2014年03月10日

杏「結婚しようよ」

P「吉田拓郎か?」

杏「はい?」


P「いや、急に変なことを言うもんだからさ」

杏「んー、いやさ、この雑誌の特集見てよほら」

P「なになに……『結婚のメリット』?」

P「え、なにこの特集、お前なんの雑誌読んでるの?」

杏「よくわかんない、こないだ留美さんが事務所に置き忘れてたから借りた奴」

P「お前それ借りたっていうかなんというか……」

杏「あ、ちなみにゼクシィも一緒に置き忘れてたよ」

P「……」

杏「ゼクシィの方見てみる?」

P「……いや、いい」

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P「んで、その特集がなんなんだ?」

杏「これ見てよ、結婚するメリットランキングの一位」

P「えーと、なになに……」

P「結婚のメリット一位は……『経済事情の安定化』」

P「……」

P「結婚のメリット一位ってこれなのか」

杏「うん」

P「嫌な世の中だな……」

P「……んで、これがなんなんだ?」

杏「わかんない?」

P「……いや、何が?」

杏「しょうがないなー……じゃあほら、二位と三位も見てよ」

P「……えっと」

P「『愛する人との生活』と『孤独からの解放』……?」

P「……」

杏「……」

P「え、だから?」

杏「なんでわかんないのさっ!」

P「い、いや、何が!?」


杏「なんなのもう……説明しないといけないとか面倒くさいよ」

P「そうは言われても何がなんだかサッパリだぞ」

杏「しょうがない……」

杏「ね、さっき杏……その、プロデューサーに言ったよね」

P「何を?」

杏「えと……あれだよ、あの……結婚のこと」

P「ん、ああ、言ったな」

P「お前の部屋の片付け手伝いに来たはずなのに」

P「お前はゴロゴロしたまま動かないで雑誌読んで俺ばっか働いてる時に俺に向かって言ったな」

杏「う……か、片付けはまぁ、その……ね?」

P「……」

杏「……」

杏「わ、悪かったよぅ……」

P「……そんで俺が驚いてお前の方に向くとさ」

杏「……?」

P「俺と目が合った瞬間すぐ雑誌に目を戻したよな」

杏「!」

P「そんでよく見たらお前は耳とか真っ赤で、平然を装おうと頑張ってて」

杏「……」

P「……」

P「なんでお前、そういうこと言うのも恥ずかしいくせに結婚しようなんて言ってきたの?」

杏「う、うるさいっ、余計なことは言わなくていいんだっ!」

P「んで、実際なんで結婚?」

杏「……それは、その」

杏「さっき杏が言ったことをふまえてこの特集みてよ」

P「うん」

杏「この一位のやつ、経済の安定化っての」

杏「杏って印税生活目指してたけどさ、最終目的は将来ダラダラしたいだけだから、こういう手段をとったとしても杏的にはありだと思うんだよ」

P「……はぁ、そうか」

杏「で、次、愛する人との生活」

杏「プロデューサーってさ、杏のこと……す、好きだよね?」

P「……いやまぁ、好き嫌いで言えば好きな部類だとは思うが」

杏「……ん」

杏「……後は最後、孤独からの解放っての」

P「え、待って今のってそれで終わりなのか?」

杏「プロデューサーってさ、前に家に帰っても一人きりでたまに寂しくなる……みたいなこと言ってたよね」

P「無視かよ……そんなこと言ったっけ?」

杏「言ったよ、結構前だけど、まゆの目の前で」

P「……あぁ」

P「そうだな、確かに言ったわ……あの後は色々大変だったな……」

杏「……」

P「……」

杏「……どんまい」

P「おう……」

杏「でさ、もしプロデューサーが帰って来た時におかえりって言ってくれる人がいるとしたら?」

P「嬉しいな」

杏「でしょ?」

杏「つまり、結婚すればさ……杏にとっては経済事情の安定化、プロデューサーにとっては愛する人の生活と孤独からの解放ってことだよね?」

P「……」

杏「……」











杏「……どやぁ」

P「ちょっと待てお前、マジか」

P「なんなのお前、それで俺に結婚しようなんて言ってきたの?」

杏「そうだけど」

P「お前俺を馬鹿にしてるの!?」

杏「い、いや別にそんなことはないけどさ」

杏「でもこんだけお互い得する条件揃ってんだし……」

P「それ、俺はどこに得するとこがあるんだ」

杏「だからあれだって、二位と三位のやつ」

P「お前なぁ……それ色々と間違ってるの分かる?」

杏「へ?」

P「まずえーと、『愛する人との生活』のことだが」

P「俺はお前のこと確かに嫌いじゃない、付き合いも長いし好きだとは思う」

P「でもな、俺はお前のこと友達として好きであって……別に愛してるわけじゃないことはお前もわかるだろ?」

杏「えっ」

P「えっ」

杏「……え、何、プロデューサー……そう……なの……?」

P「……ちょ、お前……なんでそんなに衝撃受けてんの」

杏「いや……だ、だってさ」

杏「プロデューサーって杏のワガママ結構聴いてくれるよね?」

P「おう、なんだかんだ聞いちゃってる気がする」

杏「杏にいっぱい飴くれるよね?」

P「うん」

杏「杏のこと……す、好き…なんだよね?」

P「……まぁ、どっちかといえば」

杏「じゃあ……杏は、あ、愛されて……」

杏「……」

P「……」

杏「杏は愛されてるってことじゃんかバカプロデューサー!」

P「どうでもいいけどお前って案外チョロかったんだな……」


杏「なんなのさっ! 杏に思わせぶりな態度とって……!」

P「とった覚えねえよ」

杏「だってあんなに甘やかされたり……かわいいって何回も言われたり……」

P「甘やかすも何もお前がワガママなだけだし、可愛いのはアイドルだから当たり前だし」

杏「……」

P「……」

杏「もてあそばれた……」

P「ええー……」

杏「……ふん、いいよもう、二位の奴は妥協する、好きだろうが愛だろうが似たようなもんだよ」

P(そんな適当でいいのか)

