2015年01月15日

まこと「ぼくって、765プロの中で何番目に可愛いの?」

__________________765プロ 事務所



今日は仕事が早めに終わり、まこと、響、雪歩の三人が事務所でおしゃべりしていた。



まこと「たしかに、ぼくは自分の男っぽいところは自覚してるし」





まこと「そういうところが好きな人がいてくれて、ぼくのことを支えてくれてることも知ってる」



まこと「でもいつまで経っても、世間や上の人は、ぼくを女の子として見てくれない」



まこと「正直に言って欲しいんだ」



まこと「ぼくって、765プロの中で何番目に可愛いの?」



雪歩「え!?そ、そうだね…」



雪歩「か、可愛さにもいろいろ種類があると思うし、みんな違ってみんな可愛いと思うから」



雪歩「何番目って言われても、ちょっと難しいかな…」





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響「まことの可愛さかー。」



響「まことは走ってる時とか、いぬ美みたいでかわいいと思うな」



まこと「そういう可愛さじゃなくて!

っていうか響って、ぼくのこと犬みたいに思ってたの!?」



響「犬とは失礼だな!いぬ美は自分の大切な家族だぞ!

いぬ美に謝ってほしいぞ!」



まこと「ああもう、そういうつもりで言ったんじゃなくて!

というか響だって、ぼくと勝負してる時とか、

男の子っぽいと思うんだけど!?」



響「たしかに自分はお父さん似らしいし、男の子っぽいって言われることもあるぞ」



雪歩「で、でも響ちゃんは、クールな女の子でも売ってるし…」



まこと「そこだよ!響はちゃんと女の子として売れてるのに、

なんでぼくばっかりこんな扱いなんだ!」



まこと「この差はいったいなんなんだろう…」

響「なんでって言われても、あんまり意識したことがないから分からないさー」



響「でも自分は、男の子っぽいって言われてもぜんぜん気にしないけどなー」



雪歩「響ちゃんは、料理とか編み物が上手だったり、あと動物好きなところとか…

女の子らしいところがあるからかなあ…」



まこと「雪歩、けっこう響の肩持つね…ちょっとショックだなあ。」



雪歩「ち、ちがうの!まことちゃんはまことちゃんらしい魅力があるから!

決してアイドルとして負けてるとかってわけじゃなくて!」



響「でも事実だぞ。どっちかと言うと、自分のほうが女の子っぽいと思うな」



まこと「く、くそお〜!!

そういう自信家なところも、ぼくより男の子っぽいじゃないか!」



まこと「…今まではダンスとかスポーツとかばかり争ってたけど、

やっぱり、ぼく響に負けたくない!」



まこと「 「女の子」のアイドルとしても、響に勝ちたい!」

雪歩「ま、まことちゃん、勝ち負けのポイントがおかしいよ!

そんな勝負、だれも望んでないよ!」



響「お!勝負なら自分負けないぞ!受けて立つぞ!」ガタッ



雪歩「響ちゃんも、内容も考えないでそんな勝負受けちゃダメだよ!

そんなことより二人とも、つぎのお仕事あるんでしょう?」



響「お!そうだ。そういえば次は、新しく温泉レポートの収録があるんだ」



響「スキーロケの後、近場に温泉があるから」



響「せっかくだからって、使って貰えることになったんだ」



まこと「な、なんだって!?

温泉レポートなんて、お色気重視の仕事じゃないか!?」



まこと「響にそんな仕事が来るなんて…!!」



雪歩「すごいね響ちゃん!たしかに、お肌キレイだもんね。」



響「へへー。雪歩にそう言われると、ちょっと嬉しいな」

まこと「…ぼくもその仕事受けられるよう、プロデューサーに頼んでみる!」



響「へ?」

雪歩「え、ええ!?」



雪歩「で、でも、温泉レポートって、」



雪歩「言ってみれば、何も着飾らない自分を撮るわけだから」



雪歩「まことちゃんが言う「女の子らしい」お仕事とは、ちょっと違うんじゃないかな!?」



まこと「そんなことない!確かにぼくたちの年齢だと、お色気って感じじゃないかもしれないけど、女性としての魅力が試されることに間違いはないはずだ!」



まこと「とにかく、ぼくは女の子として響に負けたくないんだ!

