2015年09月11日
北条加蓮「みんなと繋いだ手」
―――事務所
加蓮「…………ん」モゾ
加蓮「ふあぁ……ぁふ」
加蓮「……んー……」ムク…
加蓮「…………」ボーッ
P「――お。起きたか、加蓮」
加蓮「んん……。おぁよー……」クシクシ
P「よく寝てたな」
加蓮「……あさ……?」
P「違う違う、夕方」クス
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加蓮「ゆうがた……。あぁそっか、事務所だっけここ……んーっ」ノビーッ
P「目ぇ覚めたか?」
加蓮「うん、起きたよ――ていうか暑い、毛布掛けすぎっ」バサッ
P「はは、それは俺のせいじゃないって」
加蓮「……どうせ李衣菜と泰葉のお節介でしょ?」
P「最近涼しくなってきたから、冷えたら大変だーってな」
加蓮「まだ9月になったばっかりじゃん……もう、心配性なんだから」
P「とか言いながら、嬉しそうだな」
加蓮「べ、別にそんなことっ…………あるけどさ」
P「ふふ、そっか」
加蓮「……嬉しいよ、嬉しいに決まってる」
P「うん」ナデ
加蓮「ん。……二人には内緒ね、内緒。ふふっ」
P「あはは、真正面から言ったら真っ赤になって逃げ回るだろうしな」
加蓮「あ、それはそれで面白そう♪」
P「やめてやれって……。嫌われても知らないぞ?」
加蓮「ふふ、大丈夫だよ。そんなのあり得ないし」
P「分からないぞー、今もどこかで加蓮の悪口言ってるかも」
加蓮「…………」ウル…
P「ごめん俺が悪かった泣かないでくれ」
加蓮「Pさんきらい」
P「ご、ごめんって……李衣菜も泰葉も、加蓮を悪く言うはずないだろ?」
加蓮「……ふふ、だよね。それこそあり得ないよね」
P「そうそう。二人は加蓮のことが大好きだからな」
加蓮「えへへ。愛されてるね、私ってば」
P「うん、愛されてるぞ」
加蓮「Pさんも、私のこと好き?」
P「もちろん。大好きだ」
加蓮「…………」
P「言わせといて自分で照れるなよ……」
加蓮「や、やー……やっぱりほら、こ、心の準備ってやつ? いるじゃないっ?」
P「あーはいはい」
加蓮「ふふ、恥ずかしい。……えへへ、ふふふっ」
P「……なにニヤニヤしてるんだ?」
加蓮「んーん、なんでも。なんだかね、胸の奥がきゅーってして……すごくあったかいんだ」
P「あったかい?」
加蓮「うん、あったかいの。幸せすぎて、って言うと大袈裟かもしれないけど」
P「幸せ、か……」
加蓮「……ね、ちょっと手、出して?」
P「ん? ほい」スッ
加蓮「うん――」
ぎゅっ
加蓮「ほら、あったかい。ねっ」
P「……うん、あったかいな」
加蓮「おっきくて、優しい手……。この手が、私をここに連れてきてくれたんだよね」
加蓮「私と向かい合ってくれて、私のこと、真剣に考えてくれて――」
加蓮「それから、李衣菜や泰葉に出会わせてくれた。……ほんとに、本当に嬉しかったよ」
『一緒なら出来るよ。私たちなら、どんなことだってやれるって!』
『あなたも私も、もう独りじゃないから……。きっと、大丈夫』
『『だから――』』
加蓮「――だから、私は頑張れるの。この先、ずっとずっと……いつまでも、ずーっと」
P「…………」
加蓮「たぶん、別の未来だってあったかもしれないけど……」
加蓮「今の私は、Pさんやちひろさん、李衣菜と泰葉がいたからあるんだって思ってる」
P「……うん。ありがとな」
加蓮「あ、ううんっ、お礼を言うのは私のほうっ」フルフル
加蓮「……Pさんがここで繋げてくれた手――絆は、絶対に離さないから……だからね」
P「うん……うん」
加蓮「これからも……よろしくお願いしますっ!」
P「――ああ、こちらこそ!」
―――
毛布「――今激しく後悔してる」
P「ん、なにがだ?」
毛布「……勢いに任せてペラペラ喋って……」
P「そうか? 俺はほんとに嬉しかったけど」
毛布「〜〜っ、〜〜っ!」ペシッペシッ
P「あはは、くすぐったい」
