2015年10月26日

本田未央「完全勝利」




※隠語・下ネタは控えめなハズ

※しかしキャラ崩壊









SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445686365





ある日の事務所







未央「おっはよーぅ!プロデューサー!!」ギュッ!





モバP「うおうっ、っと」



モバP「お、おい、未央、あんまり、そんな」





未央「おやぁ〜?どしたのかな〜?プロデューサーくん?」ぐいぐいっ



未央「顔赤いよ〜?熱でもあるんじゃない?」



未央「口では嫌々ゆっても〜体は正直なのだ〜♪」ギュー



むぎゅむぎゅっ







モバP「こら…は、離れなさい…!」





パッ





未央「えっへへー!おはよーちひろさん!」トタタッ





モバP「…ったく」





ちひろ「おはようございます、未央ちゃん」



ちひろ「いつもよりご機嫌ですね?でも…」



ちひろ「あんまりプロデューサーさんを困らせちゃだめですよ?」





未央「ごめんなさーい♪」



未央「でもさー、ほら、プロデューサーもまんざらじゃないみたいだよー?」チラッ







モバP「っ」プイッ





ちひろ「…」





未央「ね?えへへっ」



未央「さーて!おっしごっと、おっしごっと〜♪」











ちひろ「プロデューサーさん?」





モバP「なんでしょうか?ちひろさん」





ちひろ「…」





モバP「…わかってますよ」





ちひろ「仲良きことは美しきかなって言いますけどね?」





モバP「…わかってますって」





ちひろ「分かってなさそうだから言ってるんですーっ」





モバP「…」





ちひろ「さっきから鼻のしたのびっぱなしでーす」





モバP「…」





ちひろ「未央ちゃんだけじゃないですよ」



ちひろ「ナターリアちゃんにフレデリカちゃん」



ちひろ「最近では彼女たちに触発されて雪美ちゃんや泰葉ちゃんまでハグしに行く始末…」



ちひろ「ほんとに、節度ってものを、大事にしてくださいよ」





モバP「大丈夫ですよ」





ちひろ「…どこからそんな自信が生まれるんでしょうかねぇ…」





モバP「ただ懐かれてるだけですってば。それに…」



モバP「ハグ以上のことを要求する気配も無いですから」





ちひろ「…」













モバP「どうだ?うまくやれたか?」





未央「絶好調!」ブイ!





モバP「そりゃよかった」ハハハ





未央「ね、プロデューサー」





モバP「ん?」





未央「今日の夕方…ヒマ?」





モバP「?待ってろ、えーっと?」ペラッ



モバP「…まぁ、事務仕事の積まれかた次第だが、空いてるよ」



モバP「それがどうした?」





未央「…」





モバP「未央?」





未央「…えっとね?」もじ…っ





モバP「…」





未央「あの…」



未央「…デ…」



未央「…」





モバP「…で…何だ?」





未央「デ…デ…」



未央「デスクワーク頑張ってねっ!!」ダダダダッ







モバP「…?」











未央「…」



未央(空いてるんだったらさぁ、私とデートでもしない?)



未央(デートに行こう?…デート…デート…)



未央(言えなかった…うぁー…今日も失敗かぁ…)



未央(私のバカ…デートって言うだけなのになんで出来ないのよぉ…)



未央「どう思う?あーちゃん」





藍子「…えっと?」



藍子「話が全然わからない…というか」



藍子「突然ファミレスに呼ばれて、未央ちゃんずっと無言で下向いてて…」



藍子「開口一番『どう思う?』…って…言われても…」





未央「…」



未央「いいの…例えあーちゃんが役に立たなくても…」



未央「傍にいてくれるだけで…ゆるふわだから…ありがとうね?」





藍子(か…勝手すぎる…)



藍子(ゆるふわって…一応褒め言葉なの…かな…)



