2013年11月30日

真「ひとりぼっちの宇宙戦争」

開戦前々日 22:00 真の部屋

真「宇宙人、いるのかなあ」

真「科学の発達した惑星からUFOがやってくるんだ」


真「友達になれるといいなあ」

ハルシュタイン閣下(以下閣下)「時間を止めたわ。栄えある戦士に選ばれたのは彼女ね」

伊織「おめでとうというべきか、お気の毒と言うべきか…」

閣下「遺伝子情報が必要ね。伊織、細胞を2、3個取ってちょうだい」

伊織「これでそっくりに作れるわね」

閣下「完成までどれくらい?」

伊織「ざっと20時間ほどよ」

閣下「それなら明晩午前零時開戦としましょう」

伊織「どちらかの死亡をもって終戦とします」

閣下「勝負の結果については、無条件にしたがうこと」

伊織「いいわね?」

閣下・伊織「「おやすみ……」」

真「なんだあいつら!?」

真「父さん、誰も通らなかった?」

真一「いや、誰も通っとらんが」

真「変な女の子が二人、明日の午前零時開戦とか死亡とか」

真一「はっはっは。真もついに男の子っぽいことを考えるようになったか」

真「そんなんじゃないよ、もう!」

開戦前日 15:00 765プロ

P「はい、はい… ありがとうございます」

P「真、話がある。」

真「なんですか!プロデューサーさん!もしかしてお姫様のお仕事が入りましたか!?」

P「いや、残念なお知らせだ」

P「この前のドラマのオーディション、落ちたそうだ……」

真「えっ……」

P「まだまだこれからだ、真。いっしょにがんばろうな!」

真「はいっ」

開戦前日 22:00 真のベッド

真「プロデューサーは慰めてくれたけど悔しいな…」

真「でもプロデューサーは優しいなあ……」

真「もう寝よう……」

開戦当日 00:00 真のベッド

閣下「立ちなさい!戦いのときは来ました!」

真(頭の中に声が…?)

真「誰!?冗談にしても度がすぎるよ!!」

真「父さん、起きてよ!昨日のへんな女の子がまた来てるんだ!」

真一「……」

真「起きてったら父さん!父さん!」

閣下「起こすことはできないわ」

伊織「地球全体がいま眠っているの」

閣下「つまり、時の流れが止まっているの。動けるのは私たちとあなただけよ」

真「時の流れが!?よおし!やってやろうじゃないの!!!」

閣下「表に出なさい」

開戦当日 00:00 菊地家の前の通り

真「誰だかわからないけどからかうにもほどがある!」

真「相手になってやる。出てこい!!!」

真「木の葉が空中で止まってる…」

閣下「見なさい。私たちの戦士がやってくるわ」

真「おまえは!?」

真「ボ、ボクにそっくり!?」

シュッ

真「危ないじゃないか!」サッ

真「どうかしてる!!」




開戦当日 00:00 どこかの庭

真「ボクと戦うなんて……」ハアハア

閣下「逃げることは許されないわ」

伊織「あなたが逃げることは地球の敗北よ」

真「どういうことさ!?」

閣下「あなた達は地球とハルシュタイン星を代表して戦争しているの」

伊織「あなた達それぞれに2つの星の運命がかかっている」

真「冗談じゃない!」


真「1人の人間が1つの星を代表するなんておかしいじゃないかっ!」

伊織「これだから後進星の人間は困るわ」

閣下「現在、惑星間の全面戦争は宇宙法で禁止されているの」

閣下「お互いの犠牲が大きすぎるから」

伊織「地球でも大昔には代闘士を立てていたそうじゃない」

シュッ

真「ギャッ」ボコッ

真「ボクはこんな」

シュッ

真「一方的な話に」サッ

シュッ

真「乗る気はないぞ!」ダダダッ



開戦当日 00:00 たるき亭前

真「やだよ!ボクこんなの」

真「そもそも地球にはもっと強い男の人が…」

閣下「代闘士はまったくでたらめに選ばなければいけないの」

伊織「その代わり公平を期すために相手戦士にはそっくりのロボットが作られる」

閣下「知力も体力もそっくりそのまま。対等な勝負が成り立つのよ」


シュッ

真「もうくたくただ!」ボコー

閣下「同じ力の同じもの同士だから勝負は長引くわ」

伊織「いままでの最長では1週間ね」

真・ロボ真「「フーフー!!ハーハー!!」」

真「なるほど…相手も同じ体力というわけか……」

真「もしボクが負けたら…地球人はどうなるのさ」

閣下「私たちが手に入れたいのは地球という惑星そのものだけど」

閣下「地球人についてもいろいろな使い道が考えられるわ」

閣下「奴隷…」

伊織「ペット…」

閣下「食料…」

真「食料!?」

シュッ

真「痛いっ!!!」

真「対等な勝負なんてうそっぱちだ!」

真「ロボットなんてボクを[ピーーー]ことしか頭にない殺人機械だ…」

伊織「殺人機械とは上手いことをいうわね」

伊織「それでもこの戦いはやっぱり対等なのよ」

閣下「あなただけの武器がある」

閣下「ロボットにはなくて人間だけの…」

真「なんだ!それは!」

閣下「それを教えるほど私たちもお人好しじゃないわ」

真「うそだ…ボクにそんな強力な武器があるもんか……」

真「足がふらふらしてきた…」



開戦当日 00:00 765プロ

P「……」

真「プロデューサー、こんな遅くまで」

真「ごめんなさい、プロデューサー」

真「トップアイドルになれなかった…」


ドンドン

真「ドアを破ろうとしてるな」

真「ボク、もうすぐ負けます……」

真「ボクが負けたらプロデューサーは……」

P「……」

真「食料に……?」

真「そんな!!!絶対にそんなことさせない!!!」

真「勝てなくても引き分けにはできるかも…」

真「プロデューサー、最後にキスだけさせてください……」チュッ

P「……」




開戦当日 00:00 たるき亭前

真「こっちだ!もう逃げないぞ!」

真「一撃が全て!」

ボコッ

ロボ真「…」ドサッ

真「これが火事場の馬鹿力……」



そのまま泥のように眠り、目覚めたときにはロボットも傷も、
昨夜の死闘の痕跡のすべてがあとかたもなく消え失せていた。
小鳥「っていう藤子・F・不二雄先生の「ひとりぼっちの宇宙戦争」があるので」

小鳥「名作なので皆さんも読んでみて下さいね」
以上。処女作でした
亜美真美で戦わせたかったのですが
ハルシュタイン閣下を出そうとすると彼女らをバラす訳にもいかなくなりまして
武闘派の真ちゃんに戦ってもらいました
藤子先生の「ひとりぼっちの宇宙戦争」のパロディ元になった
フレドリック・ブラウンの「闘技場」は短編SF古典の最高峰なんで
是非是非読んでみて下さいね

09:30│菊地真 
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