2015年08月28日
堀裕子「サイキックボックス」
アイドルマスターシンデレラガールズのSSスレです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396185259
2014年3月27日(木) PM 11:00
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396185259
2014年3月27日(木) PM 11:00
裕子「や、やっと寮に到着……ふ、ふぅ、今日もヘトヘトです」
どさっ、
裕子「取材に撮影、収録、合間を縫ってレッスンレッスンレッスン……ふ、ふぁぁ」
裕子(アイドルになって、しばらくが経ちましたが、はじめの頃の私は。こんなに忙しくなるなんて、思ってもいませんでした)
裕子「ああ……ファンレター、ちゃんと確認しなくちゃ……」
裕子(さいしょにもらった一通は、飛び上がるほど、うれしかったっけ)
裕子「む、ムムムーン、透視!!」
裕子「…………はぁ」
ガサガサ……
裕子「ええと……『〜〜、〇〇、××……最後になりましたが、どうかこれからもがんばってください!! あっ、この感想はテレパシーで送ってくださいね(笑)』」
裕子「あははは……」
裕子「それではリクエストにお応えして……ムムムーン!! ムン……ッ!!」
本当にありがとうございます
もっともっと、がんばります
裕子「……はぁ。本当は、ひとつひとつ、全部、お返ししたいんですけれどね」ガサゴソ
裕子「お返し、出来ていたんですけどね……今までは」
こんなに忙しくなるなんて、思ってもいませんでした
裕子「うぅ、ねむい、です……でもせめて……せめて確認だけでも……ん?」ガサガサ
――コロン
裕子「あれ……なんでしょう、これ。プレゼントは別にしてあるはず、なのに。箱……飾り物?」
『ワタシハ サイキックボックスデス』
裕子「ひえっ?!」
ゴトンッ、
裕子(しゃ、しゃべった?! ままま、まさか、空耳に決まって)
(ワタシハ サイキックボックスデス)
裕子(直接脳内に?!)
『ネンジテクダサイ』
裕子「え、えと……あ、新しいおもちゃ、ですかね」
『ネンジテクダサイ』
裕子「ゆ、融通の利かないおもちゃですね……ん?」
裕子(さいきっく、ぼっくす……?)
裕子(念じて……念じれば?)
裕子(念じれば?)
裕子(サイキックが?)
裕子「……ぷっ、あは、ははは!! ほ、本気になっちゃいましたよ―。大体、このサイキッカーユッコにしてエスパーユッコには、今更こんな補助器具なんて……」
『ネンジテクダサイ』
裕子「…………」ゴクリ
裕子「そ……それじゃ、この枕でも飛ばしてみましょうか」
いつかの温泉の時みたいに、
『ドコヘドノクライノチカラデドレクライノハヤサデトバシマスカ』
裕子「……なんだかカーナビ操作のでもしているみたいですね」
『ネンジテクダサイ』
裕子「あーもうっ、わかりましたよっ!! む、ムムムム……ッ!!」
壁へ向けてポーンって感じで両手で抱えて投げるくらいで、
たとえばあのプロデューサーがキャッチできるくらいの強さで、
裕子「……ムンッ!!」
『――――――――――――――――――』
裕子「…………」
『――――――――――――――――――』
裕子「あは、あははは……私、何やってるんだろ」
『――――――――――――――――――』
裕子「こんなことしてないで寝ないと……明日も早いですし……」
……ぶわっ、
裕子「?!」
ポーン、
コテンッ、
裕子「……と、飛んだ?」
『―――――――――――ンジテクダサイ』
『ネンジテクダサイ』
裕子「本当に、飛んだ……」
裕子「エスパーに、エスパーユッコに……なった?」
『ネンジテクダサイ』
裕子「これなら、これなら……!!」
『ネンジテクダサイ』
裕子「私だって、私も……っ」
2014年3月28日(金) AM 11:00
ワーワー、ワーワー
P「よし裕子……状況は変わった。だが、いつも通り頑張ってこい!!」
裕子「……プロデューサー、今日の私は、いつもとは一味違いますよ」
P「――――えっ?」
――――それでは今日のゲストは、エスパーユッコでお馴染みの堀裕子さんです!!
