2014年12月08日

P「貴音と月見酒」




P「――――――は…いいんだけど……」







貴音「どうなさいました、あなた様?」



P「いや、せっかくのオフをこんな何もない、俺の田舎で…しかも俺と二人で月なんて見てて、貴音としてはどうなんだと……」



貴音「また、その様な事を……私が望んでご一緒させて頂いているのですから、あなた様にその様な事を言われますと、私が申し訳ない気持ちになってしまいます」



P「いや済まん。そんな心算はないんだが…まぁ確かにあの時―――――」











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あの時。





P「―――――あー分ったから!今度の週末に休みが取れたから、その時に帰るから――――」



ピッ





貴音「どうなさいました。あなた様?」



P「ん?ああ…貴音か。いや、今実家から電話が来て、たまには実家に帰って来いって言われてさ……」



P「確かに…しばらく帰ってなかったし、ちょうど今度の週末に休みが取れたから、たまには帰ろうかなって思って」



貴音「そうですか」



貴音「……………………………」コクン…





P「ん?どうしたんだ貴音?いきなり押し黙って……」



貴音「あの…あなた様……」



P「何だい?」







貴音「私もあなた様と御一緒させては頂けないでしょうか?」







 





P「えっ!?今なんて?」



貴音「ですから。次の週末は私もお休みですから、あなた様のご実家にご一緒させて頂きたいと、伺っているのです」



P「ほう…それは俺としても嬉しい――――じゃなくて!ソレ…本気で言ってるのか?」



貴音「はい。私があまり冗談を言わないのは、あなた様も知っておられるではないですか?」



P「確かにそうだけど……それなら尚更、お前の言っている事が分からない」



貴音「そんなに分り難い事を言った覚えはないのですが?」



P「そうじゃなくてだな…せっかく、久し振りに取れたオフを、そんな事の為に使うなんてな……」



貴音「そうですか?」



P「ああ。はっきり言って俺の田舎は本当の田舎で、はっきり言って自慢じゃないが、気持ちいい程に何にもない」きっぱり



貴音「そうなのですか?」



P「ああ。だからそんな酔狂な事を言ってないで…そうだな…お前の好きなラーメン屋巡りでもしたらどうだ?」





 





貴音「らぁめん屋さんですか……それはそれで、大変有意義ではあると思いますが……」



貴音「ですが…らぁめん屋巡りはいつでも出来ますが、あなた様のご実家にお伺いする機会は、中々ありませんから……」



P「まぁ…確かに……」



貴音「ですから。お願い申し上げます。私をあなた様のご実家にご一緒させて下さいませ」ぺこり



P「……うーん。だがなぁ……」



貴音「あなた様!」



P「はいっ!?」



貴音「私にここまで言わせて、それでもこの願いを叶えてはくれませぬと?」



P「うっ…そ…それは……わ…分ったよ。ただしホントに何もないからな?ついて来て後悔しても知らないぞ?」



貴音「!!ありがとうございます。あなた様」にこ





 





――――――。





P「――――まったく…どうしてこんなところに来たがったのか、いまだに分らないが……」



P「もしアイドルが自身のプロデューサーと一緒に、そいつの実家にご同伴なんて事がバレたら、大変な事になっていたからな」



貴音「ふふ…それでしたら…こうやって―――――」



ふわっ…



貴音「髪を束ねて、眼鏡を掛ければ、案外と分らないものですし、実際に私だって気付かれなかったではありませんか」



P「確かに。結構、外見は変わるものだが……でも…これはこれで、また違った貴音の魅力に気付かされるな」



貴音「!!///////」





P「それに…その浴衣もよく似合ってる。普段のアイドルの衣装もいいけど、やっぱり貴音は和服が似合うなあ……」



貴音「そうですか?でしたら…アイドルから演歌歌手に転向した方が、いいのかもしれませんね?」



P「それはまだ勘弁してくれ、将来的にならともかく、今はアイドルの四条 貴音として売り出してるんだから。現状での路線変更は流石に色々と問

題が……」



貴音「ふふ…もう本気にされて…冗談ですよ」



P「まったく脅かさないでくれ。貴音が言うと冗談に聞こえないんだよ…それくらいしっくりしてたから……」



P「まぁ確かに…将来的にはいいのかもしれないけどな。わりと本気で……」



貴音「ふふふ…考えておきます」





  