杏「ほらじゃあ三位のやつ行こ、三位のやつ、孤独からの解放」

杏「これはまぁ間違いなくプロデューサーにとってのメリットじゃんか、前にもそんなこと言ってたんだから」

P「そうかなぁ……」

杏「ほら、想像してみてよ」

杏「プロデューサーが仕事から疲れて帰った時に杏が家でお帰りなさいって言ってあげるんだよ?」

P「……」


ーーーーーーーー



P『ふー、疲れた……』

P『明日はライブの準備あるし、出来るだけ早めに寝るかぁ』

P『……おーい、帰ったぞー』ガチャ

杏『あ、お帰りー、お疲れ様』

ゴチャア……

P『……』

P『……おい』

杏『ん、なに?』

P『俺、お前に今日部屋の掃除頼んだよな』

杏『そうだっけ?』

P『……はぁ、まぁいい、風呂は入れるか?』

杏『あー、まだ……プロデューサー洗ってよ』

P『……』

P『……もう今日はシャワーでいい、飯は?』

杏『ん、そこにある』

P『……また、カップラーメンなのか?』

杏『あ、でも今日は豚骨だよ』

P『……』


ーーーーーーーー



P「お前いい加減にしろよ……!」

杏「え、ま、待って! なんで杏今胸ぐら掴まれてるの……!?」

P「アイドル辞めてからずっと食っちゃ寝、食っちゃ寝しやがって……! お前とはもう離婚だクソが!」

杏「なに、今プロデューサーの脳内で何があったのさ!」

P「……ハッ、す、すまん」

杏「べ、別にいいけど……どうしたの?」

P「……」

P「お前と結婚したことを想像したら、お前が余りに自堕落すぎて……」

杏「……」

杏「……うん、杏も杏が家のことやってる想像は出来ない……かも……」

P「……」

杏「……なんかゴメン」

P「まぁなんだ、これでお前も間違いに気付いたろう」

杏「一応でも、三つめのやつは間違ってはないんじゃ……」

P「確かにお前となら寂しさとかは無くなるだろうけど、それ以上に色々とダメそうだったし……」

杏「うぐっ……」

P「ということでお前はあれだ、やっぱ大人しくアイドルしとけってことになる」

杏「えー……でも待ってよ、プロデューサーが結婚するメリットまだあるんだよ?」

P「お前と結婚することで得られるメリットなんて微塵もないよ」

杏「な、なんだそれ流石に酷くないか……出るところ出るレベルだぞ……」

P「……んで、他にどんなメリットがあるっていうんだ?」

杏「プロデューサーの性欲を満たせる」

P「……は?」

杏「……」

P「は?」

杏「に、二回も言わないよ杏……さっきも話の流れの勢いで言ったんだし……」

P「いやでも、俺の聞き間違いじゃなければ性欲を満たせるとかなんとか聞こえたんだが……」

杏「だってプロデューサーロリコンでしょ?」

P「……なんで?」

杏「なんでもなにも、結構有名だよ?」

P「いやいやいやいや」

杏「コンピュータにあるやつ、新しいフォルダ(4)……だっけ?」

P「」

P「……なんで、そんな……え、パソコンのパスワードとか隠しファイル、とか……」

杏「……うん、あんまりうちのアイドル達舐めない方がいいよ」

杏「プロデューサーの好みが何かって、一部の子供組以外は全員知ってるし」

P「……マジ?」

杏「心当たりない?」

P「……そういえば、楓さん達とかが大人の魅力どうこう言って異常に混浴誘ってきたことが」

杏「あー、まぁ大人組は色々と大変そうだしね」

