2013年11月28日
みりあ「ナイトウォーカー」
P「4月半ば近いっていうのに寒いな」
時間は11時を過ぎたくらい、春の温かさを感じてもいい頃合だけど。
時間は11時を過ぎたくらい、春の温かさを感じてもいい頃合だけど。
夜の寒さはプロデューサーの体温かさを奪って行くみたい
プロデューサーは少し身震いをして歩き出して、私はそれについて行く
みりあ「なんだか、カンキっていうのが近付いて寒くしてるんだって」
P「あー、なるほど。どうりで寒いわけだ」
私の説明で納得したみたい、でもカンキってなんなんだろう?
みりあ「プロデューサー、手繋ご♪」
そう言って私はプロデューサーに手を差し出して、プロデューサーがその手を握る
握ったプロデューサーの手は大きいけどひんやりしてて
私の温かさをあげれるようにってちょっと強く握った
赤城みりあのSSです。よろしくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365863217
P「ん、みりあの手あったかいな」
みりあ「えへへ、ホッカイロ代わりにしていいよっ」
P「じゃあお言葉に甘えて握らせてもらおうかな」
恥ずかしいのを誤魔化す為の笑顔
プロデューサーは私の手を握ったままゆっくりと歩いて、私もそれについて行く
これはそんな、とある一夜のお話
みりあ「ふぃぃ・・・」
窓から差し込む夕日に照らされながら、私は息を吐いた
ちひろさんは外に出てて、プロデューサーはお茶を汲みに行ってるから聞く人は誰もいない
外からはカラスさんの鳴き声が聞こえて、なんとなく視線を窓に移して窓から見える夕焼けをボーッと眺めてみた
夕焼け空を見ながらカラスののんびりとした鳴き声を聞くと
なんだか体が浮かんでしまいそうなふわふわとした気持ちになってしまう
P「お疲れ様、みりあ」
脱力してると、ソファーに座ってる私を上から覗き込む形でプロデューサーの顔が映った
私と目が合ったあと、何故か苦笑しながらお茶が入ったコップをテーブルの上に置く、私って今変な顔してたのかな?
黄色にハートマークが付いた私のコップ、事務所に元々あった中から私が選んで使ってる私のお茶のお供
プロデューサーから古いのを使うよりも、家から持ってきて良いんだよ
って言われるけど、別のコップに変えるのは迷っちゃう位に愛着があるお気に入りのコップだったりする
みりあ「ありがとう、プロデューサー」
P「こちらこそ事務所の片付け手伝ってくれてありがとな、凄い助かったよ」
みりあ「えへへ、どういたしまして」
P「Liveの後だったのに手伝わせてごめんな」
申し訳無さそうにプロデューサーが謝ってくる、私が好きでした事なのにな
何があったのかというと、Liveバトルが終わって私が事務所に戻ると
一人でたくさんの資料を片付けるプロデューサーを私が見つけて手伝ったのが事の始まり
プロデューサーには止められたけど、お世話になってる人が困ってるなら手伝いたくなっちゃうよね?
みりあ「でも、資料見つかって良かったね」
P「朝に送ったのをちひろさんが教えてくれてれば大事にはならなかったけどな」
みりあ「あはは」
周りにある箱やファイルを端から端まで開けても見付からなくて
プロデューサーと途方にくれてた時に、ちひろさんから一本の電話
ちひろ「連絡遅れてしまってごめんなさい!資料は朝に相手先へ送ってます」
ちひろさんが私をLiveに送る前に相手先へ資料を送ってたみたい
プロデューサーに会った時に言うつもりでいたみたい、すれ違っちゃったんだね
溜め息を吐くプロデューサーを横目にお茶を啜る。うん、美味しいな
P「さて、俺も休憩しようかな」
みりあ「じゃあ一緒に休憩だね☆」
P「お菓子も持ってきたぞ」
みりあ「わーい♪」
それから、お菓子を摘みながらプロデューサーとお喋り
時間を忘れて色んなことを話して、凄い楽しい時間
プロデューサーと一緒に居ると凄い安心するのはなんでなのかな
お茶を飲んでお菓子食べてお話して、気付けば私は眠っちゃってた
P「みりあ、みりあ」
みりあ「ん、ぷろでゅーさぁ」
P「お、おい、起きろみりあ」
みりあ「ん〜・・・もっとぉ」
働かない頭を起こしながらプロデューサーを見る
見たら、なんとなくくっ付きたくなってプロデューサーに抱きついてみる
プロデューサーの驚いた顔と困った顔を見て、もっと困らせたくなって体重を預ける
なんとなく悪戯っ子の気持ちが分かったなぁ、と寝ぼけ頭が考える
P「ほら、お茶飲んで目を覚まして」
みりあ「はぁい・・・っ!?」
言われるままにテーブルにあるコップへ手を伸ばして・・・どっちが私のコップだっけ?
