2015年10月01日

P「蘭子が引きこもったあッ!?」

P「開けろぉ!!、お願いだから開けてくれ!!」ドンドン



P「…悪かったって!、俺が全部悪かったから!」



ドア「……」





P「」





P(…俺、歯医者行こうか、って言っただけなんだけどなあ…)

















P(うーん、それか俺が他に何かマズい事を言っちゃったかだが…)





P『ただいま戻りましたー、って、そっか、今日はみんな出てる日か…』



蘭子『な、何故…!?、未だ我が預言書に記されし、汝が帰還の刻では無いが…』



P『ああ、なんか仕事が前倒しになってな…、あれ?、でも蘭子は休みじゃ…』



蘭子『あ、いや、我が邪悪の念の入りし漆黒の宝具が…』ボソボソ



P(…ん、宝具?、忘れ物の事とかだろうか)









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蘭子『我が任務を遂行せねば…、惑わされし因果がめぎゅり…』ズキッ



P『…!?、どうした!?』



蘭子『うう…、いたい…、あっ、何、これしきの古傷など…』



P『…歯が痛むのか?、俺も予定無いし、今から空いてる歯医者探して…』



蘭子『な、何を!、断じて我が牙に欠けたる点などっにゃいっ!』ズキッ



P(これはまた…、重症だな)

















P『…そんなんじゃあ仕事にも差し支えるだろう、ほら、行くぞ』



蘭子『我が魂に誓ってそのような下賤な病では無い!!、歯医者など汝一人でぇ…、一人でぇ…、うう…』



P『何が悲しくて俺一人で行かなきゃいけないんだよ…、そんなに歯医者が嫌か?』



蘭子『…あのキーンってなるのが、すごくイヤで…、な、何故そのような目でこちらを見る!?』



P(い、今のを真顔で聞けってのは無茶だろ…、おまけに虫歯って認めちゃってるし…)





蘭子『…忌まわしき甘味めえ、これ程までに我を愚弄するとは…』



P『甘味って、もしかして夜のおやつでも我慢出来なかったとか?』



P(全く…、中学生もまだまだ子供なんだな、まだまだ可愛いもんだ)フフフ



蘭子『わ、笑うな!汝まで我を愚弄するとは…、それに夜のおやちゅなど…』



P『そうかあ、夜のおやちゅねえ、夜のおやちゅ…』アハハハ



蘭子『…わ、笑うなあ!、もういいっ!!、侮辱の罪の重きを思いしれっ!!』バタン ガチャリ



P『あっ!、おい!』



P(あっ、拗ねた、閉め出された、やってしまった)







P(思い返せば、けっこう俺が悪い気もするが…、まあ…、多少はね?)



P(しかし、未だ返事一つすら返ってこない…、完全に手詰まりだ…)



P(強硬突破しようにも、苦情とかの事を考えるとなあ…)



P(あー、でも歯医者はどーするんだよ、何か、何か良い手は…)





ピンポーン





P(誰だ!?、間の悪い)





















P「はい…」ガチャ



凛「あ、こんにちは、って、どうしたの?、すごく疲れた顔してるけど…」



P「あのさ…、今、口の中が痛かったりとか、しないよな…?」



凛「え?」



P「いやいや、ごめん、なんでもないんだ、ただ今、仕事部屋に引きこもりがいるだけで」



凛「…え、何それ」



P「あ、いや、実はな…」













凛「ああ…、なるほどね、でも蘭子の気持ち、私は良く分かるな」



P「え?、分かるっていうのは…?、もしかして凛も歯医者…」



凛「違うよ、っていうかさ、プロデューサー、蘭子で遊んじゃダメでしょ」



P「噛み噛みの蘭子が可愛過ぎたんだ、今は深く反省している」



凛「……」



P「…どうした?、突然、黙って」



凛「このロリコン」ボソッ



P(…!!!?)



















P「いや、なぜ、なぜロリコンなんだ、俺が!?、杏とかとは話がだな…」



凛「中学生以下はアウトだよ」



P「いや、なんだ高校生より上はセーフとでも言わんばかりの理屈は」



凛「セーフでしょ」



P「は、はあ、そう…、なのか?」



凛「プロデューサー、私はセーフだと思う」



P「…あれ、今、何の話してたっけ?」



P(というか、今日は凛も休みのはずなんだが…)





















凛「引きこもりをどうするか、でしょ」



P「…何かこう、絶妙手みたいのは、ないかねえ」



凛「待つのも大事だよプロデューサー、だからさ、二人でゆっくりお茶でも…」



P「いや、でも向こうがこれ以上占拠されたら、かなり困るしなあ…」



凛「何で、午後は仕事無いし、別に仕事部屋が使えなくたって…」



P「いや、ここも最近実績が上がって残業が増えてきたからさ、仕事部屋に生活用品移しちゃってて…」



凛「……へえ」

















凛「…例えば?」



P「寝袋、歯ブラシ、着替え、銭湯道具、冷蔵庫、とかそういうの色々」



凛「……」



P「どうした?、また突然黙りこくって」



凛「……」



凛「……」ドンッ! ガンッ!