藍子「あ…あの、未央ちゃん、とりあえず何があったのか、話してくれませんか?」



藍子「なかなか注文しないから、店員さんもこまってますし、ほら…」











藍子「…」





未央「笑ってくれたまえ…わたくしの失態を…」





藍子「あのー…」





未央「ん?」





藍子「未央ちゃんって…意外とチキン?」





未央「」





藍子「…」





未央「ち、ち、ち、チキンだとぉー!?」





藍子「だって、よくプロデューサーさんに抱き着いてるのに…」





未央「そっ、それは…なんというか、友達の延長線上みたいな?」



未央「毎日のあ、あいさつみたいなもんだしさっ」





藍子「だったら、デートに誘うんじゃなくって」



藍子「きゅって手を繋ぐことぐらいなら簡単じゃないですか?」





未央「てて、手なんてそんな…っ」



未央「は…恥ずかしぃじゃん…こ、恋人みたいに、ぎゅってされちゃったりなんかしちゃったりして…」



未央「あわ、あわわわわ…」かああああっ





藍子(えぇー…)









藍子「…うーん…それなら…」



藍子「デートなんて言わずに、買い物とか、お食事とかって言葉を濁して誘ってみたら…」





未央「それはしょっちゅうやってる…」



未央「でも、そうするとホントに全然デートっぽくなくなるの…」



未央「男友達と遊ぶみたいにさ…牛丼屋とかでお昼食べちゃうし…」





藍子「それは…ちょっと…やですね…」





未央「でしょ!?がっかりでしょ!?…結局友達以上の関係に発展しないっていうかさ」



未央「やっぱりデートって言ったらさ…もっと雰囲気のいいレストランでさぁ…」



未央「向かい合って話してたら、偶然手が触れちゃってさぁ…!」ポワポワ





藍子(日菜子ちゃんみたいになってる…)





未央「初対面のときの接し方が悪かったのかな…でもでも、私いつもあんなだしっ」



未央「卯月に聞いてもピンとこないし、しぶりんに聞くのは…怖いし…」



未央「茜ちんはとりあえずプロデューサーに突進するし…」





藍子「…」





「あのー、そろそろ営業時間外になりますので…」





未央「…」





藍子「…」





未央「あーちゃんに相談してもゆるふわになるだけなんだね…」





藍子「結論はそれですかっ」



藍子「ふーんだっ」プイッ











未央「…」もぞもぞ



未央(眠れない…)スマホポチッ



未央(今何時…そーね大体…一時か…)



未央(あ、スマホなら…どうかな?…いけるかも…誘えるかもっ!)



未央(そうだそうだ!さっそく送らなきゃ!)











未央(えぇっと、文面は…拝啓…本日はお日柄もよく…って)



未央(違う違う!!)



未央(…もしよろしければ今晩おデートにでも如何でしょうか…)



未央(どこかのジェントルメンかいなっ!!)



未央(あーもぉ!)ボフッ











未央(…ていうかよく考えたら)



未央(こんな時間までプロデューサー、起きてる…わけない?)



未央(もしかしなくても迷惑だよね…起きてたとしても、時と場合がなんたらって…)



未央(もし返事なかったらどういう顔して明日顔合わせればいいんだろう?)



未央(…ぅう…駄目…作戦中止ぃ…)









翌日の事務所







未央「おっはよー!!!」ギュッ!





モバP「おっと」



モバP「な、なんかお前、ヤケクソ気味じゃないか…?」







ぎゅーっ



未央(こうしている時は、心が安らぐ…)



未央(プロデューサーとふざけ合ってる時が、一番楽しいな)



未央(自分の気持ちを、おふざけに隠していられるから)



未央(プロデューサーも本気にしてないみたいだし、今のうちにいっぱい…甘えられる)



未央(…でも…本当は…)









未央「エネルギー補給かんりょー!!」





モバP「…じゃ、行って来い」







未央(今日は、たしか…)



未央(LIVEバトル…だったっけ?相手は、えーっと…)









ワアアァァ!





未央「はーっ、はーっ」



未央(やば…っな、何とか勝てた…強かったぁー…)



未央(対戦相手の子…私よりちっちゃいのに…よくやるなぁ…)チラッ







ほたる「…」フゥ…ッ…





未央「!?」





ほたる「…」ペコリ



ほたる「…」スタスタ…







未央(あっ…れ?)



未央(何さっきの…あの子の笑顔が…フッ…て…消えちゃった…)



未央(でも、なんか、負けて悔しいって感じじゃなかった)



未央(もっとそれ以上の、暗い、なにか…?)





未央「…??」



未央「ね、ねぇ!ちょっと!まって!きみ…」タッ…



ドンッ



モバP「うおっ」





未央「っあ」





モバP「ど、どうした?」





未央「あー、えと」





モバP「…すごかったじゃないか!未央!」がしっ!





