2015年03月11日
悠貴「頑張りますっ!」卯月「!?」
〜事務所〜
ガチャ バタン
乙倉悠貴「おはようございますっ」
ガチャ バタン
乙倉悠貴「おはようございますっ」
P「おはよう悠貴。今日は早いな」
悠貴「はいっ。実は、この前プロデューサーさんが飲みたいって言ってた野菜ジュースを持ってきたんですっ」
P「本当か? 覚えててくれてありがとな」
悠貴「いえいえっ。今すぐ飲みますかっ?」
P「ああ。え〜っと、コップは……あった」
悠貴「はいっ、どうぞっ! スタドリよりおいしいですよっ」サシダシ
P「どれ……うん、うまい。野菜ジュースってこんなにおいしかったんだな」
悠貴「そうですよっ! おいしくなるものがいろいろ入ってますからっ」
P「へえ、例えば?」
悠貴「えっと、りんごとかっ、ニンジンとかっ、バナナとかですっ。あ、あとは……私の気持ち……とかっ」ゴニョゴニョ
P「ん? あとは、なんだ?」
悠貴「いやっ、な、なんでもないですっ。それより、プロデューサーさんに相談したいことがあるんですけどっ……」
P「おう」
悠貴「あの、私……」
ガチャ バタン
日野茜「おっはよーございまーーっす!!」
城ヶ崎美嘉「おっはよ〜★」
小日向美穂「おはようございますっ!」
P「おう、おはよう」
悠貴「お、おはようございますっ」
美嘉「……あっれ〜?悠貴ちゃん、プロデューサーと二人きりで何してたのかな〜★」ニヤニヤ
悠貴「ち、ちょっとお話しをっ……」
茜「今日の朝ごはんのことですか!!」
P「いや、悠貴の野菜ジュースはおいしいって話だよ」
美穂「へぇ〜、そうなんですかっ。悠貴ちゃん、今度私にも作ってくれませんか?」
茜「私にもお願いします!!」
悠貴「もちろんですっ! 美嘉さんもどうですかっ?」
美嘉「う〜ん、アタシはいいかな〜。悠貴ちゃんには悪いけど、作った野菜ジュースって、あんまりおいしそうじゃないし……」
P「そんなことないぞ。ほら、騙されたと思って一口飲んでみろよ」
美嘉「ほんとに〜? じゃあ飲んでみるけど……」ゴクゴク
美嘉「あ、確かにおいしい」
P「だろ?……といっても、俺もさっき知ったんだけどな。売ってるのしか飲んだことなかったし」
美嘉「えっ……てことは、も、もしかしてこれ、プロデューサーの飲みかけのやつ!?」オロオロ
P「野郎の飲みかけをアイドルに渡すわけわけないだろ……俺はコップに移して飲んだんだよ」
美嘉「だ、だよね〜★……な〜んだ……」
茜「私にもください!!」
美穂「私はコップで飲みたいな……ち、違いますよ!?」
P「何がだ?」
悠貴「……」
悠貴 (私が346プロに入ってしばらくたちましたけどっ……)
悠貴 (先輩はみんな、個性的な方ばかり……)
ゴクゴク
茜「おいしいですね!! ごはんに合うでしょうか?」
美穂「う〜ん、ごはんには合わないんじゃないかなっ」
悠貴 (熱血少女や)
P「美嘉、ちょっと離れてくれないか? その、胸がだな……」アセアセ
美嘉「だ〜めっ♪女心がわからない罰だよ、プロデューサー★」
悠貴 (カリスマギャル……他にもたくさん個性的な方々が)
悠貴 (あ、でもプロデューサーさんが、かわいさが私の個性だって言ってくれたしっ……えへへっ)
美穂「……いいなあ美嘉ちゃん」ジーッ
P「おーい美穂、美嘉を引き離してくれないか?」
美穂「!? ふ、ふぁい!」
P「なんでそんなに慌ててるんだ……やっぱりかわいいな、美穂は」
美穂「か、かわいいですか!?はうぅ、恥ずかしい……!」カオマッカ
悠貴 (……)
悠貴 (そうですよね、美穂さんの方がかわいいですよねっ……)
悠貴 (私、このままで大丈夫なのかなっ……)
P「やっと離れたか……ん? どうした悠貴。難しい顔して」
悠貴「いえっ、なんでもありませんっ……プロデューサーさん、今日のお仕事の確認しましょっ」
