2015年10月20日

モバP「凛って好きな人とかいるのか?」 渋谷凛「うん」


本格サスペンスだよ



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P「…………」



凛「…………」



P「……え、あ。いる……のか」



凛「うん」



P「…………」



凛「…………」



P「あー……」



凛「…………」



P「……まぁ、凛はアイドルだけど」



凛「うん」



P「そりゃ……好きな奴の一人や二人、いるよ、な」



凛「一人だけだよ」



P「そうか」



凛「うん」



P「あー……」



凛「…………」



P「その、付き合ってたりは……するのか?」



凛「えっと……」



P「…………」



凛「付き合ってはないよ、まだ」



P「そ、そうか」



凛「うん」



P「まぁ、その、あれだ」



凛「…………」



P「人の心なんて完全には縛れないからな。こっそり頼むぞ」



凛「こっそりがいいの?」



P「まぁ、そうだな」



凛「分かった」



凛「あ、それと一つ訂正しなきゃいけないんだけど」



P「ああ」



凛「好きな人、じゃなくて。大好きな人、だね」



P「…………」



凛「…………」



P「そう……か」



凛「うん」



P「……凛ってさ」



凛「うん」



P「結構、乙女だよな」



凛「そうかな」



P「でもやっぱり、凛はアイドルだからさ」



凛「うん」



P「その……心苦しいが…………抑えて、くれると……助かる」



凛「…………」



P「…………」



凛「……ちょっと、難しいかも」



P「……そうか」



凛「自分の気持ちに、嘘はつきたくないから」



P「そう、だよな」



凛「……でも」



P「ん」



凛「プロデューサーに迷惑掛けたくないって気持ちも本当だから」



P「…………」



凛「頑張ってみるよ」



P「……ありがとうな、凛」



凛「お礼を言う場面なんかじゃないよ」



P「その、凛」



凛「なに?」



P「…………誰、なんだ?」



凛「……誰、って」



P「あ、いや、すまない。余りに失礼だよな……忘れてくれ。すまない」



凛「…………」



P「…………」



凛「…………プロデューサー」



P「…………え?」



凛「…………」



P「…………」



凛「……知りたいの?」



P「…………あ、ああ……そういう事か」



凛「何が?」



P「いや、何でも無い。忘れてくれ」



P「どうして、って」



凛「…………」



P「…………そりゃ、事務所側としては把握しとい」



凛「プロデューサー」



P「ん」



凛「私、そういう嘘は大嫌い」



P「…………」



凛「…………」



P「…………ごめん、凛」



凛「うん」





凛「それで、どうして?」



P「…………」



凛「…………」



P「……凛は、その…………すごく大切なパートナー、だから、さ」



凛「…………」



P「パートナーの事は、その、知っておきたいと、そう思ったんだ」



凛「…………」



P「…………」



凛「…………そっか」



P「ああ」



凛「じゃあ、教えてあげようかな」



P「凛」



凛「なに?」



P「何で嬉しそうなんだ?」



凛「別に」



P「あー、無理しなくていいからな」



凛「うん。名前はちょっと出したくない、かな」



P「分かった。……芸能関係の人、か?」



凛「芸能関係……うん、そうなるのかな」



P「そうか。同い年ぐらいの子か?」



凛「ううん、年上だよ」



P「年上か……どれくらいなんだ?」



凛「一回りも離れてないくらいだったと思う」



P「そうか」



凛「ところでプロデューサー」



P「ん?」



凛「プロデューサーって何年生まれだっけ」



P「その話、いま関係あるのか?」



凛「うん」



P「まぁいいけど……ほら、免許証」



凛「へぇ……うん、ありがとう」



P「もういいのか?」



凛「うん」



P「そうか」



P「その人、格好良いのか?」



凛「うん、すごく」



P「俳優とかか……?」



凛「ううん、どっちかっていうと目立たない方、かな」



P「……?」



凛「プロデューサー」



P「ああ」



凛「プロデューサー、学生時代って結構モテてた?」



P「その話、いま関係あるのか?」



凛「うん」



P「そうか……俺はそういう話とは縁遠かったよ、残念ながら」



凛「ふーん」



P「凛」



凛「なに?」



P「機嫌良さそうにしないでくれよ。流石にヘコむよ」



凛「ごめん」



P「ちなみに、どんな風に格好良いのか訊いてもいいか?」



凛「うーん、そうだね……」



P「…………」



凛「仲間とか、周りの人の為にすごく一生懸命になれて」



P「…………」



凛「お仕事の合間に視線をくれて、笑い掛けてくれたり」



P「…………」



凛「背筋がぴんと伸びてて、話し方もぴしっとしてて」



P「…………」



凛「評価されると、ちょっと照れたみたいに謙遜して」



P「凛」



凛「なに?」



P「何か、やけに具体的じゃないか」



凛「いつも目で追ってるからかな」



P「……そうか」



凛「うん」



凛「悩みを相談すると、子供だからって態度じゃなくて、真っ直ぐに向き合ってくれて」



P「…………」



凛「息抜きも大切だって、ちょっと良いお店に連れて行ってくれたり」



P「…………」



凛「私のミスはちゃんと叱ってくれて、でも周りからも庇ってくれて」



P「…………」