未央「ふえっ?」





モバP「さっきのLIVEバトルだよ!」



モバP「最近絶好調じゃないか!この調子でいけば…」



モバP「すぐにトップアイドルに上り詰めることだって夢じゃないぞ!」





未央「…う、うん!」



未央「それより、さ、ちょっと、お化粧直しに行ってもいい…?」









「…」



ほたる「…」









未央(いた、あの子だ)



未央(さっきの表情、なんか気になるんだよなー)



未央(一緒にいるのは…あの子のプロデューサーかな?)







「…」



ほたる「…」





「…あれが社運を賭けた最後のチャンスだったんだが…残念だよ」



ほたる「…」









未央「!?」









「だましだまし続けてきたこのプロダクションも…あえなく倒産か…」



ほたる「…すみません…でした…」



「…君のせいじゃない。君も頑張っていた。」



「だだ、対戦相手の方が輝いていた。それだけのことだ」



「人々はより輝いた光のみを求める。だれもがそちらに注目する」



ほたる「…」



「誰よりも輝く光は、その眩しさゆえに、周りの物体を暗く見せてしまうものだ」



「敗者の苦労などお構いなしにね。そういうものさ」



ほたる「…」



「…失態を他人のせいにしてしまうとは、私も末期かもしれないな…」



「だが…だが願わくば、君に、希望の星になってほしかった…」



ほたる「…」









未央「…」



未央(…え、え、嘘)



未央(この話って、もしかして…)









モバP「未央?」





未央「っ」ビクッ!





モバP「遅いから探したぞ。どうした?こんなところで…」





未央「あー…あはは」チラッ



未央(やば…こっち見てる…聞かれてたの、バレたよね)









「…」



ほたる「…」









モバP「君は…さっきの対戦相手の…」









「…失礼する」スタスタ…



ほたる「…」スタスタ…









モバP「強かったな、あの子」





未央「…」





モバP「なんか、こう、勝とうする執念めいたものを感じたよ」



モバP「あ、まあ、もちろん未央の方がもっと輝いてたけどなっ?」





未央「…」





モバP「未央?」









未央「プロデューサー、あの子のプロダクションって、どんなところ?」





モバP「え?うーん…あまり詳しく調べたことはないが…」





未央「…」





モバP「昔は名門プロダクションだったらしいけど、ここ近年は成績不振で経営がうまくいってないって噂がある」



モバP「もはや栄光は地に落ち風前の灯だ…ってマスコミは騒いでるみたいだけど…」





未央「成績…不振…」





モバP「だがさっきのアイドルを見る限り、名門の名は伊達じゃないな」



モバP「あの子はトップを目指せるよ。ほかの子とはオーラが違った」



モバP「今回は勝てたけど、いずれまた強敵として挑んでくるかもしれない」



モバP「未央もうかうかしてられないぞ?日々精進だ」ポンポン





未央「う、うん」



未央「もっと、トップ目指してがんばっちゃうぞー?」













未央「…」









『××プロ経営破綻!!破産手続きを申請』







未央「あ…っ」パサッ



未央(ここ…あの時の)



未央(…やっぱり本当だったんだ…倒産の話…)



未央(もしかして…あのとき私が…勝ったから?)



未央(…んなわけ…でも…)



未央(…)







カシャッ!











凛「…」





未央「…」





凛「題名・今日は槍が降るから気を付けて」



凛「卯月に送信…と」





未央「私が新聞読んでわるいかーーっ!!」ダッ!





凛「いつものお返し!」ダダッ!