P「……嘘だろおい」

杏「……まぁ、そういう反応したってことはやっぱりプロデューサーはロリコンなんでしょ?」

P「……」

杏「このご時世、ロリコンなんて淘汰される側だし、ロリと結婚出来る訳もない」

杏「だけど見てよ、自分で言うのはどうかと思うけど、ここに奇跡的な合法ロリがいるんだよ?」

杏「それならほら、ロリコンとしては逃すわけにはいかないっしょ?」

P「……」

杏「……」

P「ロリコン、ばれてたんだな」

杏「え、まぁ……そうだけど」

P「……はは」

P「はははははははは」

杏「ど、どうしたの?」

P「はは……はっ……うぇ、うっ……」

杏「……?」

P「ビエエエエエン!!」ボロボロ

杏「」

P「ひっく……うう、うえ……うう……」

杏「……え」

杏「ま、待ってこれはちょっと想像してなかった……ど、どうすれば……」

P「……んっ、ひっく……」

杏「ね、ねぇ、プロデューサー、その、な、泣かないで……」

P「……ぐ、ふぐぅ…」

杏「え、えーと……」

杏「……」

杏「よ、よしよし……?」ナデナデ

P「……!」

杏「……」ナデナデ

P「……ひっく」


…………



P「……」

杏「……」

P「……すまん杏、取り乱した」

杏「うん、杏も悪かったけど……取り乱しすぎててびっくりした」

P「いやでも、俺、ロリコンってばれて……」

杏「まぁその、気にしなくていいよ」

P「でも……お前も引いただろ? 悪かった……」

杏「……杏的には結構ラッキーなことなんだけど」

P「へ?」

杏「だってプロデューサーがロリコンなら結婚してくれる可能性増えるし」

P「……お前、そんなに結婚したいの?」

杏「そりゃあ、楽できそうだしね」

P「……まぁ、そうか、働かなくてもダラダラ過ごせるようになるからな」

杏「……」

杏「……別に、それだけってわけじゃないよ?」

P「あれ……そうなのか?」

杏「別に一人ぼっちは嫌だとか……プロデューサーのことを……あ、愛してる……とか……なんて、言うつもりはないけどさ」

杏「……」

杏「もし、もしだよ? 杏が印税生活出来るようになってアイドルやめたとするじゃんか」

P「おう」

杏「そしたらね、プロデューサー杏を毎朝起こしに来てくれる?」

P「……は?」

杏「家まで来て……洗濯物とか部屋の掃除とか……ゲームの相手になってくれたりとか、食材が冷蔵庫にないってことに気付いて、一緒に買い物行ってくれるとか……」

P「お、おい、俺は便利屋じゃあないぞ? そんなつもりで結婚したいなんて言ってたのか?」

杏「んと、まぁそれもあるけど……そういうんだけじゃなくて……」

杏「……んー、なんだか杏も分かんなくなってきたけど」

杏「プロデューサー、今はさ、杏を起こしに来てくれて、洗濯物や掃除も、ゲームの相手だってしてくれるでしょ?」

P「……だって、なぁ」

杏「うん、それって、杏がプロデューサーの担当アイドルだからだよね?」

P「……まぁ、そうなるかな」

杏「じゃあ、杏がアイドルじゃなくなったらプロデューサーは多分さっき言ったようなことは杏にしてはくれなくなるよね」

P「それは……」

P「……」

杏「……」

杏「なんかね、だからその……プロデューサーと結婚とかどうかなって思ったわけ」

杏「まぁでもプロデューサーがロリコンってだけしか杏にとっての強みが無いのは厳しいかもなー」

