2014年01月28日

モバP「年の瀬は天才と」

モバマスSSです

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池袋晶葉「ふう……ようやく終わったか」


P「お疲れさん、晶葉」


晶葉「……ファンの大歓声が、まだ聞こえるみたいだな……」


晶葉「これも、Pと私、二人の功績だな」


P「そうだな……大丈夫か、疲れて見えるぞ」


晶葉「なに、これくらい大丈夫だ。天才だからな」


P「そうか。ほら、水分取っとけ」ヒョイッ


晶葉「うむ、流石は我が助手だな」パシッ




晶葉「……んっ、ぷはっ」ゴクゴク


P「おいおい、大丈夫か?」


晶葉「安心しろ、P……私がデビューしてから二周年だしな、休んでなどいられないさ」


P「ああ、そうだもんな」



晶葉「それに、今回はウサミンや千鶴がいるからな。何かと支えてもらっているよ」


P「そうだな。二人とも面倒見いいし、晶葉を見ててくれてるようだし」


晶葉「だから二人にはお礼として手製の簡易マッサージ機を貸したんだが……」


晶葉「これがウサミンには特に好評でな。本格的なものを作ろうと考えているよ」


P「あー、確かに」


晶葉「冬休みは短いからな。それにこの新春ライブもあるわけだし、有効に使わなければ!」


晶葉「事務所の皆の役に立つロボを作るのも……いいかもな」


P「何か案はあるのか?」



晶葉「そうだな……この話とは別だが、年越しそば打ちロボは作ったぞ」


P「そばを打つロボじゃないのか?」


晶葉「年越しそばを打つロボだよ」


P「何が違うんだ」


晶葉「何を言っている、全くの別物だろう!」




P「あはは。そうだな」


晶葉「もう稼働しているから、そばは出来ているぞ。今年は皆でそばを食べようではないか」


P「期待してるよ」


晶葉「任せておけ」



晶葉「しかし……ライラには驚いたものだな」


P「ああ。というか、何で白衣着てたんだ?」


晶葉「私がお古の白衣をあげたんだよ。節約と言っていたからな、千鶴と二人でプレゼントしたんだ」


P「そういうことか」


晶葉「まあ……友情の証みたいなものさ」


P「そういえば、ライラが言ってたぞ」


P「白衣を着たら、プロデューサー殿は助手ですか、って」


晶葉「ふっふっふ……それは甘いな」


晶葉「そこらの研究所にでも行ってみるといい。助手だって白衣を着ている」


P「つまり、ライラは晶葉の助手なのか」


晶葉「そ、そういうわけではないが……ロボに興味を持ってくれていたからな。今度ラボには招待するよ」


P「ま、安心しろ。俺はみんなの助手ってわけじゃないからな」


晶葉「それは、その……うむ。ありがとな」



晶葉「そういえばだが……」


晶葉「千鶴のアレは……計算なのか?それとも……うーん、わからん……」


P「ああ、ライブ前の神社参りの時のか?」


晶葉「ああ。ウサミンと千鶴が、ポロッと同じことを口にしてただろう」


P「菜々は……仕方ないな」


P「千鶴はただ、素直になりたいだけだろ」


晶葉「そうなのか?」


P「晶葉にだってそういうのあったろ」


晶葉「む……?」


P「デビューライブの後とか」


晶葉「ああ、確かにな」



晶葉「……あの時のことは、思い出すのは恥ずかしいがな」


晶葉「私の原点なんだ。忘れることは出来ないさ」


P「そうだな」


晶葉「……私のことを色眼鏡で見ずに評価してくれていたのが……嬉しかったんだよ」


晶葉「大抵の輩は、私の両親や技術なんかを目当てにしていたからな」


P「馬鹿言え。一目見てかわいいと思った少女、放っておける訳がないだろう」


晶葉「本当に、君は……」


P「嘘は付いていないぞ?」


晶葉「ふん、始めから知っているよ」


晶葉「ひとつ問題なのは……かわいいと思えば見境がないところだな」


P「職業病みたいなもんさ」



晶葉「ところで、君こそ疲れてはいないか?」


P「そうか?」


晶葉「私の助手とプロデューサー、兼業は忙しいだろう」