P「そうだな。おーい、美嘉たちも確認するぞ」
茜「仕事ですか!! うううう〜っ、燃えてきました!!……今日は、何をするんでしたっけ?」
P「せめて内容は覚えておけよ……」
美穂「お仕事、うう、緊張してきましたっ。やっぱり、何回やっても慣れません〜っ」
美嘉「アタシは、雑誌のグラビア撮影とインタビューだよね?」
P「ああ、そうだ。茜と美穂はそれぞれ……」
悠貴 (プロデューサーさんはすごい人ですっ)
悠貴 (大勢のアイドルを一人でプロデュースするなんて、普通できませんっ)
悠貴 (そんなすごい人にプロデュースしてもらってるんだから、私だって大丈夫なはずですっ)
悠貴 (でも、やっぱり不安だなあっ……)
P「……悠貴、聞いてるか?」
悠貴「!? は、はいっ!……すみませんっ、聞いてませんでしたっ……」
P「大丈夫か? さっきからずっと上の空だけど」
悠貴「大丈夫ですっ」
P「……そうか。今日は、卯月と一緒に雑誌の取材を受ける予定だぞ。ちゃんと話す練習してきたか?」
悠貴「はいっ!……そういえば、卯月さんはまだ来てないですねっ」
P「まあ時間は結構あるしな。卯月のことだ、忘れてるなんてことはないだろう」
美穂「どんな取材なんですか?」
P「アイドルとしての先輩、後輩で対談するって企画だ。悠貴の知名度を上げるいい機会でもある」
悠貴「私、ちゃんとできるかなっ……」
茜「元気があれば何でも出来る!!元気だして頑張ってください!!!」
美嘉「最初のころはみんなそうだよ〜♪ 大丈夫、ちゃんとやれば心配ない★」
美穂「緊張しますよねっ! で、でも自信をもってやれば、きっとうまくいきますよ!」
悠貴「みなさん、ありがとうございますっ!」
P「美穂、成長したな……少し前まではテンパりまくりだったのに、後輩にアドバイスまでできるようになるなんて」ジーン
美穂「い、いやっ、まだ私も全然ですけどっ、いちおう先輩ですからっ」
P「よし、その意気だ。後輩にはいろいろ教えてあげてくれよ?」
美穂「はいっ」
茜「プロデューサー、仕事はまだですか!! 待ちきれないので少し走ってきますね!!」
P「あまり汗をかかないほうがいいと思うぞ?」
茜「心配ご無用!! シャワーを浴びるので大丈夫です!!」
P 「いや、だがな……」
茜「では行ってきます!! ボンバーーー!!!」
ガチャ バタン ダダダダダダ
P「……」
P「美嘉、悪いけど茜を追いかけてくれないか? あと、30分以内には戻ってきて欲しい」
美嘉「オッケー♪ 美穂ちゃん、一緒に行こ?」
美穂「えっ、あ、はいっ」
P「すまないな」
美嘉「いーよいーよ♪ ……悠貴ちゃんっ」
悠貴「は、はいっ!」
美嘉「お邪魔むしは退散するから、頑張ってね★」
悠貴「な、なんのことですかっ」
美嘉「またまた〜♪ とぼけちゃって〜★」ニヤニヤ
P「美嘉、できれば早めに頼む。茜は足速いからな……」
美嘉「は〜い♪ 美穂ちゃん、準備いい〜?」
美穂「す、少し待ってくださいっ。自転車のカギが……あっ、ありました!」
美嘉「じゃ、行ってくるね〜★」
美穂「行ってきますっ!」
P「おう、頼んだぞ」
美嘉「貸し一つだよ〜★」
ガチャ バタン
P「貸しか。……何を返せばいいかな」
悠貴「さ、さあっ……」
P「ところで悠貴、なんか相談があったんじゃなかったか?」
悠貴「は、はいっ。実はですねっ……」
ガチャ バタン
島村卯月「おはようございます!」
渋谷凛「おはようございます」
本田未央「おはよーございまーっす!」
P「おう、3人ともおはよう」
悠貴「おはようございますっ」
卯月「あっ、悠貴ちゃん! 今日はよろしくお願いしますねっ」
悠貴「はいっ、こちらこそよろしくお願いしますっ」
P「廊下で美嘉たちと会わなかったか?」