響「うーん。そこまで言うなら仕方ないなあ」



響「自分のほうも番組のプロデューサーに相談してみるぞ」



響「なんかいつもの勝負と違う気がするけど、自分もまことに負けたくないぞ!」



雪歩「だ、ダメだよう!そんなこと相談したって、絶対聞いてくれないよ!」



まこと「ぼくは、やると言ったらやる女の子だ。」



まこと「響、どっちが女の子らしくレポートできるか、勝負だ!!」



響「おう!受けて立つぞ!!」



雪歩「ああ、なんでこんなことに…」















______________後日 事務所



P「びっくりしたぞ。まさかまことが、温泉のレポートをやりたいなんて言い出すとは」



まこと「そ、それでプロデューサー、どうだったんですか!?」



P「結果から言えば、OKだそうだ。」



まこと「やったあ!」



P「ま、待て!続きがあるんだ!聞いてくれ。」



P「向こうも条件があると言っている。」



まこと「条件?なんですか?」



P「簡単に流れを説明するぞ。

響のスキーロケの後、響と温泉宿で合流する。」



P「ただし、宿についた瞬間、卓球勝負だ

勝った方が温泉に入れることになっている」



まこと「そ、それって、どっちかが温泉に入れないってことですか!?」



P「そういうことだ。がんばって勝つんだぞ。」

P。。モヤモヤ(まことの主要な女性ファン層からしても、まことの入浴需要は決して少なくはない。ただし、今回はあくまで響主体のロケだ。まことには申し訳ないが、

無理を言って通して貰った立場としても、ここに文句をつけることは難しい。



温泉地でのスポーツ万能な二人の対決という触れ込みではあるが、卓球部の経験もあることから、おそらく響が勝つだろうという見込みで企画されている。



そして番組終了後、まことの入浴シーンが見たかったという視聴者投票を受け付けて、投票がある程度以上に達したら、まことの単独温泉ロケも予定してくれるそうだ。



…本人にはまだ言えないけどな)



まこと「ありがとうございます。プロデューサーさん。…ぼく、がんばります」

まこと(負けたら結局、いつものスポーツ対決じゃないか!絶対、負けられない!)



P

「お、おう。二人とも、期待してるからな!」

______________当日 ロケ地スキー場



響「ふー。やっぱりスキーは楽しいなあ!ハム蔵も楽しそうで良かったぞ!



ハム蔵「チュッチュ!」



番組スタッフ「響さーん!宿に移動しますので、車のとこ行きますよー!」



響「はーい!今行きます!」

(いぬ美も連れて来れたら、初めての雪に大はしゃぎしただろうになあ…



…あ、そういえば、この後まことと卓球勝負するんだっけ。

お色気勝負とか言ってたけど、結局、いつもと同じ流れだな)



______________ロケ地温泉宿 待機室



番組スタッフ「まことさん、響さんが宿着いたようなので、

そろそろスタンバイお願いしまーす



まこと「あ、はーい!いま行きまーす」



まこと(この日のために、忙しい合間を縫って密かにスポーツセンターに通って

トレーニングしてきたんだ)

______________温泉宿 卓球場



司会「平和なロケに突然現れた、響の永遠のライバルことまことくん!

