からなくなってきた……」



輝子「……お、怒ってるか?」



P「ちょっとだけな」



杏「……飴、食べる?」



輝子「……キノコ、食べる?」



P「……お前ら俺を挑発してるの?」





杏「飴なめたら落ち着くのにー」



P「お前はなぁ……というかそろそろ昼だぞ、お菓子とかも程々にしとけ」



ちひろ「……あ、そう言えばもうお昼ですね、私何か買ってきましょうか?」



P「いや、ついでだから暇してる組に行ってもらいましょう」



杏「げっ」



P「な、杏……俺は牛丼弁当で頼む」



ちひろ「私は何でもいいからおにぎりを二、三個……」



雪美「私……お蕎麦……」



輝子「キノコなら、いい……キノコがいい……」



P「お前らも行くんだよ、何こっち側にいるんだ」



こずえ「……むにゃ……こずえ……ぱんけーき……ぐう」





…………







ガチャ







杏「ただいまー……疲れた……」



ちひろ「おかえりなさい、杏ちゃん」



P「おう、ご苦労さん」



P「……あれ、他の二人は?」



杏「なんか、ついでだからレッスン場向かうって」



P「そうか……ちょっと早いけど、確かに丁度いい時間かもな」



P「でもそういうことはちゃんと俺に言ってからにして欲しかった……ルキトレさんとも連絡とらないといけないんだから」



杏「杏に言われても……それよりはい、これ」



P「お、ありがとう」



杏「ちひろさんも」



ちひろ「……あ、ツナマヨ」



杏「おにぎり適当だから、嫌いなのあったらごめんね」



ちひろ「ううん、大丈夫よ……ありがとね、杏ちゃん」





P「……あれ? そう言えばお釣りないのか? 結構渡した筈だけど……」



杏「……」



P「……」



杏「あ……こずえ起きなよ、パンケーキなかったけど、代わりに蒸しパンとお菓子いっぱい買ってきたよー」



こずえ「ふわぁ……ごはん……?」



ちひろ「あ、あはは……」



P「……ったく」



P「まぁ、いいや……さ、じゃあさっさと昼食って仕事再開しますか」





…………







P「……」カタカタ



ちひろ「……」カタカタ



P「……あ、ちひろさん……これ、ミスが……」



ちひろ「どれですか……?」



P「ここのリストに……」



ちひろ「……ああ! すみません、修正しときます」



P「お願いしますね」



ちひろ「はい」



P「……」カタカタ



ちひろ「……」カタカタ



P(……仕事再開して結構経ったけど)



P(なんかあいつら……静かだな……)チラッ



P「……あ」





……zzZ





P「……」



P「……」ゴソゴソ



ちひろ「……? どうしました?」



P「いや、輝子の言う通りなら……お、あった」



P「……結構でかいな」



ちひろ「毛布ですか?」



P「ええ……でもこれ、どうやって俺の机の下に入ってたんだろ……」



P「とりあえず馬鹿と天使が寝てるので毛布かけてきますね……ここ、夏とはいえガンガンにクーラーかかってますし」



ちひろ「あの、こずえちゃんは起こした方が……」



ちひろ「もう午前中もご飯食べた後もずっと寝てますよ?」



P「あー……それはそうかも、じゃあ……」



こずえ「……くぅ……くぅ」



杏「んが……んん……」



P「……」



P(こずえの寝顔可愛すぎて俺じゃ起こせない……!)プルプル



P「あ、あぁ……」プルプル



ちひろ(……プロデューサーさんが寝てる女の子の前で凄いプルプルしだした)



P「ど、どう……あぁ……」プルプル



ちひろ「……」



ちひろ(毛布も落としちゃってるし……これ、客観的にみたらどう考えても……)





ガチャ





ちひろ「……あら?」



蘭子「闇に飲まれよー!」



ちひろ「あ、お帰り蘭子ちゃん」



蘭子「た……ただいまです、ちひろさん……」



蘭子「そして……友よ! 我は現世と交わりまたここにかえっ……」



P「……あ?」プルプル



蘭子「……」



蘭子「友……友が! 怠惰の妖精と奔放なる天使を襲撃……おそ……」



蘭子「……犯罪、です! やめてプロデューサー!」



P「ち、ちが……これは! これは!」



杏「んん……もう、なに……なんなの……」



杏「ん? プロデューサー?」



P「……」



杏「……」



杏「……飴、200個くれたら……許してあげてもいいけど……」



P「何言ってんだお前、何勘違いしてる!」



こずえ「こずえも……ぱんけーきにひゃっこ……ぐぅ」





…………







こずえ「ふわぁ……」



蘭子「我は承知していたぞ、我が友が堕天し、下賤なる欲望を満たそうとは思う筈もない」



P「……その割には凄い剣幕だったけど」



蘭子「……幻想なる闇が包み込む世界では仕方のないこと」



P「よく分からん感じで誤魔化すなよ……あれ、乃々は? 一緒に帰らなかった?」



蘭子「乃々ならば……先程、気配を消し黒闇の洞窟へと入り込んだ様だが」



P「洞窟?」



蘭子「……机の……」



P「……」



P(……足、突っ込んでみるか)グイッ



P「……」



< ケホッ……! ヤメ、ヤメテホシインデスケド……!!