―――――





貴音「あなた様……」



P「ん?どうした?」



貴音「さっきからあなた様は、ここをこんな処って仰ってますけど、私は嫌いではないですよ。静かで和で風情があって…心が落ち着く感じがして……」



P「そうかな?俺は何にもなくて、静かすぎて逆に落ち着かないっていうか……寧ろ一年の半分は虫の声で五月蠅いくらいなんだが……」



貴音「…それも風情ではありませんか?あなた様」



P「風情ねぇ…物は言いようだな」



P「それに―――――」



貴音「それに…何ですか?」



P「この辺りはお前の好きなラーメン屋すらないんだぞ?」



貴音「――――そ…それは少々困りましたわね……」



P「ははは…」



P「まぁ…別にここに住むわけじゃないんだから、そんなマジな困り顔なんてしなくてもいいじゃないか?」



貴音「…………そうですわね……」





貴音「――――――――――――――――でも将来的には…あなた様と……」ぼそ…





P「ん?何か言ったか?」



貴音「いっいえっ何でもありませんわっ//////////」ふりふりっ







  





―――――――。





くいっ…



P「ふー。でも…東京よりも月がよく見えて、月見酒が旨い処は田舎のいいところかもしれないな……」



貴音「そうですわね。本当にキレイ……」



P(……………………………)ほー



貴音「どうされましたあなた様?人の顔をじっと見て…少々恥ずかしいですわ////////」



P「いや…スマン。でもこうして見ると…貴音は本当に月が似合うなぁ……」



貴音「そうですか?」



P「ああ。月のお姫様……いや…寧ろ月が人の形をとった姿というか……何か月の化身って感じかなぁ……」



貴音「月の化身…ですか?」



P「ああ。まぁ上手く表現は出来ないんだが…そんな感じがするんだ」



貴音「そうですか…では私が月だとしたら、太陽は何方になるのでしょうか?」



P「太陽か…そうだな……やっぱり響あたりかなぁ」



貴音「響ですか?」



P「ああ。まぁアイツは太陽そのものと言うよりも、太陽の光に育てられた、太陽の子どもって感じだけどな」



貴音「ふふ…確かにそうですわね」クス…





P「まぁ…俺は月の方が好きなんだけどな……」ぼそ…





 





貴音「えっ!?」どきっ



貴音「あっあなた様…今なんと仰られました?」どきどき



P「いやっ何でもない!ただの何でもない独り言だよ!//////」ははは…



貴音「そうですか……」





P「……………………」じ…



P(…………あの夜空に映える月と同じという事は、お前もそれだけ俺の目にはキレイに映ってるって事だよ……・……貴音)





P(そう…そんなお前を俺は――――――――)





P(でも貴音は正真正銘のアイドル…色んな意味で触れる事すら適わない、赦されない。俺には正にタカネの華なんだよな……)ふっ…





貴音「?」



貴音(どうされたのかしら?物憂げに人を顔を見詰めて……?)





 





―――――





貴音「…………あの、あなた様。もう一献いかがですか?」すっ



P「ん?ああ。ありがとう。頂くよ」すっ



P(あんまり感傷的になるのもよくないよな……よし―――――)





とくとく



P「んっ――――――」くいっ



P「ぷはー。やっぱり貴音がお酌してくれた酒は最高だな」ははは…



貴音「ふふ…もう。あなた様ったら」



P「いやぁたまには…こうやって田舎の家の縁側で、月を愛でながら飲む酒もいいもんだな―――――」はっ





P「おっそうだ。貴音も一杯どうだ?」すっ



貴音「いいのですか?」



P「ああ。まぁこういう時ぐらいいいだろ。酒は一人で飲むのもいいが、誰かと酌み交すのもまたいいもんだしな」



貴音「…………そうですか。では…少しだけ」すっ







 





――――――。





貴音「////////少しだけって言っておきながら、少々飲み過ぎてしまったみたいですわ////////」ふぅ…



P「大丈夫か?貴音」



貴音「ええ。でも…ちょっとカラダが火照って…しまった様ですわ……///////」ほぅ…



P「!?」



P(うっ…貴音の白い肌が、ほんのり朱に染まって……)ゴクリ…





貴音「ふぅ…でも少しだけ酔ってしまったみたい……」ふらり…



ぴと…





P「!?」



P(うっ貴音が顔を俺の胸にぴとって寄りかかって……)どきどき





貴音「ごめんなさいあなた様…少しだけこうさせて頂いてもも宜しいでしょうか?///////」じ…





P「あ…ああ」



P(じょ…上気した顔の貴音がさらに上目使いで……//////)





P(なっなんて魅惑的で蠱惑的なんだ――――――)ゴクリ…





  





貴音「あら…あなた様…大丈夫ですか?少し心の鼓動が早くなってる気が……」



P「だっ大丈夫だ!心配ない!」どぎまぎっ



貴音「なら…よいのですが……」



P(貴音にこんな事されて、ドキドキしない方がおかしいよ……)どきどき



貴音「ふふ…あなた様……実は私も少々胸の鼓動が早くなっていますの……」どきどき



P「そ…そうなのか?」



貴音「はい…何でしたら確かめてみます?――――――直接」すっ



P(うっ…きっ着物の襟を開いて―――――)



