2015年10月21日

的場梨沙「ラブラブデートがしたい」

飛鳥「困ったな。同性にそんな情熱的な誘いをされるとは」



梨沙「違うわよ! 相手はパパ!」



飛鳥「なんだそういうことか」





梨沙「普通そうでしょ。なんでアタシがアンタとラブラブデートしなくちゃいけないのよ」



飛鳥「(父親とラブラブデートは普通なのか)」





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飛鳥「それで、ラブラブデートとは具体的になんなんだい」



梨沙「ラブラブなデートのことよ」



飛鳥「助詞をひとつ追加しただけのものを具体的とはボクは呼びたくない」



梨沙「えー、わかるでしょなんとなく。ね?」



心「わかるわ☆」



梨沙「ほら。いつの間にかいたハートさんもわかるって」



心「つまり砂糖のように甘くてスウィーティーなイチャコラを楽しみたいってことだよね♪わかるわかる☆」



梨沙「そうそうそんな感じ」



飛鳥「なにひとつはっきりとしたものが理解(わか)らない……ボクには女子力とやらが足りないようだ」



飛鳥「……ボクなりに解釈すると。つまり梨沙は、今までよりももっとうまく父親とのデートがしたいと、そういうことかな」



梨沙「そーいうことね」



飛鳥「それなら人生経験の豊富な人に聞けば……」チラ



飛鳥「……いや。もう少し自分で考えてみよう」



心「飛鳥ちゃーん、なんで今こっち見て一瞬で目を逸らしたのかなー☆」



飛鳥「ノーコメントで……いたた、肩をつかまないでくれ」



梨沙「(ろくにオトコとの経験なさそうって察したのね)」



心「はぁとだって男の子とデートしたことくらいあるんだぞ♪本気出せばすごいんだからな☆」





梨沙「まああれよ。三人寄れば文殊の知恵って言うし、みんなで話し合えばなんかいい案出るでしょ」



飛鳥「船頭多くして船山に登る、とも言うけどね」



心「ことわざなんて自分に都合のいいものだけ採用していけばいいって☆」



飛鳥「ふむ……確かに、矛盾にあふれたセカイに縛られるくらいなら、それもひとつの解ではあるか。心さんの思いきりの良さはボクに新たな道を」



梨沙「ストーップ! 今は小難しい飛鳥ワールドに入らずに、デートの話続けるわよっ」



飛鳥「おっと、すまない」



梨沙「アタシも自分でいろいろ作戦を考えてるんだけど、それをぶっつけ本番で試して失敗するのが怖いのよね」



心「何事も練習が大事だもんね♪」



飛鳥「実際にあるアピールを行ったとして、それがキミの父親に有効かどうかを確かめる術があればいいんだが……」



心「うーん……あ、そうだ。誰か他の人が梨沙ちゃんの代わりにデートして試せばいいじゃん♪」



梨沙「だ、ダメよそんなの。アタシとママ以外の女の子がパパとデートするなんてイヤ!」



飛鳥「ではキミの母親に頼めば」



梨沙「あー……最近ママ、お仕事忙しいみたいで。パパと一緒にいられる短い時間を、アタシの作戦とかに使ってほしくないっていうか……」



飛鳥「(いい子だ)」



心「(めっちゃいい子だ)」



心「でも、そうなるとどうしたものか……」



飛鳥「自分と母以外の女の子はダメ、か……」



心「あっ!」



梨沙「どうしたの?」



心「ひとつ思いついたぞ☆この問題の抜け道♪」



飛鳥「それは?」



心「ウフフ。それはぁ……」ニヤリ











数日後





梨沙父「おはようございます。待たせてしまいましたか」



P(♂)「いえ、私も今来たところです。では行きましょうか」







梨沙「………」←離れた物陰から観察中



梨沙「ねえ。やっぱりこれおかしくない?」



心「え? だって女の子がダメなら男の子に頼めばいいでしょ?」



梨沙「いや、そうかもしれないけど……そうかもしれないけど、これはデートって呼んでいいの?」



飛鳥「向こうは男同士で遊んでいる自覚しかないだろうけど、まあいいんじゃないかな」



心「ていうか、リサパパもプロデューサーに突然遊びに誘われてよくOKしたね」



梨沙「パパとプロデューサー、なぜか普段から仲いいから……なんか気が合うらしくて」



飛鳥「Pの服には小型マイクがついていて、こちらが会話の内容を聞き取ることができる」



飛鳥「Pの右耳にはインカムが装着されていて、これによってボクらからの声を届けることができる」



飛鳥「こちらから指令を送り、Pが実行。そして梨沙の父親の反応をチェックする。これが今回の作戦の概要だ」



飛鳥「さあ、ボク達の戦争(デート)を始めよう」



梨沙「なんかやけにノリノリね」



