2015年11月04日

佐藤心「プロデューサーと」高垣楓「アイドル」

前作 佐藤心「プロデューサーとアイドル」

アイドルマスター シンデレラガールズ 佐藤心ことしゅがーはぁとさん、及び高垣楓さんメインです。



注意



この話は以前に書いた



佐藤心「プロデューサーとアイドル」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445176290/



の設定を引き継いでおります。



こちらをお読みいただけた方がより分かりやすくなると思われます。



また、独自設定を多数盛り込んでおります。



キャラと文章がおかしい点はお許しいただけると幸いです。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1446139452



イベント会場 ステージ



菜々『みなさーん! 準備はいいですかー!?』



菜々『いっきますよー! せぇーのっ!』



菜々『ミンミンミン ミンミンミン ウーサミン!』



菜々「やばい……楽しい……」





ステージ袖



心「菜々先輩楽しそうだな☆」



心「良いことだ☆ ちひろさんに感謝しとこ♪」



心「ステージか……」







居酒屋



ちひろ「では、菜々さんのイベント成功を祝して……」



菜々、心、ちひろ「「「かんぱーい!!」」」



心「菜々先輩、イベントお疲れさまでした☆ そして、デビューおめでとうございます☆」



菜々「ありがとうございます!」



心「イベントまで時間あんまりなかったのに、あの出来映えはさすが菜々先輩☆」



ちひろ「心さんから聞きましたが、初めてとは思えない出来だったらしいですね」



菜々「そ、そんなことないですよぉ」



心「謙遜しない☆ みくにも見習わせなきゃね☆」



ちひろ「みくちゃんも頑張ってるのに・・・・・・」



心「好きな子ほどいじめたくなるんだぞ☆」



菜々「はぁとちゃんはみくちゃんのこと大好きですもんね!」



心「もちろん、菜々先輩の事も大好き☆」



菜々「ありがとうございます!」





菜々「あ、はぁとちゃん、グラスが空になりそうですね。何頼みますか?」



ちひろ「菜々さんは本当に気が利きますね」



心「でしょ☆ 自慢の先輩☆」



心「あ、とりあえず生もう一杯お願いします」



菜々「生ですね! ちひろさんはいいですか?」



ちひろ「私は大丈夫ですよ」



ちひろ「それよりも、菜々さんはお酒飲まなくていいんですか?」



菜々「ナ、ナナは17歳なので……」



ちひろ「私たちの前でも隠すんですね」



心「菜々先輩はプロ意識高いから♪」



ちひろ「はー、さすがですねぇ」



菜々「い、いえ! ナナはリアルJKですから!」





心「変装してるし、大丈夫だと思うぞ☆」



ちひろ「まぁ、よほどの事がない限りバレないでしょうね」



心「今の菜々先輩の姿は……」



ちひろ「どうみても田舎から出てきたばかりのOLですからね」



心「銀縁伊達眼鏡にひっつめ髪でスーツって☆」



菜々「だって、17歳を自称してるアイドルが居酒屋に居るとこ見つかったら一大事じゃないですか!」



ちひろ「自称?」



心「自爆してるぞ☆」



菜々「あ……」



ちひろ「ふふっ。本当に楽しい人ですね。菜々さんは」



心「いじりがいはみくにも負けない☆」



菜々「うぅ……お二人とも意地悪です!」







しばらくして



心「お、この日本酒美味しい☆」



ちひろ「本当ですか? 一口頂いても?」



心「どうぞ☆」



ちひろ「あ、本当ですね。飲みやすいですね」



ちひろ「菜々さんもいかがですか?」



菜々「どれどれ……って!」



菜々「だから! 菜々は未成年ですってばっ!」



心「くふふふ……あんまり大声出すとバレちゃうぞ☆」



菜々「うぐぐ……はぁとちゃん……だいぶ酔ってますね……」



心「そんなことないよ☆ ないぞ☆」



ちひろ「それにしてもこれ、本当に飲みやすいですね。なんてお酒ですか?」





心「これ♪」



