2014年09月18日

モバP「すきだらけの留美さん」


留美「Pさん? いないの?」



留美「あら……ちひろさんもいないのかしら」





留美「誰もいない事務所も寂しいものね」



留美「……」



留美「雑誌でも読んで待ちましょうか」





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留美「……」



留美「……鳴き声がするわね」



留美「あの猫は……」



留美「確か、以前Pさんが連れて来た子……!」



留美「事務所に居付いたのね。皆でお世話してたんだわ」



留美「少しだけなら……でも」



留美「ダメよ留美……またあの時の二の舞になるだけ」



留美「……ちっちっち、おいでー」



留美「そうそう……いい子ね、こっちに来る? 遊んであげるわ」



留美「毛並みもよくなったわね。前よりもっと可愛くなってるもの」



留美「今日は運がいいわね。ペロちゃんにあげようと、猫缶を買ってきておいたのよ」



留美「特別にひとつわけてあげるわ。大人しくしておいてね」



留美「……」



留美「それにしてもモフモフね」



留美「……」



留美「一回だけならきっと平気よね」





留美「……ねえ、抱っこしてもいいかしら?」



留美「一度だけでいいのよ。ほら、おいで……」



留美「ああ、人懐っこいのね。皆に遊んでもらっているから……モフモフ」



留美「よしよし、大人しくて可愛いわね……ああ……ニャーニャー♪」



留美「この前はあんまり構ってあげられなくてごめんなさい……お姉さん、猫アレルギーなの……」



留美「でも今日は、もうちょっとゆっくり遊んであふぁ───ふっくちゅん!」



留美「ズズッ……うふふ、大丈夫。ちょっと、嬉し涙が出ちゃっただけよ!」



留美「ほら猫缶お食べ……へっくちゅん!」





留美「ふぇっくしゅん! ……フフ、愛に障害はつきものなのよ」



留美「いいの、あなたが美味しそうに猫缶を食べる姿を、見守ることができれば……」



留美「直接遊べなくても、それで十分……」



留美「……」



留美「……ごめんなさいやっぱり無理!」



留美「はにゃぁぁぁん♪ にゃーん、にゃーん♪」



留美「にゃーにゃー……モフモフッ」



留美「ああ……どうしてこんなに可愛いのかしら!」





留美「あら。もうごちそうさま? 美味しかったかしら?」



留美「もっと食べたいのかしら。でもダメよ、これはペロちゃんの分だもの」



留美「そんなに物欲しそうな目をしても……ふぇっくしゅ! ……ダメよ、ええ」



留美「ダメなものはダメなの……これはペロちゃんにあげる分なのよ?」



留美「そうね……どうしても欲しいのなら、私を捕まえたら考えてあげるわ」



留美「フフ、ほらほらー♪ 猫缶はこっちよ。ちゃんと付いてこないとあげないわよ?」



留美「ああ……猫と追いかけっこ……私の夢が、また一つ叶ったわ……」



留美「へっくちゅん! ああ、にゃんこって最高……♪」



留美「うふふ♪ 私を捕まえてごらんなさーい♪ うふふっ……ふ!?」



留美「……Pさん、いつからそこにいたのかしら」





留美「答えて頂戴。いつからそこにいたのかしら?」



留美「『鳴き声がするわね』の部分から?」



留美「そう……」



留美「いいえ、なんでもないわ」



留美「ふぇっくちゅん!……ズズッ」



留美「……」



留美「今思い出したのだけれど、私は用事があるからこれで失礼するわ」



留美「この子のお世話よろしくね。それじゃ」





留美「……へっくちゅん!」





留美(……)



留美(ふう、なんとか誤魔化せたわね……)



留美(危うく、猫にだらしのない、隙だらけの女だと思われるところだったわ)



留美(普段はちゃんとしているものね。Pさんに限って、そんな思い込みはしないわよ)



留美(だけど……こんなことが続くと、さすがに困るわね)



留美(少し、気を引き締めましょう)





留美「思えば最近、あまりにも隙を見せてばかりだった気がするわ……反省……」



留美「お花で平静な心を取り戻すのよ……」



留美「……」



留美「…………」



留美「!!!?」





留美「……っ」



留美「…………っっ」



留美(───勝った!)



留美(けれど大事なチャンスは失ったわ!)



留美(いいえ、これでいいのよ。だって今の私は、穏やかで平静な心に満ち溢れているもの)



留美(たとえ猫であっても、それを打ち崩すことはできないわ)



留美(でもなぜかしら……景色が滲んで見えるわね……)





留美「……あら、Pさん」



留美「わざわざ差し入れに来てくれたの?」



留美「ありがとう……でもね」



留美「その子まで連れてこなくても……いいのよ」



留美「ええ……見ての通り、鍛錬で忙しいの」



留美「猫と遊んでいる暇はないのよ」



留美「そう、どんな状況でも隙は見せないわ」



留美「今の私は穏やかで平静な心にみちあふぁぁぁ……目の前でモフモフするのはダメよぉぉぉ……♪」





留美「あぁ……もう無理! 私もモフモフするわ!」



留美「あぁぁん……♪ 危険よ! この子はやっぱり危険だわ、Pさん……!」



留美「私を猫好きと、しかも猫アレルギーと知っての所業よね!」



留美「な、涙とクシャミが……でもどうしても抱き上げずにはいられないわ。はにゃぁん♪」



留美「……へっくしゅん! ふぇっくしゅん!」





留美「……ふう。結局猫には勝てなかったわ……Pさんには完敗よ」



留美「それに、こんな隙だらけの女じゃ、愛想を尽かされても仕方ないわね」



留美「今まで仕事一辺倒だったのに……がっかりしたかしら?」



留美「……そういうところが好き?」



留美「ふふふ。Pさんもおかしな人ね」



留美「……でも、あなたのそういうところ、好きよ」







留美「さて、私の隙はもう十分見せたわよね。次はあなたの番だと思わない?」



留美「……あら。いいのよ、どんな隙を見せてくれたって」



留美「例えば、事務所に一人だと思って猫と存分に戯れている醜態を見せ付けてくれたって」



留美「……いいえ、さっきの事は怒ってないわ。ただ根に持っているだけよ」



留美「そうね。Pさんのすきは、どんなすきかしら」



留美「この先、楽しみにしておくわ。ふふふっ♪」



おしまい



21:30│和久井留美 
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