2014年03月29日

長介「ねえちゃんが誕生日祝わなくてもいいって」伊織「ふ〜ん」


長介「ねえちゃんきっと俺達に遠慮してるんだよ。お金もかかるし」



伊織「あの子なら確かにそういいそうね」





長介「でも毎年ねえちゃんは俺達みんなの誕生日一生懸命祝ってくれてるんだ」



長介「だから俺、ねえちゃんの誕生日は祝ってあげたくて・・・」



伊織「なるほどね。で、何か考えはあるの?」



長介「あるよ。誕生日ケーキを作ってあげたいんだ」



伊織「あらいいじゃない。きっと喜ぶわよあの子」



長介「だけど・・・俺、作り方も分からないし材料もなくて・・・」



伊織「・・・だから私のとこに来たわけ?何、ケーキの材料でも買ってほしいのかしら」



長介「ち、違うよ!できるだけ俺達の力だけで作ってあげたいんだ」





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伊織「じゃあなんの用なの?」



長介「え、え〜と・・家にあるものだけで作れるケーキがないか聞きたくて・・」



伊織「そういわれてもね〜・・まず生クリームはあるの?」



長介「ないです・・・」



伊織「苺・・・も難しいかしら」



長介「苺はねえちゃんが給料日の時にたまに買ってきてくれるんだ」



長介「でもすぐになくなっちゃうんだ」



伊織「そっか・・。・・ならもうシフォンケーキしかないんじゃない?」



長介「シフォンケーキ?」



伊織「ええ、卵と小麦粉、あとは砂糖と油、できれば牛乳もあればいいわね」



長介「それならあるよ!それでケーキが作れるの?」



伊織「作れるわよ。とってもシンプルなケーキなんだけど」



長介「わかった!俺、シフォンケーキ作るよ!」



伊織「もう、急に元気になっちゃって。ちょっと待ってなさい。今作り方をメモしてあげるわ」



長介「うん。・・・伊織ねえちゃんって結構料理できるんだね」



伊織「当たり前でしょ。私はカンペキなんだから」(この前やよいと一緒に作ったときにあの子に教えてもらったんだけどね)