P「まあ……そうだな。ネジ締めとプロデューサー業は忙しいな」


晶葉「む……助手の仕事はそれだけではないぞ」


P「そうなのか?」


晶葉「買い出し、送り迎え、その他諸々……」


P「ただの使いっ走りじゃないか」ペシッ


晶葉「あぅ」



晶葉「……しかしだな、これだって君を信頼してこそだぞ」


晶葉「私を輝かせる知恵は、Pが持っているのだからな!」


P「そう言ってもらえると、嬉しいよ」


晶葉「何を言う。この私に目をつけて、ここまで連れてきたのは他でもない君だぞ」


P「あの頃は……初々しかったよな」


晶葉「ああ。我ながら、恥ずかしい出来だったと思うよ」


晶葉「……人前に立つことは、それまでは学会くらいしかなかったからな」


P「学会の方が緊張しそうだと思うけどなぁ」


晶葉「なに、ライブとはやはり別物さ。皆が私一人に注目して、期待を寄せているんだ」


晶葉「この気持ちは、ラボに篭って研究していては知り得なかったものだよ」



晶葉「そう……君が、私をあの舞台へと立たせてくれたんだ」


晶葉「どんな言葉を持ってしても、この感謝は伝えきれない程だよ」


P「はいはい、そうだなー」ナデナデ


晶葉「む、恥ずかしいからってごまかすんじゃないぞ」


P「そうだな」ナデナデ


晶葉「……まあ、いい。頭を撫でるのは今日だけだぞ」



晶葉「しかし……P、君はどう思う?」


晶葉「あの衣装、似合っていたか?」


P「もちろん。和風な柄が似合っていたと思うよ」


晶葉「そ、そうか……」フフン


晶葉「私は天才で発明家だが……Pのプロデュースするアイドルでもあるからな」


P「ちゃんと両立させてくれよ?」


晶葉「無論だ!どちらも上手くこなしてみせよう……私は天才だからな!」


P「少なくとも新春ライブ中はラボに篭もるなよ」


晶葉「うっ……」


P「今はロボよりライブだぞ」


晶葉「分かっている、分かっているともさ」



晶葉「だが……少しくらいは許してくれよ?」


晶葉「ひらめきとは唐突に訪れるものだし……それを逃すのは勿体無いからな」


P「……やれやれ。少しだけな」


晶葉「へへん♪夜更かしはせずとも、ばっちりロボを作ってみせようじゃないか!」


P「研究で疲れて倒れないようにな?」


晶葉「もちろんだ。……君に心配など、かけさせたくないからな」ボソッ


P「馬鹿言うな。常々心配してんだから今更だっての」


晶葉「……君はやはり、馬鹿だよな」


P「馬鹿と天才はなんとやら、だ」


晶葉「君は天才とは程遠いだろうがな」


P「全くだよ」



晶葉「む……疲れて倒れないようにするためには、そうか!」


晶葉「マッサージロボだ!これはいい、疲れて倒れなくなるぞ!」


P「それ作るのに疲れて倒れるなよ?」


晶葉「安心しろ、君と分担すれば疲労も半分だ。それに君を実験台にすれば疲れも取れるぞ」


P「え、まじかよ」


晶葉「何を言っている、こういう時の助手だろう?」


晶葉「景気のいい返事のひとつやふたつ、返してくれてこそ、だぞ」


P「いいけどさ」


晶葉「では、帰ったら早速」


P「年を越したらシャワー浴びて寝ろよ。今から帰ったら良い子は寝る時間だぞ」


晶葉「むぅ……では明日から、か」



晶葉「まあいい。新春ライブが終わるまでには完成させてみせよう」


P「そうだな。菜々、喜ぶぞ」


晶葉「ウサミン星の科学力なら、ひとつやふたつ、簡単に……」


P「どうだろう」


晶葉「……だとしても、今は作るよりも使う側に回りたいだろうな」


P「そうだな。一番頑張ってるのは、他でもない菜々だし」


晶葉「ああ。主役でありながら、私や千鶴、ライラにも気配りを忘れない……流石ウサミンだよ」


P「うちの事務所で一番アイドルらしいアイドルだからな」


晶葉「なんてったってアイドル、ということか」


P「晶葉、それ知ってるのか?」


晶葉「いや、以前ウサミンが歌っていたよ」


P「頼むからそういうのは人前ではやるなよ、菜々……」



晶葉「……しかし、私のアイドル活動も板についてきたな」


