2015年03月24日

三船美優「仕切りの向こうに」


美優「はあ……とても雰囲気のあるところですね」



美優「こんなに素敵な温泉に入れるなんて、なんだか皆に申し訳ないですね」





美優「でも、せっかくPさんと来たんですから……」



美優「思い切って楽しんじゃって、いいんですよね?」



美優「それじゃあPさん、女湯はこちらなので……」



美優「ええ。ゆっくり浸かって、日頃の疲れを癒してくださいね」





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美優(貸切だから私たちだけなんですよね……)



美優(お風呂、すごい……独り占めするには広すぎるくらい)



美優(お湯もちょうどいい加減……)



美優(こんなチャンス、滅多にないし……早速入ろうかしら)



美優(ふぅ……)



美優(久しぶりにゆったりできて……これもPさんのおかげ……)



美優(Pさんのためにも、今回のお仕事頑張らないと、ですね)





美優(やっぱり一人だと、ゆっくりできるけど何だか寂しい気が……)



美優(これならPさんと一緒に……)



美優(お背中を流してあげたり……肩を寄せ合って……)



美優(……なんて)



美優(やだ、日菜子ちゃんの癖が移っちゃったのかしら……)



美優(変なこと考えてないで、お仕事に集中しなきゃ)





美優(今度の衣装は色気の強い和装だから……)



美優(ちょっと……役作りしたほうがいいかしら……)



美優「ふふっ……プロデューサーはん?」



美優「そんなとこおらんと、あちきと一緒にお風呂」



美優「どうど……す〜……?」 <まいこはん混ざっとります





ゴホゴホ





美優(あ……ら……?)



美優(今の声……)



美優(この仕切りの向こう……男湯……だった……?)





美優「……」



美優「あっ、あの……」



美優「えぇっと……その、勘違いだといいんですけど」



美優「さっきの……聞きましたか……?」



美優「ああっやっぱり……」



美優「違うんですっプロデューサーさん……」



美優「お風呂で役作りの練習を……っ」



美優「あれは演技です……演技ですから……っ!」





美優「だって……今度の衣装が色気のある和装だから……!」



美優「セクシーな役もこなせるようにっ」



美優「決して、本音が漏れたとか、日菜子ちゃんみたいに妄想してたとか、そういうわけではありませんから……っ」



美優「だからそのっ……聞かなかったことに……!」



美優「……え?」



美優「いい演技だった……? これで仕事も完璧……?」



美優「あ、いえ……分かっているならいいんですけれど……」





美優「……へ? また聞きたい?」



美優「も、もうっ! しません、しませんから!」



美優「そもそも、プロデューサーさんがまたあんな衣装を着せようとするから悪いんです!」



美優「た、たしかにお色気くのいちではありませんけど……」



美優「だからって和装でも……え、似合って……ますか?」



美優「そ……そうやって誤魔化そうとしてもだめです!」



美優「その、嬉しいといえば嬉しいですけど……それとこれとは話が別ですっ」





美優「というより、どうして女湯に聞き耳立ててたんですかっ?」



美優「じとー……」



美優「私の声が大きかったから……?」



美優「なっ……大きな声なんて出してませんっ!」



美優「うう……も、もうこの話は終わりです!」



美優「そんなことより、そろそろ部屋に戻りましょう? ね、ねぇ?」





美優「はぁ……お風呂から出た途端に疲れましたね……」



美優「知りませんっ。プロデューサーさんのせいです」



美優「……それじゃあ、お互いの部屋に……」



美優「……」



美優「あの……プロデューサーさん、ここ私の部屋で……」



美優「あれ、プロデューサーさんも?」



美優「え、ええっ?」





美優「……あ、どうでしたか?」



美優「他の部屋は空いて……」



美優「……なかったんですね」



美優「そうですか……夫婦と勘違いされて……」



美優「いえ、説明してなかったのは私もですし、プロデューサーさんのせいじゃ……」



美優「とはいえ……」



美優「こ、困りましたね……」





美優「く、車で寝るなんてそんな……」



美優「えーと……あの、とりあえず休憩していきませんか」



美優「それから考えても遅くないですし……ね?」



美優「じゃあ……部屋に入っ……」



美優「……」



美優「見事に……その……布団がくっついてますね」



美優「あっ、は……離しましょうか、ええ……!」



美優「わ、私テレビでも見てますから……」



美優「プロデューサーさんはお疲れでしょうし……お昼寝でもいかがですか?」



美優「はい、ご飯になったら起こしますから。それまで、ゆっくり……」





美優(……プロデューサーさん)



美優(いつも私達のために頑張ってくれて…)



美優(プロデューサーさんにはたくさんお世話になっているのに……)



美優(あんまりお返しできてなくて……)



美優(今日くらいは、お礼をしても……)



美優(……いいですよね)





美優「ふふっ……プロデューサーはん?」



美優「そんなとこおらんとあちきと一緒のお布団……」



美優「どうどす〜……?」



美優「……」



美優「…………」



美優「………………Pさん?」



美優「……ね、寝てる……!」





美優「……あ、おはようございます……って、もう夕方ですけど」



美優「夕食ですか? もう終わっちゃいましたよ?」



美優「……あら、私は起こしましたけど、プロデューサーさんが起きなかったんです」



美優「ですから、プロデューサーさんは晩御飯抜きですっ」



美優「……なんて」



美優「ふふっ……冗談です。これからですよ、お夕飯は」



美優「びっくりしましたか? ごめんなさい、うふふ……」



美優「でもプロデューサーさんが悪いんですからね。あんなことさせておいて……」



美優「こほんこほんっ。こちらの話です……」





美優「とにかくっ。私、さっきのことも怒ってますっ」



美優「……だめです、許しません。恥ずかしかったんですからね」



美優「許して欲しいなら……その……」



美優「や、役作りの練習に付き合ってくれたら……許します」



美優「……付き合ってくれますか?」



美優「ふふっ……ありがとうございます」



美優「じゃあ、いきますよ……?」





美優「プロデューサーはん? そんなとこおらんと、あちきと一緒のお布団、どうどす〜……?」



おしまい





17:30│三船美優 
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