2014年02月24日

モバP「ゆきのいろ」【モバマスSS】

2月13日 22時27分
事務所

ちひろ「プロデューサーさん遅いですね……」


ちひろ「昨日の雪で道が混んでるのでしょうか」

ガチャ
P「ただいま戻りましたーっておお! すごい装飾……」

ちひろ「あっ、プロデューサーさんお帰りなさい!」パタパタ…

ちひろ「雪乃さん誕生日パーティーのための会議室の飾りつけ、終わっちゃいました」

P「すいません。俺も手伝うって言ってたのに」

ちひろ「なに言ってるんですか。それで、会議の方はどうでした?」


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P「決まりましたよ! 雪乃さん……いや、みんなにとっても大きな前進になります!」

P「ところでアイドルの皆は?」

ちひろ「今、食料の買い出しに行ってもらってます」

P「そうですか……って、もう雪乃さんを迎えに行く時間だ!」アセアセ

ちひろ「パーティーはサプライズですからね。くれぐれも雪乃さんに悟られないように!」

P「大丈夫ですよ。じゃあ今日はそのまま雪乃さんを帰しちゃいますね」

ちひろ「えぇ、分かりました。プロデューサーさんはどうします?」

P「俺も今日はそのまま帰宅します」

ちひろ「分かりました。では、お疲れ様です」

P「はい、お疲れ様でした」ガチャ

ちひろ「帰ってきたと思ったらすぐ出て行っちゃって……忙しい人ですね」

テレビ局前 23時04分

P「雪乃さんの収録は終わってる」タッタッタッ

P「急いで迎えに行かなくちゃ──うわっ!」ステーン

チャリン

P「痛たた……雪が凍って路面が凍結してる」

P「足元見て歩かないと大変だ」
控室にて

トントン ガチャ
雪乃「あっ、Pさん♪」

P「すいません。ちょっと遅れてしまって」

雪乃「いえ、大丈夫ですわ。収録の方も少し長引いたので」

P「そうだったんですか」

P「でも、とても良いものが撮れたと思います」

P「紅茶講座番組のアシスタントになって二か月くらい経ちますけど、どうですか?」

雪乃「えぇ、毎回紅茶に造詣が深い方がゲストにいらっしゃるので、とても勉強になりますわ」

P「あ、確かに最近、雪乃さんの紅茶を飲むたびに美味しくなってる気が……」

雪乃「ふふっ。それは気のせいなんかではありませんよ」

雪乃「せっかく飲んでもらうのなら、より美味しいものをご馳走したい……と思うのは普通のことですから♪」

P「雪乃さん……」ジーン

雪乃「私たちのために頑張ってるPさんへ出来る、せめてもの応援ですわ」ニッコリ

P(天使……いや女神や……)