P「いっいいから!そんな事しなくてもいいから!!」



貴音「そうですか……」





 







P「まったく酔ってるからって…すこし開放的になり過ぎてるぞ?ただでさえ、家のモンにはそう思われてるってのに」



貴音「そう思われているって?何をです?」



P「ほら…今日、実家(ここ)にお前を連れて来た時、俺の家族が俺が嫁を連れて来たーーー!!!って大騒ぎになったじゃないか?」



貴音「ええ…確かに……」



P「そりゃ…久し振りに息子が帰って来て、しかもその傍らに見ず知らずの女の人が一緒にいたら。そりゃ勘違いしても、仕方ないとは思うけどさ……」



貴音「…………………」



P「まったく…説明して理解してくれるまで大変だったよ。貴音も何も言わなかったけど、俺の嫁さん扱いされて、迷惑だっただろうし」



貴音「そっそんな事……」



P「いいんだよ。俺に気なんか使わなくても、現役バリバリアイドルで、しかも雅な雰囲気の美人と俺なんかじゃ、全く釣り合い様がないなんて事くらい十分承知してるから」



貴音「ですから…そんな事ありまs――――――」



P「はは…うちの親だって、そんな事くらい一目見れば判るだろうに……舞い上がっちゃったんだな」



貴音「あなた様……ですから――――――」





P「まったく…そんな事は絶対にないのにな」はは…



貴音「!!――――――そうですか……」むす…





 

 







貴音「たとえそう思われたとしても…私は全然構いませんのに……」ぼそ…





P「ん?どうしたんだ貴音?そんな顔して…それに今、何か言ったか?」





貴音「――――――まったく…あなた様はいけずです」ぷい



P「?」





貴音「あの…一つお聞きします。では…どうしてあなた様は、私をここに連れて来たのですか?」



P「えっ?どうしてって…それはお前が連れてって欲しいって……」





貴音「あなた様は好きでもない婦女子を、ご実家にまで連れて来られるのですか?」





P「それは…………ああそうだよ。好きでもない女の子を頼まれたとはいえ、実家にまで連れて来る男なんていないよ」



貴音「!!」





貴音「……あなた様……それはどういう…………」どきどき…



P「どういうって…人を好き嫌いで分けるなら好きって事で……べ…別にそんな深い意味はっ――――――あせあせっ



貴音「そうですか……」はぁ







貴音(でも…そう思って頂いていただけでも…私は――――――)ぎゅっ…







 





 





P「そういう貴音はどうなんだ?好きっていうのも色々あるだろうけど…まさか全く好きでもない男の家に―――――」



貴音「あなた様―――――」





すっ



ぴと…



貴音「―――――――それは秘密です」





P「……全くお前は、やっぱりちょっとミステリアスなところがあるよな?」はぁ



P(まぁそんなところも、貴音の魅力の一つではあるんだけどな……)





貴音「あら。そうですの」



P「そうだよ。今みたいに肝心なところをはぐらかす辺りとか?」





貴音「!」ぷっ…





貴音「ふふふ…」





P「あはは…」







貴音・P「「あははははは」」







 





―――――。





P「ほらこうやって……」すっ



P「酒を注いだ御猪口を上手く傾けると――――」



貴音「!!」



P「酒の水面に月が収まるだろう?」



貴音「本当……」



P「それをクイってやると……」くいっ





P「また酒が格別に美味しくなる気がするんだ」



貴音「そうですか?あなた様はどんな飲み方をされても、美味しそうに飲まれますけど?」



P「はは…確かにな。どんな飲みかをしても旨いもんは旨い」



貴音「やっぱり」ふふ…





 





P「でも…今日は流石に格別かな……俺はさ…月って見ると、心が落ち着いてくるから好きなんだよ。ほっと出来るっていうか」



貴音「…………………」



P「それに今日はこんな近くに貴音もいる。それも二人っきりで―――――」



貴音「!!」



P「田舎のこの澄み切った夜空にほんのり輝く月を見ながら、貴音みたいな月の化身の様な人と、一緒に月見酒が飲める……俺にとってこんなに格別な事はないよ」にこ





貴音「あなた様……」









貴音(私は――――私はやはり…あなた様の事を―――――――――――)







 







貴音「あなた様―――――」



P「ん?」





貴音「本当に…本当に……私は今。改めて心の底から想った事があるのです……」



P「思ったって何を?」









貴音「ねぇ…あなた様――――――」















貴音「月が綺麗ですね」にこ













おしまい。







 



17:30│四条貴音 
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