暗くて分からないから適当に取って口へ運んだ、途端あまりの苦さにむせて吐き出してしまった
手に持ってたコップも落としそうになったけどプロデューサーが掴んでくれて割らずに済む
だけど、私の服とスカートがコーヒーで真っ黒になっていた、お気に入りの服だったのになぁ
P「わわっ、大丈夫かみりあ!」
みりあ「けほっ、けほっ」
苦さが口一杯に広がって、目は覚めたけど目覚めは酷い・・・こういうのを鳩に水鉄砲、だっけ?
お菓子の甘い飴を舐めさせてもらってようやく落ち着いたけど、服どうしよう。
このまま着てると、この変な匂いで気分が悪くなってきちゃって、どうしようかってプロデューサーと考える
それから予備の服、今日Liveで使った衣装を着て上からプロデュサーのコートを借りて帰れる服装に・・・汗臭くないよね?
プロデューサーもあの後一緒に眠っちゃったらしくて、凄い申し訳なさそうにしてたけど
もっとプロデューサーは休んで欲しいな、言っても聞くだけで休んだりはしないんだろうけど凄い心配
それから二人で帰る準備をしたんだけど、さっきの苦い飲み物を飲んだせいか全然眠くない私は
プロデューサーに普段ならしないようなワガママを一つ
みりあ「お家まで歩いて帰りたいなっ・・・ダメ?」
P「今からか・・・何か理由あるのか?」
理由、なんでだろう?何もないので正直に言ってみる
みりあ「ううん、何も無いけどなんとなく歩いて帰りたいなーって」
プロデューサーの顔を見ると、凄い悩んでるみたいだった
しばらく考えた後プロデューサーは顔を上げて
P「わかった、歩いて帰るか」
みりあ「うん!」
そう言ってくれてたプロデューサー、そうやって手を繋ぎながら歩いて帰る今に至る
私の家から事務所までは歩いて30分位
だけど今日はプロデューサーと一緒に居たくてゆっくり歩く
P「こうやってゆっくり歩くのは久し振りだ」
みりあ「そうなの?」
P「あぁ、いい気持ちだ・・・これはみりあに感謝しないとかもな」
みりあ「えへへ」
照れた顔を隠したくてプロデューサーから目を離して周りを見ると
いつも知ってる風景な筈なのに夜というだけで全然違って見えて少し怖くなった
林の奥の暗闇が怖くてプロデューサーの手を強く握って歩く、足の動きが少しぎこちなくなって歩く速さが更にゆっくりに
私の気持ちを察してか、プロデューサーが立ち止まって私を見た
P「そうか、みりあはこの時間だと寝てるんだったか」
みりあ「う、うん・・・いつも10時までに寝てるもん」
P「んー、俺にとっては宵の口でも、みりあにとっては真夜中で知らない世界だもんな」
プロデューサーが納得したように頷いた後、安心させるように私の頭を優しく撫でた
それだけで、怖くて震えていた私の心が温かくなる
落ち着いたか? そう言われて周りをみると今まで怖いと思っていたものがまた全然違って見えていた
みりあ「うん、大丈夫。ありがとうプロデューサー」
P「どういたしまして、アイドルの不安を消すのも俺の役目だからな」
その時の顔が嬉しくて可笑しくて、自然と顔が綻んだ、どや顔って言うんだっけ?