乃々「うぅ……」



P「さぁ、じゃあ一応お前らの報告を聞かせてくれ……あ、それとトレさんは?」



乃々「……その、ルキトレさんのところへ行くって言ってました……」



乃々「ほ、報告書はあるので……分からないとこあったら電話して下さいって……」



P「……成る程、了解」



P「それじゃあっちの部屋で報告書見せてもらおう……お前らこれ終わったら今日は帰っていいからな」



蘭子「今日は聖域に余り居られず我の力も不十分ではあるが……」



P「んー、今更感は凄いんだけど……やっぱ用もないのに事務所にあまりいられるのは……」



杏「そうだそうだー」



P「お前は後でしばいてやる」



杏「……」



蘭子「あの……夏休みの宿題してるのは……ダメ、ですか?」



P「……事務所で?」



蘭子「……」コクコク



P「……」チラッ



杏「……ん、なにみてるの?」



P(……勉強してる分なら、いいか)



P「まぁ、それならいいぞ……乃々はどうする?」



乃々「わ、私は帰りますけど……」



P「ん、そうか」



P「あ、でもそれなら……乃々は帰りの方向こずえと一緒だったよな、ついでに連れて帰ってあげてくれ」



乃々「え……こ、こずえちゃんを……ですか……」



こずえ「……ののさん、つれてかえってー」



乃々「……」



乃々「……む、むーりぃ」



P「よろしくな」



こずえ「よろしく、なー……?」



乃々「……」





…………







P「……」カタカタ



ちひろ「……」カタカタ



蘭子「……」カリカリ



P「……」カタカタ



蘭子「……」カリカリ



杏「……そこ、羽の色黒と白別にしたら?」



蘭子「あ……こ、ここは……もう一対生やすつもりで……」



杏「えー……それじゃゴツいよ、少ない方がカッコイイじゃんか」



蘭子「で、でも羽が多い方が強……」



蘭子「……」



杏「……ん? どったの?」



蘭子「ひゃああああああ!!」



P「おわっ!」ビクッ



ちひろ「きゃっ!」ビクッ



P「な、なんだ……?」



蘭子「な、なんで杏さん……見て……」



杏「え、いや、暇だったから」



P「……おい、杏、せっかく蘭子がさっきから静かに勉強してたのに……ん?」



蘭子「あ……」



P「……それ、美術の課題か?」



蘭子「……! そ、そう! 夏休みの宿題で……!」



杏「レベル97って……何のレベル?」



蘭子「それは魔界でのランクをあらわ……もー!」



P「静かに勉強してるかと思ったら……」



蘭子「ご、ごめんなさい……」



P「いいよ、息抜きも必要だろうし」



杏「……なんか杏と違って優し過ぎない?」



P「優しくしてやろうか?」



杏「うん」



P「おら、飴だ」



杏「わーい」



P「……しかし蘭子は絵が上手いな、こういう売り出し方もいつかしてみたいもんだ」



蘭子「え、えへへ……」



P「ブログとかにあげてみるか?」



蘭子「そっ、それは断りますっ!」



杏「飴んまー……♪」



ちひろ(杏ちゃん……)



P「結構人気でそうなんだけどなぁ……」



蘭子「わ、我のグリモアは一般人が目にすると業火に焼かれ悲劇を生むぞ?」



P「……まぁ、要するに見られたくない、と」





ガチャ





輝子「た、ただいま……」



雪美「……帰った」



P「お、帰ってきたか……おかえり、お疲れ様」



ちひろ「輝子ちゃん、雪美ちゃん、お帰りなさい」



杏「おかえりー」



輝子「……あ」



雪美「……あ」



蘭子「……?」



輝子「や、闇に飲まれよ……」



雪美「闇に……飲まれよ……」



蘭子「え……え……!?」



P(……なんかローテンションな分こいつらの方が似合う気がするな)