夕方・帰り道







未央「結局今日は一日中散々からかわれた…」



未央「なにさ…私はこれでも成績優秀少女なんだぞぉ…」



未央「テストだって、いつも上から十番目くらいに名前あるんだからなー!!」



未央「そんな未央ちゃんが新聞よんでわるいかー!!」





未央「…あれ?」









ほたる「…」トボトボ









未央「お、おーい!!ねぇ!!君!!」









ほたる「…」トボトボ









未央「ちょっとーーー!そこのきみーーー!!」









ほたる「…?」



ほたる「あ…あなたは…」









未央「ほたるちゃんっていうんだ」





ほたる「…」





未央「ほたるんって呼んでいい?」





ほたる「…」





未央「ここの公園って、よく来るのかな?」





ほたる「…」





未央「ね、ねぇ、あのさ」あせあせ





ほたる「…ライブ」





未央「!は、はいっ!?」





ほたる「未央さんのライブ、とっても、よかったです」





未央「あ、あ、ありがとっ!ほたるんもすごかったよ!!」





ほたる「未央さんの輝いてる姿…とても素敵でした」





未央「えへへっ、な、なんかくすぐったいな…」





ほたる「わたしも、あんなふうに、わらいたかったけど、やっぱり駄目ですね」





未央「え…っ」





ほたる「私の分まで、頑張ってください。応援してます」





未央「あの、あのっ」





ほたる「私はもう、近いうちに、お家に帰ろうと思いますから」スッ





未央「ちょ…待って!」ギュッ









ほたる「…」





未央「お家に帰るって…?」





ほたる「…地元です…鳥取の方にあるんですけど」





未央「そんな…」





ほたる「プロダクションが倒産してしまったのですから、当たり前ですよ」



ほたる「…それだけじゃないですね、私にとってはいつものことなんです。倒産だって」



ほたる「めげずに、何度も移籍して頑張っていました」



ほたる「でもあの時、未央さんの隣に立ったときに、気付いてしまいました」



ほたる「『私、こんなに輝けないな』って」





未央「…」





ほたる「未央さんは…すごいですね。あんなに、綺麗に輝いて…」



ほたる「それに比べて私は…だから、帰ろうと思うんです」





未央「で、でも…!ほたるんだって…」







ほたる「あの話、聞いてたんでしょう?」



ほたる「誰よりも輝く光は、周りのものを暗く見せてしまうものだって」



ほたる「だったら、お願い、察してください、未央さん」



ほたる「これ以上未央さんを近くで見てると、私…真っ黒になっちゃいそうだから」





未央「…っ」





ほたる「さようなら」









未央「…」







―『…君のせいじゃない。君も頑張っていた。』



―『人々はより輝いた光のみを求める。だれもがそちらに注目する』







未央「…」







―モバP『なんか、こう、勝とうする執念めいたものを感じたよ』



―モバP『あの子はトップを目指せるよ。ほかの子とはオーラが違った』







未央「…」







―ほたる『これ以上未央さんを近くで見てると、私…真っ黒になっちゃいそうだから』







未央(…私は…ほたるんの…未来を消しちゃった…?)









藍子「プロデューサーさん」



茜「プロデューサー!!!」





モバP「どうした?」





藍子「最近、未央ちゃんの様子がおかしいんです」



藍子「仕事に打ち込めてないというか…集中できてないというか…」





茜「いつも1kmまで一緒に走ってくれるのに!!!」



茜「今は500mまでしかついて来てくれません!!!」





モバP「…」



モバP「実は俺も、少し気になってたんだ。最近抱きついてこないしな」





藍子「…」



茜「…抱き…つく?」





モバP「と、とにかくっ」



モバP「なにか思い詰めている様子なのは、俺も確認している。調子も右肩下がりだ。だが…」



モバP「あいつ…なかなか話してくれないんだ…空元気飛ばしてはぐらかされてばっかりで…」



モバP「なにか、あいつの心を打つとっかかりのような何かが必要だと思うんだが」





藍子「…」



藍子(プロデューサーさん関係の問題じゃない…ということですね)



藍子(困ったなぁ…)





茜「!!!」





モバP「黙ってる時くらい『!』外そうな、茜」



モバP「何か凄いことに気付いたように見えちまうだろ」



モバP「…そうだな、藍子、茜」



モバP「俺がついていないときの未央の様子、詳しく報告してくれないか?」









「どうした?本田」





未央「あ、あの、今日私以外にオーディション受けた子、どうする予定ですかっ」





「どうって…?」





未央「端役としてでも…起用してもらう…とか…」





「残念だけど、本田の分で役はもう全部決まっちゃってるんだよなぁ」



「もしかして、友達と共演したかったとか?」





未央「いえ、そういうんじゃ…ないです…」











藍子「…」



藍子(未央ちゃん…何かを怖がってる…?)



藍子(でも何を…?)











