2015年11月25日

モバP「もうすぐ飛鳥の誕生日だ」

P「何かほしいものあるか?」



飛鳥「……やけにストレートじゃないか。いつもなら期待しなくても何かくれたのに」



P「そうなんだけど、やっぱりいらないもの貰っても邪魔かなーと思って。なら喜ばれるのがわかってるものをあげたい」





飛鳥「ボクとキミの間にそんな余計な気遣いは無用だろう? 気持ちだけで充分さ」



P「そういうものなのか?」



飛鳥「そもそも誕生日なんて、年を取ることに意義を感じないからね。祝われたところでその気持ちを感受しようがないんだよ」



P「わかった。じゃあプレゼントはいらないってことだな。ふぅー助かっt」



飛鳥「待って」



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P「ん? 何か俺に用か?」



飛鳥「勝手に話を終わらせないでもらえるかな」



P「えー、でも飛鳥が誕生日なんて祝われたくないって」



飛鳥「そうは言ってないだろう? ボクにその気がなくとも、気持ちを無碍にするほど冷たくはないつもりさ」



P「うん。だからみんなと一緒に気持ちだけ送るよ」



飛鳥「気持ちって?」



P「おめでとーって、さらっと流す感じ。その方がいいんだろ?」



飛鳥「違う。いや、違わなくもないけどそうじゃない」



P「違わなくなくない?」



飛鳥「違わなくなくなくないよ」



P「違わなくなくなくなくないのか。でもさー」



飛鳥「とりあえず座ろう。落ち着こう、ほらこっち」



P「あっ、はい」

飛鳥「落ち着いたかい?」



P「もとから冷静だけど」



飛鳥「ならいいよ。ボクが言いたいのはだね、ボクのことをわかっているキミなら、あれで充分だと判断したんだ」



P「ほうほう?」



飛鳥「もう付き合いもそれなりに長いことだし、ボクがどんな奴かぐらいはキミの知るところだと思ってる」



P「そうかな?」



飛鳥「行間を読む、と言えばいいのかな。見せ掛けの言葉に惑わされるなんてキミらしくないんじゃないか」



P「あー、つまり?」



飛鳥「つまり、と言うと?」



P「飛鳥は結局俺に何を求めてるのかなと。うん、何となくはわかるような気がするんだ。でもはっきりと言ってほしい、俺がはっきり聞きに来たように」



飛鳥「それは……」



P「常に相手がわかってくれる、だなんてのは都合よく解釈しすぎだぞ。人の心なんて読めるわけがないんだから。そうだろう?」



飛鳥「そうかもしれないけど、ボクは」



P「よーしわかった、じゃあこうしよう。俺の質問にイエスかノーで答えてもらうぞ。このままじゃ埒が明かなそうだし」



飛鳥「……わかった」



P「なら聞くぞ。誕生日プレゼント、欲しいんだな?」



飛鳥「…………………………うん」



P(勝った)