輝子「蘭子、帰ってたんだ……お、お疲れ……」



蘭子「う、うん、輝子ちゃんも雪美ちゃんも……煉獄の時を経てよくぞ辿り着いた! 安寧の時は来たる!」



雪美「……?」



P「レッスンお疲れ様ってことだ」



雪美「……蘭子も、お疲れ様……」



蘭子「……」



P「まぁ、なんだ……落ち込むなよ、分かる人には分かるんだから」



輝子「わ、私は何と無くわかるぞ……」



杏「杏は……たまに分かんないけど、だいたいのニュアンスは分かるかな」



P「ほ、ほら! な、大丈夫だろ?」



蘭子「……大丈夫じゃ、ないもん」



P「正直、お前が変な言葉やめたら一番いいんだが……」



蘭子「へ、変……! この言霊が我を我たらしめる理由! 黒き言の葉の響きを感じとれぬのは我が友といえど……!」



P「はいはいかっこいいかっこいい」



蘭子「……むー!」



P「まぁでも、悪くない個性だとは思ってるから気にすんなって……ん?」



雪美「……」ジー



P「なんだ?」



雪美「……なでて」



P「……?」



雪美「レッスンがんばった……だからP……ここから私……なでて……」



P「……別にいいけど、そこじゃ俺の手が届かん」



雪美「……レッスン、汗かいた」



P「おう」



雪美「だから……そこから……近付いちゃだめ……」



雪美「でも……P、撫でて……」



P「……」



P「なぁ輝子、今日はレッスン頑張ったか」



輝子「う、うん……」



P「よしよし、褒めてやろう……ほれ、頭出せ」



輝子「あっ……わ、悪くないけど……は、恥ずかしいから、やば、やばい……やめろ……」



雪美「……いじわる……P、いじわる……」ゴゴゴゴゴ



蘭子「ゆ、雪美ちゃん……落ち着いて……!」オロオロ



杏「ったくもー……性格が悪くて足も臭いよプロデューサー」



P「足は臭くないっ! 多分!」



ちひろ(……はやくプロデューサーさん、仕事戻ってくんないかなぁ)







…………







蘭子「それでは、お疲れ様でした……友よ! また此の地で巡り会わんことを!」



雪美「……輝子、キノコ……私も持つ……」



輝子「フヒ……だ、大丈夫……?」



雪美「……怖いけど……怖くないから、大丈夫……」



輝子「そ、そうじゃなくて……」



雪美「……ちょっと重い……おも……」



P「蘭子、手伝ってあげて」



蘭子「は、はい……!」



輝子「そ、それじゃP、ちひろさん……また……またな……」



P「ん、皆お疲れさん、また明日な」



ちひろ「みんな、お疲れ様」



杏「おつかれ〜」



P「……いや、お前も帰れよ」



杏「えー、面倒い……プロデューサーが連れて帰ってくれるんでしょ?」



P「今日は俺電車だぞ?」



杏「……マジ?」



P「マジだ」



杏「……」



杏「あー、ちょっと待って皆、杏も一緒に帰……」





バタン





杏「……」



P「……今から追いかけたらきっと間に合うぞ?」



杏「いいや……なんかもう面倒いから一人でゆっくり帰る……」



ちひろ「……さ、それじゃ私達も仕事ぱっぱと終わらしちゃいましょう」



P「そうですね……今日も定時じゃ無理だろうなぁ」



ちひろ「私も人のことは言えませんが……プロデューサーさんは皆とお喋りし過ぎですよ、もう」



P「す、すみません……」



ちひろ「……いいです、なんだかんだ仕事はきっちり終わらしてくれますし……ですよね?」



P「……はい」



ちひろ「……あれでしたら、私も残って手伝いますよ?」



P「い、いえ! 大丈夫です!」



P「俺も立派な社会人……! ちゃんと自分に与えられた仕事は一人できっちりこなします!」





…………







P「……」カタカタ



P「……」



P(……そして)



P(仕事は終わらず、一人こんな時間まで残業しているのでした)



P「……」カタカタ



P「……」カタカタタッ……ターンッ!



P「……うしっ」



P「でも一応終わったな……今日ものんびりハードな一日だった」



P「それじゃ戸締りして帰……」



杏「……zzZ」



P「……」



P「……」グイッ



杏「んん……むにゃ……くさ……臭いっ!」バッ



杏「な、なに……? 新種の兵器とか……?」



P「……」



杏「……あ、プロデューサー? おはよー」



P「……ねえ、俺ってそんなに足臭い?」



杏「え、う、うん……でも大したことないよ……? 小動物が死ぬんじゃないかってレベルぐらいだし」



P「そっか……ヤバイなそれ……」



P「……まぁいい、帰るぞ」



杏「仕事終わったんだ」



P「おう、つかお前は一人で帰っとくんじゃなかったのか」



杏「んー、いつの間にか寝てた」



P「こずえもそうだが、お前も今日寝過ぎだ、反省しろ」



杏「そーだね、これじゃ夜眠れそうにないかもなぁ」



杏「……あ、そうだプロデューサー」



P「ん?」



杏「プロデューサーの家で徹夜でゲームしよう、そしたら寝溜めした分が無駄にならない!」



P「……そうだな」



杏「え、本当にいいの!?」



P「徹夜で夏休みの宿題見てやる」



杏「……杏、やっぱ今日の夜は眠くなりそうだから遠慮する」



P「……全く」



杏「?」



P「全くなぁ……」グリグリッ



杏「おわっ、なんだ急に頭を……痛いっ! やめろっ!」



P「……不本意だけど、お前とアホな会話すると、なんか俺もやっと仕事終わった実感があるよ」



杏「……普段からアホな会話しかしてないくせに」



P「うるさい……それじゃ、帰るぞ」



杏「プロデューサー」



P「ん?」



杏「今日もお疲れ様」



P「……」



杏「そんで飴ちょーだい」



P「……一個だけな」









おわり



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