2015年12月08日
モバP「こたつの四天王」
ある日の事務所
ゆかり「はぁ〜……温まりますね」ヌクヌク
ゆかり「はぁ〜……温まりますね」ヌクヌク
智絵里「うん……やっぱり、寒い日はこたつに限るかな、なんて」ヌクヌク
ゆかり「今日は一段と冷えますから、なおさらですね」
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智絵里「ふぅ……」
ゆかり「ふふっ。智絵里さん、とても気持ちよさそうな表情をしています」
智絵里「そ、そうかな」
ゆかり「はい、それはもう。プロデューサーさんに頭を撫でられている時と同じくらいでしょうか」
智絵里「えっと……わたし、Pさんに撫でてもらってる時、どんな顔してるのかな」
ゆかり「ええとですね。目と眉は垂れ下がって、頬はほんのり赤く染まり、口元はにへらと緩みきって」
智絵里「す、ストップ! やっぱり、言わなくていいです……恥ずかしいから」
ゆかり「そうですか?」
智絵里「うん。あんまり人に見られたくない顔をしていそうなことはわかったから……」
智絵里「でも、このままだとこたつから抜け出せなくなっちゃいそう」
ゆかり「ふふ、そうですね。こたつの人を惹きつける力はすごいです」
??「まったくですねえ」ニュルッ
智絵里「わわっ!? 二人しかいないと思ってたこたつの中から突然まゆちゃんが!」
まゆ「えらく説明的なセリフありがとうございます」
ゆかり「まゆさん、おはようございます。いつからいらしたんですか?」
まゆ「ゆかりさんがやって来る5分くらい前です」
まゆ「猫がこたつで丸くなるように、まゆもこたつで丸くなっていました」
智絵里「でも、中にもぐっているとさすがに暑くないかな」
まゆ「実はですね……今日はとても寒くなるということを知らずに、昨日までと同じような服装で来たせいで寒くて寒くてしょうがなくて」
まゆ「事務所についた瞬間こたつに潜りこんでしまいました」
智絵里「それで今までずっとそのままでいたんだ……」
ゆかり「天気予報の確認は大事、ですね」
ガチャリ
響子「おはようございます!」
ゆかり「あら、響子さん」
まゆ「おはようございます」
智絵里「おはよう」
響子「あ、みんなでこたつですか? 今日寒いですもんね」
まゆ「まだひとりぶんスペースが空いてますし、響子ちゃんもどうぞ」
響子「はい♪あ、でもその前に」トテトテ
まゆ「?」
響子「どうぞ! 昨日の夕方、Pさんがもらってきたみかんです」
ゆかり「わあ、おいしそう」
智絵里「ありがとう、響子ちゃん」
まゆ「こたつと言えばみかん。日本の冬の伝統ですねぇ」
響子「お茶も一緒に淹れてきますから、待っててくださいね♪」
まゆ「響子ちゃんは本当に働き者ですよね」
智絵里「そうだね。いつも気を利かせてくれるし……」
ゆかり「きっと将来、素晴らしい花嫁になるんでしょうね」
ゆかり「良妻賢母とは、あのような女性のためにある言葉なのでしょう」
ゆかり「婿となる方は、幸せでしょうね」
まゆ「婿……」
響子「お待たせしました。あったかーい日本茶ですよ」
まゆ「……じー」
響子「? どうかしました?」
まゆ「……負けませんよぉ?」
響子「は、はぁ……(なんの話だろう)」
智絵里「ぷはー。おいしい……」ホンワカ
ゆかり「お茶が身体を芯から温めてくれます」
まゆ「うふふ。智絵里ちゃん、すっごく穏やかな表情してる」
智絵里「え?」
響子「見てるこっちまで安らいじゃいますね」
ゆかり「智絵里さんは、結構顔に出る方、ですね」
智絵里「え、えと……そうなのかな」
響子「顔に出るほう……確かにそうかもです」
まゆ「Pさんに撫でてもらった時とか――」
智絵里「そ、その話はさっきしたからもういいよっ」アタフタ
ゆかり「みかんもおいしいですね」
まゆ「………」
響子「………」
ゆかり「……? 皆さん、どうされたのですか?」
智絵里「……上品だなぁ、と思って」
ゆかり「上品?」
まゆ「ゆかりちゃんのふとした動作のひとつから、気品を感じることができるということです」
響子「みかん食べてるだけなのに不思議ですよね。何か上品な作法のコツとかあるのかな?」
ゆかり「コツ、と言われましても……正式な場でのテーブルマナーならともかく、みかんを食べるのは普通にしているだけですから」
まゆ「聞きましたか智絵里ちゃん。普通にしているだけですって」ヒソヒソ
智絵里「まあ! やっぱりわたし達とは育ちが違うんですね」ヒソヒソ
響子「憧れちゃうわよね〜」ヒソヒソ
ゆかり「あの……なぜ奥様方の井戸端会議風なのでしょうか」