トレーナー「…いつもより動きが鈍いですよ?」





未央「うーん、あはは…ちょっと今日は…調子が悪いというか…」





未央「ちょっとだけ、レッスン休憩します」





未央「あ、代わりにほかの子のコト、みてあげてください」





未央「私は、だいじょうぶですからっ」





未央「…」























茜「!!!」



茜「私二人分やります!!!」













卯月「やっぱり謝りに行った方がいいですよぉ…」





凛「考え過ぎだと思うけど」





モバP「どうした?二人とも」





凛「最近未央の様子が変でしょ?」



凛「その原因が、私が未央の面白写メを拡散したからなのかもって」





モバP「面白写メ?」





卯月「だって、撮った次の日ですもん…未央ちゃんが変になっちゃったのって…」



卯月「凛ちゃん…」





凛「だいたい、一番いじりまくってたのって卯月でしょ」



凛「いじられる側の自分が、いじり役にまわって、こんなこと二度とないって」





卯月「そ…それは…」タラ―





凛「卯月こそ謝った方がいいんじゃないの?」





卯月「り、凛ちゃぁん…」







モバP「なぁ、それいつ頃だ?」



モバP「俺にも写真、見せてくれないか」











モバP「…ふむ」









モバP「…なるほどな」





藍子「わかったんですか?プロデューサーさん」





モバP「大体の見当はついたよ。未央が今抱え込んでいる問題もな。だが…」



モバP「こればっかりは気持ちの問題が大きいからなぁ…」ウーム





藍子「…」





茜「で、でも!!!プロデューサー!!!」



茜「このままじゃいけない予感がします!!!」



茜「未央ちゃんを元気にしてあげてください!!!」





モバP「わかってるよ、俺に任せろ」



モバP「未央は俺の大切なアイドルだし、それに…」













モバP「いま、未央が抱え込んでいる問題は、俺も昔、悩まされたことがあったからな」





茜「へっ?」





藍子「どういうことですか???」







モバP「未央は、いいアイドルになろうとしてるって事」











未央「えへへ…敗けちゃった」





モバP「…」





未央「手ごわいですなぁ、相手方も」





モバP「…」





未央「でもさっ、次頑張るよ、次!」





モバP「…」





未央「…」



未央「ど、どしたの?プロデューサー…そんな怖い顔して…」





モバP「なんか嬉しそうじゃないか。敗けたのに」





未央「…そ、そんなことないよ?」



未央「も、猛特訓して、あの子らにギャフンと言わせないと…」





モバP「未央」



モバP「…お前、さっき敗けにいってただろ」





未央「…」



未央「な…なんのことかなっ」



未央「私、いつだって本気だよっ?」





モバP「俺を誰だと思ってる。はぐらかすな」





未央「…」





モバP「次があるだと?あったら敗けていいのか?」





未央「…」





モバP「誰のでもない自分のための勝負なんだぞ?軽く考えんな」





未央「軽く…考えてなんか…」





モバP「いーや、考えてる」







モバP「お前は今、他人の為なら自分なんてどうでもいいって思っている」







未央「…」





モバP「もう一度自分のことをよく考えろ」



モバP「俺たちはトップになるために頑張っているんだぞ?」



モバP「常に勝ち続けなきゃトップになれないといってもいい」





未央「…わかってる」





モバP「わかってない。お前たちがどれだけ過酷な戦いをしてるか」



モバP「その戦いを幾つも勝ち残っているからこその今があるか」



モバP「どれだけのアイドルが夢尽き堕ちていったか」





未央「わかってるよっ!!だから私は…!!」





モバP「堕ちる敗者のことを考えて道を譲ってますってか?それで満足か!?」