雪乃「ん? どうかしましたか?」

P「あぁ、いえ! あっ、雪乃さん。荷物持ちますよ。このカバンですか?」スッ

雪乃「! あ、Pさん、私これから着替えるので! その──」

P「あぁ、分かりました。外で待ってます!」カバンオク

ダッ ガチャ

雪乃「カバンの中、見られていませんよね……」ボソッ


駐車場

雪乃「お待たせしました」

P「じゃあ、そのまま雪乃さんの家へ送りますね」

雪乃「えぇ♪」

P「足元に気を付けてくださいね。さっき俺も転んじゃって」

雪乃「大丈夫でしたか?」

P「そのくらい大丈夫ですよ。心配は要りません」

P「えっと……鍵は──ん?」

P「」ガサゴソ

P「ん?」

雪乃「Pさん、どうかしましたか?」

P「いや、車の鍵が……いつもどおりポケットに入れたはずなのに……」ガサゴソバサ

雪乃「来るときに転んだのですよね? その時に──」

P「え!? いやそんな……でも」

雪乃「無くしたとなれば、その時しかないのでは?」

P「うーん。確かに……」

P「あ、じゃあすぐにタクシー呼びますね」ピポパ

雪乃「あっ、Pさん。ちょっと待ってください」


並木道にて 23時38分

テクテク テクテク

雪乃「歩きたいという、わがままを聞いて頂き、ありがとうございます」

P「いえ、俺がそもそも鍵を無くさなければ……本当にすいません」

雪乃「もうっ、さっきから謝ってばかりですよPさん」

P「すいません……あっ」

雪乃「ふふっ♪」

雪乃「謝ってばかりのPさん。初めの頃もそうでしたわ」

P「初めの頃って……雪乃さんのプロデュースの?」

雪乃「えぇ。こうやってよく二人だけで過ごしてましたね」

P「そうですね。そう考えると、久しぶりです……こういう時間は」


テクテク テクテク

雪乃「あの頃は私もPさんも失敗が多くて……」フフッ

P「思い出してきましたよ……確かに謝ってばかりでしたね」

雪乃「毎日Pさんは誰かに謝っていた気がしますわ」

P「あの頃は右も左もよく分からなかったもので……」

雪乃「正直、あの頃は私もそうでしたわ」

雪乃「不安ばかりが胸の中を占めていて。でも、Pさんを信じて良かったです」

P「俺を?」

雪乃「信じたからこそ、今の私がいるんですの♪」

P「いや、そんな……」

雪乃「ですからPさん。これからも信じていますわ」

テクテク テクテク

P「なんか照れますね……改めてそう言われると」

P「でも、今の雪乃さんがいるのは雪乃さん自身が頑張ったからです」

P「俺はその応援をしたに過ぎません」

P「その証拠に」ガサゴソ

スッ

雪乃「書類? 私の名前が書かれて────えっ」

P「雪乃さんメインで行う事務所のみんな総出のライブが決まりました!」

雪乃「まぁ!」

P「これも雪乃さんの頑張りの結果ですよ!」

雪乃「すごい……私がメイン」

雪乃「これからもっと頑張らなきゃいけないですわね」クスリ

P「えぇ、俺もこれから一層働きます」

雪乃「事務所の他の子はこの事を知っているのですか?」

P「この事を知らせるのは雪乃さんが初めてですよ」

雪乃「まぁ。みんなが驚く顔が目に浮かびますわ♪」

P「そうですね。きっとはしゃぎますよ、みんな」

雪乃「私やみんながライブ。本当にここまで来たんですね」


テクテク テクテク

P「いえ、まだまだスタート地点ですよ」

P「いつか満席のドームで雪乃さんが歌う、それが俺と雪乃さんのゴールです!」

雪乃「そうでしたわ。目指すはトップアイドル、ですものね」

P「えぇ、しっかり導きますから!」

雪乃「ではしっかり付いて行きますわ♪」

テクテ…ピタリ

雪乃「? 急に立ち止まってどうしましたか?」

P「今、14日の0時になりました」

雪乃「あっ……あぁ!」

P「本当はこんなところで、祝いたくはなかったのですが……」

P「拍手喝采は無いし、クラッカーや、花束もないですけど……」


P「誕生日、おめでとう。雪乃さん」

P「やっぱり、一緒にいるなら14日になると同時に祝いたくて」ハハ

雪乃「……」

雪乃「ふふっ♪ ありがとうございます」

P「これからも──って、ん!」

雪乃「」ギュッ

P「ちょっと、雪乃さん!?」

雪乃「並木道、誰もいませんから……」ギュー

P(雪乃さんの優しい柔らかな匂い……) 

雪乃「今だけ……」ギュムッ

P(あかん……雪乃さんの胸が……)