裕子「あいあむサイキッカー!!」バーン
ウオオオオオオオオオオオ、ユッコー、
オメデトー、
オレノカラダモオリマゲテクレー
――――こんにちは。さっそくですがユッコさん、ご自慢の……さいきっくをひとつ披露して頂けませんか?
裕子「ふっふっふ、じゃあ皆さん、このスプーンをよーく見ていてください……ムムム」
『ネンジテクダサイ』
裕子「ムムムム…………」
P(どういうつもりだ……?)
P(打ち合わせ通りなら、予め曲げておいた懐のスプーンと取り換えて、しかしそれが先割れスプーンになってるから替え玉がばれるという流れなんだが……)
P(なにか……何か、思い付きのネタを?)
裕子「…………」ギリッ
裕子(強さのイメージ……)
水あめをねじるように蛇口を捻るように
ねむったヘビのようにしおれた花のように
まがれ
裕子「……ムンッ!!」
ぐにぇり
P「…………?!」
ザワザワ、ザワ………
――――ま、曲がった……、本当に、曲がりました
裕子「ふ、ふっふっふっふ……っ、はーっはっはーっはぁ!!」ドキドキ
ウ……
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
裕子「これがエスパーユッコ、真の力です!!」
2014年3月28日(金) PM 14:00
P「……いったいいつの間にあんな技マスターしたんだ? 全くタネが見えなかったぞ」
裕子「ま、まあちょっと本気を出しただけですよ!! でも……でも、これで、私の凄さがファンの皆さんに伝わりましたよね?」
P「ん? あ、ああ!! でもな、裕子はすごいって、前から皆分かってるさ。何より、俺も自信を持って送り出したんだからな」
裕子「……当然です、よ!! でも、もっと、もっと頑張りますからね」
もっと、
もっとがんばらなきゃ、
がんばって、がんばって期待に応えなきゃ、
『ネンジテクダサイ』
裕子「さいきっく枕飛ばしっ!!」ボコーン
『ネンジテクダサイ』
裕子「テレポート!!」ピューン
『ネンジテクダサイ』
裕子「サイコクラッシャー!!」ブルアァァァァァ
『ネンジテクダサイ』
裕子「最古クラッシャーァァァ!!!!!!」
USAMIN「ミミミンミミミンウーッサミギャァァァァァァァァ!!!!!!!!」ビリビリ
――――――――――奥の手?! エスパーユッコの“本気”と、『枕攻撃』を受けたプロデューサーの関係
――――――――――なぜベストを尽くさなかったのか 堀裕子、超能力による日本―アラスカ往復旅行に『北極点まで行けよ』との声も
――――――――――業界大物、ユッコ新技「サイコクラッシャー」に苦笑 『超能力+アイドルなのに、どうしてサイコボールではなく……』
――――――――――安部菜々(17)、ライブ中に転倒するもその後加速 『若返ったようでした』
裕子「ふ、ふふっ……連日、私のサイキックのことでもちきりですね」
裕子「……でも、どうしてでしょう」
裕子「夢にまで見ていたサイキックを手に入れたのに、エスパーユッコの名に恥じない、本物の超能力なのに」
裕子「……あんまり、たのしくないのは」
裕子「……ほかの人は、どう思ってるのかな」
裕子「新生エスパーユッコ、すごいって……それでこそって、思ってくれてるのかな」
裕子「どうなの、かな……」
『ネンジテクダサイ』
2014年4月23日(水) PM 14:00
オツカレサマデシター
――バタン、
裕子「……はぁ」
P「お疲れ、裕子」
裕子「あっ……お疲れ様です、プロデューサー」
P「今日もすごいさいきっくだったな、裕子。俺も毎回驚き通しだよ」
裕子「ありがとう、ございます……」
P「……なあ、裕子」
裕子「……はい?」
P「何て言えばいいんだろう。その……さいきっくをさ、以前みたいにしてみないか?」
裕子「……はい?」
P「だからその……ええと、本格的な手品じゃなくて、ちょっととぼけてて、みんなが笑えるような……」
裕子「……え? はは……あの、プロデューサー?」
裕子(何を、言っているんですか?)
裕子(何を、考えているんですか?)