加蓮「う〜……。二人には絶対内緒だからねっ」モゾ
P「真っ赤になって逃げ回るのは加蓮だろうからなー、ははは」
加蓮「絶対だからねっ、言ったらほんとに嫌いになるからね!」
P「ふふ、はいはいっと」
加蓮「もー……!」
P「それにしても……二人とも、どこまで買い物しに行ったんだろうなぁ」
加蓮「ふぅん、買い物に行ってるんだ?」
P「ああ。……っと、目的は聞いてないけどさ」
加蓮「そっか。……さっきの途中で帰ってこなくてよかった……」
P「おしい!」
加蓮「おしくない!」
加蓮「はぁ、もう……。ていうか、私抜きで買い物なんてずるい……私も行きたかったな」
P「ぐっすり寝てたからなぁ、起こすのも気が引けたんだろ」
加蓮「むー、今度からは疲れてても寝ないように……」
P「いや、疲れてたら無理しないでくれよ――」
がちゃっ
泰葉「ただいま」
李衣菜「戻りましたー」
加蓮「あ――」
P「おー、おかえり。遅かったな」
李衣菜「はい、ただいまです。いやぁ、結構悩んじゃって」
泰葉「ふふ、なかなかこれだ、っていうのが見つからなくて」
P「そっか、寒くなかったか?」
李衣菜「あはは、風は吹いてますけどそこまでは――って、あ。加蓮、起きてたんだ?」
加蓮「……おかえり、二人とも」ムスー
李衣菜「……あれ?」
泰葉「何故か不機嫌……どうしたの?」
加蓮「どうしたもこうしたもないよ。一緒に買い物行きたかったのに」
泰葉「あ……えっと」チラッ
P「んー。内緒にしてたほうが良かったろ?」
加蓮「へっ?」
李衣菜「えへへ、気が利きますねPさんっ」
泰葉「ふふ、ありがとうございます」
加蓮「え……ちょ、ちょっと待ってよPさん知ってたの!? どういうことか説明してよ!」
P「はは、二人から聞いたほうが早いよ。な?」
李衣菜「はいっ。……泰葉、せーので……」
泰葉「ええ、せーの……」
加蓮「ちょっと、なんの話――」
「「――誕生日おめでとうっ、加蓮♪」」
加蓮「――――」
泰葉「はい、加蓮。これが誕生日プレゼント」
加蓮「――――」
李衣菜「お店、いろんなとこ回ったんだけどさー。なかなかいいのなくて」
加蓮「――――」
泰葉「ふふっ、同じお店ぐるぐる行ったり来たりしたりね……」
加蓮「――――」
李衣菜「あはは、店員さんに変な目で見られちゃったよね……って、加蓮? おーい」
泰葉「加蓮、大丈夫……?」
加蓮「――はっ!? ま、待って待って! さすがに誕生日前は油断してた!」
李衣菜「あぁ、なんだ」ホッ
泰葉「てっきりプレゼントが気に入らなかったのかと……」
加蓮「そ、そんなことない! ただ、いつもは当日か過ぎてからだったから、びっくりしちゃって……!」
P「ふふ、『加蓮が寝てる、行くなら今しかない!』ってな」
李衣菜「誕生日のあともスケジュール詰まってたし、慌てて飛び出したんだよね」
泰葉「ふふ。でも、加蓮が喜ぶもの……しっかり選んできたから」
加蓮「う、うん……ありがと。……これ、大切にするから……!」
李衣菜「うんっ。そしたら、これからまた一年……」
泰葉「よろしくね、加蓮」
加蓮「うん、……うんっ! これからもよろしく、李衣菜、泰葉!」
李衣菜「へへ♪」
泰葉「ふふっ……♪」
加蓮「……ねっ、李衣菜、泰葉。手、貸してくれる?」
李衣菜「へ? ……こう?」
泰葉「……? はい、どうぞ」
加蓮「ふふ――」
ぎゅ……
加蓮「…………〜〜〜っ――うん、やっぱり、あったかい……♪」
李衣菜「よ、よく分かんないんだけど」
泰葉「ふふっ……加蓮が嬉しそうならいいじゃない」
李衣菜「へへ、うん。そだね」
加蓮「ふふ♪ 二人とも、ずっと一緒だよ!」
P「ふふ……」
P(――うん、いい笑顔だ)
―――雑踏
ちひろ「しまった……慌てて出てきたからお財布にお金が……!」
ちひろ「これじゃ加蓮ちゃんのバースデーケーキが買えないっ……助けてプロデューサーさーん!」
おわり
17:30│北条加蓮