2015年06月04日

一ノ瀬志希「ねぇ」


●00

※P×志希

※地の文あり





※5月30日は一ノ瀬志希の誕生日です。



※一ノ瀬志希

http://i.imgur.com/H2WCTl2.jpg

http://i.imgur.com/8uFdqgZ.gif





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●01



ねぇ、あたしは都合19回目の誕生日を今日迎えたわけだけど……



あ、実際に生まれた日を0歳の誕生日、とカウントするなら20回目カナ?







とにかく、19回だか20回目の誕生日を迎えたあたしなんだけど……



ソワソワして、こんな朝早い時間に目を覚ましてしまう、なんて経験は初めてだよ♪









●02



あたしは基本的に夜型の人間だ。



最近は、キミの――プロデューサーの――おかげで、お仕事に合わせて起きることもあって、

以前より夜更かしはしなくなったけど、それでもこんな朝早くに目が覚めちゃうなんて珍しい。

テレビをつけてみたら、朝のニュース番組が始まったばかりだった。



いつものコーヒーメーカーで、いつもと同じコーヒーを、いつもと同じように淹れる。

でも、そうやって漂ってくるいつものニオイさえ、今朝は特別。







キミは起きているかな? いや、きっとまだだろうねぇ。



いつもだったら、あたしにモーニングコールかけてくれるし。

かけてくれないと失踪しちゃうぞ! って言い続けたら、かけてくれるようになった。

最近は、そうしてプロデューサーの声を聞かないと、一日パッとしないぐらい馴染んじゃった。



プロデューサー、最近お仕事忙しそうだったからな〜。

今日のあたしの誕生日に休みをとるため、いつもよりも予定詰めてたんだ。







そうだ、それならあたしが勝手に予定を立てちゃおう♪



あたしの誕生日に、プロデューサーの時間をもらってるんだから、

あたしが今日何するか決めてしまっても大丈夫でしょ?



ま、エスコートのプランがあるのかも知れないけど、

そこまでプロデューサーが気を回してくれてるかな?



いいや、あったらあったでいいし、なかったらなかったであたしの勝手にしちゃうもん!









●03



――ねぇ ねぇ ねぇ ねぇ♪

――今日はどこへ行こうかな♪



鼻歌交じりで、あたしは野菜をざくざく切ったり千切ったり。キャベツ、レタス、トマト、きゅうり。

日本はこんな朝っぱらでも野菜を売ってるお店が近くで開いてて便利だよね。

食パンも買い足しておいた。アメリカじゃなかなかこんな真似できないよー。







――ねぇ ねぇ ねぇ ねぇ♪

――ふたりの思い出を重ねて♪



キッチンをひっくり返したら、ドライハーブが残ってた。

ちょっと湿気ってる気がするけど、まあいいや。

これがあると、タマゴのサンドイッチは、味の締まりが全然変わってくるんだよー。



そーそー、あたしは今、プロデューサーとのお出かけのためにお弁当を作ってるんだ。

あたしは化調のニオイがスキじゃないから、前々からしょうがなく自炊してたんだけど、

やっておくもんだねー。サンドイッチぐらいなら余裕綽々だよ?







ついでに朝ごはんの卵焼きも焼いてしまおう。

ベーコンもじゅーじゅーカリカリっとやっちゃえ。ニオイの香ばしさでココロも弾む。

それどころか、フライパンの音さえあたしをおだてるようにキラキラ楽しげ。

にゃはは、音葉ちゃんみたいな気分だわコレ♪





●04



さーて、今日はプロデューサーにどこへ連れてってもらおうかな♪



……なんて、ゆで卵をつぶしてマヨネーズやバジルと混ぜながら考える。



特別な日だから、特別な場所に連れてってもらうのかな?

なんて考えたけど、頭にくるくる浮かんでくるのは、

今までプロデューサーといったことがある場所ばかり。







アイドルたちの乙女なスメルがフワフワしている事務所。



打ち合わせで使ってる、ビミョーに分煙しきれてない珈琲屋さん。



うまくいったときも、失敗した時も同じニオイを嗅ぎながら帰る営業車。



簡易ステージで初めてライブを演った公園の日差しと熱気。







アイドルを始めてからの毎日は、思えばあっという間。







西部公演のステージは、木と幔幕の舞台なのに、

乾いた風と硝煙の気配がした。



真夏の砂浜に輝く潮の香りに包まれて、力いっぱいライブで躍動したときは、

第七天国(セブンスヘブン)への階に手が届く気がした。



たいてい一人で好き勝手やってた化学実験を、撮影用のアトリエでプロデューサーと一緒にしたら、

化学的には結果のわかりきった実験でも、キミの緊張が伝染したのか、あたしも浮ついた気分だった。



春の桜に誘われて、大正ロマンへのタイムスリップに導かれた時は、

春の穏やかな日差しと散っていく花びらのなかで、キミと一緒に埋もれてしまいたいと言っちゃったね。







なーんだ。あはは、プロデューサーと行く場所は、いつだってどこだって特別じゃないかぁ。







今まで、モノはいくらプレゼントでもらっても、

次の年までに色褪せてあたしのキョーミをひかなくなってしまったけど、

プロデューサーがくれる記憶は、今から思い返すとキラキラが増して感じられる。



ホントに不思議で、素敵なことだよね♪



そんなプレゼントを、今日ももらおう! 誕生日だしね!









●05



――ねぇ ねぇ ねぇ ねぇ♪

――今日はどこへ行こうかな♪







そろそろ、キミにモーニングコールかけてもいいかな?

携帯でコールしようとすると、まーたあたしのなかのソワソワ虫が騒ぎ出す。







――ねぇ ねぇ ねぇ ねぇ♪

――ふたりの思い出を重ねて♪







勢い余って、キミの家まで押しかけちゃおうかな?

ああ、でも入れ違いになったらイヤだねぇ。



今日は失踪する気分じゃないんだよ、だって……





――キミといると行き先は♪

――どこも特別に変わるの♪



おわり



22:30│アイマス 
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