P「雪乃さん。あの……ちょっと──!」

雪乃「Pさん、お顔が真っ赤ですわ♪」

P「あ、当たり前ですよ。いきなり抱きつかれたら……」

雪乃「ふふっ♪ って、あら」


ヒラリ  ハラリ
  ヒラリ  ハラリ

P「雪、みたいですね」

P「天気予報では今夜は降らないって言ってたのに」

雪乃「ホワイトバレンタイン」

P「えっ?」

スッ

雪乃「Pさん、ハッピーバレンタイン! ですわ♪」

P「あっ、これは……」

雪乃「私が、お菓子を作った経験はありません、と言いましたの覚えていますか?」

P「えぇ、クリスマスのお仕事の時ですよね」

雪乃「その時、いつかPさんが美味しいと言ってくださるお菓子を作りたい、と言ったことも覚えていまして?」

雪乃「親愛と感謝を込めて作ったんです。どうぞお受け取りください♪」

P「」ジーン

P「雪乃さん、本当にありがとうございます」

雪乃「何度も味見をしましたので、味には自信がありますわ」

P「俺の為にわざわざ……すごく嬉しいです」

P「早速、食べてもいいですか?」

雪乃「それは構わないですが……ここで食べるのですか?」

P「あっ……それもそうか」

P「それにまだ、雪乃さんにプレゼントも渡してない……」

P「あの、雪乃さん。ちょっとお時間いいですか?」


Pの自宅にて 0時35分

P「すいません。無理言ってウチに来て頂いて」

P「やっぱり、今夜中にプレゼントを渡したくなっちゃいました」

雪乃「棚はもちろん、テーブルまでお仕事の書類ばかり……」

P「そりゃ、今じゃ雪乃さん以外もプロデュースしてますから……よし」

P「これがプレゼントです」

スッ

雪乃「綺麗な包みですわ……」

P「開けてみてください」

雪乃「」ペリペリ

P「俺、紅茶やカップの知識なんてないし、ジュエリーのイロハもよく分からなくて……」

雪乃「まぁ」

P「こどもっぽいって思われたら、それまでですけど……受け取ってくれたら嬉しいです」

雪乃「とても綺麗な色ですわね、これ」

P「えぇ、そこはすごく考えましたから」

雪乃「『贈り物は中身より、どれだけ相手を想ってるか』」

P「え?」

雪乃「Pさんが私の為に贈ってくれたものなら、それはきっと素敵なものですわ」

P「それは良かったです」

雪乃「ありがとうございます、Pさん」

P「これで雪乃さんの俺への親愛度も上がりましたかね?」ハハ

雪乃「渡す場所がもっとムードある場所でしたら上がってましたわ」フフ

P「それは……すいません」

雪乃「ふふっ、冗談です♪ その答えは秘密、ということで」

雪乃「では、明日の私を楽しみにしてくださいね」

P「はい──じゃあ今度は俺の番で」

P「雪乃さんのチョコ、いただきます」

雪乃「はい、召し上がれ♪」

シュルッ パカッ

P「ハート形のチョコレート……ッ!」

雪乃「少し形がおかしいかもしれませんが、味は──」

ヒョイ パクリ

モグモグ

P「すごく美味しいです! 雪乃さん」

雪乃「そう言ってもらえると、すごく……嬉しいですわ♪」

P「美味しくて、俺、すごく幸せです」モグモグ

P「ホワイトデー、期待していてくださいね!」

雪乃「♪」


Pの自宅 1時12分

P「今夜はすごく幸せでした。ありがとうございます」

雪乃「いえ、私こそとても幸せな時間でしたわ」

P「家まで送っていきますよ。自分の車のカギは無くしてないので」スック

ガチャ

ビュオオオオオオオオ

P「うわっ!」

雪乃「きゃっ!」

バタン

P「すごい雪だ……いつの間にこんなに?」

雪乃「Pさん、窓の外が真っ白になっていますわ」

雪乃「これでは帰れないかもしれません……」


P「」

P「あ」

P「あの、雪乃さん」

雪乃「はい?」クルリ

P「こんな……お天気ですし、今夜はその、泊まって、いきません……か。あ、いや。なんだったらタクシー呼びますけど!」

雪乃「Pさん、頬にチョコがついてますわ」

P「へ? あ、左右どっ──」

チュッ

P「ち?」

雪乃「嘘ですわ♪ Pさん」

P「!! 雪乃さん今今今……ほっぺ!」

雪乃「先ほど、私のPさんへの親愛度についてお聞きになりましたよね」

P「え? あぁ、はい。聞きました、けど」

雪乃「その答えなんですけど──」

雪乃「実はもう既に最高にまで達しているのですわ──」

雪乃「Pさんとの親愛でもなく、信愛でもなく、心愛度は……ね♪」


2月14日 11時07分
事務所にて

P「すいません! 遅れました!」

ちひろ「あぁ! プロデューサーさん、雪は大丈夫でしたか……って、あれ?」

雪乃「おはようございます。ちひろさん」

ちひろ「どうして、雪乃さんが一緒に?」

P「あ、ちょっと……来るときにたまたま会ったんですよ、ねぇ」

雪乃「えぇ。私も雪道で家を出るのが遅れてしまって」

ちひろ「そうでしたか……あ、プロデューサーさん。ちょっと」

ちひろ(プロデューサーさん、クラッカーは事務机の隅にありますからね)ヒソヒソ

P(あ。了解です)ヒソヒソ

P「」タッタッタッ

ちひろ「雪乃さん。ちょっと会議室の方まで来てもらっていいですか?」

雪乃「はい♪ わかりましたわ」

ちひろ「いやぁ……すごい雪で事務所のみんなもまだ到着してない子がいたり──って、おや?」

雪乃「? どうかしましたか?」

ちひろ「雪乃さん」

ちひろ「その紫色の髪結びリボン、すごく綺麗ですね。初めて見ました」

雪乃「えぇ。私の誕生日、2月の誕生石のアメジスト。その色ですわ」

雪乃「とても……とても大切な人からもらった誕生日プレゼントなんですの♪」


E N D

読んでいただき、ありがとうございました

雪乃さん誕生日おめでとうございます!
いち雪乃Pとして雪乃さんSSを書かずにいられませんでした

とても魅力あるアイドルだと思うので、みなさんもお迎えしてみてください


HTML化の依頼を出しておきます

タイトルの「ゆきのいろ」は曲名です
とても綺麗な曲なので是非一度聴いてみてください

23:30│相原雪乃 
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