笑うなよ って言って照れ顔で頬を掻くプロデューサー
いつもなら絶対に見れないような表情が見れてまた嬉しくなった
そのあとは、プロデューサーに誘われて色んな所を見て回った
テールランプやお店の明かりで彩られた街、大人のアイドル達がよく通う居酒屋さんこそっと覗くと知ってる人が何人か
昼間は人で埋め尽くされてる人気の無い道、昼間はパッとしないのに沢山の明かりで飾られた素敵な建物
新しい事を発見する度に凄く楽しくて、それをプロデューサーと一緒に見れて
この胸にある温かい気持ちはなんなんだろう それを訊こうと思って振り返ると
プロデューサーは噴水の前で立ち止まっていた
P「そろそろだな」
みりあ「そろそろ?」
何がそろそろなんだろう、そう思ってプロデューサーに近付くと
プロデューサーは何かを期待するような目で私を手招きした
P「ちょっとラジオ付けるな」
みりあ「うん…?」
携帯を操作するプロデューサー、一体何を始めるんだろう
そう思いながら携帯から流れる音に耳を傾ける
携帯「〜♪」
携帯から落ち着いたクラシックが流れ出す
素敵な音楽で、聞いていると心が落ち着くけれど、プロデューサーの考えが分からない
この曲を聴かせたかっただけなのかなって思ったけど、そうじゃないと思う
そう考えながら聴いていたら、突然音楽が止んで女性の声
他愛も無い話と共に時間が過ぎていく
『そろそろ交代の時間、また来週お会いしましょ〜』
みりあ「プロデューサー、これって・・・」
我慢出来なくて話しかけると、プロデューサーは微笑み人差し指を私の唇に当てた
驚いて喋れなくなった私の側で女性の声、今や知らない人は居ないという程に有名なアイドルが視聴者への別れを告げていた
あずさ『それでは三浦あずさが、午前0時をお知らせします』
直後、聞きなれた三つの音と共に私は日を跨いだ
あずさ『只今午前0時を回って4月14日になりました』
あずさ『765ナイトレイディオ、以降は四条貴音ちゃんがお届けします。以上、765プロ所属三浦あずさでした♪』
P「日付の変わり目、昨日と今日の境目」
P「何も変わって居ないようで全く違う、たった数秒前に明日が今日に、今日が昨日になった」
みりあ「・・・!」
P「面白いだろ?」
みりあ「うん!うん!!」
難しい事は分からない、だけど凄い事を体験したような気がして私は思いっきりはしゃいぐ
ちょっと恥ずかしい気もしたけど、今は気にしない事にした
そして、そんな私を祝福するように足元から光が現れて目の前の噴水を照らし
勢いよく音を立てて水が噴き出した
噴水の内と外からライトアップされたその光景は周りの光りがない中で唯一光に溢れ
幻想的な光景を作り出す
みりあ「わぁ・・・」
P「この時間に少しの間だけ水が湧き出るんだ」
P「誰も通らないこの時間、意味がない筈なのに動き出す噴水」
みりあ「プロデューサー、すっごい綺麗だね」
P「だろ? 俺の知ってる中で一番不思議で素敵な場所だ」
そう言って二人で噴水を眺める、ずっとそうして居たいって思うくらい綺麗で引き込まれてしまう
そうやって見入っていると、私を呼ぶ声が聞こえた
なんだろうと思って隣を見ると、私の方を向いてプロデューサーが小さい箱を差し出ていた
みりあ「プロデューサー、これって…?」
何の箱なのかが分からない、分からないのに凄く嬉しい気持ちが溢れてくる
プロデューサーが口を開くのが凄く待ち遠しい
そう感じてる私が居て、それに戸惑いながらプロデューサーに訊いてみた
これってなんなの? って
P「そうだな、開けてみたら分かるんじゃないか?」
私の言葉にとり苦笑しつつ、私の手の上にプロデューサーは箱を置いた
開けていいのかな?と思いチラリとプロデューサーを見るとただ優しい目で私を見ていて
何も言えなくなった私は蓋を開ける
箱の中にはコップが入っていた、前にお仕事で行った動物園にあって買えなかった物
レッサーパンダをモチーフに作られたコップで、今じゃ売ってない物なのに
P「動物園の仕事の後、ちょっとした用があって行った時にな」
みりあ「もらって良いの?」
P「当たり前だ、その為に買ってきたんだからな」
みりあ「プロデューサー…」
P「誕生日おめでとう、みりあ」
プロデューサーにワガママを言ったのも、箱を見て嬉しく感じたのも
今日が誕生日だったからなんだ
そう気付いた時には、私の目から涙が溢れていた
P「み、みりあ!?」
みりえ「ち、違うの・・・これは嬉しくて」
そう言って泣きじゃくる私をプロデューサーは優しく抱きしめてくれた
凄く温かくて、安心できて。ただただ私は泣き続けた
みりあ「えへへ、いっぱい泣いちゃった」
P「理由、出来れば教えて欲しいんだけどな」
みりあ「だーめ、私だけの秘密だからプロデューサーには内緒だよっ」
P「分かった、まぁ泣くほど喜んでもらえたって思っとくよ」
泣いたらお腹が空いちゃってそれをプロデューサーに言ったら、笑いながらラーメン屋さんに連れて行ってくれた
屋台って言うのかな? そこのラーメンは今まで食べた中で一番美味しくて、一生忘れられない味!