『ネンジテクダサイ』
裕子(……今の私なら、わかるんです)
裕子(もう以前の私とは、違うんだから)
裕子(――テレパス!!)キィン
P(正直、今日はあまりウケがよくなかったからな……そろそろ方針を再確認しておこう)
裕子「……?!」
裕子(落ち込んだ声……今、私に話しかけているのとは違う、心の声)
P「うーん、今は選抜の宣伝も兼ねてテレビ出演をメインにしているが、特にバラエティが多いだろう?」
P(ラジオじゃビジュアルが弱いしな。ライブは大舞台まで小出しにして)
P「だから、ええと……笑いに繋がるものの方が、どちらかというと雰囲気にあっているんだよ」
P(どうにも……持ち前の明るさが影を潜めているんだよな、最近)
P「もちろん、裕子の努力は認める。本物の手品師と並べたって遜色ないくらいだ」
P(……実際どうやってるんだろ、あれ。だが今は。それは)
裕子「……ありがとう、ございます。でもあれは、手品なんかじゃなくて、私の、私の……っ」
裕子(そう……手品なんかじゃない。この不思議な箱のおかげ)
P「……子、裕子? 大丈夫か? 最近顔色悪いぞ? ちゃんと休んでいるのか?」
裕子「あっ、いえ……ごめんなさい」
P「そうか……選抜に入ってから、ハードさが段違いだからな。でも、体調管理も仕事のうちだ」
P(無理をさせているのかな。少し心もとないが、そろそろひと休み)
裕子「いいえ!! あ、あの……続けてください」
P「あ、ああ……分かった」
P「手品、という言葉は確かに気遣いが足りなかった。すまない。さいきっく……さいきっくだな。本気の、本当の超能力」
P「でもな」
P(問題じゃないんだ)
P「問題じゃないんだ、それは」
裕子「え……っ?」
P「今の裕子は、何か違うんだ。そう……今の裕子は、裕子らしくない」
P(今の裕子じゃダメなんだ)
裕子「私らしく……ない?」
P「選抜されて、気負ったところもあるんだろう。もっと良くしようと、自分なりに工夫もしたんだろう。その点はすばらしいことだ」
裕子(ダメ……? サイキックを手に入れた私じゃ、駄目なんですか……?)
P「だが、ファンが裕子に期待しているのは、そして俺が本当に裕子に期待しているのは、本物の超能力という訳じゃない。何より」
P「(笑顔の無いアイドルなんかじゃない)」
裕子「……っ!!」
P「ちょうど……サイキックが本格的になった頃かな。ミステリアスなキャラに変更しようとしているのか……笑顔が少なくなっただろ」
裕子「そ、そんな、そんなつもりは……」
P「何か、あったのか?――まあ、すこし考えすぎたのかもしれないな。裕子は、あのままでいい部分も沢山あったんだよ」
裕子「あのままって……」
裕子(サイキックボックスのない――何も出来ない頃の、私のまま?)
裕子「あのままって、なんですか?」
P「……裕子?」
裕子「それじゃあ私は……私はっ!! さいきっくさいきっくってはしゃぎながら、ヘラヘラしているのがお似合いだったって言いたいんですかっ?!」
裕子「みんなにバカみたいだって笑われるのが期待されていることなんですか?! そんな、そんな理由で、私は選抜されたんですかっ?!!」
P「……そうじゃない、少し落ち着け、裕子」
裕子「そうじゃないなら、なんなんですか……? 何か、何か……プロデューサー、プロデューサー……ぁ……っ!!!!」
P「?! 待て、裕子!!」
――――バタンッ!!