モバP「お前はそれでいいのかよ!?自分を軽く考えてんじゃない!!」



モバP「未央自身に輝いてほしいって願うファンがどれだけいると思ってる!」





未央「私だって輝いていたい…でも…でも…!」





モバP「いいか!?プロダクションの事情なんて未央には何の関係も無い!」



モバP「お前はただあの場でファンの皆に笑顔を届けただけなんだよ!」



モバP「お前が奪ったものなんて何も無いんだ!!」





未央「プロデューサーこそわかってないよ!!」



未央「あの時だって、皆を笑顔にするために私、めいっぱい輝いた!!」



未央「でも…私が輝いたせいで…」







未央「一番近くにいたほたるちゃんの笑顔を…消しちゃった…!」











モバP「…」





未央「私…どうしたらいいかわかんない…」



未央「ホントは全力でキラキラしてたい…皆を笑顔にしたい…」



未央「でも、私のせいで消えた笑顔が、ほたるちゃんの顔が忘れられない…」



未央「私が頑張ったせいで誰かの笑顔が消えるって考えたら…怖い…」









未央「私は…誰かを曇らせてまで輝きたくないよ…っ」























モバP「だったら、曇った奴もろとも輝けばいい」





未央「…え…?」





モバP「曇ったやつも輝くぐらいお前が大勝ちすりゃいいだけの話だ」





未央「??」









モバP「…こほん」



モバP「俺の理想とするトップアイドル像には…」



モバP「『彼女の周りには勝利しか存在しない』ってのがある」





未央「…」





モバP「そいつはすべてを欲しいままにする」



モバP「彼女は常に勝負に勝ち、だれにも負けない」



モバP「なおかつ、その子の前にも敗者なんていない」



モバP「全員が勝者になるんだ」





未央「…えっ?」





モバP「それこそ『完全勝利』ってやつだな」



モバP「勝負を挑んだ方も、挑まれた方も勝利する戦いをするんだ」





未央「…」





モバP「ははは、馬鹿げた話だって思ってるな?」



モバP「でも俺には、未央にこそ、そんなアイドルになってほしいと思ってる」



モバP「勝負しに来たアイドルですら、悔しさや劣等感を忘れて思わず幸せになっちまうような…」



モバP「そんなアイドルに…な」





モバP「ガキっぽくて小心者だけど、いつでもそうやって色んな人の事を気にかけてる…」



モバP「太陽の様なお前なら、きっと目指せると思うんだ」





未央「…プロデューサー」





モバP「未央、あの時のお前は50%の勝利をもぎ取っただけに過ぎないと、俺は思う」



モバP「お前は、あの時の勝負に勝ちきれてないんじゃないか?」



モバP「100%の勝利を勝ち取るために、なにかやり残したものがあるはずだ」



モバP「俺でよければ力になるよ。なんでもしよう。そのためのプロデューサーだ」





未央「…」









未央「プロデューサー」







未央「私の目の前で、敗けようとしてる女の子がいる」







未央「私、その子を勝たせたい」







未央「私が『完全勝利』するために」







未央「だから…お願いがあるの」











ほたる「…」トボトボ





未央「ほったるーーーーん!!!」ダダダッ、ガバァ!!





ほたる「ひゃあああぁ!?」





未央「まってたよーーー!」



未央「さっぶかったー!!あその公園、風よけになるトコ全然ないんだもん!!」





ほたる「…ずっと、そこでまってたんですか?」





未央「だって居そうな場所あそこしか思いつかなかったんだもーん」





ほたる「…」





未央「ね、ちょっとあそこで座ってお話ししない?」





ほたる「…」



ほたる「何しに…来たんですか…」





未央「勝ちに来たのっ」





ほたる「…?」









ほたる(ベンチが冷たい…)