そのお店の銀髪のお姉さんがすっごい美人さんで見惚れちゃった
家に着いたらママが起きて待っててびっくり、でも怒ってなくて凄い嬉しそうにしてたのはどうしてだろう?
逆にプロデューサーが話してて凄い困って、私をチラチラ見てたのってなんなのかな?
後でママに訊いたら、大人になったら教えてあげるって・・・気になるなぁ〜
プロデューサーから貰ったコップは、事務所に前のと一緒に置いて使ってるんだ♪
古いコップにも新しいコップにも思い出が詰まってるからどっちかなんて選べないもん
事務所では茜さんや唯さん、若葉ちゃん達からいっぱいお祝いしてもらってすっごい楽しかったなぁ
あと、あの後からもちょくちょくプロデューサーから泣いた理由を訊かれるけど、教えれないよ
だってその・・ぷ、プロデューサーの事が好きだって気付いたから泣いちゃったなんて
プレゼント貰って抱き締められた時に、プロデューサーへの気持ちが抑えきれなくて泣いちゃったなんて言えない!
お、思い出しただけでも恥ずかしいのに・・・ぁぅ
多分、私が大人になってもずっと忘れないまるで夢みたいな夜の出来事
もしそれに名前を付けるとするならそれは━━━
おしまい!
>>37追記
これが私、赤城みりあが体験した初めての夜歩き
多分、私が大人になってもずっと忘れない、まるで夢みたいな夜の出来事
もしそれに名前を付けるとするならそれは━━━
おしまい!
最後の最後でミスったぁ!w
みりあちゃん誕生日おめでとう!
支援、画像、コメントを下さった方々ありがとうございました!
このSSで楽しんで頂ける方がいらっしゃれば幸いです
それではっ ノシ
プロデューサーは少し身震いをして歩き出して、私はそれについて行く
みりあ「なんだか、カンキっていうのが近付いて寒くしてるんだって」
P「あー、なるほど。どうりで寒いわけだ」
私の説明で納得したみたい、でもカンキってなんなんだろう?
みりあ「プロデューサー、手繋ご♪」
そう言って私はプロデューサーに手を差し出して、プロデューサーがその手を握る
握ったプロデューサーの手は大きいけどひんやりしてて
私の温かさをあげれるようにってちょっと強く握った
赤城みりあのSSです。よろしくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365863217
P「ん、みりあの手あったかいな」
みりあ「えへへ、ホッカイロ代わりにしていいよっ」
P「じゃあお言葉に甘えて握らせてもらおうかな」
恥ずかしいのを誤魔化す為の笑顔
プロデューサーは私の手を握ったままゆっくりと歩いて、私もそれについて行く
これはそんな、とある一夜のお話
みりあ「ふぃぃ・・・」
窓から差し込む夕日に照らされながら、私は息を吐いた
ちひろさんは外に出てて、プロデューサーはお茶を汲みに行ってるから聞く人は誰もいない
外からはカラスさんの鳴き声が聞こえて、なんとなく視線を窓に移して窓から見える夕焼けをボーッと眺めてみた
夕焼け空を見ながらカラスののんびりとした鳴き声を聞くと
なんだか体が浮かんでしまいそうなふわふわとした気持ちになってしまう
P「お疲れ様、みりあ」
脱力してると、ソファーに座ってる私を上から覗き込む形でプロデューサーの顔が映った
私と目が合ったあと、何故か苦笑しながらお茶が入ったコップをテーブルの上に置く、私って今変な顔してたのかな?