ちひろ「メニューを渡されましても……」



心「だって読めないから仕方ない☆」



ちひろ「むむ……確かに読めませんね……。菜々さんは読めますか?」



菜々「えっと……うーん、菜々にも読めませんね」



菜々「でもどっかで見たような……」



菜々「どうやって頼んだんですか、はぁとちゃん」



心「店員さんにメニュー見せて『これ』って☆」



菜々「なるほど」



??「それは獺祭って言うお酒ですよ」



菜々「だっさい?」



ちひろ「ああ、これがあの獺祭ですか」



??「ふふっ……獺祭なんて名前だっさいなんて言っちゃやですよ」



心「あはははー☆ 面白いぞ♪」



菜々「ええぇ!?」





??「獺祭は山口県のとある酒造さんが作ったお酒で、今は海外でも人気が高いんですよ」



ちひろ「私も名前だけは知ってましたからね。飲んだのは初めてですけど」



??「良いお酒はさけられませんから」



心「お姉さん面白いぞ☆ 美人だし☆」



??「ふふっ。ありがとうございます。お姉さんもとってもお綺麗ですよ」



心「やぁん♪ はぁとの魅力でメロメロ〜?☆」



??「はい♪ メロメロです」



心「じゃあ、お姉さんをはぁとの物にしちゃっても、いいかな〜?」



??「あら、大胆ですね。ふふっ」



菜々「ちょ! はぁとちゃん! 飲みすぎですよ!」



ちひろ「そうですよ。あんまり迷惑かけちゃダメじゃないですか」



心「えー? 迷惑なんかじゃないよね?☆ ないよな☆」



??「ええ、とっても楽しいですよ」



菜々「だーめーでーす! ほら、もうお開きにしましょう! 酔いすぎです!」



心「せっかく盛り上がってきたのにー」



ちひろ「菜々さんの言う通りですよ。今日はもう帰りましょう?」



心「仕方ないな☆」



心「じゃあ、お姉さん、はぁと達はここまでらしい☆」



??「それは残念です。楽しかったのですけど」



心「そっかそっか。ならこれあげちゃう☆」



??「名刺、ですか」



心「そ☆ CGプロのプロデューサーの佐藤心だぞ♪ しゅがーはぁとって呼んでね☆」





菜々「何してるんですか!? ほら! 帰りますよ!」



ちひろ「うちのプロデューサーさんがご迷惑おかけしてしまったみたいで申し訳ありません」



??「いえ、私も楽しかったですから」



??「また今度お会いできたら一緒に飲みましょうね」



心「おう☆ 約束だぞ☆」



菜々「ほら! 行きますよ!」



ちひろ「すみません、ではこれで失礼します」



??「はい。またお会いしましょう」







??「楽しそうな方たちでしたね。ふふっ……」









事務所



みく「おはようございまーす」



心「……」



みく「Pチャン、おはよ。どうしたの?」



みく「って酒くさっ!!」



心「乙女に向かってくさいとはなんだ……」



みく「しかもテンション低いっ!」



心「頭に響くから大声やめて……」



菜々「止めたのにあんなに飲むからですよ」



菜々「はい、お水です」



心「ありがとうございます、菜々先輩」



みく「Pチャンまた飲みに行ったの? 前もなんか羽目をはずして『もう飲まないぞ☆』って言ってたのに」





心「菜々先輩のイベントの打ち上げだったから仕方ない☆」



みく「え? みく、呼ばれてない……」



ちひろ「居酒屋でやりましたからねー。さすがに未成年のみくちゃんは呼べませんでした」



みく「え、じゃあ菜々チャンは?」



心「菜々先輩は、ねぇ?」



ちひろ「ええ……」



菜々「な、なんですか!? 菜々はJKですよ!?」



心「ソデシタネー」



菜々「うぐぐ……そんな態度のはぁとちゃんには、せっかく持ってきてあげた二日酔いの薬あげません!」



心「ああ、うそうそ! 菜々先輩、大好きです☆」



みく「Pチャンの手のひら返しが露骨すぎにゃ」





ちひろ「あれ? 菜々さん。救急箱の中に薬ありましたっけ?」



菜々「ああ、いえ。私物で……ゲフンゲフン! あったんです! 奇跡的に!」



心、ちひろ(ああ、家から持ってきたんだ)



