2014年02月27日

荒木比奈「ジメジメした季節」

モバマスより、荒木比奈さんがメインのSSです。
季節の先取りになりますが梅雨のお話。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367918499


ピョコン

比奈「……」ンアー

P「梅雨だからな。髪が跳ねるんだな」チョイ

比奈「……つままないで欲しいっス」

P「にょーん」

比奈「子どもでスか、もう」ハア

P「俺は可愛いと思うけどな」ニョーン

比奈「…どうもっス」
P「まあ、比奈らしくていいと思うぞ。いい意味でな」

比奈「……はあ。ま、いいでス。プロデューサーでスから、慰めもこんなもんでスよね」

P「あれ? なんで俺そんなにバカにされてんの?」

比奈「だってプロデューサーでスもん」

P「説明になってないって」
ザッ

P「どうしました!?」

ちひろ「あっ…ぷ、ぷろ…」プルプル

P「? …それは…仁奈のきぐるみ、ですか?」

ちひろ「は、はい」

ちひろ「あ、の…こ、これ…」フルフル

P「? うおっ!」

比奈「ど、どうしたんでスか?」ヒョコ

P「…仁奈のきぐるみに茸が生えてやがる…」

比奈「 」

比奈「…はっ?」
比奈「いくら梅雨だからって、こんなことになりまスかね?」

P「た、たぶん、洗濯せずにしばらく放置されてたんだろ」

比奈「…それにしたって、仁奈ちゃんが、こんなロッカーに仕舞う理由はないでス」

P「うむ」

比奈「…」ウエ…

比奈「あ、あの」

P「ん?」

比奈「だとするとでスね、犯人は、一人しかいないと思うんでス」

P「なっ。おい比奈、俺も茸と言えば奴が真っ先に浮かんだとはいえ、同じ事務所の仲間を疑うのは…」

比奈「いや、いくら輝子ちゃんでもこんなことしないってことくらい分かってまス」

P「そ、そうか」
仁奈「ぷ、ぷろ…プロデューサーは、もう仁奈と一緒にモフモフはしたくねーでしたか…?」ウル

P「に、仁奈、いつの間に…」

仁奈「そうでごぜーますか…先日、一緒にモフモフしたことも、プロデューサーはいやでやがりましたか…だから忘れやがったんですね…」ショボン

P「ば、バカなこと言うな。俺が仁奈との思い出を忘れるはずないだろ?」ナデナデ

仁奈「ほ、ほんとでやがりますか?」グス

P「お、おう」

P「(先日? 俺が一緒にきぐるみを着たって? くそ、早く思い出せ俺)」

比奈「不本意でスけどプロデューサー、これ以上仁奈ちゃんを傷つけないためにも頑張るっス」

P「不本意とはなんだ」
P「(そうだ、あまりに恥ずかしかったから――その日は楓さんに付き合ってもらって、へべれけになるまで飲んだんだ)」

P「…すっかり忘れていたなあ…」

比奈「あれからも、たびたび仁奈ちゃんは嬉しそうにその話をしてたと思いまスけどね?」

P「人間の脳ってのは、都合よくできてるよな」

比奈「とか言ってまスけど、けっこうひどいことだと思いまスよ? これ」

P「…面目ない…」

比奈「(ちゃんと仁奈ちゃんに謝っておくっス。それか、また今度一緒にもふもふしてあげるっス)」コソ

P「(お、おう。…それにしても)」コソ

比奈「(はい?)」

P「(比奈がもふもふとか言うと、なんか可愛いな)」ボソ

比奈「ふざけたこと言ってるともぐっスよ」

P「なにを!?」
ガチャ


喜多見柚「ただいまー」

柚「…ってPサン?」

P「お、おう柚か。お疲れさん…」プルプル

柚「…床にうずくまって、どうしたの?」ハテ

P「な、何でもないぞ。ちょっと比奈からご褒b」

比奈「プロデューサー?」ニッコリ

P「……ち、ちょっとな。気にしないでくれ」ニゴ

柚「分かった!」

比奈「分かったんスか」
比奈「残念でスけど、またの機会に…」

柚「そっか。ううん、それなら事務所でみんなでお茶にしよーってどうかな? えへへ」

比奈「いいんでスか? それなら大歓迎でス」ニヘラ

柚「うんっ。やっぱり、みんなでワイワイしないとねーってことで! …それに」チラ

P「?」

柚「Pサンも一緒じゃないとね」ニコ

P「ゆ、柚…!」

柚「てへ♪? じゃあアタシ、楓さん呼んで来る!」バタバタ…

バタンッ

P「…」

比奈「…柚はいい子っスね」

P「まったくだ」

比奈「…そんな柚が…はあ、これのなにがいいんスかね…」

P「これって俺のことか、おい」


シトシト


比奈「……」


梅雨でス。
毎日ジメジメ、鬱々とした雰囲気のする暗い季節でスけど、案外私は嫌いじゃないでス。
街中が日陰なのって、なんだか落ち着きまスよね。


P「アイドルがなに言ってやがる」カタカタ

比奈「はえ? …ああ、プロデューサー。どうもっス」ニヘラ

P「…外は、なにか面白いものでも見えるのか?」

比奈「どんよりした雲が一面に漂う絶景っス」

P「最悪じゃねえか」


そうでスかね?
比奈「…まあ、いいんでスよ…じめじめしたのが好きな私も、私でスから…」グデーン