黄色にハートマークが付いた私のコップ、事務所に元々あった中から私が選んで使ってる私のお茶のお供
プロデューサーから古いのを使うよりも、家から持ってきて良いんだよ
って言われるけど、別のコップに変えるのは迷っちゃう位に愛着があるお気に入りのコップだったりする
みりあ「ありがとう、プロデューサー」
P「こちらこそ事務所の片付け手伝ってくれてありがとな、凄い助かったよ」
みりあ「えへへ、どういたしまして」
P「Liveの後だったのに手伝わせてごめんな」
申し訳無さそうにプロデューサーが謝ってくる、私が好きでした事なのにな
何があったのかというと、Liveバトルが終わって私が事務所に戻ると
一人でたくさんの資料を片付けるプロデューサーを私が見つけて手伝ったのが事の始まり
プロデューサーには止められたけど、お世話になってる人が困ってるなら手伝いたくなっちゃうよね?
みりあ「でも、資料見つかって良かったね」
P「朝に送ったのをちひろさんが教えてくれてれば大事にはならなかったけどな」
みりあ「あはは」
周りにある箱やファイルを端から端まで開けても見付からなくて
プロデューサーと途方にくれてた時に、ちひろさんから一本の電話
ちひろ「連絡遅れてしまってごめんなさい!資料は朝に相手先へ送ってます」
ちひろさんが私をLiveに送る前に相手先へ資料を送ってたみたい
プロデューサーに会った時に言うつもりでいたみたい、すれ違っちゃったんだね
溜め息を吐くプロデューサーを横目にお茶を啜る。うん、美味しいな
P「さて、俺も休憩しようかな」
みりあ「じゃあ一緒に休憩だね☆」
P「お菓子も持ってきたぞ」
みりあ「わーい♪」
それから、お菓子を摘みながらプロデューサーとお喋り
時間を忘れて色んなことを話して、凄い楽しい時間
プロデューサーと一緒に居ると凄い安心するのはなんでなのかな
お茶を飲んでお菓子食べてお話して、気付けば私は眠っちゃってた
P「みりあ、みりあ」
みりあ「ん、ぷろでゅーさぁ」
P「お、おい、起きろみりあ」
みりあ「ん〜・・・もっとぉ」
働かない頭を起こしながらプロデューサーを見る
見たら、なんとなくくっ付きたくなってプロデューサーに抱きついてみる
プロデューサーの驚いた顔と困った顔を見て、もっと困らせたくなって体重を預ける
なんとなく悪戯っ子の気持ちが分かったなぁ、と寝ぼけ頭が考える
P「ほら、お茶飲んで目を覚まして」
みりあ「はぁい・・・っ!?」
言われるままにテーブルにあるコップへ手を伸ばして・・・どっちが私のコップだっけ?
暗くて分からないから適当に取って口へ運んだ、途端あまりの苦さにむせて吐き出してしまった
手に持ってたコップも落としそうになったけどプロデューサーが掴んでくれて割らずに済む
だけど、私の服とスカートがコーヒーで真っ黒になっていた、お気に入りの服だったのになぁ
P「わわっ、大丈夫かみりあ!」
みりあ「けほっ、けほっ」
苦さが口一杯に広がって、目は覚めたけど目覚めは酷い・・・こういうのを鳩に水鉄砲、だっけ?
お菓子の甘い飴を舐めさせてもらってようやく落ち着いたけど、服どうしよう。
このまま着てると、この変な匂いで気分が悪くなってきちゃって、どうしようかってプロデューサーと考える
それから予備の服、今日Liveで使った衣装を着て上からプロデュサーのコートを借りて帰れる服装に・・・汗臭くないよね?