P「なんだよー、最初から俺聞いてたじゃないか。何が欲しいって」



飛鳥「欲しい物なんか……ない、ただキミに委ねたかったんだ」



P「なんでもよかったってことか?」



飛鳥「うん。仮にボクの欲しい物を言ったところで、何でももらえるわけじゃない。そうだろう?」



P「まあ、そうだな。世の中金で買えないものだってあるし」



飛鳥「だから、キミならどれくらいまでがプレゼントの許容範囲かだなんて探るようなこと、したくなかったというか」



P「なるほど。なんだ、気遣い無用とか言いながらそれこそ俺に気遣ってるじゃないか」



飛鳥「いや、単純にキミがボクに何を贈ってくれるつもりか楽しみなだけかもしれない。とにかくボクは何だっていいんだよ」



P「……でもさ、その仮に? 飛鳥が貰えるとは思ってない何かがあるとして」



飛鳥「?」



P「もちろん俺がおいそれとあげられるものではないんだろうけど、それでももしかしたらがあるかもしれない。だから、一応聞いておきたいかな」



飛鳥「……ボクは身の程をわきまえているつもりだから、何でもいいと言っているんだけど」



P「まあまあ。言うだけならタダなんだし言ってみろって。気になるだろう?」



飛鳥「ボクは気にならないよ」



P「俺は気になるよ。気になるよ!」



飛鳥「大きな声出さないでよ……。ならキミの欲しいものも教えてくれる? それが交換条件だ」



P「俺は誕生日でもなんでもないんだけど」



飛鳥「じゃあ話はこれで」



P「まあ待て。待て待て待て。飲もう、その条件」



飛鳥「飲んでもらわなくても一向に構わないんだが……笑わない?」



P「笑わない」



飛鳥「条件守る?」



P「守る守る」



飛鳥「本当に?」



P「任せろ」



飛鳥「……ぴにゃこら太のぬいぐるみが欲しい、かな」

P「ぴにゃこら太のぬいぐるみ? あー、穂乃香の持ってるやつか」



飛鳥「……ボクのキャラじゃないのはわかってるんだけどね。一目見た時からつい気になって気になって」



P「癖になったってわけだ。あのフォルムだしな、妙な注目集めてるらしいぞあれ」



飛鳥「あれだけかわいいなら当然かな」



P「あっ、お前もそっち側だったのか……」



飛鳥「うん? とにかく、ボクの欲しいものは言ったよ。次はキミの番だ」



P「ああ、そうだったな。俺の欲しいものなんて聞いてどうするんだって気もするけど」



飛鳥「いいから答えるんだ。ボクだけ恥ずかしい思いをするのは割に合わないだろう?」



P「いや、恥ずかしいものなんて欲しがってないけど……そうだなあ。俺はいま飛鳥が欲しいかな?」

飛鳥「……あ、えっ?」



P「どうだ、別に恥ずかしくもなんともないだろう?」



飛鳥「むしろこっちが恥ずかしいね、じゃなくて……ボクをからかってる?」



P「嘘なんかついてないぞ。俺は飛鳥が欲しい。俺は、飛鳥が、欲しい!」



飛鳥「何度も言わなくていいから。……理由は?」



P「理由?」



飛鳥「何のためにボクなんかを欲しがるというのさ。聞いておかないと、場合によっては身の振り方を考え直さなきゃならないじゃないか」



P「別に飛鳥が心配するほど猟奇的な理由ではないと思うが、いいじゃんそんなの。約束は守ったぞ」



飛鳥「それは、そうだけど……恥ずかしくも何ともないなら、出し渋る必要もないだろう?」



P「それもそうだな。まあ、普通に結婚したいからだよ」

飛鳥「結婚?」



P「うん。飛鳥と結婚したい」



飛鳥「やっぱりからかってないかい? そんな、結婚なんて簡単に口にしていいことじゃないはずだ」



P「まあ段階すっ飛ばしてるのはわかってる」



飛鳥「他にもいろいろ問題があるだろうに」



P「そうだな、飛鳥の気持ちをまだ聞いてないもんな!」



飛鳥「……は?」



P「俺とお付き合いを前提に結婚してください!」



飛鳥「ちょっ、意味がわからないよ」



P「飛鳥は俺のこと嫌いか?」



飛鳥「愚問だね」



P「えっ」



飛鳥「ボクが今もなおこの場にあり続けることが答えだよ」



P「つまり、嫌いではない?」



飛鳥「……もっと察しのいいヤツだと思ってたけど見誤ったかな」



P「じゃあ俺のこと好き?」



飛鳥「だから――」



P「好きなのか? そうなのか!?」グイグイ



飛鳥「わっ、お、落ち着きなよ、近い近い」



P「いいから、もうずばーっと。ぐさぁーっと言ってくれ!」



飛鳥「……好き、じゃないな。察しの悪いキミにもわかりやすく言うと、まぁ……大好きさ」



P「よし、結婚しよう」



飛鳥「いや、だからそれとこれとは話が」



P「飛鳥ーーっ!! 俺も大好、むぅー!?」



飛鳥「……ん」



P「!?!? ぷはっ、あ、飛鳥……さん?」



飛鳥「……叫ぶのは勝手だが場所くらいわきまえなよ。早々に居づらくなるところだったじゃないか」



P「お、おう……。すみませんでした」



飛鳥「結婚しようなんて言われても、ご覧の通りボクはまだ子供だからね。してあげられることなんてこれくらいさ」



P「うん」



飛鳥「まぁ、その……時がくるまで、キミの気が変わらないようにはせいぜい努めさせて貰うよ。それじゃ駄目かな?」



P「充分すぎる! じゃあ早速もう一度……ぶへっ」



飛鳥「僅かでもありがたみを感じてくれているなら、ボクの気も変わらないようがっつかないことだね。まったく……いつからそんなに直情的になったんだい?」



P「すまん、タガが外れてたみたいだ。もう大丈夫」



飛鳥「えーと、それで。ボクらは何の話をしていたんだったか」



P「お前の誕生日プレゼントの話だよ。うん、そうだな。任せておけ、ぴにゃこら太はなんとか俺が狩って帰りにでもひっそり渡すから」



飛鳥「ボクとしてはそんなのどうでもよくなるぐらいのものをもう貰ったけど、ふふっ。なら期待していようかな……ん? なんか不穏なイントネーションが……」











2月3日、飛鳥の誕生日当日――



事務所から一匹のぴにゃこら太が消え――ることはなく、



ゲームセンターで100円玉を溶かし続ける二人の男女がいたとかいないとか







終わり



08:30│二宮飛鳥 
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