みく「菜々チャンは優しいにゃぁ。どっかのPチャンとは大違いだにゃ」



心「みくはあとでボコるぞ☆ はぁとが復活したら覚悟しとけ☆」



みく「ぎにゃー!!」



心「次はちゃんと連れて行ってやるから諦めろ☆



みく「本当にゃ!? 約束にゃ!」



心「はいはい……とりあえず今は頭痛いから黙れ☆





菜々「というかはぁとちゃんはそんな状態でお仕事大丈夫なんですか?」



みく「そうにゃ。今日はミニライブでしょ? 踊ったら死ぬんじゃない?」



心「それは大丈夫☆ はぁとは別でモデルのお仕事だから♪」



みく「え、またPチャン来れないの?」



心「はぁとの方が早く終われば見に行くけど、期待はしないでね☆ すんなよ☆」



心「というわけで、みくのことお願いしますね。菜々先輩」



菜々「はいっ! ナナにお任せください!」



心「調子に乗ったらボコって良いんで本当にお願いします☆ マジで☆」



みく「相変わらず扱いが酷いにゃ!」



みく「もうPチャンなんか知らない! 行こっ! 菜々チャン!」



菜々「あ、はい! 準備してきますね!」





みく「終わったらケーキ食べに行くにゃ! Pチャンなんかほっといて!」



心「ほどほどにな☆ それとみく。ちょいちょい」



みく「?」



心「菜々先輩の事頼むわ。何かあったらすぐに私かちひろさんに連絡入れろ。飛んでいく」



みく「分かったにゃ。 でもどうして?」



心「菜々先輩、すぐに無茶と無理するから。みくが頼りだぞ☆」



みく「ふふん! 任せるにゃ!」



心「おう☆ はぁともお仕事頑張ってくるぞ☆」



菜々「お待たせしました! じゃあ行きましょう!」



みく「じゃあ、行ってくるにゃー」



菜々「行ってきまーす」



ちひろ「はい。いってらっしゃい」



心「じゃあはぁともそろそろ出るかな☆ というわけであとはよろしくお願いします♪」



ちひろ「はい、お任せください」







事務所外



みく「今日もPチャンは歌わないのかー」



菜々「そういえばはぁとちゃんが歌ってるとこ見たことないですね」



みく「Pチャンは歌もとっても上手だよ」



菜々「へぇ〜。一度ゆっくり聴いてみたいですね!」



みく「んー……・Pチャンがライブに出てくれないからなぁ。なかなか難しそうにゃ」



みく「ボーカルレッスンもなぜかみく達とはやってくれないし」



菜々「何か理由があるんですかね?」



みく「こればっかりはPチャンに聴いてみないとわからないにゃぁ」



菜々「あれ? でもみくちゃんははぁとちゃんが歌ってるとこ見たことあるんですよね?」



みく「うん。みくが所属したての頃は普通に歌ってたよ」



みく「でも、最近は歌ってるとこ見てないにゃぁ」



菜々「うーん。謎ですねぇ」



みく「まぁ、Pチャンがよく歌ってた曲だと確かにPチャンのイメージには合わないからかにゃ?」



菜々「よく歌ってたってことは持ち歌じゃないんですか?」



みく「みくも詳しいことは知らないけど、Pチャンは持ち歌ないはずにゃ」



みく「よく歌ってた曲はあるけど、みくがソロで歌ったこともあるし。それに基本的には765プロさんのカバーばっかりだった気がするにゃ」



菜々「765プロのカバーやらせてもらってたんですか!? すごいじゃないですか!」



みく「なんでもちひろさんが765プロの人と知り合いだからカバーやらせてもらってるって聞いたにゃ」



菜々「ちひろさんって一体何者……」



みく「それはCGプロ最大の秘密のひとつにゃ」



