2013年11月27日

奈緒「雨の降る街」

奈緒「あれ? 降り出した?」

加蓮「みたいだね。さっきまであれだけ晴天だったのに」

凛「プロデューサー傘持っていってなかったよね。もうすぐ駅に着く頃じゃない?」


加蓮「奈緒の出番だね」

奈緒「……は?」

凛「うん。奈緒の出番だ」

奈緒「ちょ。な、なんでアタシが……」

加蓮「前も届けたじゃない」

凛「プロデューサーだって待ってるよ」

奈緒「い、いやいやいや。そんな訳ないから! 凛か加蓮が迎えに行けばいいだろ!」

凛「そうしたいけど今からボイスレッスンなんだよね」

加蓮「私はちょっと風邪気味だから」コホコホ

奈緒「そんな都合よく風邪にかかるかっ!」

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加蓮「まあまあ」

凛「文句言わないで」

かれりん「早く行きなさい」

奈緒「覚えてろよお前ら……」


 …………
  ……


P「ありがとな」

奈緒「べ、別に。2人に言われて仕方無くだから。勘違いすんなよな」

P「それでも助かったよ。奈緒を待っててよかった」

奈緒「待たなくたって駅前のコンビニで傘買えばよかったじゃん……」

P「奈緒が迎えに来てくれるから買う必要が無いんだよ」

奈緒「次はないから」

P「またまた」

奈緒「ぜっ、絶対来ないからな!」
P「俺としてはこうして奈緒と並んで事務所に向かうのは好きなんだけどな」

奈緒「馬鹿! 変なこと言うなよ!」

P「変か?」

奈緒「変だよ! あ、アタシといて何がいいんだか……」

P「卑下するなよ。それに最近は奈緒と一緒にいられる時間も減ったからな。こんな機会があるのは嬉しいさ」

奈緒「ふんっ。担当アイドルをほったらかしにするなんていい身分だよな」

P「そう言うなよ……。担当アイドルも増える一方だし……」

奈緒「それはそれは。事務所が儲けていい事じゃないですか」

P「怒るなって……。埋め合わせはちゃんとするから」

奈緒「期待せずに待ってるよ――あれ?」
P「どうした?」

奈緒「いや、あそこの公園に」

P「ん? ああ、遊具の下で雨宿りしてるのか……」

奈緒「仁奈くらいの歳かな?」

P「だな。親もいないみたいだし……。悪い、先帰っててくれ」

奈緒「ちょ。Pさん? なんだよ、もうっ」

奈緒(まさかスカウトする気かな? な訳ないか。傘あげてるだけだな、あれ)