凛「会ったよ。サイクリングしないかって言われたけど」
未央「しぶりんは冷たく断ったのだった……」トオイメ
凛「だって、来たばっかりだったし……それに、未央だって断ったでしょ」
未央「さすがの私でも、仕事前にサイクリングはちょっとね〜♪」
卯月「美嘉ちゃんたちはどうしたんですか?」
P「ちょっと茜の監視を頼んでだな……」
未央「あ〜、茜ちんか〜……納得だね」シミジミ
凛「突っ走ったまま帰って来なさそうだからね」
P「帰って来てくれなきゃ困るんだがな……まあ、茜だって立派なプロだ。仕事をすっぽかしはしないだろう」
悠貴「……!!」
P「仕事の内容は覚えていてほしいが……さて」
P「3人とも今日の予定を確認するぞ。卯月は、悠貴と雑誌の取材。凛は……」
悠貴 (プロ……私は、プロになれるんでしょうかっ……)
〜しばらくして〜
ガチャ バタン
茜「ただいま帰りました!!!」
P「おう、茜お疲れ」
茜「いい汗かいてきました!! あ、卯月ちゃんたち、おはようございます!!」
卯月「おはようございます!」
凛「おはよう、茜」
未央「おはよーっ、茜ちん!……シャワー浴びてきたほうがいいんじゃない?」
茜「そうでした!! では、行ってきますっ!!」
P「……疾風の如く帰って来て、疾風の如く去っていったな」
卯月「あ、あはは……」
美嘉「たっだいま〜……」
美穂「ただいま戻りました〜……」
P「お帰り。悪かったな、二人とも」
未央「大丈夫? みほちー」
美穂「は、はい、全然大丈夫ですよっ……ははは……」
美嘉「どこにあんな力があるんだろうね……」
悠貴「はいっ、お水ですっ。野菜ジュースはもうないのでっ……」サシダシ
美穂「ありがとうございますっ、悠貴ちゃん」ゴクゴク
美嘉「ありがとー♪ はあ、おいしい……」ゴクゴク
P「茜はなにも飲まなくて大丈夫なのかな? 今、シャワー……浴びてるけど」
凛「……プロデューサー、鼻の下のびてるよ」ジトー
P「……そんなことないぞ?」
凛「変態」
P「だから違うって」
〜ちょっとして〜
茜「さっぱりしてきました!! さぁ、仕事頑張りましょう!!」
P「もうちょっと待ってくれ、茜。というかメイク早いな」
茜「してませんから!!」キッパリ
P「してこい」
茜「はい!!」ダダダ
P「……ふぅ。さてと、みんなちょっと集まってくれ」
P「俺は、卯月と悠貴の仕事に同伴する。凛、未央は各自で行ってくれ。美嘉たちは……」
川島瑞樹「私と一緒よ。わかるわね?」
P「いつからいたんですか」
瑞樹「さっきからよ?」
茜「メイク終わりました!!」
P「早いな」
〜現場〜
P「よし……ちょっと打ち合わせしてくるから、少し待っててくれ」
キィ バタン
悠貴「……」
卯月「大丈夫ですよ、悠貴ちゃん。リラックスして、普段通りで……」
悠貴「卯月さんっ」
卯月「は、はいっ、なんでしょう?」
悠貴「少し質問したいことがあるんですけどっ、いいですかっ?」
卯月「もちろんです!」
悠貴「ありがとうございますっ。……あのっ、卯月さんは、どうしてアイドルになろうと思ったんですかっ?」
卯月「えぇ!? どうして、ですか?」
悠貴「はいっ。聞かせてくださいっ」
卯月「え〜と、それはですね……その、小さいころからの、夢だったんです」
悠貴「夢……」
卯月「……私は、アイドルになることを夢見ていました」
卯月「綺麗な衣装を着られて、キラキラしたステージに立てて、お姫様みたいで……ずっと憧れていました」
卯月「ぼんやりしたイメージしかもってませんでしたけど……スクールに入って、レッスンを受けながら、ずっと待ってました」
卯月「アイドルに……キラキラしたなにかになれる、そんな日を」
悠貴「……」
卯月「そんなとき、プロデューサーさんが私に声をかけてくれたんです」
悠貴「プロデューサーさんが……」