菜々「ところで、はぁとちゃんがよく歌ってた曲ってどんなのですか?」



みく「『つぼみ』って曲。事務所戻れば譜面があるから気になるなら見るといいにゃ」



菜々「『つぼみ』ですか……」







撮影スタジオ



心「ぶぇっくしゅんっ!!!」



心「あーうぃー……誰かはぁとの噂してんのか」



心「あ、おはようございますぅ。あなたのはぁとをシュガシュガスウィート☆ さとうしんことしゅがーはぁとだよぉ☆」



カメラマン「よ、よろしくお願いします……」



心「もぉ〜、引いちゃらめらめなのぉ〜☆ 引くなよ、マジで☆」



カメラマン「あ、はい……」



??「おはようございます」



心「ん?」



カメラマン「お、おはよう! 楓ちゃん! 今日もよろしくね!」



楓「はい。こちらこそよろしくお願いします」





心「あれ?」



楓「あら?」



カメラマン「あ、紹介しますね。こちら、本日一緒に撮影する高垣楓さんです」



カメラマン「で、こちらはCGプロのアイドルの……」



楓「はぁとちゃん! 奇遇ですね!」



心「え? あー……?」



楓「昨日一緒に飲みましたよね?」



心「……」



カメラマン「え、知り合い?」



楓「ええ、昨日お友だちになりましたよ」



楓「名刺までもらっちゃいまして」



楓「あら? ここにはプロデューサーってありますが……」





心「すみませんでしたあぁっ!」



楓「え、ちょ。土下座なんてやめてください!」



心「昨日はご迷惑をおかけして本当にすみませんでしたぁ!」



心「菜々先輩から聞き及んでいます! 見ず知らずの綺麗なお姉さんに絡みまくった挙げ句に酔いつぶれて退場したのが私です! 本っ当に申し訳ありませんでしたぁ!」



楓「い、いえ。大丈夫ですから。私も楽しかったので」



心「いえ、ご迷惑をおかけしたのは事実です……! ここで会ったのも何かの縁です! 後日、改めて謝罪に伺いますので、平に平にご容赦を……!」



楓「本当に大丈夫ですよ」



心「いえ、それでは私の気が収まらず……」



楓「わかりました。じゃあお仕事終わったら一緒に飲みに行きましょう?」



心「え!? お酒ですか……」



楓「えぇ」



心「禁酒しようかと思ってたのですが……」



楓「じゃあ許してあげません♪」



心「わかりました……お供します」



カメラマン「あのー、そろそろ撮影いいかな?」



心、楓「「はーい」」







撮影後 居酒屋



楓「では、また会えた事を記念して……」



心、楓「「かんぱーい」」



心「いやーそれにしても驚いたぞ☆」



楓「ふふっ。私もです」



心「まさか昨日の今日で会うなんてねぇ」



楓「これも運命、ですかね?」



心「運命かー」



楓「かもしれませんね」



心「じゃあそんな運命を与えてくれた神に感謝☆」



楓「うんめぇお酒に会えた運命に感謝ですね」



心「お? おう……?」



楓「うーん。イマイチ、ですね」







しばらくして



心「にしても、楓ちゃんお酒強いな☆」



楓「いつも飲んでますからね」



心「一人酒平気なタイプ?」



楓「そうですね。最近はいつもひとりです」



心「はぁとには無理だなー。誰かと一緒じゃないと楽しくない☆」



楓「あら、じゃあ今は楽しいんですね?」



心「もちろん☆」



楓「ふふっ」



心「あはは☆」



楓「私も久しぶりに楽しいお酒が飲めてます」



心「なんだなんだ☆ お酒楽しくないのか☆」