プロデューサーもあの後一緒に眠っちゃったらしくて、凄い申し訳なさそうにしてたけど
もっとプロデューサーは休んで欲しいな、言っても聞くだけで休んだりはしないんだろうけど凄い心配
それから二人で帰る準備をしたんだけど、さっきの苦い飲み物を飲んだせいか全然眠くない私は
プロデューサーに普段ならしないようなワガママを一つ
みりあ「お家まで歩いて帰りたいなっ・・・ダメ?」
P「今からか・・・何か理由あるのか?」
理由、なんでだろう?何もないので正直に言ってみる
みりあ「ううん、何も無いけどなんとなく歩いて帰りたいなーって」
プロデューサーの顔を見ると、凄い悩んでるみたいだった
しばらく考えた後プロデューサーは顔を上げて
P「わかった、歩いて帰るか」
みりあ「うん!」
そう言ってくれてたプロデューサー、そうやって手を繋ぎながら歩いて帰る今に至る
私の家から事務所までは歩いて30分位
だけど今日はプロデューサーと一緒に居たくてゆっくり歩く
P「こうやってゆっくり歩くのは久し振りだ」
みりあ「そうなの?」
P「あぁ、いい気持ちだ・・・これはみりあに感謝しないとかもな」
みりあ「えへへ」
照れた顔を隠したくてプロデューサーから目を離して周りを見ると
いつも知ってる風景な筈なのに夜というだけで全然違って見えて少し怖くなった
林の奥の暗闇が怖くてプロデューサーの手を強く握って歩く、足の動きが少しぎこちなくなって歩く速さが更にゆっくりに
私の気持ちを察してか、プロデューサーが立ち止まって私を見た
P「そうか、みりあはこの時間だと寝てるんだったか」
みりあ「う、うん・・・いつも10時までに寝てるもん」
P「んー、俺にとっては宵の口でも、みりあにとっては真夜中で知らない世界だもんな」
プロデューサーが納得したように頷いた後、安心させるように私の頭を優しく撫でた
それだけで、怖くて震えていた私の心が温かくなる
落ち着いたか? そう言われて周りをみると今まで怖いと思っていたものがまた全然違って見えていた
みりあ「うん、大丈夫。ありがとうプロデューサー」
P「どういたしまして、アイドルの不安を消すのも俺の役目だからな」
その時の顔が嬉しくて可笑しくて、自然と顔が綻んだ、どや顔って言うんだっけ?
笑うなよ って言って照れ顔で頬を掻くプロデューサー
いつもなら絶対に見れないような表情が見れてまた嬉しくなった
そのあとは、プロデューサーに誘われて色んな所を見て回った
テールランプやお店の明かりで彩られた街、大人のアイドル達がよく通う居酒屋さんこそっと覗くと知ってる人が何人か
昼間は人で埋め尽くされてる人気の無い道、昼間はパッとしないのに沢山の明かりで飾られた素敵な建物
新しい事を発見する度に凄く楽しくて、それをプロデューサーと一緒に見れて
この胸にある温かい気持ちはなんなんだろう それを訊こうと思って振り返ると
プロデューサーは噴水の前で立ち止まっていた
P「そろそろだな」
みりあ「そろそろ?」
何がそろそろなんだろう、そう思ってプロデューサーに近付くと
プロデューサーは何かを期待するような目で私を手招きした
P「ちょっとラジオ付けるな」
みりあ「うん…?」
携帯を操作するプロデューサー、一体何を始めるんだろう
そう思いながら携帯から流れる音に耳を傾ける
携帯「〜♪」
携帯から落ち着いたクラシックが流れ出す
素敵な音楽で、聞いていると心が落ち着くけれど、プロデューサーの考えが分からない
この曲を聴かせたかっただけなのかなって思ったけど、そうじゃないと思う
そう考えながら聴いていたら、突然音楽が止んで女性の声
他愛も無い話と共に時間が過ぎていく
『そろそろ交代の時間、また来週お会いしましょ〜』
みりあ「プロデューサー、これって・・・」
我慢出来なくて話しかけると、プロデューサーは微笑み人差し指を私の唇に当てた
驚いて喋れなくなった私の側で女性の声、今や知らない人は居ないという程に有名なアイドルが視聴者への別れを告げていた
あずさ『それでは三浦あずさが、午前0時をお知らせします』
直後、聞きなれた三つの音と共に私は日を跨いだ
あずさ『只今午前0時を回って4月14日になりました』
あずさ『765ナイトレイディオ、以降は四条貴音ちゃんがお届けします。以上、765プロ所属三浦あずさでした♪』
P「日付の変わり目、昨日と今日の境目」
P「何も変わって居ないようで全く違う、たった数秒前に明日が今日に、今日が昨日になった」
みりあ「・・・!」
P「面白いだろ?」