未央「はい。あったかーいココアだよー」





ほたる「構わないで…大丈夫ですから…」





未央「かまうよ、ほたるん辛そうじゃん」





ほたる「…」





未央「そうだよねー私のせいだよねー」





ほたる「…」





未央「でもねー聞いて?私ね、欲張りなんだ」ずいっ





ほたる「…」





未央「前のほたるんとの勝負、完全に勝ったとは思ってないんだ」



未央「完全に勝つために、まだ欲しいものがあるの」





ほたる「…?」





未央「私、ほたるんが欲しい」





ほたる「」











ほたる「ふぇ…っ!?!?!?」かあぁぁっ





未央「ち、違う!変な意味じゃなくてっ!!」



未央「あー、こほん、えー」



未央「ほたるん!!君にティンと来た!!」



未央「我がプロダクションでトップアイドルを目指してみないかねっ!?」











ほたる「…」



ほたる「嫌…です…」





未央「…うっそだー」



未央「まだ、皆に笑顔を届けたいと思ってるくせに」





ほたる「…」





未央「…実はね。前、ここで顔合わせた時から、この言葉を言いたかったんだ」



未央「だってまだ、ほたるんは夢を諦めたくないって顔してるんだもん」





ほたる「私は未央さんみたいに、なれません…」





未央「ならなくていいじゃん。ほたるんは、ほたるんだよ」





ほたる「無責任なコト、言わないで…ください…」



ほたる「勝てなかった私に、どう輝けっていうんですかっ…!!」



ほたる「暗く濁っちゃう私を、誰が見てくれるっていうんですか!!」





未央「私が照らすっ!!」





ほたる「…!?」











未央「私だって、自分一人で輝いてるわけじゃないよ」



未央「意外と私も…豆腐メンタルだし…空回りしやすいし…すぐ落ち込んじゃうし…」



未央「でも、私の周りには、暗く濁っちゃった私を照らしてくれる人がいるの」



未央「あーちゃん、茜ちん、しぶりんにしまむー、プロデューサー…」



未央「皆がいたから、皆が私を輝かせてくれるから、私は光っているの」



未央「光をかき消す光なんて、ホントは無いんだよ」





未央「だって、みんな綺麗に光ってるじゃん、ほら、上」





ほたる「…星」





未央「あるのは、星を照らす光だけ。ねっ?」









未央「だからさ、私と…プロデューサーと…みんなとで」



未央「ほたるんを照らす、光になりたいんだ」











ほたる「…」





未央「…だめ?」





ほたる「…」





未央「…」















ほたる「…ほんと、に」













ほたる「わた、しは」



ほたる「もういちど、輝こうと、しても、いいんですか…っ」ぽろぽろ…







未央「ほたるん…」







ほたる「…っ」ひっく、ぐすぐす…







未央「あったりまえじゃん!!!」ギューッ!!



未央「ようこそ我がプロダクションへっ!!!」ぎゅぎゅぎゅっ







ほたる「わぷ…」ぐぐっ



ほたる「い、いたいです…」





未央「あっ!ごめんね、ほたるん!!」あせあせ













ほたる「…ふふ」







未央(わたし流『完全勝利』だねっ!)



未央(後はプロデューサー、頼んだよ!!)



未央(雇用条件とか契約書とか、私は殆ど親に丸投げしてたんだからね!!)











その後の話







未央「おっはよーぅ!」





ほたる「おはようございます、未央さん」





未央「ほたるんは今日も可愛いですなぁ♪」





幸子(ボクの話!?)ガタッ





ほたる「あ、あはは…」



ほたる「ありがとうございます、未央さん」





未央「かたっくるしーぃ!!」



未央「もうウチ来て一ヶ月なんだから、敬語は家に置いてきなさーい!!」



未央「一回ちゃんみおって呼んで?ちゃんみお、呼び捨てで!!」





ほたる「…ちゃん…みお…さん?」





幸子(ちがった…)





キャピキャピ



















凛「キレのいい突っ込みができるようになるまで、もう二ヶ月はかかりそう」





卯月「でも、直ぐここに馴染んでくれたみたいで、よかったですねっ」



卯月「未央ちゃんが急に元気になったと思ったら、ほたるちゃんを連れ込んできて、何事かなって思いましたけど」



卯月「…結局、未央ちゃんの様子が変だった理由、わからずじまいですね」





凛「…ま、未央だし、いつものことじゃない?」



凛「勝手に勘違いして落ち込んだ後、勘違いに気付いて立ち直ったんだと思うよ」





未央「そこー!なんかいったかー!!」









凛「未央って勝手に勘違いして落ち込んだ後、勘違いに気付いて立ち直るような子だよねって」





未央「綺麗に復唱した!?」





ほたる「…ふふふ」





卯月「未央ちゃんには、あーやって突っ込むんですよ、ほたるちゃん」こしょこしょ





凛「…ところで未央、あんまりほたるに構ってるとニュージェネの仕事、遅れるよ?」ユビサシ





未央「わ…もうこんな時間!?」









ガチャ



モバP「おい、まだ事務所に残ってたのかお前ら!?」



モバP「急がないと遅刻するぞ!早くしろ!」







未央「!!」



未央「おはよっ、プロデューサー!」ギュッ!!





モバP「あ、あいさつはいいから!早いと…んむっ!?」



未央「んー♪」





ちゅうっ♪



ぎゅー♪













凛「」





卯月「んまっ!?」





ほたる「わ!?」













モバP「ぷは…っ!?みみ、み、み、」





未央「えへへっ、プロデューサー♪」



未央「プロデューサーは、私の『完全勝利』のためなら…」













未央「なんでもするって言ったよねっ♪」









おわり





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