さあ、果たしてどちらが勝利を手にし、温泉に入ることが出来るのか!?」



響「自分は卓球部の部長だったんだぞ」



響「まこと、卓球で自分に勝てると思ってるのか?」



まこと「そんなの、小学生の頃の話だろ。」



まこと「ぼくだって、特訓したんだ。今回は、負けるわけにはいかない。」



響「それは楽しみだな。」



響「じゃあ、始めるぞ!」







………

…………

……………

まことは持ち前の反射神経でなんとか響の攻撃に食いつくものの、

やはり経験の差は大きく、響はマイラケット持参、一方まことは温泉で借りた

ラバーと本体が一体型の安いラケットを使用していることもあって、

勝負は響優位で進んでいる。



勝負は1セット11点、5セットマッチで3セット先取のうち

まことが1セット、響が2セット取り、

現在第4セットは10−9で響がリードしていた。



響「さあ、あと1点だぞぉ!」



響「残念だったなまこと!せっかく来たのに温泉に入れなくって!」



まこと「なんの!勝負はこれからこれからッ!!」

まこと(サーブの速さには慣れたけど、少しでも浮き球を返すとスマッシュを打たれる。

左右に振って、可能な限りスマッシュを打ちにくい体制にさせてやる)」



温泉地の卓球場だけあって、あまり部屋は広くない。



しかし卓球は激しい打ち合いになると、必然的に両者が後ろに下がったり、卓球台の横に回り込んだりして大きく動きながら戦う形となる。



スペースを思う存分に使えない両者にとって、左右に散らされるのは有効な戦法と思われた。



響「さすがまこと。そうこなくちゃな!!いくぞ!!」シュパン!