奈緒「本当に馬鹿だなぁ……」



P「悪い悪い。待ってたのか」

奈緒「別にいいけど。事務所まで鞄を傘にして帰るつもり?」

P「すまんな。小雨になるまで雨宿りしてから帰るよ。ちひろさんにはそう伝えといてくれ」

奈緒「なんで。傘あるじゃん」

P「え?」
 
 …………
  ……


奈緒「Pさん、もっと詰めていいからな? 肩濡れてるし」

P「これで充分だよ。奈緒には迷惑かけっぱなしだし」

奈緒「気にしなくていいのに……」

P「担当アイドルに風邪引かせる訳にもいかないからな」

奈緒「ふーん……」

P「な、なんだよ」

奈緒「べっつにー? 担当アイドルに迎えに来させといて相合い傘までさすなんてプロデューサーの鏡だと思っただけ」

P「ご、ごめんてば……。今度好きなアニメのグッズ買うからさ」

奈緒「それ一緒に買い物行くって事?」

P「その方が奈緒の好きなもの選べるけど、嫌か?」

奈緒「い、嫌じゃないけど。ちゃんと予定空けとけよな」

P「了解」
奈緒「……なあPさん」

P「ん?」

奈緒「Pさんにとって、アタシってただの担当アイドル?」

P「いや。仲間、かな」

奈緒「仲間?」

P「おう。奈緒だけじゃなくて凛や加蓮も。俺が初めて担当したユニットだから、特別な仲間だよ」

奈緒「ふーん」

P「な、なんだよ。訳と恥ずかしい事言ったのに」

奈緒「自覚してたんだ」

P「ヒドい」

奈緒「うそうそ。冗談だよ」

P「奈緒にからかわれる俺って……」

奈緒「そっちも充分ヒドいじゃん!」

P「冗談冗談」

奈緒「もうっ」
P「でもどうした。急にそんな事聞いたりして」

奈緒「なんとなく思っただけ」

P「そっか」

奈緒「うん」

P「奈緒は俺の事どう思ってるんだ?」

奈緒「変人」

P「即答な分余計ヒドい」

奈緒「そうじゃん。自分の事を二の次にしてさ。アタシ達アイドルだけじゃなくてさっきみたいに知らない子まで助けて」

P「普通だろ?」

奈緒「全然。自分から厄介事背負い込む人なんかそうそういないよ」

P「そうか?」

奈緒「馬鹿みたいに優しくて、馬鹿みたいに愚直で」

P「馬鹿馬鹿言うなよ……」


奈緒「……そんなPさんだから、す、好きになったんだけど」

P「え?」
奈緒「な、なんでもない!」

P「はっきり聞こえたぞ。好きだって」

奈緒「あ、雨音! そう! 雨音で聞き間違えたんだって!」

P「そっか」

奈緒「だ、第一アイドルなのに個人を好きになるのはダメだろ!」

P「俺は気にしないけどな」

奈緒「……え?」

P「アイドルだからって感情まで縛るつもりはないさ。個人の自由だしな」

奈緒「そ、それマズいだろ」

P「そうか? 確かにマスコミにバレたりしたら大変だけど、節度ある付き合いなら俺はいいと思うけど」

奈緒「そ、そう?」

P「ああ」
奈緒「で、でも……」

P「もちろん難しい話だ。デートは出来ない、お泊まりも無理。恋人らしい事なんか何も出来ない」

奈緒「だよな……」

P「でも気持ちを伝えるくらいはいいだろ。俺だって好きな子には気持ちを伝えたいし」

奈緒「す、好きな子がいるの?」

P「いる」

奈緒「そっか……。そりゃそうだよね。Pさん、常に可愛い子に囲まれてるし……」

P「その中でもとびきりの美少女だよ。俺が好きなのは」

奈緒「――っ! そ、そうかよ。上手くいけばいいな!」

P「うん。そう思う。何しろ文句言いながら毎回雨の日に傘を持って来てくれるくらい面倒見のいい子だからな」

奈緒「……ふぇ?」
P「さて唐突ですが質問だ」

奈緒「え? え?」

P「雨でパパラッチの気配どころか俺達以外に人気が無い道で、同じ傘の下にいる男と女」

奈緒「な、なんだよ」

P「その2人が同じ気持ちだったら。普段出来ない事をやるチャンスだと思わないか?」

奈緒「な、なにを――」


チュッ


奈緒「――んっ!?」

P「……ダメだったか?」

奈緒「ななな、ななにすんだよ! あた、アタシ初めてなのに!」

P「実は俺も」

奈緒「――! 馬鹿! やっぱり変人だよPさん!」

P「そうか?」

奈緒「そうだよっ!」
奈緒「こ、ここんな道の真ん中でするなんて!」

P「勢いって怖いよな」

奈緒「他人事みたく言うなよ! それならそうと、あ、アタシだって心構えしたのに……」

P「じゃあ奈緒には宿題だな」

奈緒「え?」

P「今度の買い物までに、しっかり覚悟しとけよ?」

奈緒「か、覚悟って……。あの、アレ……とか?」

P「残念だがそれは奈緒がアイドルを引退するまでお預けだ。次は奈緒からキス出来るように、な」

奈緒「だ、誰がするか!」

P「えー」

奈緒「うるさい! 先帰る! Pさんなんか雨に濡れて風邪引いちまえ!」

P「ちょ。ま、待ってくれよ!」

奈緒「知るか! もう!」


奈緒「本当に、馬鹿なんだから……」ニコッ


おわりん
テーマを自分で難易度上げすぎた
ツン要素の少ない奈緒でイチャラブって書きにくいな…

でわでわ

17:30│神谷奈緒 
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