2013年12月07日

柚「フツウの女の子」

柚「ほっ」

柚「ン? うん。パーカーかぶると、あったかいよ。Pサンもパーカーにするといいのにー」

柚「せっかくだし、今度おそろのパーカー、買いに行こうよ!」


柚「へへっ、そしたらきっと、アタシはもーっと楽しいよ!」

柚「……わ、分かってるってば。仕事も頑張るよぅ」

柚「…も、もう。アイドルだって、大事だけど、アタシにはもっと大事なものがあるんだからー…」

柚「ふん、鈍感なPサンには教えてあげないよっ♪」ベー
柚「んー♪ おいしいっ」

柚「Pサン、ありがとね。あ、あんな小さなライブの成功祝いって言うのも、何だか照れ臭いケド…」

柚「う、うん。あんなってことは、ないよね。初ライブだったもんね」

柚「…お前こそ、めちゃテンション高かったって? へへっまあね! 初めてのライブだったし!」

柚「……うん。初めてだったもんね。これでアタシも、ちゃんとアイドルってかんじ…」

柚「えへへ。フシギな感じがする! 全部Pサンがアタシを見つけてくれたおかげ!」

柚「ありがとう、Pサン。よし、これからもーっと、アタシ頑張るね!♪」
柚「おーPサンだ。えへへ…すごいね。こんな土砂降りの中でも、ちゃんと見つけてくれるんだね。さすがっ」

柚「…とはいえずぶぬれじゃん! 寒くない?」

柚「アタシはほら、フード被ってるし! …えへへ、ごめん、やっぱ寒いや…」ブルブル

柚「っくし」

柚「……すごい雨だねー」
柚「いつだって不安だよ?」

柚「アイドル始めるまでは、なにか面白ことないかなーって。探してるってことは、今が楽しくないのかなって」

柚「学校も、友達といるのも、楽しいハズなのにさー。そんな風に考えるようになって。いつの間にか、前髪を伸ばすくらいのことも不安になって」

柚「それでようやく、Pサンに見つけてもらえて、不安なこと忘れるくらい楽しいなって思えて……」フルフル

柚「けど、やっぱり何だか上手く行かなくて」

柚「あはは、たった一度の失敗で、こんな風に思うなんてね!」
柚「…ひっく」

柚「え、へへ。ごめんね。こんな風に泣いたのって久し振りだなー」

柚「……けど、泣いたらすっきりするなんてウソだね!」

柚「…ねえPサン。やっぱりアタシは、こんな風によわっちいフツウの女の子なんだー」

柚「やっぱアイドルは、もっと他の子たちみたいな、トクベツな子がやんなきゃね! ってことで…」

柚「きゃう!? ぴ、Pサン? フードをそんな風にしちゃうと、前が見えないよー」ワタワタ
柚「…そうだね」

柚「アタシは、アタシだけだとフツウの女の子で、きっとそのままだったケド」

柚「……Pサンのおかげで、アタシはアイドルに――トクベツに、なれたんだもんね」
柚「あの日のことがやっぱり運命だったんだって!」

柚「幸せなことだったんだって!」

柚「Pサン! アタシにそう思わせてね! これからもよろしくっ」

おわり。


16:30│喜多見柚 
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