2014年4月23日(水) PM 16:00
ザワザワザワザワ…………ザワザワザワザワ………………
裕子(街をさまよってしばらく経ちます。プロデューサーは私に追いつけませんでした。当り前ですね)
『ネンジテクダサイ』
裕子(今の私はテレポートだってできるんですから)
ザワザワザワザワ……………………ザワザワザワザワ……………
裕子(でも、それも、自分の力じゃない)
裕子(……そう、私は、何も努力していない。努力でも、実力でもない、私にも仕組みのわからない借り物の力を、我が物顔で披露しているだけ)
ザワザワザワザワ……………ザワザワザワザワ……
裕子(それが、話題になっても、有名になっても、楽しくない理由)
ザワザワザワザワ……………ザワザワザワザワ……
裕子(もっと言うと……本当は気付いてたんです。ファンのみんなが、困ったような顔をしているって)
裕子(完全なサイキックは親しみとは無縁で……怖いとすら思われて……アイドルにとってそれは、まったく武器にはならない)
裕子(それが気になりだしたら、いい気分で得意になっていた自分の存在にも気が付いて)
裕子(自分を恥ずかしく思い始めると、今度は周りからどう思われているのか、気になって気になって)
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
裕子(テレパスを使いました)
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
裕子(ステージに向けられる、楽屋で囁かれる、街中で飛び交う、事務所に漂う、心の声)
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
裕子(土砂降りの様な言葉のうねりから、血眼になって自分に関係する想いを探し出し、一喜一憂する毎日)
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
裕子(ひとつ否定されたらふたつ肯定の言葉を探し、ひとつ肯定されても他で否定されてないか不安で堪らなくなる)
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
裕子(今では、一番上手なのはテレパスです。笑っちゃいますよね――もう、意識すらしないで勝手に)
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
裕子(勝手に……聞こうとしてしまう。サイキックボックスを捨てることもできず)
裕子(評価を、いい評価を、悪い評価を、評価されたくて、評価されているのが怖くて)
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ
裕子(笑顔が少なくなったって、プロデューサーは言いましたっけ)
裕子(そう……私がたったひとつ使えたのは、みんなを笑顔にするさいきっくだったんです)
裕子(そしてもう――私は、笑えない)
裕子(誰かの心が気になって、怯えてしまっている私は、以前のように笑うことが出来ない)
裕子(笑えない私は――みんなを笑顔にするさいきっくも、使えない)
――ポロッ、
裕子「戻り、たいな……」
裕子「――――戻れるのかな」ポロポロ
『ネンジテクダサイ』
裕子「こんなものに頼る前の私に……さいきっくを使えたころの私に」
裕子「戻れるのなら……戻せるのなら、きっとこれが最後のサイキック」
裕子「エスパーユッコは、サイキッカーユッコは……笑顔の眩しい只のアイドルに戻る」
『ネンジテクダサイ』
裕子「どこの誰かは知らないけれど、ありがとうございました……でも私には、本物のエスパーは荷が重すぎたみたいです」
裕子「バカにされている? 応援されている? そんなの、どっちがどっちかなんて、わからなくたっていい」
裕子「私のさいきっくはたったひとつでいい」
『ネンジテ――――――――』
裕子「――――――――――タイム、リープ」キィン
2014年3月28日(金) AM 1:00
裕子「むにゃむにゃ……ぷろりゅーしゃーのすぷーん、カチカチで全然まがらなふびゃぉぉぉぉ?!」ドテーン
どんがらがっしゃーん、
裕子「いてて……お返事書きながら眠ってしまうなんて、ユッコ一生の不覚……あれ?」
『―――――――――』
裕子「う、うわぁ!! プレゼント壊してしまいましたーっ!! あとで遊ぼうと思ってたのにっ!! な、直らないかな……さ、さいきっくセメダインーっ!!」
『―――――――――』
裕子「あちゃー、ダメでしたか……でもでも、このエスパーユッコを応援してくれるアツい気持ちは、しっかり頂きましたよーっ!! せめてさいきっく神棚飾りーっ!!」
がちゃんっ!!!!
裕子「神棚おちたぁ!! なんまんだぶなんまんだぶ……」
拓海「うるせえええっ!! 今何時だと思ってやがる!!」バターン
裕子「ひぃぃぃぃっ!! ごめんなさいいいいいぃ!!!」
P(兼寮監)「おーい、もう消灯だぞー。拓海お前も声が大きい」
裕子「ぷ、プロデューサーまで!!」
拓海「はぁ……アタシの当番の時に面倒起こすなよな?」
P「まったく……選抜されて自由時間が少ないのは分かるが、だったら猶更、休んどかないと体がもたないぞ?」
裕子「は、はい……すみません……」
拓海「……ちっ」
『――――――――』
P「裕子、今はきついだろうが、あまり気負うなよ。ありのままの裕子でいれば、結果は自然と付いてくる」
拓海「甘いぜP。おいユッコ、アタシだってな、今は後れを取っちゃいるが、ぼさぼさしてっとソッコーでブチ抜くからな? せいぜい――」
『――――――――』
拓海「(気張れよ?)」
P「(お前なら大丈夫だ)」
裕子「……はいっ!!」
おわり
11:30│堀裕子