楓「ここ最近は少しやけ酒気味だったもので……」



楓「でも、今日ははぁとちゃんと一緒だからとっても楽しいですよ」



心「やけ酒ってなんかあったのか☆」



心「はぁとでよければ話聞くぞ☆」



楓「そうですか? じゃあ少しだけ」







またしばらく後



心「なるほどー。モデルの仕事に嫌気が差してきてるのか」



楓「えぇ。綺麗な服を着るのは好きなんですが、求められているのはマネキンとしての高垣楓であって、私個人……高垣楓自身を求めてもらってないんだなって思うと」



心「やりたいことと向いていることが違うパターンか」



楓「そうなんですかね?」



心「はぁともそういう経験あるから☆」



楓「というと?」



心「はぁとは黙ってれば美人なんだって☆」



心「だから最初は寡黙なキャラで、歌わせてもらった歌もしっとりしたやつばっかりで☆」



心「はぁとは菜々先輩……、とある人に憧れてアイドル始めたから、今みたいな感じでやりたかったの☆」





心「でも、そんなふうにはやらせてもらえなかったから」



楓「今はそのキャラですよね? お許しが出たんですか?」



心「ううん。結局プロデュースされるんじゃなくてセルフプロデュースの道を選んで、やりたいようにやらせてもらってる☆」



心「お陰さまで、今やアイドル兼プロデューサー☆」



楓「両方となると大変じゃないですか?」



心「たしかに大変だけど、はぁとのやりたいことだから☆ 妥協はしない☆」



心「それにちひろさんの人脈で、765プロの律子ちゃんにプロデューサー業とアイドルの兼任する秘策を伝授してもらったから☆」



楓「ふふっ。それなら心強いですね」



心「お? りっちゃんの事知ってるのか☆」



楓「765プロさんとも何度かお仕事で一緒になってるので。秋月さんともあったことありますよ」



心「さすが、トップモデル☆」



楓「お人形さんですけどね」



心「……なら、アイドルやっちゃう?」



楓「え?」



心「楓ちゃんならアイドルでも成功できると思うぞ☆」



心「もし、人形の自分に嫌気が差してるなら、はぁと達とトップアイドル目指そう☆」



楓「……」



心「答えはすぐじゃなくていいから☆ もし、その気があれば名刺の番号に電話して☆」



楓「でも、すぐには事務所やめられるかどうか……」



心「大丈夫☆ うちには鬼や悪魔ですら怯える緑の守護神がいるから☆ なんとかしてくれる♪」





楓「……」



心「まぁ、その気があったら電話して☆」



心「それと、さっきからうちの守護神からすごい電話来てるからそろそろ帰るわ☆」



心「お金、置いとくぞ☆」



心「……高垣楓さん」



楓「はい……?」



心「自分から動かないと変わらないぞ☆」



心「じゃあ電話待ってるから♪ またね☆」



楓「……」



楓「自分から動く……」









数日後 CGプロ事務所



心「……」



ちひろ「どうしました? 最近なにか上の空ですけど」



心「んースカウト失敗したかなって……」



ちひろ「スカウトしてたんですか? いつの間に」



心「スカウトって言うか声かけ☆ ダメもとだったんだけど、失敗だと思うと案外ショックがでかい☆」



ちひろ「あらあら」



ちひろ「じゃあそんな心さんに朗報ですよ」



心「?」



ちひろ「菜々さんとみくちゃんのお陰で、新しく曲を発注出来そうです。」



ちひろ「お待ちかねの心さんの持ち歌がやっと作れますよ!」