心「その言い回し、最近アニメのCMで聞いたことあるぞ☆」



梨沙父「こうしてPさんとゆっくり話す機会は初めてですね。いつも娘が世話になっているので、こういう場を持ちたいと思っていました」



P「梨沙さんは頑張ってくれていますよ。おかげで私もいろいろと挑戦的なプロデュースをすることができています。本当に、いい子です」



梨沙父「しかしあの子は気の強いところがあるでしょう。私の前ではある程度猫を被っているようだが、振り回されたりはしていませんか」



P「あのくらいなら、小さい子にはよくあるレベルですよ」









飛鳥「キミ、父親の前ではおとなしいのか」



心「でも猫被ってるのばれてるみたいだね♪」ニヤ



梨沙「うっさい」



P「むしろ、気の強い部分は彼女のいいところです。大勢の観客の前で自分を見失わずにパフォーマンスができるし、年下の子を引っ張ったりもしてくれますから」



梨沙父「ほう、そうですか」



P「はい。外見も内面も、アイドル向きの逸材です」



梨沙父「逸材、ですか。それは少し褒めすぎでは」



P「うちのアイドル達はみんな逸材ですから。少なくとも私はそう思っています」







飛鳥「逸材らしいよ」



心「逸材らしいぞ☆」



梨沙「いちいちこっち見ないでよ! ていうか、アンタ達も逸材って言われてるでしょうがっ」



P「梨沙さんは、家ではどのような感じですか」



梨沙父「元気ですよ。よく仕事の話や、同僚の話を楽しそうに聞かせてくれます」



P「やっぱりお父さんにべったりですか?」



梨沙父「はは、恥ずかしながら。しかし最近は、少しずつ父親離れが進んでいる気もします」



梨沙父「成長しているんでしょうね。大人へ近づいている……少し寂しいですが、喜ばしいことでもあります」







梨沙「パパ……」



心「現在進行形でパパとのデートへ向けた作戦を展開中なわけだけど、これでも親離れが進んでるの?」ボソ



飛鳥「まあ、以前に比べれば。最近は、遠征中にホームシックならぬパパシックを発症することもなくなったから」ボソ



飛鳥「オーストラリアに行った時は、パパの幻影を追う彼女を晴が必死に止めていた」



心「それはひどい」



梨沙父「最初は私が喜ぶからと言って始めたアイドルという仕事を、今はあの子自身が楽しみややりがいをもって行うことができている。これも、あなたや同僚のアイドルの人達のおかげです」



梨沙父「最近は、二宮さんと佐藤さんに関する話をよく聞きます」



P「へえ、あの二人の」



梨沙父「二人とも変わっているけど、頼りになって大好きな友達だと――」









飛鳥「大好きな」



心「友達?」



梨沙「ふんぬっ!」



心「ちょっ、電源切ったら話が聞こえなくなる――」



梨沙「お、終わり終わり! 作戦終了!! あとはプロデューサーに好きにさせるわ!」



飛鳥「あとは、も何も、ボク達はここまでひとつも指示を飛ばしていないわけだけど……」



心「梨沙ちゃん、顔が赤いぞ☆」



梨沙「細かいことはどうでもいいの! 撤収!」



後日





P「それで、結局お父さんとのデートはうまくいったのか?」



梨沙「まあね。いつもよりちょっとわがまま言ったんだけど、パパもアタシも楽しめたと思う」



P「そうか、それはよかった。一応作戦に協力した身としては、うまくいってうれしいよ」



梨沙「作戦、かあ……」



P「どうかしたのか。ため息なんかついて」



梨沙「いや、その。あの日以降、飛鳥とハートさんのアタシを見る目が若干変わったというか、生暖かいというか」



P「生暖かい?」



梨沙「なーんか態度が優しいし、よくかわいいとかなんとか言ってくるし……調子が狂うのよ」



P「いつも自分で自分のことかわいいって言ってるのに、他人に言われるとダメなのか」



梨沙「うぐっ……そ、それとこれとは別! 何度も何度も言われるとなんだか変な気分になるのよ、わかるでしょ!」



P「別、か。でもまあ、梨沙がかわいいのは事実だし」



梨沙「プロデューサーまでそういうこと言って……もういい、自分でなんとかするっ」



ガチャリ





心「おはようございまーす♪梨沙ちゃん今日もかわいいぞ☆」



梨沙「だから、あんまりかわいいかわいい言わないでよ!」カアァ







P「………」



P「仲良きことは美しきかな、ということでいいか」



P「そのうち、飛鳥と心さんの態度も元に戻るだろうし」





おしまい





08:30│的場梨沙 
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