P(無言でドアを殴り始めた!?)















P「おい、ちょっと!」



凛「……」ドンッ! ガンッ!



蘭子「…」ウトウト



P「…返事が無いと思ったら寝てたのか…、あ、いやさっきはすまなかった、蘭子」



凛「ねえ、プロデューサー、少しガールズトークをさせてもらっても良い?」



P「は?ガールズトーク?おい、どういう…」ガチャリ



P(ええ…)



P(うん…、また閉め出されたね、これ)





















P(時間かかるなあ…、しかし二人で何話してるんだ?、あいつら)



P(しかし何で蘭子は引きこもった上に、寝たんだ…、分からない…)



凛「終わったよ、プロデューサー」ガチャ



蘭子「……。」コクコク



凛「じゃあ、私、今日は帰るね」



P「えっ…、あ、ああ、おつかれ」



凛「後、これ、自信作だから、絶対に残さず食べてね」



P「…?、なんだこれ、クッキー?」



凛「後は蘭子が説明してくれるから、じゃあ」



P「は、はあ…」

























P「で、ええっと、これは…」



蘭子「…近世、汝は宵まで働き通しという評だが、やはり暦の感覚までも喪失していたのだな…」



P「…、あっ、あっ、まさかこれは…」



蘭子「この日が登りし時は汝が生誕の日であろう」



P「まさか、このクッキーは…、休みの凛がわざわざ来たのは…」



蘭子「…然り、汝は今、一つの運命を見抜いた」コクコク



蘭子「…あ、あの、それでっ…、それで…」



P「…?」





















蘭子「これが、我が漆黒の宝具…」



P「…チョコレート?、手作りなのに綺麗に包装まで…、って…」



蘭子「…わ、私の誕生日プレゼント、チョコレート、ですっ」



蘭子「冷やしたまま渡したくて…、だから仕事部屋の冷蔵庫を借りてて…」



P「じゃあ、俺が帰ってきたときは…、まさか…」



蘭子「…最後の任務にして、因果律が乱れたのだ…、あれはびっくりした…」



P「…なんか、ゴメン」









P「…なら突然、部屋にこもったのも」



蘭子「完成形で渡したかったから…、だから迷惑をかけても籠城しようって…」



P「で、待ってる間にウトウト来て…、ね」



蘭子「な、なんら任務遂行に支障は来してはいない!、ただもう少し冷やそうとして待っていたら…」



P「…なあ、蘭子さ、最近あんまり寝てなかったんだろ」



蘭子「な、何故、それを…」



P「なんかおかしいと思ったんだ、凛と蘭子に閉め出された時に」



P「歯がものすごく痛む、なら喋る時だけ痛むのはおかしくないか、って」



P「もしかして虫歯じゃなくて口内炎なんじゃないか…、って思ってさ」



蘭子「…そうなのか?」



P「えっ」



蘭子「確かにどの歯が諸悪の根元か特定出来なかった!」



P「…ホントに心から歯医者に行きたくなかったのかよ!!」





















蘭子「まさか睡眠不足と糖分の過剰摂取を端とする、口内炎だったとは!」



P「…なんか考えすぎな気がしてきた、やっぱり、念のため歯医者行く?」



蘭子「……行ってもいい」



P「えっ、本当に?」



蘭子「ただし、それが終わったら、終わったら…」



蘭子「…宴を二人きりで、するのならば」



P「…全く、良いに決まってるだろ」



蘭子「左様か!、なら支度をしてくる!」タタッ















P(しかし、仕事部屋から蘭子と凛の匂いがするってのはなんか新鮮だな…)



P(つーかおそらく、二人で包装してたんだろうなあ…、蘭子一人であれは無理そうだったし)



P「はあ、もういっそ、引きこもりてー!!、この部屋に」



蘭子「出陣す用意が…、って何を大声で…」





P「なあ蘭子、毎日飯作って、俺、今からここに引きこもるから」



蘭子「甘味の黒魔術で虫歯の病に染められても、良いというならな」



P「…ふっ、やってみろよ」



蘭子「…我が甘き愛の力を思い知れっ!!、プロデューサー!!」









(完)





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