伊織「はい、このメモに書いてあるとおりに作るのよ」



長介「ありがとう伊織ねえちゃん!よ〜し俺はやるぞ」



伊織「長介?ひとつ言っておくけどあなた達が作ったならどんなものでもあの子は喜んでくれるわ。忘れないでね・・・」







・・・・・・・・









長介「では、シフォンケーキをつくりま〜す!」



かすみ「もう、長介はりきっちゃって」



浩太郎「いぇ〜い!」



浩司「わーい!」



長介「まず役割確認!作るのは俺!かすみは助手!浩太郎は浩三の面倒を見ててくれ」



かすみ「はいはい」



浩太郎「了解!」



浩司「ねぇ、ボクは〜?」



長介「あ〜・・浩司は・・・応援係?」



浩司「わかった〜」



長介「じゃあ始めようか!」



長介「え〜とまずはメレンゲをつくりなさい・・・っと」



かすみ「メレンゲ?」



長介「うん、伊織さんのメモによると卵の卵白をかき混ぜてるとできるんだって」



かすみ「へ〜。じゃあ私卵割るね」パカッ



長介「『卵黄は後で使うから他のボールに移しておくこと』・・・」



かすみ「どうやって?」



長介「え〜っと・・・『スプーンで卵黄を掬うときれいに分けれるわよ』・・・だって」







かすみ「・・・はい!分けました。ちょっと卵黄まざっちゃったけど・・」



長介「少しぐらいならいいだろ。『あとは卵白を思いっきりかきまぜるだけ!以上!』、よーしかき混ぜるぞ」



かすみ「私はあとなにすればいいの?」



長介「かすみはケーキの生地をメモを見ながら作ってくれるかな」



かすみ「は〜い。『まず卵黄をほぐして砂糖を入れます』っと・・」



長介「さて俺も始めるか」

・・・・・・・・







長介「・・・・・ぜんっぜん泡だたねぇ・・・」シャカシャカ



かすみ「長介まだ〜?こっちにメレンゲ入れるみたいなんだけど・・・」



長介「おっかしいな・・・伊織さんに見せてもらったメレンゲの写真みたいにならない・・」シャカシャカ



長介「手も疲れてきた・・・」シャカシャカ



浩司「ガンバレーガンバレー」



長介「・・・・・・」シャカシャカ



浩司「ガンバレーガンバレー」



長介「・・・・・・うがー!」シャカシャカ



浩太郎「代わろうか?」



長介「浩太郎・・・あぁ、頼んだ。じゃあ俺は浩三の面倒見てくる」



浩太郎「かき混ぜるだけでいいんでしょ?簡単簡単」シャカシャカ

・・・・・・・・・・





浩太郎「・・・・・ぜんっぜん泡だたねぇ・・・」シャカシャカ



かすみ「浩太郎まだ〜?早くしないとお姉ちゃん帰ってきちゃう・・・」



浩太郎「んなこといわれても・・・」シャカシャカ



長介「だめか・・・」



浩太郎「兄ちゃん・・・だめだったよ」



長介「しょうがない・・・材料は同じ卵白なんだしこのまま使おう」



かすみ「じゃあこれと混ぜ合わせて・・・型に移して・・・あとはオーブンで焼けばいいんだよね?」



長介「うん。『焼きあがる頃には膨らんでるから安心して』って書いてる」



かすみ「うまく膨らむかなぁ・・・」

・・・・・・・・・・・





長介「・・・・・焼きあがったけど」



かすみ「膨らんでないね・・」



浩太郎「どうする・・?そろそろねえちゃん帰ってくるんじゃ・・」



かすみ「でも見た感じスポンジ状にはなってるし・・・」



浩太郎「なんだか美味しくなさそう・・・」



長介「・・・・・大丈夫さ、ねえちゃんは喜んでくれるよ・・・伊織ねえちゃんだってそう言ってたんだ・・」



かすみ「・・・ほ、ほらほら元気だそ?お姉ちゃんを笑顔で迎えてあげなきゃ!」



長介「う、うん・・」



かすみ「ケーキは私が冷蔵庫に入れておくからね。いい?笑顔でお姉ちゃんを迎えるんだよ?」



長介「わ、分かってるよ・・・」

・・・・・・・・







かすみ「あ、お姉ちゃん帰ってきたんじゃない?」







やよい「みんなただいまー!」



かすみ「おかえりなさいお姉ちゃん!」



長介「お、おかえり!」



浩太郎「おかえり!」







かすみ「ほら、長介!言わなきゃ・・・」



長介「わ、分かってるよ・・・」







長介「あ、あのね、ねえちゃん実は俺達」









やよい「じゃ〜ん!みんな!プロデューサーから誕生日ケーキもらったんだよ〜!」



長介「えっ・・」



かすみ「あっ・・」



浩司「え!ほんとお姉ちゃん!みせてみせて!」



やよい「いいよ〜。ほら!」



浩司「わ〜苺がいっぱいだ〜」



浩太郎「お〜すげぇ〜」



やよい「ね〜美味しそうだね〜。あとでみんなで食べようね〜。ほら長介もかすみも」



かすみ「あ、あのねお姉ちゃん・・・」



長介「・・・・・っ」ダッ



かすみ「ちょ、長介!?」



やよい「・・・えっ?えっ?ど、どうしたの長介!どこいくの!」





かすみ「・・・・え、え〜と、実は・・・」

・・・・・・・・・







長介「なんで俺逃げたんだろう・・・」



長介「ねえちゃんの誕生日祝いたいのに・・」





ガラッ・・・



やよい「やーっぱりここ(物置)にいたんだね長介」



長介「・・・・・あっ」



やよい「前もここに隠れてたことがあるって伊織ちゃん言ってたからもしかしたらって思ったんだけど・・」



長介「ねえちゃん・・・それ・・」



やよい「これ?長介たちが作ってくれたシフォンケーキだよ。私が切りわけたの」



長介「・・・・そっか」



やよい「・・・・私のために作ってくれたんだよね?」



長介「・・・・・うん」



やよい「あ〜ん」パクッ



長介「・・・・・・あっ」



やよい「ん〜・・・うんっ!美味しい」



長介「・・・・・優しいね、ねえちゃんは」



やよい「優しいのは長介でしょう」



長介「えっ・・・?」



やよい「長介気づいてたんだよね?私が遠慮してるってこと・・・・」



長介「・・・・・」



やよい「でも長介は私を祝うためにケーキを作ってくれた。それは長介が優しいからだよ」



やよい「でもそこで私がケーキをもらってきたから・・・ごめんね長介、嫌な思いさせちゃったね・・・」



長介「そ、そんなこと・・・」



やよい「でもね長介・・これだけは言わせて?・・・・私はどんなプレゼントよりも、どんなに美味しそうなケーキよりも、長介達の優しさが一番うれしいんだよ?」



長介「ねえちゃん・・・ヒグッ・・」



長介「だって・・・ねえちゃんはいつも俺達のために働いてて・・・誕生日も一生懸命祝ってくれてて・・・だから俺も・・・ねえちゃんの誕生日祝ってあげたくて・・・」





やよい「うんっ・・うんっ・・・」



長介「一番頑張ってるねえちゃんのお誕生日を祝わないなんて・・・そんなの・・・おかしいから・・・」



やよい「うんっ・・・。長介は私のしらない間に少し大人になっていたんだね・・・」



長介「・・・・・グスッ・・」

・・・・・・・・・・・・・



やよい「落ち着いた?」



長介「・・・・・うん」



やよい「なら戻ろう?みんな待ってるよ。私の誕生日、祝ってくれるんでしょう?」



長介「うん・・・・」













やよい「おまたせしました!」



長介「・・・・・・・」



浩太郎「遅いよ兄ちゃん。なんで逃げたんだよ〜」



やよい「う〜ん、まだ浩太郎には分かんないかなーって」



浩太郎「え〜なんだよそれ〜」



かすみ「いいからいいから、まずはお姉ちゃんの誕生日を祝わなきゃ・・・でしょ?」



浩司「お誕生日おめでと!」



浩太郎「お誕生日おめでとうねえちゃん」



かすみ「お誕生日おめでとうございますお姉ちゃん!」



浩三「キャッキャッ」



やよい「うっうーありがとうございますー」



かすみ「ほら、長介も」



長介「う、うん・・」



やよい「長介?笑顔だよ笑顔」



長介「・・・・・・へ、へへっ。お誕生日おめでとう!ねえちゃん!」



やよい「うん!ありがとうね長介!」













                    〜fin〜



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