まゆ「庶民達の作戦会議中です」
まゆ「ここはひとつ、気品の良さを高めるために短歌でも詠んでみましょう」
智絵里「五・七・五・七・七だね」
響子「私、古文の授業は少し苦手です」
ゆかり「歌は作者の隠れた意図まで読み取らなければならないので、大変ですよね」
響子「うん、ほんとにそこ! そこが大変!」ウンウン
智絵里「ところでまゆちゃん。短歌、詠めるの?」
まゆ「詠んだことありませんけどぶっつけ本番です」
まゆ「………」
まゆ「………うーん」
プロデューサー ああプロデューサー プロデューサー
プロデューサーサー プロデューサーサー
佐久間まゆ 心の一首
まゆ「みたいなの、どうかな」
智絵里「なんでやねんっ」
響子「わ、きれいなツッコミです!」
ゆかり「プロデューサーサー、とはなんでしょう?」
まゆ「いーやーさーさー、みたいな?」
智絵里「なんで沖縄やねんっ」
響子「ツッコミが冴えてますね♪」
まゆ「手も洗ったところで、トランプでもしましょうか」
響子「いいですね。なにします?」
ゆかり「4人いますから、大抵のゲームは可能ですね」
まゆ「今回は……とりあえず、無難に七並べで」
智絵里「大富豪とかだと、ローカルルールが多いもんね」
まゆ「でも、ただ勝負するだけだと若干面白みに欠けますねぇ」
響子「勝った人には、なにかのご褒美を用意するとか?」
ゆかり「緊張感が出ていいかもしれません」
まゆ「では……」
まゆ「勝者は、Pさんを一日自由にできる権利を手に入れるということで」
智絵里「………」
ゆかり「………」
響子「………」
智絵里「それ、Pさんの許可ないとダメじゃないかな?」
まゆ「ですよねぇ」
10分後
響子「ふふふ。今のところ、私の手札が最も少ない……このままいけば勝てる!」
まゆ「くっ……誰ですかハートの6止めてるの」
智絵里「わ、わたしじゃないよ?」アセアセ
まゆ「……智絵里ちゃんはすぐ顔にでますねぇ。ウフフ」
智絵里「ひうっ、睨まないで……」
響子「ふふふ、二人が争っている間に私が華麗にあがってみせます!」
ゆかり「ふっ……それはどうかな!」ド ン☆
響子「!? まさか、この状況を打開する一手が」
ゆかり「あ、今のは一度言ってみたかっただけなので」
響子「ほっ」
まゆ「速攻魔法! まゆのくすぐり!」コチョコチョ
智絵里「きゃっ! あはは、ちょ、やめ、ふふっ!」
ゆかり「たくさん遊びましたね」
まゆ「全員一度ずつ一位になりましたし、トランプはこの辺で終わりにしましょうか」
智絵里「そうだね」
響子「………」
響子「えいっ、つんつん」
まゆ「きゃっ」
響子「あ、この足まゆちゃんのですね? えいえい」ツンツン
まゆ「ふふ、もうっ。お返しです、えいっ」
智絵里「きゃ、それわたしの足……」
ゆかり「なんだか楽しそうですね。私も混ざらせてもらいます♪」ツンツン
ワイワイキャッキャッ
しばらく後
ガチャリ
P「ただいまー。みんな揃って――」
まゆ「しーっ」
P「ん? まゆ、どうしたんだ」
智絵里「あっち、見てください」
P「あっち……あ」
ゆかり「すぅ……」
響子「すー、すー……」
まゆ「二人とも、遊んでいるうちにこたつの魔力にとらわれちゃったみたいです」
智絵里「もう少し、寝かせてあげてください」
P「ぐっすりだな。なんだか見てて微笑ましいよ」
P「レッスンまで時間あるし、それまでは静かにしていようか」
智絵里「はいっ」
まゆ「というわけで、今日はまゆが響子ちゃんの代わりにお茶を淹れてあげますね」
智絵里「わたしも、何かお手伝いできることがあったら言ってください」
P「お、それはありがたいな。でもどうしたんだ、急に」
智絵里「それは……」
まゆ「まゆ達、お姉さんですからね」
智絵里・まゆ「ねー♪」
ゆかり「………」ボソボソ
響子「………」ブツブツ
P「ん? 二人とも、寝言かな」
まゆ「どんなことを言っているんでしょうか」
響子「むにゃ……お掃除は、私にお任せ……ふふ」
智絵里「ふふっ。響子ちゃん、夢の中でも働き者ですね」
P「響子らしいな。で、ゆかりのほうは」
ゆかり「ルンバが一匹……ルンバが二匹……ルンバが三匹……うふふ」
P「……なんの夢を見ているんだ?」
智絵里「すごくうれしそうですけど……」
響子「うぅ、そんなにルンバがあったら、私の仕事がなくなっちゃう……」グスン
P「なんか響子の顔が歪んでるぞ」
智絵里「独特な夢の内容で、他人の夢にまで浸食するなんて……」
まゆ「はっ。このミステリアスな部分が、ゆかりちゃんの気品の良さの秘訣なのでは」
P「違うと思うぞ」
おしまい
08:30│モバマス