比奈「だれかに見つけて欲しいときには……そのとき光ればいいんでス」

P「…そうだな」

比奈「…ふふ、そんときはちゃんと見つけて欲しいっス」

P「俺にか?」

比奈「他にだれがいるんスか」ニヘラ

P「いや、そこはファンって言っとけよ」

比奈「プロデューサーは私のファンじゃないんでスか?」

P「…」ドキ

P「あ、いや…ごめん、そうだな。俺は比奈のファンだよ。第一号だ」

比奈「ふふっ。そうでスよねー、だから、よろしくっス」

P「…おう」
ちひろ「…?」

ちひろ「楓さん、なにかおいしそうなもの飲まれてますね。なんですか?」

楓「これですか? ふふっよかったら、ちひろさんもどうぞ?」

ちひろ「そうですか? じゃあ、一口…」チビ

ちひろ「んっ…っ」ゴク

楓「どうですか?」ニコニコ

ちひろ「けほっ…か、楓さ… ぷ、プロデューサーさん!」

P「はい?」

比奈「ふにゃー…」グタ…

P「おい比奈。お前本当に病気とかじゃないだろうな?」

ちひろ「か、楓さん、お酒飲んでます…」

P「はあ!?」
P「…けど、すいませんでした。たしかに今日は、約束でしたもんね」ペコ

楓「……。ふふ」

楓「いいですよ。プロデューサーさんと、ちひろさんは、私たちのために頑張ってくれているんですから」ニコ

P「…そう言ってもらえると…」

ちひろ「ごめんなさい、楓さん」

楓「いいえ。今度はきっと、ちひろさんも一緒に、お酒、飲みに行きましょう?」ニコニコ

ちひろ「はい。喜んで」

P「はい」








ポツポツ


比奈「…んあ?」

P「お、目が覚めたか」カタカタ

比奈「……? あれ、私…どうして事務所で寝て…」

P「比奈って、酒弱かったんだな」

比奈「? …あー」

比奈「…すみません、私、…あーなにしてんスかね、もう」ガシガシ

P「はは、いいよ。首謀者は反省の色を見せもしなかったからな。…いや、というか半分約束を破った俺が悪いんだが…」ハハ

比奈「…いえ…」
P「…」カタカタ

比奈「…」

比奈「プロデューサーは、いつもこんな時間まで…仕事してるんでスか?」

P「ん? いつもって訳じゃないよ。残業自体は珍しくないけど…今日はいろいろ重なったってだけだ」

比奈「……あの、プロデューサー」

P「うん?」カタカタ

比奈「ありがとうございます。たまに忘れちゃいまスけど、私たちが輝けるのは、…私が輝けそうなのは、こうやってプロデューサーがいろいろ考えて、苦労してくれてるからでス」

P「忘れんなよ、おい」

比奈「えへへ」
比奈「……。…はあ、もう」

比奈「…プロデューサーは、ほんとに…ずるい人でス」

P「まあな。大勢の女の子をプロデュースするには、多少、ずるくないとやっていけない」

比奈「ふふ、そうでスね」
―――後日…


ガチャ

比奈「おはようございまース」

柚「比奈さん! おはよー」

比奈「はいっス」

P「お、来たな比奈」

比奈「…なんスかその、悪役が正義のヒーローを待ち構えていたかのような台詞」

P「…光にやったら喜ぶかな?」

比奈「今度試してみるっス」
柚「へへ、やったね比奈さん!」ピョン

比奈「…う、うん…そっか、ライブか…」ガサ

比奈「……てか、こ、こんな可愛い衣裳…私が着るんでスか…」

P「ああ。きっと似合うぞ」ニコ

比奈「…あ、ありがとうございまス」
ガチャ


仁奈「おはようごぜーます!」

楓「おはようございます…って」


ギャーギャー


楓「…?」

仁奈「なんの騒ぎでごぜーますか??」
ギャーギャー


仁奈「…」

楓「…」

仁奈・楓「「えへへ」」

仁奈「やっぱり、ここのみんなは仲良しでごぜーます」

楓「うん。なんだか嬉しいね、仁奈ちゃん」ニコニコ



比奈「もー! ぷ、プロデューサー!」

P「は、はい!」

比奈「お、女の子の涙は、高くつくんでスから! 覚えておいてくださいよ!」

P「忘れさせるんじゃなかったっけ?」

比奈「揚げ足を取るなっス!」ブン

P「あぶなっ」

比奈「い、いいでスか!」
☆おまけ


ガチャ

幸子「おはようございま… !?」ビクッ

輝子「あ、さっちん…おはよ」フフ

幸子「…な、なんですか、その……も、ものすごい格好…」

輝子「ぷ、プロデューサーが、くれたんだ…フヒ。いいでしょ」

幸子「……え、ええ。あなたには、よくお似合いだと、思いますよ…」ヒク

輝子「フヒ、これでライブ中だってキノコと一緒…親友と一緒ならライブも怖くないよ…フヒヒ」

幸子「えっそれライブ衣裳にする気ですか」



P「(さすがに茸塗れのきぐるみには引きながらも、輝子のために気を遣えるさっちゃんまじ天使!)」

比奈「プロデューサー下衆いっス」

P「最底辺の形容だな!?」

22:30│荒木比奈 
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