P「ああ、天才も成長していると思うよ」


晶葉「そ、そうか……?」


P「そうだよ。あの頃から晶葉は成長したんだ。前に進んだんだよ」


晶葉「……そうだな」


晶葉「歌も上手くない、ダンスも得意でない私を、ここまで君が連れてきたんだ」


P「最初は、俺が付いて行っているみたいだったけどな」


晶葉「あ、あれは……私も、子供だったんだよ」


P「今も子供じゃないか」


晶葉「……そうじゃなくてだな」



晶葉「ほら……あの時、君に伝えただろう?君のポジションは常に私の隣だ、って」


晶葉「……大切な、パートナーなんだからな」


P「ああ、そりゃあ一緒に仕事してるわけだし」


晶葉「む……」


P「そうでなくたって、俺は晶葉の助手だからな」


P「……最初は俺だって、なんて生意気な子供だ、って思ってたよ」


P「自分が一番すごいって思ってて、何でもできるって考えてたろ」


晶葉「……まあ、な」


P「……14歳だからな、誰だってそんなもんさ。むしろ晶葉なんてまだ可愛いもんだろ」


晶葉「確かにな。この事務所に来て、同じ年のみんなには驚かされたよ」


P「ああ、晶葉に負けず劣らず個性派揃いだからな」



P「だが……天才だからっていきなり人前で歌やダンスが出来るかったら、違ったもんな」


晶葉「そうだな。そもそもずっとラボに引きこもって工具や機械に囲まれていたんだ」


晶葉「歌もダンスも経験なんてなかったし、それをすぐにこなすだけの運動神経だってなかったさ」


P「晶葉は努力の天才だからな」


晶葉「そうだな……この発明の技術だって、元をたどれば努力の結果だからな」


晶葉「……少しでも、両親の仕事を知りたかったんだ。ずっと仕事で帰ってこなかったから」


晶葉「そうしたら、いつの間にか……私は、天才に、孤独になっていたんだ」


P「……そうだったのか」


晶葉「ああ……だが、過去は過去だ。私は私の道をゆくのだからな、前を向いていなければ転んでしまう」


晶葉「それに私には、隣を一緒に歩いてくれる仲間がいるからな。不安など、どこにもないさ」



晶葉「だから……私はこうして、アイドルを続けていけるんだ」


晶葉「他でもない、君のおかげだよ」



晶葉「その……ありがとな、P」


P「ああ、こちらこそありがとな、晶葉」



晶葉「だから……P、こいつを預かっててくれないか」


P「……これは」




晶葉「ああ。私の愛用のドライバーだよ」


P「いいのか、大切なものだろ」


晶葉「大切だからこそ、君が持っていてほしいんだ」


晶葉「ステージの上と、舞台の裏。それでも……君が私の隣にいてくれる気がするからな」


P「……非科学的だな」


晶葉「なに、この世界は0と1ではないということだよ」


P「それもそうだな」




P「さ、早く事務所に戻るぞ。そろそろ年が明ける」


晶葉「ああ。……ほら、早く」


P「?」


晶葉「……ほら。手だ」


P「分かってるって」ギュッ


晶葉「……こうでもしないと、君は先に進んでしまいそうだからな」


P「そっちこそだろう?」




晶葉「だからこそ、さ」


P「だな」



晶葉「……なあ、P」


P「なんだ?」


晶葉「……この一年、私と共に歩んできてくれて……ありがとう」ボソッ


P「どうした?」


晶葉「……いや、なんでもない」


晶葉「さあ、行くぞ」




P「そうか……晶葉」


晶葉「む?」


P「俺はこの一年も……晶葉と一緒にいて、楽しかったよ」


P「だから、俺からも……ありがとな」




晶葉「……ふん」


晶葉「何を言う。私はもう、前を向いているぞ」


P「こっちはいつだって前向きだ」



晶葉「……だからこそ」


P「……ああ」





晶葉「来年もプロデュース、よろしく頼むぞ」


P「もちろん……こっちこそ、来年もよろしくな」



以上で終わりです

ありがとうございました



00:30│池袋晶葉 
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