心「マジで!? 長かった〜☆」



ちひろ「別に『つぼみ』を持ち歌にしてくれてもよかったんですよ?」



心「ん〜。お気に入りだけど、このキャラには合わないから☆」



ちひろ「私は好きなんですけどね。心さんの歌う『つぼみ』」



心「ありがと☆ とりあえず持ち歌極めたらレパートリーにしとく☆」



ちひろ「じゃあまた聞けるの楽しみにしてますね」



心「おう☆」



心「!」



ちひろ「はい、お電話ありがとうございます。CGプロダクションです」



ちひろ「はい、はい。確かに佐藤は弊社のプロデューサーですが……」



ちひろ「え? アイドルに? はい?」





心「ちょ、パスパス」



ちひろ「え、えぇ」



心「お電話代わりました。佐藤です」



楓『楓です』



心「覚悟は決まった?」



楓『はい』



心「じゃああとは任せろ☆」



心「とりあえず、履歴書もってうちまで来てね☆ 来いよ☆」



楓『一時間以内には行けると思います。では、のちほど』



心「待ってるぞ☆」



ちひろ「えー……なにしたんですか?」



心「スカウト☆」



心「ところでちひろさんさ」



ちひろ「はい?」



心「曲の発注お願いするわ☆」







イベント会場 控室



楓「ふぅ……」



心「緊張してる?」



楓「少しだけ、ですね」



心「じゃあ大丈夫☆ 楽しめるよ♪」



楓「ふふっ。そうですね」



みく「うんうん。Pチャンがつきっきりでレッスンだったんだし、大丈夫にゃ」



菜々「楓ちゃんなら大丈夫です! ナナも保証しちゃいますっ」



楓「ありがとう。二人とも」



心「さって、そろそろ時間だな☆」



心「行って来い☆ 新生高垣楓を見せてやれ☆」



楓「えぇ、いってきます」







ステージ上



楓『……』



楓『みなさーん。今日は私のために集まって下さってどうもありがとうございます』



楓『高垣楓と言います。アイドルになって日は浅いですけど、こんな衣装を着させてもらって、歌まで作ってもらっちゃいました』



楓『なので、私の持てる力で精いっぱい歌います』



楓『では、聞いてください「こいかぜ」』





ステージ袖



みく「すごいにゃ……」



菜々「びっくりです……」



心「だろ☆」



みく「なんて言うか、圧巻だにゃ……」



菜々「えぇ……」



みく「Pチャンがみく達をお休みにしてまでわざわざ連れてきた理由がわかった気がする」



心「楓ちゃんは今までうちには足りなかったクールな感じだからな☆」





心「みくは見習って賢くなれ☆」



みく「うん……。みく、賢くなるね……」



心「あれ?」



菜々「ナナも少し自信がなくなりました……」



菜々「いい年してメルヘンデビューとかなにやってんだろ……」



心「ちょっ! 菜々先輩がなんで凹むんだ☆」



心「見習えとは言ったけど、二人には二人の良いところがあるんだから、自信なくす必要はない☆」



心「自分を曲げてまで楓ちゃんに合わせる必要はないぞ☆」



みく「うん……! みくは自分を曲げないよ!」



菜々「そう、ですよね! これからもウサミンパワーで頑張ります!」







ステージ上



楓(楽しい)



楓(というよりはわくわくする、かしら)



楓(モデルも楽しかったけど、アイドルはわくわくする。もっと複雑な感情……)



楓(はぁとちゃんに感謝しなくちゃ)



楓(アイドルになってすぐにこんなステージで歌わせてもらえるなんて)