凛「お仕事が成功したら、何も言わずに拳を突き合わせてくれたり」



P「凛」



凛「なに?」



P「格好良さはよく分かったよ」



凛「そっか」



P「俺もそんな格好良い男になってみたいもんだよ」



凛「全然分かってないじゃん」



P「え?」



凛「ううん、何でも無い」



P「そうか」



P「そんなに凄いと何だか悔しくなってくるな」



凛「そうかな」



P「他にはどんな感じなんだ?」



凛「うーん…………あ」



P「何かあったか」



凛「けっこう好き嫌いがあるかな」



P「ははは、意外な弱点があったんだな」



凛「うん。あ、そうだプロデューサー」



P「ん?」



凛「今日のお弁当、ササミの紫蘇チーズ揚げ入れといたから」



P「え、俺シソ苦手なのに……」



凛「何でも食べなきゃダメだよ」



P「そうは言われてもなぁ」



凛「私のプロデューサーなんだから、格好悪いとこは直してよね」



P「頑張るよ」





凛「あ、後はお仕事に一生懸命過ぎるのも困りものかな」



P「そうなのか?」



凛「うん。ちゃんと休んだ方がいいよって言っても聞かないし」



P「意外に頑固なんだな」



凛「うん。プロデューサー、肩揉んであげる」



P「どうした急に」



凛「別に」



P「……じゃあ、お願いしてもいいか」



凛「うん……うわ、随分凝ってるね」



P「……そうか?」



凛「ちゃんと休んでよね、プロデューサー」



P「あー、おう」



凛「身体壊したら元も子も無いんだから。長めの有給でも取ったら?」



P「いや、でも今は凛も良い感じに伸びて来てる時期だしな……」



凛「…………はぁ」



P「……ちなみにさ」



凛「なに?」



P「いつ頃出会ったんだ、その人とは」



凛「二年くらい前かな」



P「俺が凛をスカウトした時ぐらいか」



凛「うん」



P「二年前からにしては随分、その……慕ってるんだな」



凛「けっこう一緒に居たからね」



P「そうなのか」



凛「うん」



P「全く気付かなかったぞ俺」



凛「そう」



P「凛は秘密を隠すのが上手いなぁ」



凛「プロデューサー」



P「ん?」



凛「そろそろ怒っていいかな」



P「どうした急に」



P「きっかけは何だったんだ?」



凛「きっかけ?」



P「ほら、仕事で一緒になったとかさ」



凛「ああ、学校帰りに声掛けられたんだ」



P「…………」



凛「……?」



P「……ナ、ナンパか……?」



凛「…………はっ?」



P「ナンパで、だったのか……?」



凛「え、ナンパだったの……?」



P「はっ?」



凛「ううん、何でも無い」



P「……ええと、具体的にはどんな感じだったんだ?」



凛「うーん……」



P「…………」



凛「……気障、だったね。すっっごく」



P「キ、キザ……?」



凛「綺麗ですね、ってお世辞から始まって」



P「…………」



凛「長い髪が素敵だとか、瞳に意志が篭もっていて良いとか」



P「…………」



凛「自分を持て余してるんなら、一緒に何かしてみないか、って」



P「……凛」



凛「なに?」



P「ごめん。何か腹立ってきた」



凛「うん。私もだよ」



P「それで、だな」



凛「ん?」



P「……その人とは、どうなりたいんだ?」



凛「…………」



P「…………」



凛「……真剣にお付き合いしたい、かな」



P「…………そうか」



凛「うん」



P「…………俺は」



凛「うん」



P「凛の気持ちを、最大限尊重したい」



凛「……うん」



P「凛」



凛「なに?」



P「アイドル、楽しいか?」



凛「うん、すっごく」



P「そうか」



P「アイドルに恋愛は御法度、って事になってる」



凛「……うん」



P「だから、その……凛」



凛「…………」



P「まずは、トップアイドルに。シンデレラに、なってほしい」



凛「……!」



P「それで、恋愛とか……交際とかさ」



凛「…………」



P「十二時の鐘の後なら、それこそ思いっ切りしてくれよ」



凛「…………分かった」



P「そうか」



凛「約束するよ」



P「ありがとう、凛」



凛「約束だからね」



P「ああ」



凛「約束だよ」



P「……? ああ、約束だ」



凛「うん」



凛「プロデューサー」



P「どうした?」



凛「…………」



P「……?」



凛「……ふふっ。やっぱり言わないでおくよ」



P「何だよ、気になるな」



凛「きっと……ううん。後で、必ず言うよ」



P「そうか」



凛「トップアイドルになったら、きっと言うから」



P「……え、そんな重要な話なのか」



凛「うん」



P「一体どんな話なんだろうな」



凛「…………」



P「凛?」



凛「……ううん。後で怒るよ」



P「えっ」



凛「トップアイドルになったら、きっと怒るから」



P「えっ?」

 ― = ― ≡ ― = ―



「…………ところでさ」



「どうした?」



「プロデューサーって好きな人とかいるの?」



「ああ」



「…………」



「…………」



「……え、あ。いる……んだ」



「ああ」



「…………」



「…………」



「……まぁ、プロデューサーだって大人だし」



「…………」



「そりゃ……好きな人の一人や二人、いるよ、ね」



「一人だけだよ」







「そっか」



「ああ」







おしまい。







21:30│渋谷凛 
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