P「ロ、ロリコン……」

杏「……」

杏「……ね、プロデューサー」

杏「もし、杏が洗濯物も掃除もできて、ご飯とかも作れるようになったら……結婚してくれる?」

P「……分からんが、考えるかも」

杏「……ふーん」

杏「ま、言ってみただけだけどねー」

P「……なぁ」

杏「ん?」

P「俺はお前がアイドルじゃかったら、朝起こしに行くことや洗濯や掃除はしないだろうけどさ」

P「ゲームくらいは……付き合ってやるぞ?」

杏「……」

P「……」

杏「……そっか、ゲームくらいなら付き合ってくれるのか」

杏「……くひひ」

P「杏?」

杏「んー、よし、決めた、杏、ガラじゃないけど少し頑張ってみよっかな」

P「頑張るって……何を?」

杏「……花嫁修業?」

P「……え?」

杏「プロデューサーが杏がアイドルやめてもゲームくらいなら付き合ってくれるって言ってくれたらなんだかね」

杏「……こう、杏、やっぱプロデューサーと結婚したいって思った」

P「い、いや、なんだそれどういうことだ」

杏「まぁプロデューサーが杏と結婚してもいいって思ってくれるまで面倒くさそうだけど」

杏「……ニートが本気を出すと凄いからね、プロデューサー……覚悟しとけよー」

P「お、おう……?」

杏「……くふふ」













杏「んじゃま、明日から本気だすかなー」



おわり



おまけ



「帰ったぞー」

「あ、おかえりー」

「……おいおい、まだ部屋散らかってんのか、掃除しろって言っただろ?」

「えー、明日やるよ明日、代わりにお風呂はもう洗ってあるから勘弁してよ」

「ったく……湯は入れてるのか?」

「ん」

「そか、じゃあ先に風呂……」

「あ、待って」

「なんだ?」

「今日さ、きらりが家に来て一緒に夕飯作ったんだ……まだ温かいしさ、せっかくだから冷めないうちに食べてよ」

「……」

「……な、なんだよ、なに見てるのさ」

「……いや、まさかお前がこんなちゃんと料理するようになるとはと……感慨深くなってな」

「失礼だなー……というか結婚の時ちゃんと家のことやるようにっていう条件つけられたし、しょうがないじゃん」

「あの条件がなければ今頃何もせずダラダラするだけの暮らしをこっちは送れたのに……!」

「……ふーん、家のことをちゃんとやる、ねえ」

「なにさ、ちゃんとやってるぞー」

「いや、ここにあるのは何かなーって……洗濯物の干し忘れに見えるんだが」

「あ」

「ちゃんとやってる……ねぇ?」

「そっ、それは……ちょっと、その、忘れちゃって……」

「ふふふふふ……家のことちゃんと出来てなかったなぁ……これは少し、お仕置きしてやらないと……」

「お、お仕置きって……え、まさか……」

「最近ご無沙汰だったし……そろそろ俺子供欲しいし……?」

「え、ちょ、待って、待ってよ! そ、そうだ……今さっきお風呂入ったばっかりだから……!」

「つまり準備万端ってことか」

「ち、違……また風呂に入らないといけなくなるのってほら、面倒だし、面倒なの嫌だし……ね?」

「ふふふふふ……」

「……ち、近づかないで……待って、待ってってば!」

「この、この……ば、馬鹿……そ、そこは……や、やめろロリコンー!!」

おわり



22:30│双葉杏 
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