楓『……』



楓『高垣楓で「こいかぜ」でした』



楓『初めて皆さんの前で歌いましたが、いかがでしたか?』



楓『ふふっ……。素敵なんて言ってもらうの初めてですね』



楓『本当にありがとうございます。でも、そろそろお別れみたいですね。残念です』



楓『あ、そうそう。最後にですけど……』



楓『このステッキ、とっても素敵……』







ステージ袖



心、みく、菜々「「「」」」



みく「じ、事故ったにゃ! 楓チャンが今の今までうまくいってたのに最後の最後に盛大に事故ったにゃ!」



菜々「おおおお、おちおちつ、落ち着いてください! まだあわあわわ、慌てるような時間じゃ!」



心「」



みく「あああああ! こういう時に頼れそうなPチャンが白目向いてる! 終わったにゃ!」



菜々「は、はぁとちゃん! しっかり!」



心「はっ!」



心「死んでる場合じゃねぇ☆」



心「みく! 行って来い! なんとかして☆ しろ☆」



みく「む、無茶苦茶にゃ! あの空気を何とかしろって無理だろ!」





菜々「お客さん完全に固まってますね……」



心「いっそ菜々先輩でもいいから! とにかく行って! マジで!」



みく「じゃあPチャンが行くにゃ! みく達まで火傷したくないにゃ!」



心「テメー、あとでボコるぞ☆」



みく「ボコられた方がマシにゃ!」



楓「どうしたんです?」



心「このバカ猫が!」



心「え?」



菜々「お、おかえりなさい……」



みく「お客さん放置!? あの状態を!? マジか!?」





楓「え、えぇ。まずかったかしら……?」



菜々「と、とにかく! もう一度出て何か締めのお言葉を!」



楓「はーい♪」



みく「はぁー……なんとかなりそうにゃ……」



心「寿命が縮む☆」



菜々「楓ちゃんも自由ですねぇ」





ステージ上



楓『みなさーん。言い忘れてましたけど……』



楓『CD、買ってくださいね?』



楓『では、ビールをあびーるほど飲みに行ってきますね♪』





ステージ袖



心、みく、菜々「「「」」」







事務所



ちひろ「みなさん、お疲れ様でした」



楓「お疲れ様です」



心「おう……☆」



みく「お疲れにゃ……」



菜々「お疲れ様です……」



ちひろ「どうしたんですか?」



楓「さぁ? どうしたんでしょう?」



心「大丈夫、大丈夫だから……☆」



みく「そうにゃ……結果おーらいにゃ……」



菜々「イベントは大成功でしたし……」



ちひろ「?」



ちひろ「それはそうと打ち上げの店はおさえてありますよ♪」



楓「わぁ、楽しみですね。お酒はありますか?」



ちひろ「はい♪ 楓さんと初めて会ったお店ですよ」



楓「ふふっ。じゃあすぐに行きましょう」







居酒屋



みく「あっはっはー! 菜々チャン面白いにゃぁー!」



菜々「えへへへー? そうですかぁー? ちょべりぐ〜」



心「おい、誰だみくに酒飲ませたの☆」



楓「私じゃありませんよ」



心「せめて目を合わせてから言え☆」



ちひろ「菜々さんまでなんか変なんですが……」



楓「菜々ちゃんならいける、と思って」



楓「スピリタス、置いときました!」



心、ちひろ「「」」



心「なんでこの居酒屋は変な酒のレパートリーは豊富なんだ☆」



楓「不思議ですねぇ……」





菜々「ナナだってですねぇ! ナナだってぇ……! うわーん!」



楓「あらあら菜々ちゃん、泣かないで?」



みく「あははー……きぼぢわるい……」



心「楓さん! 菜々先輩はとりあえず置いといてみくをトイレに! アイドル以前に女としてアウトになる!」



楓「はーい。じゃあ、みくちゃん。行きましょう?」



みく「あい……」



心「よしよし……菜々先輩なら大丈夫だからねんねしましょうね〜☆」



菜々「うぅ……ぐすっ……すー……すー……」



ちひろ「カオスですね……」



心「酒さえなければ大丈夫と信じてる☆」



ちひろ「だといいんですが……」





心「大丈夫でしょ……たぶん……」



ちひろ「……」



心「……」



心、ちひろ「「考えるのはやめよう」」



ちひろ「それにしても、また心さんの曲が作れませんでしたね」



心「仕方ない☆ 楓ちゃんの事務所に払うお金が思ったよりきつかったんだし」



ちひろ「もうちょっと事前に言っておいてくれれば、もっとうまくやれたんですけどね」



心「それは、マジでごめん☆」



心「でも、相手方に話をつけてくれたのはさすが☆ ありがと☆」



ちひろ「それが私の役目ですからね」



ちひろ「もうちょっとうまくやれれば、心さんの曲を発注できる程度には残せたかもしれませんが……」





心「それは大丈夫☆ また菜々先輩達に稼いできてもらうから☆」



ちひろ「そうですね。今のペースならそのうちできそうでししね」



みく「ただいまにゃぁ……」



心「おかえり☆ 生きてるか?」



みく「なんとか……頭ぐわんぐわんして気持ち悪いけど」



心「文句は楓ちゃんに☆」



みく「うん……明日にでも言う……」



菜々「……はっ!? ここは!? ウサミン星じゃない!?」



心「ここは居酒屋、菜々先輩は打ち上げ中だぞ☆」



菜々「そうでした……。うっ……頭が……」



ちひろ「んーこの状態じゃお開きですかね」



心「そうだね☆ 楓ちゃんが戻ったらお開きにしよう☆」





楓「もう一杯だけ駄目ですか?」



心「おわ、戻ってたのか☆」



ちひろ「構いませんけど。何を頼まれますか?」



楓「獺祭を」



楓「私にとってはぁとちゃん達に引き合わせてくれたありがたいお酒ですから」



楓「あの日、会えなかったら今の私はありません。本当に感謝しています」



楓「なので、これからも高垣楓をよろしくお願いします。プロデューサー」



end





21:30│佐藤心 | 高垣楓
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