卯月「あの時、プロデューサーさんが私を見つけてくれたから、私は夢を叶えることができたんだなあって……思うんです」
悠貴「……」
卯月「悠貴ちゃんは、どうしてアイドルになろうと思ったんですか?」
悠貴 (私がアイドルになろうと思った理由……)
悠貴「……すみませんっ、もう一つ質問してもいいですかっ?」
卯月「はいっ、なんでもどうぞ!」
悠貴「卯月さんは……卯月さんは、不安になったことがありますかっ?このままで大丈夫なのかとかっ……」
卯月「……もちろん、ありますよ。夢と現実のギャップとか、みんなにおいていかれちゃうんじゃないかっていう焦りとか」
卯月「私はこのままで大丈夫なのかなって思ったこともありました」
卯月「でもそんなときも、やっぱりプロデューサーさんが助けてくれたんです」
悠貴「……」
卯月「悠貴ちゃんが何を悩んでいるのか私にはわからないですけど、きっとプロデューサーさんは助けてくれます。迷っているアイドルを、放っておいたりなんかしませんっ」
卯月「だってプロデューサーさんは、私たちをシンデレラにしてくれる、すっごい魔法使いさんなんですからっ!」
悠貴「……!!」
『あのっ、こんな私でもっ、かわいいアイドルになれますかっ? 憧れなんですっ』
『かわいくなりたいんですっ。プロデューサーさんなら、してくれるっ!』
『あのっ、普段は大人っぽく見られますけどっ、女の子として輝きたいなぁって、だからこれから、プロデュースしてくださいっ』
悠貴 (私の……憧れ……)
悠貴「……」
卯月「あの、悠貴ちゃん?」オズオズ
悠貴「……私、頑張りますっ!!!」
卯月「!?」
悠貴「夢を叶えるため、憧れの姿になるため、一生懸命頑張りますっ」
悠貴「人と自分を比べる前にっ、私が……私自身が輝くためにっ、精一杯努力しますっ!」
悠貴「プロデューサーさんにいっぱい頼ってっ、いっぱい迷惑かけちゃうかもしれないですけどっ」
悠貴「かわいいアイドルになるためにっ……プロデューサーさんと一緒に、頑張ります!!!」
卯月「……」ボーゼン
悠貴「あっ……すみませんっ。つい大きな声を出してしまってっ」
卯月「……ううん、よかったです!悠貴ちゃん、なにか吹っ切れたみたいですし」
卯月「これからも、一緒にアイドル頑張りましょうね!」ニコッ
悠貴「はいっ!」
キィ バタン
P「すまんすまん、ちょっと長引いちゃって……」
悠貴「プロデューサーさんっ!」
P「お、おう。どうした悠貴」
悠貴「私っ、これからもいっぱいプロデューサーさんに頼って、いっぱい迷惑かけちゃうかもしれないですけどっ……」
悠貴「それでもずっと、プロデュースしてくれますかっ?」
P「……もちろんだよ。たくさん頼っていいし、たくさん迷惑かけていい」
P「俺は、悠貴の夢を叶えるためならなんでもする。……なんて、ちょっとおかしいかな」タハハ
悠貴「そんなことないですよっ、ありがとうございますっ!……そうだ、ちょっとこっちに来てもらっていいですかっ?」
P「ん? なんだ?」
悠貴「もっとこっちにっ」
P「おう」
悠貴「よしっ……プロデューサーさん、これは私の感謝の気持ちですよっ。えいっ」
チュッ
P「!?」
卯月「な、な、なにやってるんですか悠貴ちゃん!?」
悠貴「嬉しくなかったですかっ……?」
P「いやっ、もちろん嬉しかったけど……」
悠貴「ふふっ。ならよかったですっ」
卯月「プロデューサーさんっ! アイドルに恋愛はご法度ですよ、ご法度! ……もしかして、ロリコンさんなんですか……?」
P「違う! 俺はロリコンじゃない!」
悠貴「だったら、卯月さんもしてみたらいかがですかっ?」
卯月「……そうですねっ、それであいこです!」
P「なにが!?」
悠貴 (ふふふっ……これからもよろしくお願いしますっ、プロデューサーさんっ!)
おわり