まこと「ここだっ!」サッ



まことは勝負に慣れたことで響の回転主体のサーブと素早いサーブを区別し、

回転主体のサーブに対して、手首の返しを利用したフリックで素早くリターンすることで

響のリカバリーを遅らせ、

さらにコーナーを狙うことで、ただでさえ狭くて体制的に返しにくいコーナーへの攻撃をさらに有効なものとした。

響「うわっ!」



まこと「(よし!決まった!あと1点取ればデュースに持ち込める!)」



「チュ!!」



これは決まったかと思われた瞬間、



なんと響の洋服のポケットから出たハム蔵が、

響の横を通り過ぎたボールに体当たりした。



まこと「な!?」



コッ…コツッ



ハム蔵が体当たりしたボールは、まこと側のネット際ギリギリに落ち、まことの反応も間に合わず2回目のバウンドの音を立てる。



響「ハ、ハム蔵!」



両者とも事態を飲み込むのに数秒かかったが、

予想外のハプニングに、司会がこれを活かさずしてどうすると言わんばかりに

勝負の進行を仕切りだした。



司会「な、なんと最後の一点は、ハム蔵くんの体を張った一撃がさく裂!」



司会「ということで、響&ハム蔵ペアの勝利!」



響「やったぞ!ハム蔵!ありがとう!!」



まこと「こ、こんなの不正だ!どう考えてもおかしいよ!」



響「ごめんなまこと。でも、勝ちは勝ちだ!!」



まこと「そ、そんな…ぼくは、いったい、なにしに…」









……

………

…………



勝負は番組側の予定通り、響が勝利で決着し、

響は温泉レポートを行った。



まことはそのまま帰すのもバツが悪いという番組側の計らいと

翌日の予定に余裕があるということから、

響と一緒に宿に一日泊まることとなった。



______________大浴場



まこと「はぁ。こんな結果になるなんて…」



響「まこと、なんか、ごめんだぞ〜」



勝つつもりだったとはいえ、流石の響も、最後があの勝ち方では後味があまり良くなかったらしい。ハム蔵には感謝しつつも、やや後ろめたさがある様子である



まこと「番組側も、ちょっと響に甘すぎるよ。」



まこと「もしかして、最初からこうなるように仕組まれてたのかな…」



響「そ、そんなことはないはずだぞ!」

まこと「そうかな〜…」



まこと「あ、そうだ。負けたまま帰るのも嫌だし、どうせならもう一勝負、していかない?」



響「しょ、勝負って言ったって、一体なにするの?」



響が言うや否や、まことは浴場の中に併設されたサウナを指差した



響「ゲ、サウナか…」



響「自分、暑いのニガテなんだ…」



まこと「そうなの?…響って、沖縄出身のくせに、そうなんだ。」



まこと「でも、卓球は響の得意分野だったんだから、

今度はぼくが勝負を選ばせて貰ってもいいと思わない?」



響「うぅ…仕方がない。分かったぞ」



まこと「決まりだね!」





……

………

…………

……………

………………

…………………



_____________________________サウナ内



モワモワモワモワモワ



まこと「響、大丈夫か?」







響「お、沖縄の夏に比べれば、ぜんぜん平気だぞ、これくらい…」



まこと「そうか。ところで、レポートはどうだった?」



……



響「バ、バッチリだ。ちょっと恥ずかしかったけど、楽しかったぞ」



まこと「いいな〜。ぼくも、やりたかったな…」



………



響「」



まこと「実はね、今回のレポート用に、新しい水着を買ったんだ。



まこと「フリフリがついてて、すごく可愛い水着なんだ。」



…………



響「」



まこと「今まで水着になることってほとんど無かったけど」



まこと「こういうかわいい水着が着れるなら、そういう仕事も悪くないかなって」



……………



響「」



まこと「でも悔しいけど、やっぱり女の子としては響のほうが可愛いと思うんだ」



まこと「浴衣もすごく似合ってたし。」



………………………



響「」



…………………………



まこと「今回のこと、言いだしっぺはぼくだったし」



まこと「ぼくのほうこそ、無理を言ってごめんね。」



………………………………



まこと「やっぱり響とは、ずっと良いライバルでいたい。」



まこと「今後も、仕事で一緒になったら、頑張ってやっていこうね。」



……………………………………



響「」



………………………………………



まこと「そうだ!響は、どういうアイドルになりたいの?」



…………………………………………………………………………



響「」

まこと「響、さっきから黙ってるけど、聞いてる?」



…………………………………………………………………………

…………………………………………………………………………

…………………………………………………………………………



響「」



まこと「ひ、響!!!どうしたんだ!?

真っ赤じゃないか!?」



響は、入ってものの数秒で茹で上がり、のぼせてしまった。



視線が宙を行ったり来たりし、今にも崩れ落ちそうに頭をグラグラさせている



まこと「暑いのニガテって言ってたけど、まさかこれほどとは…

とにかく、今助けるからね!」ガシッ ノセッ

響(じ、じぶん、まことにおんぶされているのか…)



響(ああ、まことの背中、広くて頼もしいなあ……)



まこと「…すみません!どなたか、水風呂の場所を教えてもらえませんか!」



……………

………

……





_________________後日 事務所



P「聞いたぞ。大変だったみたいだな。」



まこと「そうなんですよ!まさか響があんなに暑さに弱いとは思わなくて。」



まこと「卓球勝負も負けるし、やりたかったレポートも出来なくて、途中すごく悔しかった」



まこと「でも結果的には次のお仕事も貰えて、良かったんですけどね。」



P「一応、女の子勝負の結果は、響の勝ちってことになるのかな」



まこと「プロデューサー、それを知ってたんですか…」



P「すまん、雪歩から聞いてな。まあ、なんとなく想像はつくけどさ。」

まこと「今回の勝負は、確かにぼくの負けです。」



まこと「ただし、アイドルとして、響に負けたわけじゃない。」



まこと「響とは、ずっとお互いを高め合えるライバルでいたい。そう誓ったんです。」



P「そうか、じゃあ、元通りってことだな」









響「ちがうぞ!まことは「お父さん」なんだぞ!」









P「響!いたのか!」

P「まことがお父さん?どういうことだ?」

響「自分、小さいころに、おんぶして貰った記憶があるんだ。」



響「自分のお父さんも、頼もしくて、広い背中だった。」



響「お父さんほどじゃないけど、まこともがっしりして頼りがいのある背中だったんだぞ」



まこと「ちょ、ちょっと…響?」



響「まこと、これからはライバルじゃなくて、たまにはパパって呼んでもいいか?」







まこと「冗談じゃねぇ!!!!」







_________________おわり________________



20:30│菊地真 
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