みりあ「うん!うん!!」
難しい事は分からない、だけど凄い事を体験したような気がして私は思いっきりはしゃいぐ
ちょっと恥ずかしい気もしたけど、今は気にしない事にした
そして、そんな私を祝福するように足元から光が現れて目の前の噴水を照らし
勢いよく音を立てて水が噴き出した
噴水の内と外からライトアップされたその光景は周りの光りがない中で唯一光に溢れ
幻想的な光景を作り出す
みりあ「わぁ・・・」
P「この時間に少しの間だけ水が湧き出るんだ」
P「誰も通らないこの時間、意味がない筈なのに動き出す噴水」
みりあ「プロデューサー、すっごい綺麗だね」
P「だろ? 俺の知ってる中で一番不思議で素敵な場所だ」
そう言って二人で噴水を眺める、ずっとそうして居たいって思うくらい綺麗で引き込まれてしまう
そうやって見入っていると、私を呼ぶ声が聞こえた
なんだろうと思って隣を見ると、私の方を向いてプロデューサーが小さい箱を差し出ていた
みりあ「プロデューサー、これって…?」
何の箱なのかが分からない、分からないのに凄く嬉しい気持ちが溢れてくる
プロデューサーが口を開くのが凄く待ち遠しい
そう感じてる私が居て、それに戸惑いながらプロデューサーに訊いてみた
これってなんなの? って
P「そうだな、開けてみたら分かるんじゃないか?」
私の言葉にとり苦笑しつつ、私の手の上にプロデューサーは箱を置いた
開けていいのかな?と思いチラリとプロデューサーを見るとただ優しい目で私を見ていて
何も言えなくなった私は蓋を開ける
箱の中にはコップが入っていた、前にお仕事で行った動物園にあって買えなかった物
レッサーパンダをモチーフに作られたコップで、今じゃ売ってない物なのに
P「動物園の仕事の後、ちょっとした用があって行った時にな」
みりあ「もらって良いの?」
P「当たり前だ、その為に買ってきたんだからな」
みりあ「プロデューサー…」
P「誕生日おめでとう、みりあ」
プロデューサーにワガママを言ったのも、箱を見て嬉しく感じたのも
今日が誕生日だったからなんだ
そう気付いた時には、私の目から涙が溢れていた
P「み、みりあ!?」
みりえ「ち、違うの・・・これは嬉しくて」
そう言って泣きじゃくる私をプロデューサーは優しく抱きしめてくれた
凄く温かくて、安心できて。ただただ私は泣き続けた
みりあ「えへへ、いっぱい泣いちゃった」
P「理由、出来れば教えて欲しいんだけどな」
みりあ「だーめ、私だけの秘密だからプロデューサーには内緒だよっ」
P「分かった、まぁ泣くほど喜んでもらえたって思っとくよ」
泣いたらお腹が空いちゃってそれをプロデューサーに言ったら、笑いながらラーメン屋さんに連れて行ってくれた
屋台って言うのかな? そこのラーメンは今まで食べた中で一番美味しくて、一生忘れられない味!
そのお店の銀髪のお姉さんがすっごい美人さんで見惚れちゃった
家に着いたらママが起きて待っててびっくり、でも怒ってなくて凄い嬉しそうにしてたのはどうしてだろう?
逆にプロデューサーが話してて凄い困って、私をチラチラ見てたのってなんなのかな?
後でママに訊いたら、大人になったら教えてあげるって・・・気になるなぁ〜
プロデューサーから貰ったコップは、事務所に前のと一緒に置いて使ってるんだ♪
古いコップにも新しいコップにも思い出が詰まってるからどっちかなんて選べないもん
事務所では茜さんや唯さん、若葉ちゃん達からいっぱいお祝いしてもらってすっごい楽しかったなぁ
あと、あの後からもちょくちょくプロデューサーから泣いた理由を訊かれるけど、教えれないよ
だってその・・ぷ、プロデューサーの事が好きだって気付いたから泣いちゃったなんて
プレゼント貰って抱き締められた時に、プロデューサーへの気持ちが抑えきれなくて泣いちゃったなんて言えない!
お、思い出しただけでも恥ずかしいのに・・・ぁぅ
多分、私が大人になってもずっと忘れないまるで夢みたいな夜の出来事
もしそれに名前を付けるとするならそれは━━━
おしまい!
>>37追記
これが私、赤城みりあが体験した初めての夜歩き
多分、私が大人になってもずっと忘れない、まるで夢みたいな夜の出来事
もしそれに名前を付けるとするならそれは━━━
おしまい!
最後の最後でミスったぁ!w
みりあちゃん誕生日おめでとう!
支援、画像、コメントを下さった方々ありがとうございました!
このSSで楽しんで頂ける方がいらっしゃれば幸いです
それではっ ノシ
03:30│赤城みりあ